(韓国民衆言論 ハンギョレ 社説 2011年8月31日付)
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/494254.html
‘リュウ・ウイク(柳佑益)統一部’は―(北韓への)既存の政策基調から、徹底的に反省し顧みるべきである。
「○イ・ミョンパクは、統一部長官・ヒョン・インテクを更迭せざるをえなかった。「北韓自滅論にだけ頼り、南北関係を最悪の状態にした張本人」の更迭だけで、袋小路に追い込まれた南韓とイ・ミョンパクの出口は見えない。
○「イ・ミョンパク政権の期待とは違って、北韓は孤立どころか、中国、ロシアとの首脳外交の進展、米国とも対話の流れをつくりあげている。」
○イ・ミョンパク政権は、「過去の政策基調に対する、徹底的な反省が必要だ。」(本文から)
(記事本文)
イ・ミョンパク(李明博)大統領が一昨日、内閣改造でヒョン・インテク(玄仁沢)統一部長官を、側近のリュウ・ウイク前駐中国大使に交代した。現長官の交代は、時遅しだが、良いかも知れない。
現長官は在任期間を通して、終始、非現実的な対北強硬論にだけ固執する中で、南北関係を最悪の状態にした張本人だ。
イ(李)大統領は今回の人事過程で、国内外の複雑な事情を考慮したはずだ。
現政府は出帆(スタート)以来、北韓自滅論に頼り、対北交流協力を衰えさせて来て、チョナン艦・ヨンピョン島事件以後には全面的な圧迫と封鎖を試みた。
しかし政府の期待と違って、北韓は孤立されるどころか、中国・ロシアなどと首脳外交を通じ、それなりに状況を打開して行く一方、米国とも対話の流れを造り上げて行っている。むしろ南側政府の立場だけが、行き場のない袋小路だ。
こんな状況で、4野党が現長官解任建議案を提出したし、ホン・ジュンピョ・ハンナラ党代表さえ、交代を取り上げる事になった。
ところが、保守層の中では対北政策の原則を毀損しては駄目だとし、現長官の路線を支持する声が、依然として相当な状態だ。イ(李)大統領が、現長官を大統領・特別補佐官に発令し、青瓦台が政策基調は変えないと重ねて説明するのは、これを意識した結果だ。結局、今回の長官交代は前任者をさらに引っ張る事も出来ず、根本的に方向を転換する事も難しい状況で、わずかな隙間を探そうと言う意味として解釈される。合わせて、政権任期の終わりが近づきながら、成果に対する焦燥感も作用したものと見える。
リュウ・ウイク(統一部長官)候補者は、イ・ミョンパク政府の最初の大統領室長と中国駐在大使を務めた。策に対する専門性を持っていないし、関連した哲学があるのか知られた事もない。ただ、大統領の最側近として政権の成敗に対する、それなりの責任意識を備えた実用主義志向が強いと言う程度が知られている。
こんな点等を総合して見るとき、リュウ候補者は、何が何でも手につかめる成果を短期的に追求する可能性が覗われる。そうしながら、保守層の政治的要求も放さない、二兎を追う歩みを繰り広げる可能性が大きいものと展望される。
南・北・ロシア ガス管連結事業などは、こんな脈略から優先的な関心事となる事が出来る場だ。
しかし、南北関係は長期的展望の上で、短期的成果を追及しなければならない。その為には、(イ・ミョンパク政権の)過去の政策基調に対する全面的な省察が必ず必要だ。そんな省察なしに、みみっちい遣り方を動員し‘(歴史の)一回性’の成果を作ろうと試みても、そんな発想は長続きせず、限界を暴露する他はない。
去る5月9日、北京で開かれた南北首脳会談のための秘密接触が結局破綻に至ったのが、端的な例だ。
統一部長官交代を契機として、南北韓の間に信頼基盤を構築する為の誠実で真摯な努力が、南北両側で始まる事を期待する。
(訳 柴野貞夫 2011/09/6)
●参考サイト
☆ 285 そのどんな権謀術数でも、北南関係を破綻させた責任から抜け出す事は出来ない (朝鮮民主主義人民共和国・朝鮮中央通信 2011年6月1日付け)
☆ 286 逆賊輩党は、もっと遅くなる前に、自ら進んで真実を明らかにするのが良いだろう。 (朝鮮民主主義人民共和国・労働新聞 2011年6月9日)
☆ 295 北・露-首脳会談、6者会談に関し‘原則的に合意’ (韓国・PRISSIAN 2011年8月24日付け)
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