(韓国民衆言論・ハンギョレ紙 社説 2010年7月2日付)
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/428650.html
ますます深まる、チョナン(天安)艦事件の諸疑惑、科学的検証を急がなければ
チョナン艦沈没事件が起こってから今日で100日目となった。しかし時間が経つほど、事件の真相が明瞭になるどころか、逆に諸疑問が増幅されている。政府が6・2地方選挙を前にして、半煮えの調査結果を急いで発表した事による問題点として見る以外にない。
最初に、魚雷推進体の吸着物質をめぐって、‘科学的論争’が尋常でない。
国防部合同調査団は、5月20日の調査発表で、魚雷推進体とチョナン艦の船体で、非結晶質酸化アルミニュームが検出されたとし、北韓の魚雷攻撃の証拠として提示した。
しかし、イ・スンホン、米国・バージニア大教授(物理学)と、カナダ・メニトバ大地質科学科分析室長ヤン・パンソク博士は、この物質を爆発の結果物として見るのは難しいと言う独自の試験結果を発表した。これについて、合同調査団は、“試験条件が違うために起きる差異”だと反駁するが、実験結果を(繰り返し)覆えしたり、試験条件に問題がある側は合同調査団だった。
魚雷推進体の付着物質は、魚雷攻撃の有力な証拠となるので、これを巡った論難は、決して軽く見過ごす問題ではない。両側と第3の国内外の専門家達まで参加する共同実験を通して、是非をより分けなければならない訳だ。
政府の頻繁な言質の取り換えも、疑問を大きくする。合同調査団は最初、北韓魚雷の設計図が、北韓で制作した武器紹介冊子から出たものだと発表した後で、冊子はないと話を変えた。5月20日発表当時、他の魚雷の設計図面を提示した過程も釈然としない。
チョナン艦右舷のプロペラが前に曲がった点、魚雷推進体に、‘1번’と言う文字が残っている点なども、相変わらず明白に説明されていない。
北韓の所業だと確証する証拠を探す事は出来ないと言うロシア側の判断も、こんな事情と無関係でなく見える。ロシアが専門家を派遣し、わが政府の調査結果を詳しく探ってみた点を考えれば、ロシアの最終判断が持ってくる国際的波長は少なくないだろう。
こんな状況を打開する方法は、結局調査結果を科学的に精密に、検証する事だけだ。政府はこれに積極的に応じる必要がある。これと別途に、国会は国政調査特委を構成し、その枠のなかで専門家委員会を稼動し科学技術者達が各種疑問を検証する様にしなければならない。ハンナラ党も、政府の主張だけ繰り返すのではなく、国政調査の要求に
堂々と応じるのが当たり前だ。国内外で疑問が提起される懸案を検証する事は国会の当然の責任である。
(訳 柴野貞夫 2010・7・3)
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