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(韓国 ハンギョレ紙 2009年1月13日付 国際記事)

http://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/333095.html

 

 

 

世界の非難に耳をかさないイスラエル、“我々だけが正しい”と。

 

 

パレスチナ占領政策の反省無く、正当性だけ強調。言論統制で世論を作り、国民の90%戦争賛成へ。

 

 

ファン・ボヨン記者

 

 

 

 

△イスラエル軍のガザ地区攻撃が継続された13日、ガザシティー都心にイスラエル軍が発射したロケット攻撃などで、閃光と煙が夜の空を覆っている。(この閃光は、化学兵器白燐弾だと言われている)ガザシティー/AP ヨンハップニュース

 

 

 

去る8日、国連安全保障理事会が、イスラエルのガザ侵攻の休戦決議案を採択する、わずか何10分か前、エフートゥ・オルメイル、イスラエル総理が、ジョージ・ブッシュ米国大統領に慌てて電話を掛けた。

 

 

フィアデルフィアで盛んに演説をしたブッシュは、電話を受けるのが困難な状況であったが、オルメルトは、“今すぐに伝える話”だと、電話をつなぐ事を催促した。結局ブッシュは、演説の中間に壇上を降りてきた。オルメルトは、“米国が決議案に賛成票を投じないように、コントルリジャ・ライス国務長官に直接指示しなさい”と注文した。

 

 

オルメルトは12日、イスラエル南部アシュケルロンで演説しながら当時の状況を伝えて、自身とイスラエルの‘力’を誇示した。彼は、“ライスが(大統領の棄権指示に)大変当惑した。”と言ったりしたとAP通信が伝えた。

 

 

900名を越えるパレスチナ人たちの生命を奪い取るイスラエルのガザ侵攻を、非難する国際社会の声が高まっているが、イスラエルは、目と耳を塞いだまま強硬な態度で侵攻の正当性だけ言いまくっている。

 

 

<ニューヨークタイムス>は、13日、“イスラエル人たちは、‘他の国々はみんな間違っており、イスラエルだけ正しい’と本当に信じている。”とし、“イスラエル社会の内部には、ガザ侵攻を批判する声がほとんど出る事は無い。”と伝えた。経済紙<カルカリストゥ>の編集長ヨーエル・イステロンは、“我々の都市がすぐる8年間(ハマスの)ロケット攻撃を受けた”とし、“イスラエル人のほとんど100%は(ガザ侵攻に反対する)世界の人びとが偽善的だと考える”と語った。

 

ハマスのロケット攻撃を生み出す、イスラエルのガザ地区封鎖と40年を過ぎるように継続された、パレスチナの占領政策に対する反省を見出す事はできない。反戦示威が全世界で連日継続されているが、イスラエルでは、戦争支持者達の脅威の中、やっとの事で、1000名が集まった反戦示威がただ一度開かれただけだ。

 

 

<ニューヨークタイムス>は、イスラエル世論調査で、全体の国民の90%ぐらいが、ガザ侵攻を積極支持していると伝えた。イスラエル軍は、ハマスの最高指導者、ニジャル・ライアンを‘除去’する過程で、彼の妻4名と子供たち9名まで殺害したが、これを問題と見なすイスラエル人たちは、ほとんど無いと新聞は伝えた。イスラエルの平和運動家、ヤネッツ・アビアドゥは、“2006年レバノン戦争などが広がった時は(戦争を憂慮する)徹夜祈祷や、反戦示威などがあったが、今回は大部分のイスラエル人たちが、ハマスの暴力行為に対する憤怒にだけ集中している。”と語った。

 

 

徹底した言論統制も、侵攻支持世論を助ける要因だ。イスラエル人たちは、主に、ハマスのロケット砲攻撃でイスラエル兵士達がどれだけひどい負傷を負っているのかに対する、ニュースだけを接している。反面、国際赤十字社委員会などが指摘する、パレスチナ民間人に対するイスラエル軍の戦争犯罪などは、言論で無視されるのが常だ。人権団体などは、12日声明を出し、“イスラエルの言論らがイスラエル軍に対する批評を抑制している。”とし、“不幸にも、イスラエル軍が繰り広げた行為の正当性に対する論戦が全く無い”と非難した。

 

 

イスラエルの日刊<ハレーツ>は、12日、一人の動員予備軍がガザ地区作戦の投入を拒否して、刑務所に収監されたと伝えた。この予備軍はパレスチナ民間人死亡者が数百名に達したことに抗議し、作戦に出ることが出来ないと、明らかにした。イスラエル軍は、2週間の拘留処分を下した。

(訳 柴野貞夫)

 

 

 

<解説>

 

 

 

去る12月9日、国連人権理事会・人権問題特別報告官は、ガザ地区封鎖が,深刻な人権侵害を生んで来たとし、イスラエル指導者を国際刑事裁判所(ICC)に告発、訴追すべきと声明を出した。そこで「イスラエルはガザを封鎖、極限られた量の食料や燃料の移送しか認めず、飢餓と伝染病が拡大されている。ガザ住民は、「人類に対する犯罪に匹敵する(イスラエルの)政策」の下で、「集団懲罰をうけている」とし、イスラエルを戦争犯罪人として裁くべきだと主張したのだ。

 

 

 

 

△パレスチナ・ガザシティーの難民キャンプで、12日、一家族が食事準備をしている。イスラエル軍のガザ侵攻以後、避難した親戚達を含む21名が、二軒のバラックに住んでいて、マットレスが不足し帰って寝る。燃料も不足し、家周辺で拾った箱や紙などを燃やし、料理をする。 (ガザ/AP ヨンハップ)

 

 

 

特に、2,008年11月から始まったガザ地区に通じる道路の全面封鎖は、国連の75万人のパレスチナ難民への食料支給を90%途絶し、鶏肉などの蛋白源は枯渇、ガス、ディーゼル油も必要量の90%が不足、唯一の輸送手段である地下トンネルまで空爆で破壊されている。イスラエルに、ハマスのロケット攻撃を非難し、ガザ侵略を正当化する根拠は爪の垢ほども無いのである。

 

 

(柴野貞夫時事問題研究会)