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(韓国・ハンギョレ 社説 2008年 4月29日付)
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/284828.html



               記憶しない歴史は繰り返される


親日(しんじつ)人名辞典に収録される人物4774名が公開された。“ウルサ(乙巳)条約(注1)前後から、1945815日の解放に至るまでの、日本帝国主義の国権侵奪と植民統治、そして侵略戦争に積極協力し、我が民族と、他の民族に被害を与えた尺度”と言う基準にしたがって、選定された人物らだ。8月辞典出版を控えて、最も重要な作業が一段落した。150余名の専門家が2001年から作業したので、おおよそ7年近くかかった。
辞典編纂は、単純に親日に対する審判を意味するものではない。これよりは、間違った過去を記憶して、反芻として、それと同じことが二度と繰り返されないようにすると言うことに、もっと大きな意味がある。他人に対する抑圧とか差別がない社会、戦争と侵略に反対し平和の価値を守る社会、個人の自由と人権を尊重する民主主義の社会に進む為の歴史的里程としての意味もある。
今回の作業は、純然に民間次元で成し遂げられた。民間機構である民族問題研究所と親日人名辞典編纂委員会が国民の寄金で完成した。国民の高い意識水準が誇らしいが、今も相変わらず、わが社会を覆っている親日の亡霊を見せてくれるので、錯綜している。事実、この作業は国でしなければならなかった。しかし、政治圏、財界、言論界をほしいままにする親日の亡霊に押され、乗り出す事は出来なかった。2002年、国民の政府は基礎調査に必要な最小限の予算(2億ウオン)支援を計画したが、国会はこれさえ、削減した。
保守・右翼団体らは、今も大韓民国の伝統性と体制を威嚇する親北(北寄りの)行為だと、辞典編纂を妨害している。ニューライト(韓国新右翼―注2参)系列の学者らは、甚だしきに至っては、日本の右翼の植民地近代化論を、そのままに借りてきて、日帝の併呑を美化し、親日を庇護する。イ・ミョンパク(李明博)政府は、併呑の歴史を隠して置くことが“実用外交”(イ・ミョンパク政府の中心路線・・訳注)だと、主張する。歴史は、単純な過去ではない。
今日の人生を照らす鏡であり、明日を目指して拓かれた真実だ。日帝の併呑は韓半島の分断と戦争を招来し、清算されない親日は、以後、イ・スンマン(李承晩)独裁、パク・チョンヒ(朴正熙)軍事政権などに引き継がれた。
記憶しない歴史は、繰り返される。間違いは許すことは出来ても、忘れるのは駄目だ。記憶の宝庫(報告)である親日人名辞典は、時代的逆流を克服して、歴史の正義を正しく押したて、平和の価値を高める里程標となるのだ。

(注1) ウルサ(乙巳)条約
190511月、ソウルに集結させた日本軍と憲兵隊、顧問警察の監視と言う暴力的威圧の下、天皇の親書を携えた伊藤博文は、朝鮮政府の閣僚をトクス(徳寿)宮に閉じ込め、国王の承諾のないまま「保護条約」の調印を迫った。これによって、日本天皇制帝国主義国は、朝鮮の「外交権」を奪い取り「朝鮮総督府」を通して、1909年の「日韓併合」へと向かい、朝鮮の植民地化を完成させる。総督府初代総監は、伊藤博文である。この、日帝の朝鮮侵略に対し、アジアの帝国主義的分割にしのぎを削っていた、露、米、英、は、公然非公然の支持を与えた。

                                                        (訳 柴野貞夫)

<参考サイト>

☆75 ニューライトの植民地支配と独裁礼賛