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 (韓国 ハンギョレ 社説 2008324日)


          韓国の‘ニューライト’、植民地支配と独裁を礼賛


ハンナラ党、李明博政権の誕生と韓国の右傾化への動き

所謂、ニューライト系列の学者達が、近現代史‘対案教科書’を出した。既存の教科書が、大韓民国の正当性を否定して左偏向の歴史認識を植付けると言う理由で、準備し始めてから三年目だ。
内容は、予想した通りだ。学者的良心が疑わしい程度に、理念と目的意識が、客観的事実と評価を圧倒する。主要内容は、こうだ。旧韓国末、朝鮮には、自生的近代化の芽も努力もなかった。植民地支配を通して近代文明が輸入されて、経済成長も成し遂げられた。
イ・スンマン(李承晩)、パク・チョンヒ(朴正熙)体制は、韓国に自由民主主義を根ずかせ、経済発展を築く革命的契機だった。要約すれば、近代化は植民地支配で始まり、独裁体制を通して完成されたと言うのだ。光復(1945815解放)後、権力の核心で独栽体制を維持・強化した一味だった事実を考えれば、この人々(新右翼)が守ろうとする価値がよく露見する。
こんな書籍に、教科書と言う言葉を付けるのだから、是非と論難は避けるのは難しい。出版禁止仮処分の申請を出そうとする話もある。‘教科書’と言う言葉が耳障りであるが、これを言い争う考えはない。執筆者らは大部分、経済、教育倫理、政治外交学の教授で、非専攻者だ。かれらが、歴史学会が認めた事実と評価に問題を提議することは出来るが、それをめぐって問いただすことはない。
その上かれらは、史料の選択と解析で、下手な次元を出て、政派的理念と目的に沿って勝手に継ぎはぎした。歴史を、政治的宣伝扇動の手段として利用した計算だ。ここに巻き込まれる理由も無い。
そうであっても、この書物が注目を受ける理由は、その政治的経済的背景の為だ。先の政権時、彼らが広げた理念攻勢は、政権交代の局面で強力な影響を及ぼした。彼らは最近も、ハンナラ党など執権勢力と、全経連等財界の下支えを受けており、保守族閥言論(軍事独裁政権時、ハンナラ党など軍政与党の庇護の下で育てられた東亜日報、朝鮮日報、中央日報などを指すー訳者注)の後援を受けている。書物は政治パンフレットの水準であるが、こんな背景の為に社会的談論で拡散される可能性が大きいのだ。
その為に、明確にしておくことがある。歴史上政治主義に立ち向かう最も見事な制度は、民主主義だった。共産主義と体制競争で勝利したのも民主的市場競争だった。(訳者注)
イ・スンマン、パク・チョンヒが構築した独裁体制は、最も低級な選択だった。あわせて、日帝支配がなかったとしても近代化は達成された。むしろ分断の悲劇を避けることが出来た。所謂、ニューライトが指向するところに問わざるを得ない。一糸乱れない独裁なのか、強大国にたいする自発的従属なのか。
                                                         (訳 柴野貞夫)


(注)この社説筆者は、ソ連圏社会主義労働者国家の解体と、共産主義そのものを同一視するがそれは間違いである。スターリニズムの民族的一国社会主義の破綻は、逆に世界資本主義制度の破綻と捉えるべきであり、今、世界資本主義体制と“新自由主義”世界市場が人類の危機の根源であることを理解すべきであろう。帝国主義的市場に“民主的”と言う修飾語は言葉の矛盾である。中国共産党指導部が、“社会主義”市場競争と言う“新”概念を用いているのと会い通じている。