生存権裁判」は、安倍自民・公明政権による「いのちへの攻撃」に対する全国民の闘いだ
(1) 誰が生活保護受給家庭を増やして来たか
現在(2007年5月)、東京・神戸・北海道を始め、全国8都道府県の地方裁判所に「生活保護の老齢加算・母子加算の廃止・削減の取り消し」を求め、108人の人々が「生存権裁判」を提訴している。これは働いても尚、困窮にあえぐ日本資本主義体制の犠牲者に他ならぬ、生活保護受給世帯104万家族(1.475.838人)の人々の苦しみを代表する「いのち」の破壊への抗議行動である。
これはこの6月からの定率減税の廃止によって、住民税を上げ、新たに1兆7000億の国民負担を押し付ける安倍政権の「いのち破壊政治」と基を一つにしているのであり、全国民の戦いだ。
安倍自民・公明政権が進める生活保護受給者の「窓口抑制政策」のモデルだったと言う、北九州市において、06年、受給資格者である56歳男性を2度にわたって追い返し、餓死に至らしめた事件と同様の行政による「受給制限」と言う、非人道的な棄民政策は、その後、北海道を始め各地で明らかとなった。
(モデル県)北九州市では、05年に65歳以上の老人の孤独死が200人にのぼっていた。市の棄民政策との関連が問われている。「生活保護制度」は、憲法25条の規定する国民が等しく有する生存権に基づく「生活保護法」によって、国家に義務付けた国民の基本的人権保障である。
厚生労働省は今まで一貫して、「三位一体」(国庫支出の削減・地方交付税の見直し・税源の地方への譲渡)税制の名の下に、地方よりも国家の負担率の大きい(現行四分の三)保護費の削減を狙い、地方行政の負担率の増大を主張し、行政窓口では受給資格者を追い返す行政指導を行ってきた。
日本の資本家は、小泉政権下で始まり、安倍政権が引き継ぐ形で進められてきた「民活導入・規制緩和(労働法も含む)」によって労働者の大量首切りを無制限に行い、労働法制の改悪による労働者派遣法によって、働くものの人権と労働条件を蹂躙し、1600万人の非正規労働者を生み出してきた。
我が国の失業率が、2002年の5.4%をピークに、2007年3月に4.1%と減少したと言うが、(平成19年3月・総務省統計局労働力調査)この非正規労働者数は、日本の労働人口(役員を含まない)4948万人の内、実に32%であり、彼らは「人貸し業」(派遣会社)と「偽装労働や社会保険逃れで、労働者を食い物にするトヨタを始めとする大企業」という二重の収奪と搾取によって生活苦にあえいでいる。
彼らの22%が年収150万円以下(生活保護水準)に置かれ、失業した労働者や生活保護所帯とさして変わらぬ生活を強いられている。今や日本の労働者階級は職を得たとしても必ずしも、それが労働力の再生すら十分には保障するものではないという悲惨な状況に追い込まれているのだ。「労働者の4人に1人がワーキングプアである」(門倉貴志“ワーキングプア”宝島新書)と門倉氏は指摘する。
日本の生活保護世帯の増大と彼らによる「生存権裁判」は、このような日本の労働者階級の置かれた現実の反映に他ならない。
(2) 削り取られた支給費を更に削ろうとする国家は「生活保護制度」の破壊を狙っている
日本の生活保護受給世帯は「失業率の減少」にもかかわらず、この10年間(平成7年〜17年)に60万世帯から104万世帯に増大した。人口1000人に対する生活保護受給者数の割合(受給率)が、7.0%から11.6%に増大している。(北海道・関西・北九州の受給率が特に高い)
生活保護世帯は、企業のリストラによって首を切られ、まともな退職金も貰えず、年金も掛ける事も出来なかった人々や働く意欲があっても職につけない老齢者、病気になっても働けず医療費も払えぬ労働者、昼夜時給700円前後で、非正規のかけもち労働で酷使されても子供の教育費すら稼げない母子家庭。そして、、日本の企業と社会から今も就職差別や貧窮の世襲の下で苦しむ永住権を持つ在日朝鮮人等からなっている。
04年までは、生活保護受給者の内、70歳以上の高齢者に対しては「吸収の良い食事と健康の為の出費」として月額17930円(兵庫県神戸市の例)程度の老齢加算が支給されていたが、07年度3760円に削減、08年度には全廃すると言うのだ。
同様に15歳以下の子供を持つ一人親世帯(母子家庭)に対し、子供一人現行2万円の母子加算を1万円に削減、08年には廃止すると言うのである。従来あった16歳〜18歳の子供に対する母子加算はすでに廃止されてしまった。
安倍自民・公明政権は2006年11月財務省の諮問機関・財政制度等審議会に「一般母子家庭の家計水準が12万である。生活保護受給家庭は加算を合わせれば14万円となり不公平である」と答申させた。一般母子家庭における12万円と言う生計費そのものが母と子の生存維持と子供たちの教育権の保障にとって危機的な数字であることは安倍や自民・公明議員が自ら実際にその額で生計を立てれば即、分かる話であろう。
家賃と食事代を支払えば、何円残るのだ!!NHKの2月〜3月放映の「ワーキングプア」シリーズでは、食事を一日一回に切り詰めている国民の悲惨な姿を捉えていた。受給者の14万円が12万円と比べて不公平感があると言うなら、12万円で生計を立てる一般母子家庭に対してこそ救済する責任が国家にあるのではないのか!!
(3) 日本国憲法が規定する弱者保護と生存権の理念を破壊しようとする安倍政権
大企業と金持ち優遇税制によって巨大な脱税を認め、更には常習的侵略国アメリカの軍事基地予算に国民の血税を垂れ流しておきながら、「増え続ける福祉予算の財源がない」と生活保護制度の財源を、こともあろうに当の生活保護所帯の家計の更なる負担の中に求める事を臆面も無く強行しようとしているのである。
これはもはや、国家による犯罪行為ではないのか!!日本国憲法はその理念において、たとえ資本主義体制の下であっても平和と福祉・基本的人権を国民主権の下で擁護する義務を国家に負わせているのだ。
ここから国家の財政を支える税金は、働く国民の労働力を安く買い上げ、その「余剰労働」を掠め取ることによって、膨大な私的利益を上げている資本家や企業、株取引で利益を出している金持ちなど負担能力のある者から取り上げ、一方で資本家どもによってコスト犠牲となり、その労働力が生み出す正当な価値以下に買い叩かれた賃金で貧窮に追いやられている社会的弱者の為に、その税を用い、配分しなければならないのである。
法の下の平等・個人の尊重・生存権等は、その事を規定しているのだ。その一方で、社会的弱者に福祉財源を求めるなどこの国の支配者どもは悪代官よりも悪辣である。国家権力が日本国民に対して守るべき義務を規定した諸条項を彼らは蹂躙しているのだ。
2007年4月より始まった「リバーズモーゲージ制度」と言う生活保護制度そのものを解体せんとする政策を含め、国家による生活保護受給者への更なる負担増は、断じて許されるものではない。
(4) 全ての国民は、受給者を「なまけ者」扱いする安倍自民・公明政権にあらゆる手段によって抗議の声を上げなければならない
国家は、その大企業減税によって未曾有の私的利益を横取りしている大企業と資本家階級どもの責任において、弱者の人間的な生活を保障する義務があるのだ。すでに2002年〜2006年の5年間(小泉政権)に社会保障関係費の削除を更に推し進め、2007年度予算から2011年の5年間で毎年、年間2200億円を削り、1兆6000億(地方+国)に抑制すると公言している。
税制調査会や財政諮問会議等、国家の各種諮問会議は異口同音に“生活保護受給が国民の経済的自立の障害となっている”と、この国家による弱者への公的扶助を攻撃し、国家財政の累積赤字の原因と攻撃するのだ。
資本家と国家による収奪によって、貧窮にあえぐ国民を泥棒や怠け者扱いし、攻撃するとは何事だ!!07年4月25日、安倍首相が座長を務める経済財政諮問会議で、あの偽装請負労働の張本人である日経連会長の御手洗氏(キャノン社長)は、「社会保障関係費を更に切り詰めろ!目標を達成せよ!」と自らの社会的犯罪を省みる事なく非人間的発言を行った。
この資本家階級の代表者は、自分たちの法人税を1984年度の43.3%の税率から今日、30%まで減税を受け、他の優遇税制と共に未曾有の私的利益を享受し、働く国民に対しては劣悪な労働条件を押し付けている事を省みる事はない。彼らに対し、課税を元に戻すだけでも年間5兆円以上が徴収出来るだ。
彼らは5兆円の合法的脱税者である。資本家階級と安倍自民・公明政権はこの「脱税行為」の尻拭いを彼らの犠牲者である働く国民と社会的弱者や老齢者にさせようとしているのである。これらは日本国憲法の全ての理念と規定に対する犯罪行為以外の何ものでもない。
国民はこの“生存権裁判”を自らの問題として支援し、安倍自民・公明政権に対する抗議の声をあらゆる地域、あらゆる職場で上げなければならない。彼ら安倍自民・公明政権と資本家階級を、日本国憲法に対する重大な犯罪人として民衆の裁判によって極刑に処する事が求められている。
安倍首相の言う「戦後レジューム」とは、日本国憲法が規定する国民主権と平和・福祉・基本的人権を言うが、彼はこの体制を破壊すると公言しているのだ。安倍自民・公明政権を打倒しなければならない!!
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