(民衆闘争報道/柴野貞夫時事問題研究会の<声明> 2018年3月3日)
柴野貞夫時事問題研究会<声明>
(2018年3月3日)
総連本部に対する武力襲撃を企てた極右分子は戦争犯罪の清算を否定し、対北敵視政策に固執、「対話」を拒否する安倍政権が育てた申し子だ。
▲写真上 これは合成写真ではない。正真正銘のツウーショットだ。安倍晋三の横で仲良く肩を抱き合う男は、2009年当時、<在日特権を許さない市民の会>(在特会)関西支部長で<(拉致家族を)救う会大阪>の代表者―ヘイトクライム・デモの先導者・増木重雄である。(写真出処・増木重雄のHP―現在削除されている。) 増木は、当時2008年12月、兵庫県西宮市内の市立小学校・校長を教育内容に問題があると暴力的に威嚇し、翌年4月に暴力行為等違反容疑で逮捕された。安倍が知らないはずがない。
総連と在日朝鮮人の尊厳と人権を殺人テロで踏みにじろうとした極右テロ集団
去る2月23日午前3時50分頃、銃器で武装した2名の極右分子が、東京都千代田区にある、在日本朝鮮人総連合会中央本部(以下、「総連」と呼ぶ)ビルに向かって、配備していたはずの警官の目前で、拳銃数発を発砲した。犯人はその場で機動隊員に身柄を拘束された。極右活動家の川村能教、および桂田智司の2名だ。
彼等は、当局に顔を割られている札付きの前科者だ。その連中が、24時間の警備体制下で、深夜に車で乗り付け、警備中の機動隊員の面前で、彼らが銃器で襲撃をするのを防ぐ事が出来なかったのもおかしな話だ。我々が経験して来た様に、我が民衆のデモが、奴ら「在特」のヘイトクライム・デモの突入衝突事態で、機動隊はしばしば、我々民衆のデモを手荒く取り扱い、我々から奴らを守るしぐさをするのを見て来たが、警備する機動隊員たちは今回も周知の「仲間」が顔を見せに来た程度に考えたのである。
しかし、この日深夜(早朝)の事態は、日章旗の旗竿を振り回し、「朝鮮人、殺したろか」と、「憎悪発言」の金切り声をがなり立てる次元の問題では無い。単に、「ヘイトクライム」の次元の問題では無い。武力による殺人テロ行為が問題となっているのだ。
上記写真で、安倍と肩を組み、満面の笑みを浮かべる増木は、2008年12月、庫県西宮市内の市立小学校・校長を、教育内容に問題があると、暴力的に威嚇、翌年4月、暴力行為等違反容疑で逮捕された。2009年以降から、激しさを増した大阪鶴橋でのヘイトクライム・デモは、増木が主導したものだ。(彼は、逮捕を理由に、表面的に支部代表辞退のポーズをとっている)安倍晋三が、今回の総連襲撃犯と、深いかかわりがある事は、周知の事実だ。
今回、総連本部に対する武装襲撃に加わった桂田智司は、<在日特権を許さない市民の会>(在特会)の創設者で<日本第一党>代表の桜井誠といったヘイト運動家たちと連携。在特会などの関西在住メンバーらで結成された<チーム関西>に参加し、数々のヘイトデモを牽引して来た。
2013年、大阪・鶴橋でおこなわれた「日韓国交断絶国民大行進 in 鶴橋」デモで、桂田の子どもを使い、「いつまでも調子に乗っとったら南京大虐殺じゃなくて鶴橋大虐殺を実行するぞ!」と殺人予告スピーチをさせた衝撃的事件は、ネット上でも、深刻な反響を巻き起こした。今回の総連武力襲撃事件は、彼らが「ヘイトクライム」にとどまらず、「殺人」を実行に移し始めた事件として警鐘を乱打しなければならない。
襲撃犯たちは、東アジアで執拗に核侵略戦争を仕掛ける安倍を、「総連襲撃」と言う形で支持・激励し、「北」に対する国民動員体制の先兵となったのだ。安倍は、襲撃犯と共謀し、「朝鮮叩き・アジア人叩き」を通して、排外主義と民族優越主義を掻き立て、日本国民を戦争に引きずり込み、安倍政権を下から支える露払い役を託したのだ。「ヘイトクライム」は、必ず真正の武装テロリズムに深化するものであると世界の歴史の教訓が教えているが、日本のヘイト運動が、武装襲撃を開始した事実は、無視できない由々しき事態である。事態の深刻さがそこにある。
従来から、総連中央本部周辺は、極右集団の挑発行為が日常化され、総連と朝鮮公民の人権に対する不法な威嚇・脅迫行為が絶えなかった。日本国家は、それを野放しにし、むしろ利用して来た。「北」に対する日本人の敵対感情の醸成に役立つと考えているからだ。
2月23日午前3時50分の、総連に対する武力襲撃で逮捕された川村、桂田両名は、警察に対し、「朝鮮の核とミサイルに腹を立てた」と陳述したと言う。
安倍晋三は、日本国内に130余の米軍基地を容認し、海外での世界最大の核推進母艦基地、アジア最大の空軍基地、海外最大の海兵隊基地、その数さえ分からない程の核兵器と核弾頭を備蓄する、世界最大の米国の前線基地である日本が、朝鮮を、核先制攻撃対象として威嚇し続けて来た事実を棚に上げ、「朝鮮の核とミサイルに腹を立て」問答無用と戦争をけしかけているのである。「核の傘」の下で軍事同盟を結ぶ、寅の威を借るキツネが、核の保有国ではないと言う主張は詭弁である。「核の傘」は、「核による威嚇」と同義である。右翼チンピラと安倍晋三の貧しい思考回路は、何の違いもない。
朝鮮半島では、ピョンチャン冬季オリンピックを契機に、朝鮮高官の南訪問に応えて南側特使の派遣も決定し、南北和解は急ピッチで進んでいる。
しかし、周知の様に、五輪開会式に臨んだ安倍晋三は、2月9日、ムン・ジェイン大統領との首脳会談で、「平和五輪」の無事開会を祝福するのではなく、「五輪後の米韓合同軍事演習を必ず実施せよ」と、分断された同胞の70余年の念願を踏みつける、不埒極まる戦争挑発を主張した。
ムン・ジェインは、安倍の主張を内政干渉と一蹴し、南朝鮮の言論は、「安倍の行動は、平和オリンピックに灰をまき散らす行為」と非難した。日本外務省のホームペイジには、安倍の不埒な要求は記録されているが、ムン・ジェイン大統領の「内政干渉」と一蹴された記録は、削除されていた。安倍は、各国首脳が参集した晩餐会でメシも食わず、「記念撮影」にも立ち会わず、会場から米副大統領と共にとんずらした。
朝鮮半島は現在も、国際法的には「戦時」である。「朝鮮戦争」はまだ終わっていない。「停戦(休戦)状態」は戦争状態であり、「米韓軍事演習」と言う、米国のあらゆる核戦争資産を動員した「軍事演習」は、停戦を交戦状態にする不法な(「停戦協定」違反の)戦争行為である。唯、朝鮮が隠忍自重しているだけである。そして、この、「停戦状態」であるに過ぎない「朝鮮戦争」の当事者は、米国である。その米国に加担する事は、日本が米国と共に、当事者の一角に座ると言う事だ。まだ終わっていない「朝鮮戦争」で、「休戦状態」を何時戦争状態にするかもしれない「米韓軍事演習」をけしかける安倍の行動は、明確な戦争挑発であり、米国の北侵核戦争への加担である。朝鮮半島7500万余の朝鮮民族を核戦争の惨禍に投げ出すだけではない。米国の世界最大の前線基地・日本の国民を、三度も、核の惨劇の修羅場に晒す事になる。
朝鮮半島の火つけ強盗犯、日本国民を、核戦争の災禍に投げ込む戦争犯罪者集団である安倍政権は、今回の総連に対する武装テロ分子との関係性を含め、武装テロ襲撃に対する明確な政府見解を表明する責任がある、安倍晋三は、今回の総連襲撃犯と、深いかかわりがある事は、周知の事実だからだ。
我々柴野貞夫時事問題研究会は、今回の総連に対する殺人テロ事件に関して、以下の問題点を指摘し、各政党、諸団体に呼び掛けるものである。
●冬季オリンピックを契機として、南北和解と対話が進む中、米国の対北圧殺政策に便乗した安倍政権は、南北朝鮮民族の和解と対話の発展が、自らの軍国主義大国化の道と、戦争犯罪の清算拒否にとっての障害と考え、「対話の為の対話は無駄」だと言いながら、世界中で、「戦争行脚」を繰り返している、
安倍の、これ等「戦争挑発行為」を徹底的に糾弾する。
●安倍政権は、今回のテロを計画した背後組織に対する、徹底的な究明と処罰を遂行する責任がある。安倍自身が、これ等のテロ組織と関係がある疑いがあるからだ。
●共産党、立憲民主党、社民党は、安倍晋三と「総連・武力襲撃テロ分子」との接点を徹底究明せよ。
●安倍政権は、これ以上、極右排外主義者を跋扈・誘発を醸成させる、民族排外的政策(高校授業料無償化排除、朝鮮学校に対する教育補助金停止等)を中止しなければならない。
●総連と、「朝鮮籍」在日朝鮮人の日本国憲法と国際法の下での、平等な法的地位、尊厳と生存権への重大な侵害行為となっている、「独自制裁」を根拠とする不当極まる一切の総連弾圧を止めろ。
●ピョンヤン宣言、ストックホルム合意の無条件の履行こそ、朝鮮半島の平和を生み出す前提条件だ。核もミサイルも、「拉致問題」も関係ない。日本国家の植民地支配の歴史が突き付けた、自分自身が解決すべき問題だ。この課題を達成すれば、朝鮮半島の戦争の危機は必ず阻止できる。米国も戦争を挑発できない。日本国家と日本国民の責任は重い。
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