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[International Bolshevik Tendency (IBT)―国際(トロツキー主義)ボルシェヴィキ潮流・ウェブサイト2011年2月7日付論文]http://www.bolshevik.org/

 

 

 

○ムバラク治下で苦痛を被った多くの人々は、自由選挙が問題を解決してくれると考える。一部は新しい民主憲法を制定する為の制憲議会を主張する。

しかし、マルクス主義者は、民主主義に対する人民の渇望を支持するが、専制政治を終わらせる制憲議会を構成する為には、予め現統治体制を革命的に転覆することが必要だと主張する。

 

○現情勢で根本的問題は、どの階級が統治するかだ。

 

○労働者階級と貧民は、自らの意思を実現できる機関を樹立しなければならない。使用者(資本家階級)と、国家から独立した新しい労働組合の建設。あらゆる労働現場と労働者階級の同盟者の代表で構成される全国評議会の結成。それは、新しい国家の基礎である。

 

○「人民と軍隊はひとつ」と言うのは、無邪気な幻想である。ムバラクは、情報機関、警察、そして軍隊など資本主義の抑圧機構に依存してきた。人民の生きる条件を真に改善する為には、この国家の核心機関を破壊しなければならない。

 

○ムバラクを生んだ(中東各国の「ムバラク」も同様に)社会体制を根絶やしにする革命的労働者党の建設が急がれる。

 

(本文より・訳者-尚この訳文は、韓国・労働解放実践連帯ウェブサイトの2011・2・24付韓国語訳より訳出したものである。)

 

 

 

 

 

 

 

(本文)

 

 

奮い立つエジプト民衆と、革命指導部の危機

 

 

 

 

 

チュニジアの長期独裁者ベン・アリの放逐は、アラブ世界に衝撃を与え、この地域で最も人口が多く、重要な国であるエジプトで人民蜂起を点火した。過去10年の間、強力な闘争を遂行したエジプト労働者階級は、国を揺り動かしている大衆示威で、重要な役割を担っている。

 

http://www.left21.com/Photo/left21_0051/left21_0051_12.jpg

△写真 罷業の中で、同僚たちと一緒に開放感を満喫しているエジプト石油・ガス労働者達 提供・Hossam el-Hamalawy 

 

 

国家が操るエジプト労働組合連盟に所属している労働者達は、その指導部を無視し全国的に、いわゆる‘非合法’罷業を断行した。

嫌悪すべき独裁者ホスニ・ムバラクを、打倒しようとする闘争に立った人民達の決死の抗戦の意志とその憤怒は、過去2週間絶えず表出された。労働者階級が持つ客観的な社会的影響力は、エジプト労働者階級が自然にエジプト警察国家に対決し立ち上がり、そして世界帝国主義の鎖を砕く戦いで、あらゆる被抑圧人民の指導者となる事となった。

 

しかし、その役割を完遂するためには、革命指導部がなければならな

http://www.bolshevik.org/pictures/ibt_20110207_egypt_demo.png


△写真、< 国際ボルシェビキ潮流(IBT)>の中東革命支持示威行動

 

い。即ち、永久革命と言う綱領で武装したレーニン主義政党がなければならない。不幸にも、そんな政党は、萌芽的にもまだ存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△写真<トロツキー主義・ 国際ボルシェビキ潮流(IBT・)>の中東革命支持示威 ロンドン チュニジアの長期独裁者・ベンアリの放逐は、アラブ世界に衝撃を与え、この地域で最も人口が多く重要な国であるエジプトで、人民蜂起を点火した。過ぎる10年の間、強力な闘争を遂行したエジプト労働者階級は、国を揺るがしている大衆示威で重要な役割を受け持って国家が操る、エジプト労働組合連盟に所属している労働者達は、その指導部を無視し、全国的に,いわゆる‘非合法’罷業を断行し嫌悪すべき独裁者、ホスニ・ムバラクを打倒しようとする闘争に立った人民達の決死的抗戦の意思とその憤怒は、過ぎる二週間、絶えず表出された。労働者階級が秘める客観的な社会的影響力は、エジプトの労働者階級が自然に、エジプト警察国家と対決し、そうして世界帝国主義の束縛(鎖)を砕く闘争であらゆる被抑圧人民のリーダーとなるようにしたしかし、その役割を完遂する為には、革命指導部がなければならない。即ち、永久革命(permanent revolution)と言う綱領で武装したレーニン主義政党がなければならない。不幸にも、そんな政党は萌芽的にも、まだ存在しない。


http://www.bolshevik.org/pictures/ibt_20110207_egypt_demo_sign1.png

 

△写真 IBTの示威スローガン 

 

 

ムバラクは長い期間、この地域で最も重要な米帝国主義の資産の中の一つだった。米国は年間、(主として軍事分野に)15億ドルの援助をエジプトにしているが、これよりも多い援助を受ける国は、ただイスラエルだけだ。

ヒラリー・クリントン米国務長官が1月25日、ムバラク政権は“安定的”だと語ったように、米国の政策は、まるで何事も無かったかの様にする事だった。

しかし、何日か後、青年示威隊が治安警察を追い払い(ムバラクの政党本部と共に)幾つかの警察署に火をつけた時、エジプト独裁の後援者は“秩序ある転換”に関する話を始める時だと言って、現実を仕方なく認めた。

 

この当時、彼等(米帝)は、反動的なムスリム兄弟団と、見かけは独裁政権に反対する様に見える幾人かの人士らとの協議に参加している、ムバラクの右腕であると同時に長期間エジプト情報局の親分だった、オマル・スレイマンを頭とする‘新’政府の構成を願った。

 

 

万一、スレイマンが登場しなければ、エジプト支配階級はモハメド・エンバラダイ(国連 国際原子力機構の前議長)の様な人士を押し立て、えせ民主主義を試みるものと見える。

どれであっても、既存の暴圧的軍事―警察国家とあまり違いはない。

万一、‘民主主義’的な方法を実行することに極めて難しいと判断したら、エジプト支配層の唯一つの選択は軍事クーデターとなるだろう。

 

2月2日、次第に成長する抵抗の動きを削ぐための試みとして、ムバラクの政治警察は、数千名のごろつきを動員し、抵抗の中心地カイロ、タフリル広場に集まった示威隊を攻撃した。この攻撃で数名が死に、多くの人々が負傷したが、示威隊は自らの防衛隊を即刻組織し立ち向かったし、広場を守り通した。示威隊に発砲しないと宣言した事があるエジプト軍は、このごろつき達が示威隊を攻撃する時、茫然と見ているだけだった。

 

この事件で、“人民と軍隊は、一つ”だと、数日前一部示威隊が叫んだスローガンが、どれだけ無邪気な幻想だったのかが暴露された。

 

過去数10年間、独裁を支持したのは軍隊の上層部であるだけだと言う認識は、人民とデモクラシーに向かう道にとって、大変危険な幻想だ。

 

ムバラクは常に、警察、情報機関、そして軍隊に頼り統治して来た。このすべての物が国家の核心機関だ。人民の生きる条件を真に改善する為には、資本主義の抑圧機構を破壊しなければならない。

 

資本主義国家を破壊する為には、優先的に一般の兵士を中心として、軍隊の一部を蜂起した人民の側に引きいれ、徴集軍隊を分裂させる事が必要だ。

 

ムバラク治下で苦痛を被った多くの人々は、自由選挙が彼等の問題を解決して呉れるものだと考える。一部は新しい民主憲法を制定する為に制憲議会の構成を主張する。

 

マルクス主義者は、民主主義に対する人民の渇望を支持するが、同時に、専制統治を終わらせる制憲議会を構成する為には、予め現統治体制を革命的に転覆することが必要だと主張する。

 

エジプトの現情勢で、根本的問題は、どの階級が統治するのか?だ。今後前進する為に、反ムバラク示威隊は必ず、労働者と貧民が自らの意思を実現することが出来る機関を樹立しなければならない。

 

その基礎的第一歩は、使用者と国家から独立的な、新しい労働組合を建設することだ。そして、ロシアの労働者達が1905年と1917年の革命でそうした様に、到る所の労働現場と労働階級の同盟者達の代表で構成される、全国評議会を構成することが同様に必要だ。

 

この様な機関は、労働人民とあらゆる被抑圧人民の利益を防禦し、そのために服務する新しい国家機構の基礎となるであろう。

 

ムバラク独裁体制に立ち向かった闘争で、二つの核心要求は、独裁に抵抗したあらゆる政治反対者を即刻釈放し、独裁政権の主要人士らを労働者の裁判所に引き渡すことだ。

 

 

 

今日のエジプト人民の前に置かれた問題は、(革命の)‘指導部の危機’に要約することが出来る。闘争の先頭に立つ労働者と青年たちは、現政権を打倒する事だけでなく、エジプトの財産の大部分を占有している支配層の手中から抜け出ることを決意している。この決意は、ぜひ必要なことだ。

しかし、エジプト社会を根本的(すなわち、革命的に)に再建する事には、十分ではない。

 

社会革命を遂行する為には、ムバラクを生んだ社会体制を根絶やしする闘争を指導する、革命的労働者党を建設しなければならない。

 

 

エジプトの(来るべき)革命政党は、(40%の人民が、1日2ドル未満で辛うじて生きて行く国で、400億ドルに達する財産を持った)ムバラクの資産の、即刻没収に着手するだろう。

ムバラクの腐敗したブルジョアの友人達が、不正な方法で得た資産を即時差し押さえると同時に、残忍な独裁者とその側近の資産、さらには、資本家階級の資産全体の没収に進まなければならない。

 

この様な措置は、理性的な計画経済を通して、エジプトの青年たちを苦しめる長期失業を解決するであろうし、ともに人民達の心配の種である食糧、住宅、医療、そして教育などの問題を解決する為のものだ。

 

 

 

政府官僚達は、雑多で付随的な譲歩措置を提示しながら、町の秩序を再び掌握する機会を窺い、耐えている。

 

米国は、周辺地域で不安が広がるかも知れないと言う考えに緊張したし、そして抵抗を眠らせる為に、軍事的方法より政治的方法を探ろうとする。

 

エジプトの労働者と青年が前進する為の唯一つの道は、1917年に、レーニンとトロツキーが指導し、ロシア労働者を勝利に導いたボルシェビィキの様な革命的戦闘組織を建設することだ。

 

 

 

○ムバラク/スレイマン独裁を打倒しよう!

 

○エルバラダイや、モスリム兄弟党を支持しない!

 

○帝国主義者達は、エジプトを出て行け!

 

○資本家と国家から、労働者階級の独立を争取しよう!

 

○エジプト労働者革命政党を建設しよう!

 

○中東社会主義連邦と、エジプト労働者国家を建設しよう!

 

 

(訳 柴野貞夫 2011・2・26)


 

 

参考サイト

☆ 262 労働者の罷業が革命を強化している (英国・社会主義労働者党ウェブサイト 2011年2月17日付け)


☆ 261 “倒れたエジプト政権、継続される革命” (韓国・チャムセサン紙 2011年2月14日付け)


☆ 260 エジプトの示威現場に撒かれた印刷物 (韓国・社会主義政治組織-労働解放実践連帯HP 2011年2月12日付け)