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 (民衆闘争報道) 「大飯原発3,4号基の再稼働に断固反対する」(2012615日)


                        [柴野貞夫時事問題研究会]声明

○我々は、日本の民衆の命と生活を守るために、関西電力・大飯原発34号基の再稼働に断固として反対する!!

日本政府と日本資本家階級が、原発の再稼働と原発産業に固執するのは、日本の核武装にその真の狙いがある!!

大飯原発再稼働に反対する、6.17福井全国抗議集会に参加しよう!
(福井県中央公園−福井駅から徒歩7分、2012年6月17日(日曜)正午から1430分まで集会、後示威行動 主催:「ふくいでつながろう」実行委員会)

   

   
    △写真後方は、関西電力本社ビル (写真 「美浜の会」



  

△霞が関・通商産業省前広場にある、「改憲阻止共同行動」を中心とする「脱原発テント」 首都での反原発運動の象徴的拠点となっている。(出処−ハンギョレ紙、キム・ドヒョン)



「国民生活を守るための再稼働」と言う欺瞞

2012
68日の記者会見で、野田首相は大飯原発の再稼働を、「国民生活を守ると言う判断の基軸」から推し進めると公言した。再稼働がなければ、「夏場の電力不足」が起こり、「計画停電」と「電力料金の値上げ」で、国民の生活が打撃を受けると言うのだ。

しかし、野田が言う、「夏場の電力不足が避けられない」とは、昼間数時間のピークを指すだけの話だ。そんなものは他電力会社からの融通、需要側のピークシフトで賄えるものだ。従って「計画停電となる」は、国民を虚構のシナリオで恫喝する脅し文句だ。「電力料金が高騰する」は、利益の比重の95パーセントを世界一高い日本の一般家庭電気料金で賄い、大企業の大口料金を格安にしている現行電気料金制度を隠蔽する国家と電気業界の陰謀だ。

しかも、そんな事よりも何よりも、「(原発の格納容器の損傷の可能性は)大引石が落ちてきたら地球がどうなるかと言う、ほとんど起こり得ない確率について大騒ぎする様なものだ」(20051225日・佐賀県・九州電力プルサーマル公開討論会議事録から、東京大学大学院教授 大橋弘忠の発言)と言う、原発マフィア達の犯罪的な安全神話の拡散の結果が生み出した福島の悲劇を、二度と引き起こす可能性のある原発再稼働を阻止する事こそが、「国民生活を守ると言う判断の基軸」ではないのか?!

原発は安全などと嘘を言い、人間の命を破壊し、人間が生きてゆかなければならない大地を、人間が永久に住めない死の世界にしてしまう危険極まりない原発を、如何なる科学的知見もなく、判断基準の正当性もない再稼働の強行を、国民は断じて許してはならない。

野田は、20111216日に、「福島原発事故は収束した」と言う見え透いた虚構によって、息を潜めて隠れていた原発マフィア達とともに、「安全神話」の崩壊によって暴露された「安全な原発と言うものはあり得ない」とする根底的問題を、「原発の安全論議」にすり替えて、全国54基の原発の再稼働を満を持して待っていた。

しかし、関西電力大飯原発・34号基の再稼働は、彼等が言う「安全論議」さえ、ないがしろにし、それを頭越しに押し推し進めようとしている事実が、今、山ほど指摘されている。

事故を拡大させる原発行政の問題点にも手をつけず、関電大飯34号原発の再稼働の前に最も不可欠な、福島原発の原因究明を放置し、現在進行形の福島原発事故の被害拡大を防ぐ手立ても終わっていない。それだけではない、大飯原発自体が持つ巨大事故の危険性を無視し、また、東電福島原発の爆発が生み出した県民の生活基盤の破壊に対する、(加害者である)国家と東京電力 の責務は何一つ全うされず見解決のままだ。―これらについて、以下に具体的に指摘しよう。


大飯原発34号基の再稼働には、如何なる科学的知見も根拠もない

○東電福島原発事故を究明する、国権の最高機関である国会が設置した事故調査委員会の報告さえ、まだ終わっていない。

○政府は、閣議決定で、原発の規制行政において、本来その安全を規制する機関が、それを推進する側と一体であった事実が深刻な事故を増幅させた事から、原子力安全・保安院を解体し「原子力規制庁」を作るとしながら、まだ手付かずだ。

○大飯原発には、放射能を外部に出すベント装置がなく、事故の際、従業員が避難する免振棟もない。さらに、防潮堤の嵩上げも行われていない。それは、福島よりもっと深刻な事態を予測させる。

○名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)と東洋大の渡辺満久教授(同)が、大飯原発の敷地内に「破砕帯」と言う軟弱な断層が複数あり、しかも同じ敷地内に15もの活断層が走り、これと連動する可能性を指摘している。

○福島原発災害は、「収束」どころか現在進行形の事故である。さらに巨大な惨事が拡散する危険性を、京大熊取原子力実験所の小出裕章氏が警告して来た。

「福島第4号基の1535本の「使用済核燃料棒」は、破壊され、むき出しとなっている冷却プールの中にある。プールの中は建物の破壊された物体で埋まり、燃料棒を移動するクレーンも破壊されている。今でも余震でぐらつくプール自体が、いつ崩壊するとも限らない。もし燃料棒が空気中に晒された場合、東京は死の町となるだろう。」と。プールは、コンクリートによって補強されたと言うが、放射能まみれの作業の中、十分な補強精度でないと言う指摘が、作業員によって告発されている。

○福島原発の爆発によって、現在も、「県内外への避難民は16万名に達している」(いわき市四倉町5区区長・渡辺義郎三)現在も放射線被爆を避けて、子供を中心に県外避難が続いている(6月現時点で、18才までの子供の県外避難は18000人に上っている。国家と東電は、子供たちの避難や疎開、保養を手立てする何等の責任を全うしていない。原発を推進してきた国家と、事故の直接的下手人・東京電力の犯行は進行形なのだ。


野田首相に対する、新潟県泉田知事のまともな反論

○(これまでに何度も事故を繰り返してきた)新潟県柏崎市と同県刈羽郡刈羽村に跨がって、7基の東電原発が立つ、新潟県知事、泉田裕彦は、68日の「野田総理の大飯原発再稼働声明」に対し、同日8日、新潟県HPで次の様に反論している。

「本日、野田総理が、大飯原子力発電所について<安全性を確認した>と表明しました。
  現在、福島原発事故はいまだ収束しておらず、事故の検証も進行中であり、換言すれば、意思決定過程や組織のあり方なども含めた事故原因の特定も行われていません。事故原因が特定されなければ、対策を講じることができないことは自明の理であり、専門家である原子力安全委員会も班目委員長が安全を確認していないことを明言しています。
  このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずもありません。
  実際、「福島を襲ったような地震や津波が起きても事故を起こさない。」と限定付きでの「安全宣言」であり、福島を襲ったものとは異なる直下型の地震等の場合は再び「想定外」という言い訳が通る説明になっています。
  「電源が失われるような事態が起きても炉心損傷に至らないことが確認されている。」との発言についても、現実には、「電源が失われなくても、炉心冷却に失敗すれば、大惨事になる」ということが福島の教訓であることを無視した説明です。
  さらに、政府の安全性の基準は暫定的なものであるとまで説明し、責任回避が可能な内容となっています。
  この他にも指摘しなければならない事項が含まれていますが、新たな安全規制機関も未設置であり、万が一の事態が生じた場合の対策も固まっていない中で、「安全を確認した」と表明することは、新たな「安全神話」を創造することとなり、極めて無責任であります。・・・国民生活を人質にして、安全を軽視した宣言となっていることは極めて遺憾であります。」と。


○大飯原発を始めとする福井若狭・敦賀・大飯の関電原発は、14基に達し、その多くが40年の経過を迎える老朽原発だ。その80km圏には滋賀・京都・大阪など、ほとんど近畿地方の大都市がひしめいている。まして近畿の水瓶である琵琶湖は、指呼の間にある。一つの原発事故は、関西・近畿圏、いや日本列島を死の街にしてしまうだろう。

以上の事実だけを取って見ても、野田と電力業界(関西電力)が、大飯原発34号基を再稼働する正当な根拠はどこにも見当たらない。


原発産業の維持に固執する日本政府と資本家階級の本当の狙い

さらに我々が強調しなければならないのは、福島原発事故が明らかにしたもう一つの問題は、原発それ自体が、本来持つ、「原爆と同じ核爆発の原理」に基づく技術的同一性が内包されており、核兵器の製造を準備し、これに繋がる条件を用意するものだと言う点である。

我々は、原発産業に懲りずにしがみ付く、日本資本主義階級とその国家が、電力業界と一体となり、「国民の命と生活を守るため」などと見え透いた詭弁を弄し、国民を恫喝しながらゴリ押しに進める「原発再稼働」の狙いが何処にあるのか。その一端を示すものが経団連会長の611日の定例記者会見の言葉にある。

「野田首相の'政治判断'を非常に高く評価している。」

この、日本資本家階級の執行委員長は、関電大飯原発34号基の再稼働は、科学的知見や根拠などはどうでもよく、また、国民の生命や生存を守るために必要な対応を優先すると言う人倫的理念よりも、当面する「政治的」目的に沿って判断をする事が必要だと言っているのだ。(かれは、国家とともに、原発を推進してきた資本家階級の代表として、福島原発事故によって被災した国民に、一度として頭を下げたことがない)
日本の資本家階級が、原発再稼働に固執し、電力業界と国家を動員し、日本の原発産業体制を維持しようとする目的とは一体何なのか。
日本は、核兵器を持たない国の中で、唯一、核の再処理が出来る国家だ。日本の多くの原発で、ウラニュームとプルトニュームによるMOX燃料を使用し、プルトニュームの安定的確保を図ってきた。使用済み核燃料から、プルトニュームを抽出する巨大な再処理工場が、青森県六カ所村にある。長崎型原発5000発以上を準備できるプルトニューム3040tを保持し、今も日本は、IREAの査察を受ける、れっきとした核兵器保有潜在国家である。
歴代の何人かの日本政府の首相が、朝鮮民主主義共和国の自衛的核武装を口実にして、日本の核武装の必要性に口を滑らしたことがある。
日本の産業界(電力業界)と日本政府が今安全性を無視し、且つ、ひた隠しにしてきた、原発に掛る膨大なコストにも拘らず再稼働に固執する意味がどこにあるのかは明らかである。

我々は、日本の民衆の命と生活を守るために、大飯原発34号基の再稼働に断固として反対するものである。
また同時に、日本政府と日本資本家階級の、飽くなき核武装の狙いを糾弾する為にも、全日本の原発の再稼働に反対するものである。


○福島県民と原発被災者に対する、国家と電力業界の棄民政策を糾弾する!

○国家と電力会社は、再稼働ではなく、被災者の救済を急げ!

○国家と電力会社は、再稼働ではなく、まず福島原発事故の全面的収束の手立てを急げ!

○日本は、核兵器の材料であるプルトニュームを直ちに処分せよ!

○日本の核武装につながる原発を、全て廃炉にせよ!

                                                  2012
615
                                                  柴野貞夫時事問題研究会
●参考サイト


反原発特集

☆日本を見る時事特集/福島第一原発事故は、原発をめぐる国家と電力会社の御用学者達の詭弁を断罪した [2011年4月11日更新]