(韓国・オーマイニュース 2009年4月10日付)
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001107382&PAGE_CD=16
[海外リポート] ‘自由社版歴史教科書’
日本の右翼教科書(検定)を出したのは‘品の無い’二つの出版社
パク・チョルヒョン
4月9日、日本文部科学省の教科書審議検定を通過した、いわゆる、自由社版右翼教科書‘中学歴史教科書’が、韓国で話題となっている。ところが、日本の言論等は、過去2005年の‘新しい歴史教科書’出刊当時とは、比較にもならないくらいに短い記事で取り扱っている。
言論だけがそうなのではない。‘子供と教科書全国ネットワーク21’など、代表的な市民団体なども、過去二回わたる反対運動に比べ静かな雰囲気だ。去る5日には、北韓の自称‘衛星’発射もあったので、かなり話題の種となるぐらいの材料であることにも、こんな‘下品な奴等’の取り扱いに対する場合には、幾つかの理由があるのだ。
日本言論が‘自由社版・右翼教科書’に注目しない理由
まず、新しい歴史教科書を作る会(以下、‘新歴会’)の内部分裂だ。韓国では、きちんと報道された事が無いが、去る2005年以後‘新歴会’は、出版社だった扶桑社(フジサンケイグループ傘下)と、版権と著作権問題をめぐって相当な内紛を経験した。
当時扶桑社は、教科書採択を、このわずか0.39%にとどまるや、その要因として“教科書の内容が極めて右翼的だ。少し軟らかく変える必要がある。”と意見を提示したが、受け入れられなかった。結局、約1年間の綱引きの終わりに、2007年2月26日、扶桑社は“‘新歴会’との関係を絶つ”と言う内容証明の通知文を発送した。
その後、扶桑社は自分達が100%出資した‘育鵬社’と言う教育書籍専門出版社を作り、代表理事に扶桑社の片桐ますき社長を座らせた。当時資本金は3億円で、新規出版社としては、相当な巨額を投入したのである。以後、片桐社長は“新しい教科書書籍を出版すること”だと、公式的に明らかにした。
育鵬社が公式的に看板を掲げるや否や、‘新歴会’の若干の者達も‘路線の違い’を理由に、新しい団体‘教科書改善の会’(正式名称‘改定教育基本法を基盤とする教科書改善を推進する有識者の会’、以下‘教改会’)を作り、“我々が作る新しい教科書は、育鵬社で発刊する”と発表した。
[1番目] 扶桑社―新歴会の決別、 新歴会の内部分裂
こんな扶桑社の‘絶縁’通知文と以後の行跡に対し、‘新歴会’の某人士は、当時、記者とあった場所で“賊反苛杖(盗人猛々しい)にも程がある。作った人達の意思と決して関係なく、一方的に関係を絶って、また新しい出版社を通し、我々が掘り起こした業績を横取りすると言う事は、常識的に話しにならない。”として、法的処置を取るつもりだと言ったりした。
そして、新歴会(新しい歴史教科書を作る会)は、約4ヶ月が過ぎた6月21日、一致団結を命として考える日本の右翼としては、異例的に、“10年に及んで、我々と関係を結んで来た扶桑社の行為は、信義を裏切ったものとして、著作権法違反訴訟を出す”と公式的に明らかにした。
これにより、扶桑社が2005年に出した‘新しい歴史教科書’は、著作権の効力が終る2010年3月以後からは、販売中止となる。
扶桑社は、こんな状況を予想して、すばやく新しい出版社を設立、新歴会の中枢的人物であった八木秀次(47、日本教育再生機構 理事長)が中心にいる教改会を引っ張っていったのだ。
新歴会によれば、“(同じフジサンケイグループの<フジテレビ>の稗田久会長は、‘金は幾らかかっても関係ないので(新歴会と関係なく)新しくまた作れ’と言う指示を出した。”とし、フジサンケイグループの教科書に対する執念がどれだけ甚だしいか、覗う事ができる。
[2番目] 自由社は、社会主義系列の小規模な‘品のない’出版社
今回の‘新歴会’歴史教科書が、注目を受けない二番目の理由は、出版社にある。
自由社’は、扶桑社の相手となる事が出来ない程度に小さい出版社だ。企業らの売り上げ買い上げを一目瞭然に整理しておく<帝国データバンク>に依れば、自由社の2006年の売上高は、2千5百万円に過ぎない。日本出版業業種に登録されている2691社中、2445位に他ならない小規模出版社である事。
また、法的な問題もある。日本の‘義務教育制 学校教科書図書の無償に関する法律’に依れば、“教科書編纂にだけ、没頭する事が出来る編集者が5人以上常駐する事”を条件として付けておいている。
しかし、‘東京商工リサーチ’に登録された自由社の、最新企業情報を見ると、正規社員はわずか2名だけだ。正式職員でないアルバイトを、動員して作業したり、‘新歴会’の人士等が常駐しながら作業をした場合、法を破る事になる。
しかし、何よりも、保守人士達の神経に触ることとなったのは、自由社の理念的色彩のためだ。自由社の代表理事である石原鵬萠記(87)は、理念的に社会主義者として分類され、去る1979年から1993年まで、駐日韓国大使館の広報雑誌<韓国文化>を発刊するなど代表的な親韓、親中、親露人士だ。
彼は、自由社が発行した長期刊行物<自由>(2,008年2月廃刊)を通して、何回か“太平洋戦争の責任は、天皇にある”“最近日本は、狂っている”などの、左派的表現を言ってきた事は無論、独島を‘竹島’ではない‘独島’だと、表記するなど‘新歴会’の理念とは全く異なる立場を見せてきた。
それゆえ、“自由社が、果たして新歴会の新しい歴史教科書を発行する資格があるのか”と言う論争が絶えていない。
[3番目] 本物の日本右翼教科書は、2013年に出る育鵬社版
最後の理由として、今回検定版が2年制の時限付きの命だと言う点だ。
文部科学省は去る3月28日、‘新学習指導要領’(以下‘指導要領’)を発表したがこれに依れば、中学校の場合2012年から新しい学習要領が施行される。即ち、四年に一回ある既存の教科書検定制度が、今年実施されて通過されても、2010−2011年まで2年間だけ使用されると言うことだ。
今回検定申請に、育鵬社など他の既存の出版社らが申請をしなかった理由が、即ちここにある。結局、‘新歴会’の、今回‘自由社’版教科書はやはり、採択を願って申請した物ではなく、組織の健在ぶりを誇示し、検定通過の基準を再確認して見ようと言うことに過ぎないと言うことだ。
教育問題評論家、秋原修一は、記者との通話で次のように指摘した。
2012年に新学習指導要領が発表され終わった後にある、2013年教科書検定を、注視しなければならない。自由社が果たしてどれほど支えるか疑問だが、新歴会自体があまりにも硬い組織だから、2013年にも教科書を出すだろう。育鵬社も無論、新しい教科書を出版するだろう。結局、保守右翼的な<大東亜共栄圏肯定史観>に従う新歴会の教科書が、2種類出ると言うことだ。
普通、8〜9箇所の出版社が申請をするが、比率上20〜25%程度となる計算だ。採択率も当然高くなる他はない。”
日本の教科書歪曲に、思い通りに対応しようとすれば、2013年に備えた長期プランが必要だと言う話に注目する必要がある。 (訳 柴野貞夫 2009年4月17日)
|