(韓国ネットニュース・PRESSIAN−世界ニュース 2012年3月21日付)
http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=30120321115747&Section=05
米国は、どうして衛星発射計画を知りながらも北韓と合意したのか
キム・ボング記者
北韓は、キム委員長生存中の、昨年12月15日、金日成主席生誕100周記念行事として、商用人工衛星の打ち上げを、米国に対し通知していた事実が明らかとなった
米国が昨年、キム・ジョンイル北韓国防委員長が死亡する前、既に北韓から、衛星発射計画を通報された事が分かった。それにも拘らず、米国が先月(2.29)北韓と、食糧支援を骨子とした合意をしたと言う点で、米国のこの後の対応に関心が集まる。
<ヨンハップ(聯合)ニュース>は、21日外交消息通を引用し、キム委員長の死亡の数日前である昨年12月15日(現地時間)、北韓がキム・イルソン(金日成)誕生100周年祝賀行事として、4月15日前後、人工衛星を発射すると言う計画を米国側に通報したと報道した。
この消息によれば、当時民間チャンネル(トレック・ツウ)を通した北・米協議(交渉)で、この様な知らせが伝えられ、オバマ行政府は‘衛星発射は国連決議の直接的違反として看做す’とする意味を伝達した。
先月、中国の北京で開かれた第3次北・米高位級会談でも、米国は、衛星発射中断が北・米間協議(交渉)に含まれるとし、(実際には‘ミサイル発射中断’として入ること)それに反する場合、合意が壊れる可能性を警告したと消息通は付け加えた。
このような報道は、‘北韓内の強硬派が、ミサイル発射中断を約束した2.29合意にも拘わらず、衛星発射を押し通し、米国の後頭部を殴った’だの‘北韓の内部でも調整されていない’などの分析は、事実とはかけ離れた事を見せてくれる。
実際にも、キム・ジョンウン北韓労働党中央軍事委員会副委員長の戦略ロケット司令部の視察などは、北韓が事前計画をもって動いたことを示唆する。
問題は、米国がこの様に、衛星発射計画を事前に通報を受け、北韓と意見の一致が出来ないまま、北・米協議(交渉)の結果を、‘合意’形式で明らかにしたと言うところにある。米国が現在、北韓の衛星発射を‘合意違反’だと規定しているが、今後、北・米協議の局面自体が覆されるだろうと断言するのが難しい背景となる。
これに対し或る専門家は、2.29合意を米国と北韓が各自発表し、協調点が異なったと言う点に注目した。北韓は、当時の発表で、北・米関係の改善と平和体制論議を強調した。北韓がこの問題を、衛星と長距離ミサイル発射中止と連携したと言う可能性を見せてくれる。
しかし米国は、北韓がウラニューム濃縮、ミサイル発射、核実験の中断を約束した事を強調した。
オバマ政府は、北韓との全面的な協議よりは、大統領選挙をする時まで、北韓リスクを管理することに焦点を合わせていると言う分析が一般的だ。これを勘案すれば、両国の発表の差異は‘2.29合意’が通常的な意味の‘合意’でなく、それぞれが合意したと考えた事を発表したものとか、今後の議題を羅列した‘形だけの合意’であることを見せてくれる。(▲今月初め、米国を訪問した時のリ・ヨンホ北韓外務次官。彼は19日IAEA視察団の復帰を要請したと明らかにした。写真 ヨンハップニュース)
この様な解釈によれば、衛星発射が今回の合意を動揺させる事はあっても、米国が食糧支援に合意したことは、逆に解釈すれば、実際に衛星が発射されても制裁が強く入ることは出来ない事を示唆する。
中国<環球時報>の英字紙<グローバルタイムス>は、20日北韓が衛星を発射しても、韓半島情勢が大きく変わらないものと見通した。新聞は、米国が衛星発射以後、食糧支援の意思を撤回する意思が極めて高く、米・北関係は相当期間、緊張するだろうとしながらも、時間が経てば、葛藤を解消するための両国間の対話が始まるだろうと分析した。これは、北韓が衛星を打てば、米国がすぐ反発はするが、自国内の強硬派をなだめさせた後、再び協議(交渉)局面に這入ることが出来ることを展望したのだ。
北韓は現在、国際機構に、発射計画と関連した通報をして置いたし、海外の参観団まで許可すると明らかにするなど、‘実用衛星’であることを強調している。衛星の発射方向も過去と異なり、南側に定めた。
これを見れば、米国が、衛星発射後の協議(交渉)復帰のための名分をつくるために、北京協議当時、北韓に衛星発射に対する‘ガイドライン’を提議したと言う推論も可能だ。
衛星発射後、この問題を国連安全保障理事会に回付するとしても、中国、ロシアが制裁に反対することと予想されるので、これは米国の‘形だけ反発の後、協議(交渉)へ復帰’(と言う)構想に、名分を補う事が出来る。
こんな複雑な過程の最初のラウンドは、既に始まった。北韓が2.29合意と背馳される衛星発射を発表し、同時に2.29合意に含まれる国際原子力機構(IAEA)査察団を受容する,(と言う)二つの顔のカードをぬくことからだ。
米国は、IAEAが査察団復帰の当否をまだ決定できなかったし、時間を引きずっている状態だ。米国の協議(交渉)の意思が残っていると言う前提の下に、現状況を突破する為に2000年に中断された北・米ミサイル協議を再開する必要があると言う提案も出る。発射前であっても協議を提案し発射を猶予させ,追って北韓が、宇宙空間を平和的に利用することが出来る制度的装置を準備せよと言うものだ。
(訳 柴野貞夫 2012年3月24日)
<参考サイト>
☆ 188 宇宙の平和的利用なのか 軍事化なのか (朝鮮民主主義人民共和国・労働新聞 2009年9月23日付)
☆ 156 日本、北韓ロケットを利用して軍備増強に走る (韓国・ヨンハップニュース 2009年4月6日付)
☆ 153 “日本‘北韓ミサイル迎撃’は選挙の為/見え透いた脅しをかける日本政府” (韓国・ネット新聞オーマイニュース 2009年3月30日付)
☆ 152 ロシア、“北韓の人工衛星発射は(国連)1718号違反ではない” (韓国・ネット新聞オーマイニュース 2009年3月30日付)
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