(朝鮮民主主義人民共和国 労働新聞 2008年9月19日)
http://www.kcna.co.jp/today-rodong/rodong.htm(19日・6面)
(麻生太郎の)《海外軍事作戦拡大を狙った、海上交通路<安全確保>論》
〇 麻生太郎を始めとする日本軍国主義者らが主張している、《自衛隊》による《日本船護送》は、《テロ特措法》の2009年1月期限切れを前に、自衛隊の継続的な海外軍事行動を合法化し、その作戦範囲を世界的規模に拡大し、日帝の海外再侵略の砲門を開くものである。
〇 《テロ特措法》は、海上自衛隊の武力が、日本軍国主義の象徴である日の丸を掲げながら、太平洋とインド洋で軍事作戦を繰り広げる事が出来る様にした。
〇 日本は、《平和憲法》の法的制約を破り、戦争武力、戦争参加、侵略的軍事行動に公然と乗り出している。
〇 麻生の《海上交通路安全確保》論は、《テロ特措法》を乗り越え、再侵略を狙う《自衛隊》の世界的展開を意図するものだ。
〇 日帝は《自衛隊》を、単なる米帝の《反テロ戦》のお使い軍としてではなく、日本帝国主義の独自的シナリオに位置付けている。
〇 日本と世界の人民は、高い覚醒を持って、日本軍国主義勢力の海外侵略策動を阻止するため積極的に闘わなければならない。
(本文から要約 訳注)
日本軍国主義者らが、《自衛隊》武力による海上交通路《安全確保》論を持ち出して世界の警戒心を掻き立てている。少し前、日本自民党幹事長・麻生は、《テロ対策特別措置法改正案》と関連して、国会衆議院で再可決による成立を前提としないと言いながら、そう言う場合、給油活動以外の《貢献》策として転換する問題を検討するだろうと力説した。彼はその対策案として、《自衛隊》が原油を輸送する日本船を《護送》する方法などを選ぶことが出来ると語った。
麻生の発言は、《テロ対策特別措置法改正案》が国会で通過されないで、その様にインド洋で《自衛隊》の軍事活動が中止される場合、《日本船護送》の為、海上武力を派遣しなければならないと言うものだ。《自衛隊》の攻勢的な海外軍事作戦強化を狙った、冒険的な策動の発露である
国連海洋法協約は、公海の平和的利用とあらゆる国の船の航行保障を規定している。公海は、どの個別的国々の統制下に置くことは出来ないのであり、世界のあらゆる国々がそれに対する共同の利用権を持つ。万一、どの個別的な国が国際的に公認された海路利用に関する原則を破って、それに対する統制権を掌握しようと試みたら、世界は手の付けられない混乱に落ち込み、軍事的衝突を免れない事となるのだ。だから、国連海洋法協約は海上交通路に対する個別的国々の統制権掌握を許容していないし、特にそれと関連して軍事行動を構えることを徹底して禁止している。
日本軍国主義者らは、国連海洋法協約は眼中になく、自分達の従順でない企図から《日本船護送》の口実の下に《自衛隊》武力を派遣し、海上交通路に対する統制権を掌握しようとしている。これは、世界のあらゆる国々の航行の自由に対する権利を侵害し、紛争を助長しようとする行為である。
日本は、法的に、戦争武力を持つことは出来ない事となっているだけでなく、戦争に参加することが禁止されている。日本が《自国の船護送》のために武力を派遣することは、《平和憲法》の条項をむやみやたらに捨てて省みない侵略的軍事行動に乗り出す事と同じだ。
日本軍国主義者達が、《日本船護送》のために《自衛隊》武力を出動させようとするのは、海上交通路に対する軍事的統制権を掌握して、他の国々の航路利用を制約しようとするものだ。これは、本質にあって太平洋とインド洋の海上交通路に対する統制権を握り、専横と独断を弄しようとするものだ。
太平洋とインド洋は、数多い船が往来する戦略的海上交通路だ。世界的に諸国間の貿易関係が活発となって、商品輸送が増えている今日、海上交通路は非常に重要な地位を占めている。ことに、中東地域で生産される多い量の原油がこの航路を通っていろんな国々に輸送されている。この様な国際海上交通路に、日本が武力を派遣し統制権を行使しようとする事は他の国々の利権侵害を前提としたものとして、武力衝突の可能性が大きい。日本軍国主義者らは間違いなくこれを狙っている。
それらは、《日本船護送》の名目の下に《自衛隊》武力を太平洋とインド洋に派遣し、情勢を緊張させる方法として、《自衛隊》の攻勢的な海外軍事作戦を強行しようとしている。この様になれば、日本《自衛隊》は《国連平和維持活動》の枠から抜け出て、独自的な軍事行動を繰り広げることが出来る事となる。
海上交通路掌握は、海外侵略を夢見る日本軍国主義者らが、最も重視する問題の一つである。
日本は島国である。日本は空中と海を経由しないでは、一歩も海外へ乗り出すことが出来ない事となっている。
ここから、日本軍国主義者らは侵略武力の増強で、海上武力と空中武力強化に先次的な力を入れながら、海上交通路掌握の為のいろんな計画を組んでおいて、その実現のためにいろんな種類の策動を尽してきた。
その主要内容の一つが《海上交通路防衛》線の設定だ。日本軍国主義者達は1970年に《自衛隊》の活動範囲を《1,000nmile海上交通路防衛》に拡大したが、1995年にきて新しい《防衛計画大綱》を発表し、それをオーストラリアとマラッカ海峡を包括する《2000nmile海上交通路防衛》に拡大した。日本軍国主義者らが《2000nmile海上交通路防衛》を設定した目的は、《自衛隊》の海外進出の門をさっさと開いて軍事作戦を世界的範囲にも拡大すると言うことにあった。
日本軍国主義者らが、そのどんな《平和貢献》の口実の下に《国連平和維持活動協力法》を操作して、《自衛隊》の海外派遣を法的に許容した事は、海上交通路に対する統制権を掌握して行使するためにした措置だと見ることが出来る。
その後、日本軍国主義者らは《テロ対策特別措置法》を操作して《自衛隊》をインド洋地域に派遣し、紛争地域で軍事作戦行動を広げることが出来る様にした。
《テロ対策特別措置法》採択は、《自衛隊》をして太平洋とインド洋地域の《海上交通路防衛》水域に対する武力行使をする事が出来る前提条件を準備する為の根拠を操作したのだと言うことが出来る。この《法》の採択を通して日本海上《自衛隊》の艦船武力が、堂々と軍国主義の象徴である日の丸を掲げながら太平洋とインド洋地域を、思うままに走り回り、公開的な軍事作戦を繰り広げることが出来るようにした。
日本反動らは、太平洋とインド洋地域での軍事活動を、《テロ対策特別措置法》履行にだけ局限させようとしていない。
即ち、彼等は、日本水域からインド洋に至る広い海上で、米国の侵略的《反テロ戦》の(米帝の)‘お使い’軍(子供のお使いの意-訳注)としてではなく、再侵略のシナリオに従って、自分の思うがままに、独自的な軍事行動を繰り広げることが出来る道を開いて置こうとしている。それが即ち、《日本船護送》の為の海上交通路《安全確保》である。
この構想が実現されれば、日本《自衛隊》の武力は太平洋とインド洋で、思うままに(周囲を)動き回る事となるだけではなく、《自国船の安全保障》と言う口実を突きつけて、他の国々に対する攻撃的な軍事行動を取ることが出来る事となるのだ。
日本軍国主義者達が、《日本船護送》の為の海上交通路《安全確保》論を取り出すのは、《テロ対策特別措置法》の期限満了に、《自衛隊》の海外軍事作戦の名分が消えることと関連される。
それらは《テロ対策特別措置法》期限が満了する事と関連して単純に其の期日を延長することだけに留まらず、《自衛隊》の軍事作戦の範囲を際限なく拡大しようと、しぶとさを発揮している。
今、日本《自衛隊》の《反テロ戦》加担は、内外の強力な反発を買っている。世界は、戦犯国である日本が、武力を海外軍事作戦に動員するのは平和の破壊、侵略的な軍事行動として強力に糾弾している。
日本国内でも、人民達の抗議と糾弾の声が高まっているが、政界でもこの問題をめぐって派閥間の対立と論争が熾烈だ。現時点では、インド洋での海上《自衛隊》の軍事作戦を、例年1月の期限満了後にも継続されることとする《テロ対策特別措置法改正案》が、国会で通過される可能性は、大きくない。
こんな条件で日本軍国主義者らは、《自衛隊》武力の継続的な海外軍事作戦と、特にインド洋進出のための名分を《日本船護送》で見つけようとしている。
日本は、自国で消費される原油の90%以上を輸入に依存している。即ち、日本は原油消費量の大部分を,海上輸送を通して他の国々から持ってきている。
海上交通路が閉ざされることになれば、日本経済は一朝一夕に止まることになっている。これをはぐらかして、日本軍国主義者らは、国会で《テロ対策特別措置法改正案》が通過される事が出来なかったとしても、《日本船護送》と言う看板の下に、太平洋とインド洋で《自衛隊》の軍事活動を合法化して前に進み、独自的な軍事行動を繰り広げる事が出来るようにさせようとしている。
日本軍国主義者達は、《反テロ法》参加とは別に、日本船の《安全な航海保障》のために太平洋とインド洋地域に《自衛隊》武力を派遣しなければならないと言えば、日本政界の反対派勢力は無論、大多数の国民達から支持を受けることが出来ると打算している。
海外侵略のために、しぶとさを発揮する日本軍国主義者達の危険な侵略思想の発現である。
日本反動たちが提唱する《日本船護送》のための海上交通路《安全確保》論には、アジアの国々に対する経済的支配と略奪を強化しようとする、日本の陰険な下心も込められている。アジアは、資源が豊富で経済発展の展望が大きい地域として注目されている。今世界的に、アジアほど経済が早く発展する地域はない。それ位アジアは、世界経済発展で中枢的役割を果たしている。アジアは、世界経済の中心に成って行っている。ここから、世界の多くの国々が視線を向け、競争的にこの地域に進出している。
新しい世紀に入ってきて、アジアを掴まえるための大国間の角逐戦が熾烈に繰り広げられている。アフガニスタン戦争とイラク戦争、中央アジアとイランの複雑な情勢などは、すべて、この地域の経済的利権を争奪する為の米国など、西側列強の野望から生み出された物である。
ここで日本は、やはり、後席を占め様と思わない。日本が《反テロ戦支援》の名目の下に、インド洋地域に《自衛隊》武力を派遣したことは、純粋に米軍のお使い軍の役割をして、彼等を下支えしてやる為ではない。
日本軍国主義者達は、インド洋地域での《自衛隊》の軍事活動強化を通して、経済的利権を更に多く、お膳立てしようと陰険な俗心を追求している。‘雉も食べ、卵も食べる(一挙両得)’と言う式で、日本軍国主義者達は、米国を助けて《平和維持作戦》に参加する形式で、《自衛隊》の軍事作戦範囲を世界的規模へと拡大し、異なる一方では、資源が豊かな中東地域とその他の地域に対する統制権を掌握しようとしている。
日本反動等が提唱する、《日本船護送》の為の海上交通路《安全確保》論は、限界線を通り越している日本軍国主義者らの、再侵略策動の危険性をそのまま見せて呉れている。
所謂、《平和保障》と言う見掛け倒しの看板を掲げ、再侵略の野望を実現しようと策動して来た日本軍国主義者達は、今では、《自衛隊》の独自的な海外軍事活動を合法化して、それらを通して海外侵略の砲門を開こうと、手段と方法を尽くしている。かれらは、再侵略の為ならそのどんな行為も、躊躇せず行おうとしている。
日本に警戒の目じりを向けて、その海外侵略策動を徹底的に砕いてしまうことは、アジアの平和と安全、世界平和のために乗り出す重要な問題である。
我が人民は、更に露骨化されている日本軍国主義者達の、再侵略策動に警覚性(戒め覚醒を持つこと)を高め、そのどんな僅かな軍事的挑発策動も徹底して粉砕してしまうのだ。自主、平和を指向する世界人民達は、高い覚醒を持って日本軍国主義勢力の海外侵略策動を阻止破綻させる為に、積極的に闘争しなければならないであろう。(終)
〈訳 柴野貞夫〉
|