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(「9条改憲阻止!5・3共同行動」報告<1>・柴野貞夫時事問題研究会・2009年5月10日)

 

 

 

○ 憲法記念日である5月3日、大阪で昨年に引き続き、「9条改憲阻止!5・3統一行動」が行われた。(1)

 

 

 

○五月三日、午後1時30分より、大阪市立中央会館において「5・3改憲阻止共同行動実行委員会」主催による、‘9条改憲を許さない共同行動’が14の賛同団体(「釜ヶ崎連帯委員会」「関西合同労働組合」「関西大学校友連絡会」「京都生協の働く仲間の会」「柴野貞夫時事問題研究会」「新空港反対東灘住民の会」「ストップザもんじゅ」「政治犯に対する不当弾圧に反対する会」「高槻医療福祉労働組合」「反『入管法』運動関西交流会」「とめよう戦争への道!百万人署名運動in港」「とめよう戦争への道!百万人署名運動・関西連絡会」「とめよう戦争への道!百万人署名運動・大阪東部連絡会」)と、120名の賛同人の下、戦闘的に挙行された。

 

○2007年5月、憲法改悪を前提とする“改憲手続き法”である「国民投票法」が、安倍自民執権政府の手で強行採決された。しかし、その直後の7月参議院選挙において、改憲を争点に掲げた自民執権党は大敗北し、安倍は首相の座から逃げ出した。その結果、後継執行部である福田、麻生は、国民意識の動向に恐れを抱き、「改憲原案の審査権限を持つ『審査会規定』」に手をつける余裕も決意も持つ事ができなかった。

 

○しかしここに来て、麻生自民執権政府は、「ソマリア海域の海賊対処」と「(日本を狙った)北朝鮮の弾道ミサイル」と言う、国民意識を軍国主義と国家主義に取り込む欺瞞キャンペーンが、政治的頽廃にまみれた言論媒体の支持の下に一定の成果を生んだと見て、それを改憲策動の好機と捉え反転攻勢に出始めた。

 

麻生は、「集団的自衛権の行使」が現憲法下で可能だとし、『ソマリア海賊対処法』による恒常的な日本帝国主義軍隊の世界的展開を企図し、解釈改憲を通して明文改憲を実現するために、『憲法審査会規定案』審議に向けて、前原誠司前代表、鳩山由紀夫民主党幹事長を始めとする、民主党改憲派を組み入れながら動き始めた。

 

○麻生執権政府・」総務省は、「憲法審査委員会」さえ未だ立ち上がらず、18の付帯決議の検討や投票年齢さえ未だ決定されていない「国民投票法」を、「改憲投票法」として国民意識に刷り込むため、市町村を通して800万部以上のリーフレットを配布する計画を策動している。

 

5・3共同行動は、かかる、働く民衆の犠牲と搾取の上に構築される戦争国家を企む、日本資本家階級と右翼反動勢力によって生み出された緊迫した情勢の中で行われた。

 

 

○午後1時半より始まった屋内集会は、「九条改憲阻止の会・関西」を代表して新開純也氏が主催者からの『問題提起』を行い、工藤美弥子・浄土真宗東本願寺僧侶による「憲法九条・憲法24条・憲法全文」をブルースで歌うユニークな歌唱のあと、丹羽雅雄・弁護士は、『東アジア「在日」・沖縄から学ぶ平和憲法の創造、−憲法改定の本質は何か―』と題する講演を行った。闘いの現場から、「松下PDP(プラズマディスプレイ)工場」での偽装請負を告発し、不当解雇された吉岡力さんの裁判闘争の報告。「君が代斉唱不起立」に対する大阪府教育委員会の処分と戦う、門真市・門真三中教員の川口精吾氏の報告など、資本の搾取と国家の教育支配に非妥協的に戦う労働者の戦いの報告が、参加者の熱烈な連帯と共感の拍手によって迎えられた。

「反戦共同行動実行委員会代表世話人」仲尾宏氏の集会総括の後、参加者全員が肩を組み、「インターナショナル」の力強い歌声を会場いっぱいに響かせ、参加者全員、御堂筋の街頭示威行動に向った。

 

 



△大阪市立中央会館ホールを埋め尽くした参加者

 




△屋内集会の最後に、全員が肩を組み、「改憲阻止!」を、とりわけアジア民衆との国際連帯の中で戦う決意を込め、意気高く「インターナショナル」を斉唱した。

 




△御堂筋の街頭示威行動に向って出発した。

 

 

 

●新開純也氏(9条改憲阻止の会・関西)の「主催者からの問題提起」

 

 

○資本家による、労働者・民衆への、非正規職労働者に象徴されるあくなき搾取と貧困の増大は、小泉政権による新自由主義の所産である。安倍政権は、それを政治的に総仕上げしようとして来た。「国民投票法」にむけての「憲法調査会」の発動は、総務省による国民の改憲教育を狙った「投票法を周知させるための300万部パンフの配布準備」とともに、麻生政権と改憲派議員による国民を改憲の流れに取り込む露骨的な動きが急を告げていると言うことだ。沖縄辺野古、ソマリア海域派兵、原子力空母の基地化など実質的改憲を通して、明文改憲を仕上げようとする資本家階級の動きである。

 

○京大の故高坂正堯を恩師と称する、民主党・前代表・前原誠司は、最も熱心な明文改憲論者であり、日本の「国益」のため、自衛隊の世界の海域への進出によってシーレーンを確保すべきと主張している。自民と結託する、民主党改憲派の動きを粉砕しなければならない

他のアフリカ諸国の紛争の根源と同様、英/伊植民地宗主国が、その共同体を破壊し部族間の紛争を産み出したソマリア問題は、欧米の植民地支配の所産以外の何者でもない。日本自衛隊の派遣は、中東と世界の海域に対する帝国主義的軍事行動である。

 

○我々の改憲阻止運動の理念は、今後とも、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する」と言う我が憲法の、理想主義に依拠し、それを高く掲げて行くものである。




 

○改憲を狙う自民党は、九条改憲のみならず、24条(生存権)の否定を画策している。明文憲法改悪に対する闘いは、同時に、貧困格差と搾取に対する闘いだ。社会保障の解体、悪性インフレの進行と消費税増税による民衆の生活への転嫁、貧困・格差・差別の拡大は、資本主義それ自体の危機を深めている。この運動の潮目を大きなうねりへ、拡大して行く必要がある。

 

○しかし、我々の(政治諸党派の)過去の運動において、権威を貶めた事実があった事を、厳しく反省しなければならない。

 

○今後の具体的運動として、次の4点を確認したい。

   @6・14東京集会に連帯すること

   A10・12大阪集会、10・18京都集会を成功させる事
   B6月〜10月総選挙に向けて、改憲反対派の支持と、改憲阻止運動の強力な展開。
   C「連合」による、日本労働運動の右翼的再編と解体に対して、真の労働者階級による再建の闘いが必須であること。

 

以上、我々の運動を一致団結して進めて行こうではないか。





△千日前から御堂筋へ行くデモ隊。

 



△多勢の市民が見守る中、御堂筋を行進する。

 



△御堂筋で、デモ隊を見守る市民。



 

 


 

 

●弁護士・丹羽雅雄氏

 

『東アジア・「在日」・沖縄から学ぶ平和憲法の創造』(−憲法改正の本質は何かー)と題する講演要旨

 

●「闘いの現場からのアピール」

 

・吉岡力氏《松下プラズマディスプレイ偽装請負事件訴訟原告》

 

・川口精吾氏《「君が代」不起立処分、門真三中教諭》