自衛隊「情報保全隊」の国民監視活動を許すな!!
国民の動静を監視する「軍事警察」だ!!
6月6日、日本共産党は記者会見において、自衛隊関係者から入手した陸自「情報保全隊」の資料を公表し、自衛隊が日常的に広範な国民の動静を監視し、情報活動を行ってきた事実を明らかにした。
2003年12月より2004年3月までに作られた2つの文書はA4版、166ページに及んでいる。(全文の参照は(http://www.jcp.or.jp/seisaku/2007/20070606_shii_adoc.pdf)
41都道府県と289団体個人の集会・デモや個人の顔が判別出来る写真とともに、特定した個人の動静や住所まで記録している。
彼らの“情報活動”の目標は、「イラク自衛隊派遣」に対する国民の反対運動などの“反自衛隊活動”にとどまらず、消費税や年金・医療問題に対する大衆運動全般に及んでいる。
電話で苦情を言ってきた人物まで、「反自衛隊行動」をとった国民として、その住所・電話番号まで記録するほど、現在日本の公安警察が行っている不法なスパイ調査活動と同質の国家権力による民衆監視が行われていた事実が明らかになった。
自衛隊イラク派兵に批判的な新聞記者・文化人も、同様にその対象となった。陸自「情報保全隊」の、このような国民監視活動の目的は、その調査書の表題「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」からも明らかなように、違法な自衛隊海外派兵や9条廃棄による軍隊の保持と集団的自衛権行使に反対する国民の運動の高まりを前に、世論を改憲に導く為の調査活動であり、運動に対する威圧行為である。それは、法が禁止している自衛隊の「政治的行為」である。
有事(戦争)に国民を“強制動員”させる為の法整備!!
1999年の周辺事態法を始めとして、2001年の「テロ特措法」と自衛隊法改正、2003年の武力攻撃事態法、2004年の国民保護法、米軍行動円滑法、特定公共施設利用法などいわゆる“有事立法”は米軍の行ったイラク侵略戦争に自衛隊を加担させ、海外派兵させる為だけにあったのではない。
戦時体制で、国民の基本的人権や財産を制約し、国民をいかに“動員”するかを法的に強制したものである。平和体制にあっても、国民に戦時に対する準備に動員する為の法なのである。自衛隊が発足〔1954年)してから、国家権力は常に日本国憲法を蹂躙して戦時体制での国民の動員体制をどうするか、秘密裏に研究を重ねて来た。(1963年の「三矢研究」)
しかし1999年以降、国会は憲法を根底的に否定する数多くの“有事法制”を成立させ、今や国家権力と自衛隊は誰はばかる事なく、「有事における国民の動員」を論議しているのである。彼らは現在、有事諸法に対する「違憲立法」の謗りを踏みつけ、自衛隊を名実ともに「軍隊」として誕生させる為に、日本国憲法の全面的な改悪と、それに反対する国民の運動を敵視しているのである。
陸自「情報保全隊」の国民監視の情報収集は、本来の隊内の情報収集活動任務を大きく離れ、権力と防衛省の違法行為を糾弾する国民の運動を弾圧する事にある。憲法改悪が実現すれば、名実ともに軍隊が成立し、「徴兵制」による強制的な「国民の軍隊への徴用」も可能となり、「軍事裁判所と軍事法廷」は、反軍的思想や反軍的行動を行う国民をより簡単な手続きで“処分”するであろう。
来るべき、平和憲法改悪下の軍事的・警察的抑圧国家作りの展望の下で、国家権力に意義を唱え、基本的人権を守ろうとする国民個人や運動を「特定」し、不穏分子として監視することを任務としているのだ。戦時や平時の「国民の動員」も、よりスムーズに行えるのだ。そんな事をされてたまるものか!!と国民は、憤慨の嵐を巻き起こさなければならない!!
我が日本国憲法は、その前文で次のように言っている。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使」すると小泉を経て、安倍自民・公明政権に至る右翼政治家と日本の資本家どもは、権力が「国民から負託されたものである」ことなど、爪の垢ほども考えてない。
国民を如何に「支配し、動員」する事が、権力を持った者の特権だと思っているのだ。国民権力が、国民を常に監視する国家とは何か。建前としての「民主主義国家」もなくなるだろう。国家権力が、国民を監視するのではなく、国民が国家権力を監視するのが「民主主義国家」であって、その逆は軍事警察国家である。安倍首相には、全くいかなる「独裁国家の人権擁護批判」などする資格はない。
改憲と自衛隊を批判する国民を「敵」とみなす自衛隊!!
6月7日、国会・外交防衛委員会で、緒方靖夫議員(共産党所属)の「情報保全隊」の活動は、憲法が保障する集会・結社・表現の自由を侵すものだであり、警察が正当な理由なく個人を撮影する事は憲法13条に反するとの最高裁判決に照らして不当であり、内部調査を行い国会に報告するべきだ」との指摘に対し久間防衛大臣は、事実上、その行為を認めた上で「自衛隊の行動に対し、さまざまな賛否があるので、絶えず情報収集を行っている。法に触れる事ではない。マスコミも一般にパチパチ撮っている。取材の場合は良くて、自衛隊はダメという法的根拠はない」と言って国会での報告を拒否した。同様、折木良一陸上幕僚長も記者会見の席で、「法に触れる事ではない」と開き直った。
ペンと紙しか持たないジャーナリストの言論の為の情報収集活動と、軍事暴力集団である自衛隊と国家権力に「自衛隊を批判する国民の監視」と言う政治的意図に基づく情報収集活動が同じなどと語る連中に日本の言論界はもっと批判と糾弾の嵐を巻き起こさねばならない。
自民党憲法草案で言う「特別裁判所」(軍事裁判所)は、反権力・反軍的言論や国民を、「民主主義的手続き」なしに超法規的に拘留・逮捕するであろう。現実に、自衛隊の「国家への国民動員」の為の抑圧行動は、この陸自「情報保全隊」のスパイ活動にとどまらず、戦後初めて、国民をその軍事力で威嚇した例として先月5月の沖縄県名護市辺野古地区の米軍海兵隊航空基地建設に伴う「事前調査」に対する県民の反対運動に対して海上自衛隊及びその「掃海母艦・ぶんご」を派遣し、軍隊としての国民への威圧行為を行った事実を注意すべきである。自衛隊は、常に国民を隠れた敵として警戒し、支配しようとしているのである。相手は、いつ言論界と国民に向かって、銃口を向けるとも限らないのだ!!
久間防衛大臣もまた国民の動向を調査し、政治的判断を独自に下すに等しい陸自「情報保全隊」の行為を文民大臣として「問題ない」などと呑気な事を言っていたら「政治的決定を独自に行う自衛隊(軍部)が登場し、政治の道具(自衛隊)が国会に代わり政治を行い、防衛大臣の席を武官に取られてしまうぞ。
しかし安倍自民・公明政権のこの一年間の国会における諸法案の審議軽視、教育改革を始めとする国家主義的政策は、今のところ自衛隊の国民監視の行動と一体となって進んでいる。
その巨大な軍事的暴力組織(世界第3位)が、法によって許されているのは、外国の侵略行為に対する自衛的行為に於いてだけである。しかし、国家の軍事組織はその警察組織とともに、常に国民を支配する“治安”の為の道具となりうるのである。
軍隊の下で軍事裁判所を持つ国々は、二つの異質な司法制度を持つこととなる。本来その組織内の司法制度に過ぎない軍事法廷が、国民全体を超法規的に支配する例は枚挙にいとまない。日本の天皇制帝国主義体制下での「憲兵政治」がそうだ。1972年のパクチョンヒの維新体制からノ・テウに至る軍事政権がそうであり、アメリカのグアンタナモ特別軍事法廷がそれである。
徴兵による国民の強制的動員、軍隊や国家を批判する国民に対する、日常的な令状なしの逮捕拘禁が、国家保安法(韓国)や治安維持法(日本)などの非人権的抑圧法規とあいまって、国家権力の手足となり外敵よりも国民を支配する道具となって暴走した。三権分立から超然とした政治権力としての「軍部」が生まれ軍事政権となったのだ。
・ 「自衛軍」(軍隊)を国民抑圧の「治安組織」と規定した自民「新憲法草案」
・ 自衛隊の「政治活動」を容認する自民党
05年10月、自民党「新憲法草案」は、自衛隊を軍隊(自衛軍)と規定し「特別法廷」(軍事法廷)の設置を盛り込んだ。
陸自「情報保全隊」の調査活動が国民の社会運動全般の監視におよんでいた事は、同「草案」に自衛軍の任務として「治安維持活動」を明記している事と無関係ではない。すでに彼らは国家権力と警察,公安と連携しその情報を世論形成(彼らは、それを、ブラックユーモアではないが“善導”と呼んでいる)や、有事における拘禁逮捕対象リストにつかうつもりだ。久間防衛相が「保全隊」に関する国会報告を拒否する理由は、ここにある。
この自衛隊の国民監視活動は、安倍自公民政権の政策の支持を実行すると言う極めて政治的な行為であり、また、憲法擁護運動を抑圧する行為は、国家公務員として重い尊重義務を負わされている日本国憲法99条を蹂躙する違法行為である。 自衛隊法は、自衛隊員の政治的活動を幾重にも制約している。
何故なら、自衛隊の政治活動は、その軍事的暴力組織を背景として容易に国民の主権を脅かすからだ。
昭和29年6月9日に制定された「自衛隊法」および同30日に成立した「自衛隊施行令」は、「特定の内閣を支持し又は反対すること」(施行令4節4項)
「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること」(同5項)を「政治的目的」と規定し、「政治的行為」を「政治的目的のために官職職権その他の公私の影響力を利用すること。その他の政治的目的を持つ何らかの行為」(1項、2項)などと規定している。
憲法に照らして、自衛隊の海外派兵と言う安倍内閣の政策が違法だとして抗議行動を行っている国民を監視し威圧したり、沖縄県名護市、辺野古の米軍基地建設について、安倍政権の政策が違法だと抗議する県民に、監視行為どころか海自軍艦で「軍事的威圧」を加えた暴挙は、(自衛隊による)憲法を蹂躙する安倍内閣と言う「特定の内閣を支持したり、政治の方向に影響を与える意図」で行っている極めて政治的な行為ではないのか??
自衛隊のかかる政治的行為は、断じて許されるものではない!!
自衛隊が、国民の基本的人権にもとずく意思表示を、抑圧する「治安組織」として動き始めているのだ!
・ 自民「新憲法草案」は、「三矢研究」と現職自衛官の[改正案]を丸写しした、軍事フアシズム国家の憲法草案だ
・ 九条改憲を許すな!! 参議院選挙で、 改憲派を一人も通すな!!
1963年「三ツ矢研究」事件の発覚により、自衛隊はその内部で、有事(戦争)を前提に、国民の基本的人権を否定し、国民を国家の戦争目的に強制的に動員する為の,あらゆる領域での対策や法整備を検討していた事実が明らかになった。
次のような項目から、国民に対する抑圧国家の姿が容易に浮かび上がってくる
「国家総動員対策の確立」のために、*業務従事の強請、*ストライキの制限、*官民研究員の利用*防衛徴収制度確立(兵籍名簿、機関の設置)、*国民世論の善導、 「国民生活の確保」のために、*衣食住の統制、*強制疎開、*非常時、民、刑事、特別法、*国家公安維持、など、資本家どもの私的利益とそれを代弁する国家が、国民の諸権利を蹂躙し軍事独裁国家の下に、国民を強制的に戦争へと動員する有り様が、目に見えるようである。
「国民世論の善導」とは、学校教育、言論界、マスメヂアに対する軍部と国家権力による統制支配であり、「非常時、民、刑、特別法」とは、治安維持法の復活であり「国家公安維持」とは、特高警察、憲兵の復活と国民のあらゆる基本的人権と権利の否定のことである。この様な、自衛隊内部に於ける軍事国家化に向かう違法な政治的作業の発覚に対し、自民政権は、自衛隊に対する何らの処分も、しなかった。その内容についても、国民の前に明らかにしなかった。
むしろその内容を、小泉政権時から安倍政権を通じて、彼らの国民支配の諸政策に積極的に取り入れてきたのだ。
1999年に始まった「有事立法」諸法と、イラク特措法を初めとする日米軍事協力関係の強化、教育基本法の改悪による国家の介入の中に確実に取り込まれてきたのである。
2004年12月、小泉政権時、自民党憲法調査会(保岡興冶会長)によって提出された自民党「憲法改正草案大綱」が、まるまる現職自衛官である、陸上幕僚監部防衛部防衛課所属の2等陸佐が作成した物であることが、マスコミによって暴露された。この自衛官の行為の不法性はむろんの事だが、自衛官の政治的行為の禁止違反、自衛官の憲法尊重義務違反を容認し、その違法作業を利用して「憲法改正草案」を作成したことは、二重に犯罪的ではないか!
しかもこの自衛官の「草案」は、「天皇の元首」化、「海外武力行使」「国民の国防の責任」「国家緊急事態規定」など、[三矢研究]に沿って日本国憲法自体を、(国民の基本的人権法から)国民の戦争動員法に換えてしまうものであった。 しかし現職自衛官の不法な介入が暴露され一旦は引っ込められたが、
2005年10月提出された自民「新憲法草案」は、「天皇の元首化」以外、「原案」と何ら変わらないのだ。
自民党執権政党と、自衛隊は、少なくとも1963年の三矢研究以来自衛隊のこの様な政治的行為を積極的に利用しあるいは利用されながら、自衛隊の軍隊としての[法的認知]と、[国民の、戦争と国家への強制動員]を、絶えず狙ってきたのだ。自衛隊の大掛かりな国民監視行為は、九条改憲によって生み出される日本の軍事警察国家化の前触れである。
安倍自公民政権は、秋の参議院選挙を勝つことが、憲法改悪を実現する上で大きな足がかりになると考えている。安倍は、国民を、国家権力が支配すべき対象としか考えていない。国民は国家のために動員するもの、戦争に強制動員すべきものと考える極右国家主義者である。陸自「情報保全部」の国民監視行為は、安倍極右政権の国民支配の理念の明確な表れである。
国家権力の国民支配を阻止し、国家への強制動員に反対し九条改憲阻止の意思を、全国民のものとしよう。参議員選挙では、改憲派に3分の1を取らせるな!
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