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(韓国週刊誌ハンギョレ21 2010312日付)


        ‘チョウセンジンには、教育費の支援が勿体ないのか



日本高校授業料の無償化政策で、朝鮮学校は除外の動き・・国連差別撤廃協約違反にも拘らず

日本で、いわゆる高校無償化政策は、すべての子供の平等な学習権の保障と言う教育理念を旗幟(きし)に掲げた鳩山政権の核心公約として、国籍に関わりなく、国公立・私立学校に通う高校生を持つ家庭に、授業料を全額或いは一部支援すると言う内容だ。朝鮮学校に通う場合、年間約120万ウオンの支援金を受けることができる。朝鮮学校の学父兄たちは、学費が軽減されると言うこのニュースを歓迎しながらも、絶えず朝鮮学校を差別してきた日本政府が果たして今回の政策を現実化するのか、疑いをふるい落とすことは出来なかった。朝鮮学校は私立学校と異なり、政府補助金を受け取ることが出来ないのだ。他の外国人学校と異なり、学校寄付金に対する税制の恩恵も適用されない差別を受けてきた。学校運営に必要な財政をほとんど学父兄に依存してきたし、教師たちは月給を受け取らなかったこともあった。朝鮮人に、同化を強要する日本の姿勢は、植民地時代でも、今でも、変わることはない。

極右団体の襲撃に続いて、日本の閣僚が足払いをかける

いや、違うのでは?去る220日、中井洽(ひろし)国家公安委員長兼拉致問題担当相が、来る4月から施行する教育無償化法案で、朝鮮学校は除外しなければならないとブレーキを掛け、問題が始まった。

要するに、日本人拉致問題がまだ解決されなかったし、朝鮮学校は北韓の学校だと言う主張なのだ。これに対し日本の言論は、連日事実の報道とともに憂慮と批判の声を伝えている。
まず、外交問題を理由に子供の学習権を意のままにする事が道理にかなっているかと言う、国際法に基づく批判だ。
同様に、朝鮮学校は、即ち北韓の学校と言う等式化は、朝鮮学校の現実をよく知らないことに由来する。ある日刊紙は社説を通して、中井拉致問題担当相と川端達夫文部科学相に、朝鮮学校視察を勧めることもした。
我々に対する日本の差別意識は一つも変わるところはない。国連でも今回の事を、明白な人権侵害だと言った。大きな力だ。右翼の襲撃と日本政府の差別に対して学校を守る為に戦うつもりだ。日本が過去、わが民族に犯した罪を考えても、そしてこんな時代を、後の子孫に残すことは出来ないのではないか。最近、日本の極右団体の相次ぐ朝鮮学校襲撃事件と、今回の高校無償化法案事態を眺める,ある在日朝鮮人の学父兄の悲壮な信条だ
朝鮮学校の受難と矜持(きょうじ)の歴史は、1945年の解放と共に自発的に生まれ出た約600ヶ所の朝鮮人学校から始まる。

解放を迎えた朝鮮人達は、故郷に帰るという期待の中で、その間に奪われた我が言葉と歴史、文化を、子供たちに取り戻してやることが急務だと考えた。南と北の区分の様なものは無かった。これに日本政府は、朝鮮人子女も日本の学校に通い日本式の義務教育を受けなければならないと対立した。そして、1948阪神教育闘争が起こった。朝鮮人学校をすべて閉鎖せよと言う命令に、数万名の同胞が激烈に抵抗した朝鮮学校弾圧の象徴的事件だ。この渦中にキム・テイルという16歳の少年が、日本警察の銃に当たり死ぬ悲劇が生まれたりした。
以後、南北分断の民族的不幸は、在日朝鮮人社会を動揺させた。韓国軍事独裁政権は、彼らが必ず日本人に帰化すると見て、棄民政策を広げた。(一方)北側は(彼らに)援助金を送った。朝鮮学校が北側の影響を受けて思想教育を強調した時期もあった。しかし、今の朝鮮学校には、韓国籍を含む多様な国籍の学生が通っている。我々が会う、私たちの言葉(ウリマル)を使う事が出来る在日同胞は、大部分、朝鮮学校を出た人々だ。

私たちの言葉(ウリマル)を話す在日同胞は、ほとんどが朝鮮学校出身だ

朝鮮学校は、相変わらず、美容学院や自動車学校と同じ各種学校として分類され差別的取扱いを受けているが、日本政府が定めた学習指導要領に合わせ授業カリキュラムを組み、学校認可を決定する各地方自治団体にカリキュラムなど関連情報が公開されている。同様に、日本の国公立大学の大部分が、朝鮮高級学校卒業生の入学を認定している。
民族的差別と下層民としての生活苦に苦しみながら、子供だけは堂々とした朝鮮人として教育しなければならないと言う、同胞たちの強い信念と教育熱が、今の朝鮮学校を生み出した。朝鮮学校に通うことは、学習という一次的教育の次元を超え、いまも、過去植民主義の歴史清算を嫌う日本の土地で、民族の矜持を守り、ひとりの人間としての尊厳を守るための奮闘に違いない。
最近、北日関係が、学校に通う子供たちに影響を与えていると聞いた。外交関係が、学生達に影響を与えるのは駄目だ。”“朝鮮学校に対する差別的暴言と暴力が起きている。日本政府は、どんな処罰をしているのか?
記者は、日本で朝鮮学校を取り巻く論難が突き出た、さる224日〜25日、スイス・ジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会(UNCERD)の日本政府報告審査会議に参加した。人種差別撤廃協約の批准国家は、原則的に2年ごとに報告義務があるが、日本は9年ぶりに2番目の審査に応じた。委員たちは、教育・就業・年金・参政権など多様な分野で、在日朝鮮人が経験する政策的・社会的差別に対し、追求した。一人の委員は、この前の報告の時に比べ全く状況が改善されていなかったとし、委員会の勧告を受け入れようと言う努力が見えないと言い切った。
今回、朝鮮学校排除の論難と関連しては、国連の市民的・政治的権利に関する国際規約27条が保障する、マイノリティーの学習権の侵害と同時に、人種差別撤廃協約5条が規定する学習権の平等な保障に違反すると言う点が指摘された。これに対し、会議に参加した文部科学省の官僚は、国会での審議を見守り、慎重に対応すると言う常套的答弁で逃げた。
しかし、この様な国際世論の波長を認識するのか、日本政府は拉致問題が今回の問題の判断の根拠ではないと言う修正された見解を披瀝し、代わりに、朝鮮学校が、何を教える学校であるか確認する事が出来ないと言う、貧しい口実を新しく押し立てている。

国連人種差別委、学習権の侵害を指摘したけれど

国連人種差別撤廃委員会は、3月中旬頃、最終見解を発表する予定であり、日本政府はこれに先立って、結論を出すように見える。今回の問題で16年ぶりの非自民党であると同時に、1945年以降、初めて野党が過半数を占め、政権交代を実現した鳩山政権の歴史認識と人権水準が国内外的に記(しる)される計算だ。
                                     (訳 柴野貞夫 2010312)