○ 5月3日大阪で、「9条改憲阻止!戦争と格差・貧困を押し付けるG8サミット反対!5・3行動」が挙行された!
5月3日、「9条改憲阻止の会」(60年安保闘争・学生活動家世代の、諸政治党派の大同団結で結集した統一組織)代表・小川登氏(前桃山学院大経済学部長)が呼びかけ人代表となり、「連帯ユニオン関西地区生コン支部」、「関西合同労働組合」、「大江(健三郎)・岩波(書店)沖縄戦裁判闘争支援連絡会議」、「三里塚決戦勝利関西実行委員会」、「日の丸君が代不起立の戦いをする門真市立中学校教員グループ」、「日本軍慰安婦問題に対して政府に誠実な対応を求める請願を実現する会」、「止めよう戦争への道、百万人署名運動関西連絡会議」「婦人民主クラブ関西協議会」など、22団体と多数の個人、300余名が、大阪市北区民センターに結集した。
午後1時より始まった集会は、本山美彦氏(京都大学名誉教授)の「G8サミットをめぐって」と題する講演、池住義憲氏(自衛隊イラク派兵差止め訴訟の会代表)の「名古屋高裁―自衛隊イラク派兵違憲判決の意義について」の報告を中心に、各代表のアピールが続き、革命的社会変革を詩的情熱で歌い上げる浪速の在日2世、シンガーソングライター、チョウ・パク(趙博)氏の「インターナショナル」の歌声で締めくくられ、大会宣言ののち、我々の決意はデモ行進となって、大阪梅田繁華街を行く民衆の目に焼き付けられた。示威行進は、「9条改憲を阻止するぞ!」の力強いシュプレヒコールとともに、扇町公園から梅田の中心街まで、大阪の民衆の温かい声援に見守られながら貫徹された。
● 9条改憲阻止/G8サミット反対5・3共同行動の呼びかけ
「昨年の国民投票法の成立で、私達は3年間の改憲阻止決戦を宣言しました。08年は、その最大の正念場です。
安倍政権の崩壊を引き継いだ福田は、中国・アジアの友好を謳っているかのように見せかけていますが、対テロ特措法の期限切れに際しては、国会会期を大幅に延長し、本年1月11日に衆議院で再議決を行い、直ちにインド洋への自衛隊再派兵を強行しました。
日米同盟と支配者の利益の為には、衆議院の三分の二を越す議席数の力で何でも強行すると言う政治意思を示しました。福祉を切り捨て国民の生存権を蹂躙し、差別と排外主義を煽り、労働者民衆を分断するやり方も小泉、安倍と全く同じです。
福田と小沢は、労働者民衆の戦いの間隙を突いて、9条改憲のための大連立を狙っています。
ついに今、こんな国会の状況を乗り越え、改憲に反対し、格差と貧困の拡大に怒る大きなうねりが始まりました。昨年、9・29沖縄の11万6千人の決起、12月1日岩国での1万1千人の決起が始まりです。いずれも戦争に繋がる教科書の改竄や、米軍基地の拡張に反対して、島ぐるみ町ぐるみで立ち挙がり、国家の政策に立ちはだかっています。この戦いに続きましょう。
日本を、戦争をする国に作り変え、労働者民衆を戦争の尖兵にする憲法改悪攻撃を阻止するためには、職場・地域に根ざした広範な共同闘争が必要です。
また、08年は、世界の富を収奪し、侵略戦争を繰り返し、格差と貧困を全世界の民衆に押し付けている世界の帝国主義者どもが集まる国際会議=G8サミットが日本で行われます。5〜6月に神戸で環境相・会談、大阪で蔵相・会談、京都で外相・会談が行われます。
今こそ、「小異を残して大同に」就くという戦いで、9条改憲反対の本格的な大衆闘争をつくり出しましょう。
憲法改悪と格差・貧困(外への戦争、内への格差)攻撃を打ち破る戦いとして、9条改憲阻止・G8サミット反対5・3共同行動をつくりあげましょう!」
● 集会での小川代表の基調報告要旨
「平均年齢68歳の60年安保世代は、デモ・集会は、簡単にはできない。
70歳なりの戦いとして選んだのが、国会前の連続ハンストであった。
9条改憲阻止の会は、60年安保全学連の“老人クラブ”だけの戦いではなく、格差と人権を憲法9条改憲阻止闘争と一体化し、若者と共通の課題を担う運動としなければならない。そして、9条改憲阻止の一点で「小異を棄て大同団結する」ものであり、例えば塩見孝也(元赤軍派議長)の参加をどうするかで揉めたが、市民運動は、「過去」も「主義」も問うものでない。彼は18年間獄中で良くがんばったではないか。
9条改憲は、機能不全に陥った市場万能主義(新自由主義)で危機を迎えた日本資本家階級が、帝国主義世界戦争を前に労働者民衆の生活破壊を通して、体制を準備する最大の攻撃である。」と、改憲阻止闘争の意義を強調した。
● 本山美彦氏(京都大学名誉教授)の「G8サミットをめぐって」講演要旨
G8サミットは、世界の民衆を犠牲にした、帝国主義諸国の富分割の為の談合の場である。
「若者に夢がなくなった社会を生み出したものが、グローバリズムだ。“お金儲けが悪いことですか?”と大きな目をギョロつかせた小柄な男が持つ「ファンド」が集めた「お金」の持ち主は、一切秘密であることが容認されている。日銀総裁がこの男に「1000万」を預けたと言うのは、真っ赤な
嘘だ。ファンドは「億単位」の顧客しか相手にしていない。
彼らファンドは、お金持ちに1億円の元手に1年間以内に3千万の金利を約束する。信じられない話だが、30〜40lの配当だ。「お金持ちは、自己責任能力があるから」その素姓も中身も明らかにする必要がないと言うのだ。「会員制ファンド」が全て公にする必要がないのに対して、小口の貧乏人は全て包み隠さず(パブリックに)明らかにさせられ、金利0・01lで銀行に収奪されているのだ。
これが「グローバリズム」の実態だ。
学問の世界に於いても、ラゴエコノミズム(Rogue
Economics・ならず者経済学)が、「認知された経済学」としてまかり通っている。学問とは、保守権力に認められたものを言うのか!
今や資本主義世界経済は、「売りと買い」「需要と供給」で決まるのではない。今でもそうだと言っている経済学者たちは、世界経済を動かす真の実態について嘘を言っているのだ。
物を作る産業は、「儲からない」と言う考えが支配している。トヨタは、物つくり企業かの様だがそうではない。新日鉄と言う技術力のあるもの作り企業に材料部品を安く作らせ、荒稼ぎをしているにすぎない。新日鉄の税引き前利益は、8パーセントにすぎないが、一方トヨタは、その数十倍の巨額の純益を得ている。ものつくり産業の犠牲と、消費者をだまして物を売り込むやり方は、「ファンド」と同質だ。「トヨタは値引きをしない。だからよい品物」は嘘である。彼らは何時も如何に消費者を騙すかを考えている。消費者は、決して賢くはないのだ。
あらゆるファンドは、物作り企業(新日鉄の様な)とは違って、建物があるわけでもなく、従業員がいるわけでもない。一握りの人間だけだ。“今からA社を乗っ取るから資金を集めたい”と出資者から金を集め乗っ取った企業の労働者の首を切り労働条件を蹂躙し、A社の株を上げて転売する。しかも、M
and Aに於ける「ファンド」の暗躍は、(ライブドアに見られるように)時価株式の交換を容認したことによって加速した。
「ファンド」に誰が入っているか、誰が金を預けたかが一切秘密であり、その手の内を決して明かさない彼らによってターゲットにされた企業側は、全てを明らかにされる「子羊」である。
これが竹中と小泉が推し進めてきた「金融自由化」の正体である。
アメリカには、もはや「ものを作って売る」と言うことを止めた。売るものもない。「メイドインUSA」より、アメリカの「ファンドに投資してくれ」と言うわけだ。ここから出てきたものがアメリカ発の「グローバリズム」であり、「金融の自由化」である。
うまい子羊は、韓国や中国だ。韓国はFTA(自由貿易協定)受諾に向かい、米国向け自動車の輸出関税0と引き換えに韓国民衆の大衆収奪と農業破壊が一挙に拡大されるであろう。
さらに、ファンドと一体となってアメリカ帝国主義経済を牛耳るものが、「格付け会社」である。貧困層にリスクの高い金を貸し付けた瞬間に、その債権を他の要素と混合した、「別の債権」として売ってきたサブプライムローンを、信用の高い証券として格付けしてきたのも、この米国格付け会社だ。
SEC(米国証券委員会)によって、全米で認知された証券格付け会社2社が、世界の「格付け市場」の80lを占めている。この格付けを貰わなければ取引が出来ないと言うわけだ。日本企業も金を払ってこの格付けにすがっている。これは、詐欺以外のなにものでもない。
世界的規模で「A社の格付けをあげて、B社を乗っ取る」と言う、金融自由化と「グローバリズム」の中での格付け会社の跋扈こそ資本主義社会の危機の姿だ。
レーガン以後、サミットは、その内容を秘密会としている。世界を数カ国の帝国主義者の代弁者たちが「新自由主義」によって世界の富を分割する場だ。
イラクで明らかなように、現地住民を追い出し、囲まれた塀の安全圏の中で私的暴力組織の護衛つきで商売をするのが、このグローバリズムの醜悪な姿を象徴している。「新自由主義」に基く、世界の民衆を犠牲にした帝国主義者の談合の場がサミットだ。」と指摘した。
●池住義憲(自衛隊イラク派兵差止訴訟の会代表)報告要旨
名古屋高裁の、「イラク派兵は、国家による戦争行為」と断じた憲法判断は、今後の改憲阻止闘争の大きな武器となる!!
池住氏は、「やりました。本当にうれしい。予想できなかった判決だ。日本国憲法が施工されたのが1947年5月3日であり、それから満61年たった今日と同じ日、2008年5月3日に、日本政府のイラク派兵を戦争行為と認定し、憲法違反との判決が確定したことは、市民がこれまで、憲法の力を発揮して戦った結果である。
これまでのイラク派兵違憲訴訟で、12件の裁判は殆どが門前払いだった。しかし、これら憲法裁判の蓄積がここに、結実したものだと考えている。今日まで、司法と行政が結託し誤魔化し続けてきた、国家の憲法9条違憲行為が、判決として確定したことの意義はおおきい。
過去1969年の長沼訴訟、1958年砂川裁判で2度、国家に対し、地裁での違憲判決を勝ち取ることが出来たが、それはことごとく最高裁で覆された。
今回の「イラク派兵差止訴訟」で我々が訴えたものは、
@
国家の行為に対する違憲の確認
A
イラク派兵の差し止め
B
国民の苦痛(平和的生存権の侵害)に対する賠償請求
この三つの要素からなる。
判決主文は、13文字である。@と、Aについては、「原告には資格がないですよ」(不適法)、この主文では「合憲」とも「違憲」とも言っていない。Bの賠償請求では、われわれの「公権力の違法行為について国に対し、国家賠償法一条一項に基き1万円を請求する」にたいし、「検討しました」。それには、二つの要件が必要ですよ。一つは「国家の行為違法性」であり、二つは「権利の侵害」であるが、このうち「国家の行為の違法性」の事実認定を詳細に行ったのである。
この裁判の基本的目的とも言うべき、「国家の行為の違法性」の事実認定において、
@
証人審問をおこなった。
A
公知の事実(政府、防衛省の報告)を全面的に精査した。
B
政府「解釈」を明確に確認した。(例えば、たとえ「戦争行為」の政府解釈・見解)に立ったとして当てはめても、自衛隊(空自)はイラクにおいて 「武力行使をおこなっている」と断定したのだ。
そして、更に画期的なのは、「日本国憲法は、国民の権利としての、平和的生存権を規定している」と判決したことだ。
この判決が、日本の公権力が積み重ねてきた解釈改憲による憲法蹂躙・違憲行為を『合憲』とする主張をことごとく論破し、憲法が厳しく否定する「国家の戦争行為」と、それへの加担を全面的に違法行為と断じたことは、これからの改憲阻止の運動に大きな力となることは疑いない。判決全文を読んでいただきたい。改憲勢力に対する理論的武器になる。」と報告した。
(文責 柴野貞夫)
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