(韓国 統一ニュースコム 2012年2月29日)
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=97727
北と米、ウラニウム濃縮施設(UEP)の中断と栄養支援で合意
イ・グァンキル記者
北外務省は“六者会談再開時、制裁解除、軽水炉優先論議”
去る23〜24日、北京での第三次高位級会談で、北韓がヨンピョンのウラニウム濃縮施設(UEP)の稼働中断など、事前措置を取り、これに呼応(相応)して米国側が、24トンの栄養支援をする事で合意したものと確認された。
29日夜11時<朝鮮中央通信>によれば、北外務省代弁人は“米国は朝鮮に24万トンの栄養食品を提供し、追加的な食料支援を実現する為に努力する事としたのであり、双方はこの為の行程実務的措置などを即時にする事とした。”と明らかにした。
代弁人は続いて、“米国は、対朝鮮制裁が人民生活など民需分野を狙わないと言う事を明白にした。”とし、“六者会談が再開されれば、我々に対する制裁解除と軽水炉提供問題を、優先的に論議する事となるだろう”と明らかにした。
これに呼応して、北韓側は、“米国の要請に従い、朝米高位級会談に肯定的な雰囲気を維持する為に、結実ある会談が進められる間、核実験と長距離ミサイル発射、ヨンピョンのウラニウム濃縮活動を一時中止し、ウラニウム濃縮活動の一時中止に対する国際原子力機構(IAEA)の監視を許容する事とした”と明らかにした。
これとともに、“朝米双方は、9.19共同声明履行意思を再確認し、平和協定が締結される前まで、停戦協定が、朝鮮半島の平和と安全の為の礎石となると言う事を認めた”と、北外務省代弁人は明らかにした。
米外務部(国務省)も同じ時刻、同じ発表文をホームページに掲載した。制裁解除、軽水炉論議問題は抜けた。これに対し国務省当局者は、“制裁解除と軽水炉論議の問題は、合意事項でなく、北韓側が主張するものだ”と述べた。
この当局者はまた、“ウラニウム濃縮施設の中断と検証に関して、IAEAと北韓側間に、栄養支援に伴ったモニタリング問題と関連して、米・北間に何らかの形態ででも、文書合意が必要だろう”と明らかにした。実際に米側発表文は、“米、北双方の栄養支援チームは、近い将来に会い、行政的細部事案を確定するだろう”と指摘した。
双方は、“米国は、文化、教育、スポーツを含んだ人的交流を増進させる為の措置を取る準備がなされている”と明らかにし目を引いた。外交部当局者は“民間団体で推進してきたが、駄目だったものを念頭において、合意されたものと見える”と伝えた。北韓交響楽団の米国公演等が再び推進さるものと見える。
この当局者は、“IAEA査察団がいつ北韓に入って行くのか、米国の栄養支援がいつ北韓に到着するのかなどは、同時行動の原則に従う事としたので、後続の協議が必要なものとみえる”としながら、“この合意
が順調に履行されれば、上半期内に六者会談が再開されることも出来るだろう”と期待感を表示した。
一方、(南韓)政府は、外交部代弁人名義で“政府は、今日発表された最近の北京開催の米・北合意結果を歓迎する“とし、“政府は、特に北韓がその間、韓米が六者会談再開の与件醸成の次元で、要求して来た事前措置を、履行することに合意した事を注目しながら、こんな合意が忠実に履行されることを期待する”と明らかにした。(イ・クアンギル記者)
●北京高位級会談に対する、朝鮮民主主義人民共和国側の発表
[朝鮮外務省代弁人 朝・米会談問題に対し言及](ピョンヤン2月29日発 朝鮮中央通信)
朝鮮民主主義人民共和国 外務省代弁人は、朝米高位級会談が進められた事と関連し、29日、朝鮮中央通信社記者が提起した質問に、次の様に回答した。
朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国間の3次高位級会談が、23日と24日、中国で進められた。会談では、キム・ケグアン外務省第一次官を団長とする朝鮮代表団とクリン・デービス国務省対朝鮮政策特別代表を団長とする米国代表団が参加した。
2011年7月と10月に、二度の高位級会談の連続過程である今回の会談では、朝米関係改善の為の信頼醸成措置と、朝鮮半島の平和と安全保障、六者会談再開と関連した問題などが真摯に深く論議された。
○朝米双方は、9.19共同声明の履行意思を再確認し、平和協定が締結される前まで、停戦協定が朝鮮半島の平和と安全の為の礎石となると言う事を認めた。
○双方はまた、朝米関係を改善する為の努力の一環として、一連の信頼醸成措置を同時に取る事で合意した。
○米国は、朝鮮をこれ以上敵対視する事なく、自主権尊重と平等の精神で、双務関係を改善する準備がされていると言う事を、再度はっきり言い切った。
○米国は、文化、教育、体育など、いろんな分野で人的交流を拡大する措置などを取る意思を表明した。
○米国は、朝鮮に24万トンの栄養食品を提供し、追加的な食料支援を実現する為に努力する事とした。
○米国は、対朝鮮制裁が人民生活など、民需分野を狙わないと言う事を明白にした。
○六者会談が再開されれば、我々に対する制裁解除と軽水炉提供問題を優先的に論議する事となるだろう。
○双方は、対話と協議の方法で、朝鮮半島の平和と安全を保障し、朝米関係を改善し、非核化を実現して行く事が、互いの利益に符合すると言う事を確認し、会談を継続していく事とした。
○我々は米国の要請に従い、朝米高位級会談に肯定的な雰囲気を維持する為に、実りある会談が進められる期間、核実験と長距離ミサイル発射、ヨンピョン ウラニューム濃縮活動を一時中止し、ウラニューム濃縮活動一時中止に対する国際原子力機構の監視を許容する事とした。(終わり)
●北京高位級会談に対する、米国側の発表
[ビクトリア・ヌルランド米国務省代弁人のマスコミ発表文](2012.2.29、ワシントン)
米国代表団は、第三次米北対話を終えて北京から帰国した。北韓は対話の雰囲気を改善し非核化に対する意思を見せる為に、長距離ミサイル発射、核実験またウラニューム濃縮活動を含むヨンピョンでの核活動に対するモラトリアム(一時停止)の履行に同意した。北韓はまた、ヨンピョンのウラニューム濃縮活動に対するモラトリアムを検証、監視し、5Mw原子炉また関連施設の不能化を確認する為の、IAEA査察団の復帰にも同意した。米国は、いろんな分野にかかわる北韓の行動に、いまなお、深い憂慮(懸念)を持っている。しかし、今日の発表は、上記の憂慮(懸念)の中の一部を扱う場合にあって、制限的ながら重要な進展を反映する。我々は、栄養資源24万トンとともに、この様な支援伝達時に要求される、徹底した監視問題を進展させる為に必要な、行政的細部事項を確定する為に、北韓と協議をもつ事とした。
以下の諸事項は、2.23〜24の間、北京の協議で出て来たものだ。
○米国は、対北敵対意思を保有していないし、相互の主権尊重と平等の精神に立脚し、両者の関係を改善する措置を取る準備がなされていると言う事を再確認する。
○米国は、9.19共同声明の順守の意思を再確認する。
○米国は、1953年の停戦協定を韓半島の平和、安定の基礎として認める。
○米、北 双方の栄養支援チームは、近い将来に会って、行政的な細部事項を確定するだろう。支援対象を特定している米国のプログラムは、最初24万トンの栄養支援として構成され、持続的な必要に基調し、追加支援の可能性を開いて置いている。
○米国は、文化、教育、スポーツ分野などに、人的交流を増大させる為の措置を取る準備がなされている。
○米国の対北制裁措置は、北韓住民の日常生活に対する制裁を目標とするのではない。
(外交部非公式翻訳文)
(訳 柴野貞夫 2012年3月2日)
[訳者解題]
この報道記事は、2月29日、ピョンヤンと米国で同時発表された、過日北京での北―米会談の合意内容に触れたものである。
1953年から始まる、朝鮮戦争の停戦状態が60年近く続く今日迄の朝鮮半島情勢が、その直接的な当事者である朝鮮民主主義人民共和国と米国による直接対話を通して大きく変わろうとしたのが、1994年10月のクリントン政権との間で取り決められた「朝米基本合意文」である。
それは(基本合意文)、1997年、軍事独裁が崩壊し金大中民主化政権の登場と、南北対話の進展と言う南韓情勢の変化を背景に、2000年10月、米国を訪問した朝鮮国防委員会第一副委員長 趙明禄特使と、クリントン米大統領との会談で、「朝米共同コミユニケ」の締結として具体化され、「核問題に関する共同声明」と「基本合意文」に沿って朝・米両国の正常な外交関係として「朝鮮戦争停戦」後はじめて、停戦を「強固な平和保障システム」へ転換する流れをつくった。
しかし米国は、2001年4月のブッシュ政権の登場によって、この国家間の取り決めを紙屑の様に踏みにじった。米国は、北が合意条件を踏みにじっているかの様に国際世論を誘導しながら、朝米間の段階的な取り決めを一方的に破棄、「無条件の核査察」を要求し、あまつさえ、北をイラクとともに「悪の枢軸」と名指しし、具体的な核による恫喝、核戦争攻撃の準備を公言したのである。
その後、朝鮮半島をめぐる核問題は、6か国協議と言う多国間協議の形態を取りながら米国を巻き込み、2005年の第4回六カ国協議で、基礎的な成果文書とも言うべき「9.19共同声明」が合意された。
それは、次の5点に要約できる。
○平和的な方法による、朝鮮半島の検証可能な非核化
朝鮮民主主義人民共和国(以下DPRKとする)はすべての核兵器と核計画を放棄する。米国は朝鮮半島に核兵器を有さないこと。また、DPRKに対し核兵器や通常兵器によって攻撃する意図のない事を確認する。DPRKの核エネルギーの平和利用の権利を尊重する。DPRKへの軽水炉の提供について話し合う。
○米朝は、相互の主権を尊重し平和的共存と国交正常化を目指す
日朝は、平壌宣言に従がって関係の正常化をめざす。
○六カ国は二国間、或いは多国間でDPRKへの経済協力を推進する。
DPRKを除く5カ国は、DPRKにエネルギー支援をする。
○六カ国は、北東アジア地域の恒久的平和体制について協議し、安全保障面の協力を促進する。
○「約束対約束、行動対行動」の原則で合意を段階的に実行する。
しかし、その後の推移は、「約束対約束、行動対行動」の原則は、米国と韓国と日本によって破り続けられた。米国は、DPRKとの同時行動で、DPRKの「約束違反」を捏造し、自分たちの「核の検証」や「北制裁解除」を拒否、あたかもDPRKが一方的に約束を不履行しているかの様に国際世論を騙し続けてきた。日本は、東北アジアの安全保障体制と核問題に「拉致問題」を持ち込み、重油供給の義務を拒否、六者協議の破壊者となった。
2月29日、米クリントン国務長官は外院において、今回の「米朝合意」に関し「積極的な最初の一歩」と言いながら、「北朝鮮指導部を行動によって判断する。その行動の継続性を期待するが、(今後の事は)北の行動にかかっている」と語ったが、盗人猛々しいとは、この事を言う。
朝米関係の60年近い歴史のなかで、黒を白と言いくるめ、国際世論を騙し続けて来たのは米帝国主義者達である、その行動の一貫性を貫いてきたのは、朝鮮民主主義共和国である。今回の「朝米合意」の行先をその行動で監視し見守らなければならないのは、他でもなく米国である。
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