(民衆闘争報道) <翁長沖縄県知事の辺野古埋め立て承認取り消しを支持する奈良県集会>
2015年11月22日
翁長沖縄県知事の辺野古埋め立て承認取り消しを支持する奈良県集会(その1)
△オープニングでの<沖縄・奄美しまうた文化を考える会>公演
朝日放送「教えてニュースライブ正義のミカタ」差別放送に対する糾弾面会報告
奈良―沖縄連帯委員会代表 崎浜盛喜
奈良―沖縄連帯委員会の崎浜です。今日は、沖縄から沖縄平和センター議長・山城博治さんを迎え、翁長沖縄県知事の辺野古埋め立て承認取り消しを断固支持する、奈良県民集会にお集まり下さり、有難うございます。
国家が国家に救済を申し立てると言う一人猿芝居は、如何なる解釈からも容認出来ない暴挙
周知の様に、 10月13日 翁長知事は、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う前知事による沿岸部埋め立て承認を取り消すと、決定しました。翁長知事は、沖縄県民の総意を背景に、断固として辺野古新基地は認めないと決断しました。これによって、安倍政権の辺野古埋め立てと、新基地建設の法的根拠が完全に崩壊しました。辺野古新基地建設の国内法の根拠を失ったと言うことです。
しかし安倍政権は、(公有水面埋め立て法を所管する)国土交通相に対し、「行政不服審査法に基づき不服審査請求をする」とともに、「その裁決が出るまで、取り消しの効力を止める執行停止を求める代執行手続きを行うための訴訟」を、那覇高裁に提出しました。
知事の決定と権限を不法に踏みにじろうと企んでいます。行政不服審査法に依る請求とは、一体如何なるものでしょうか。
国家や行政組織による不法な処分から、国民の利益・権利を擁護し、救済する為に存在する国民保護の法律です。国家が国家に、救済を申し立てると言う、一人猿芝居を、如何なる解釈からも容認出来るものではありません。憲法9条1項、2項を蹂躙し、憲法学者の99パーセントが「違法」と断定した戦争法規の強権的採決同様、安倍政権の犯罪的不法行為は明らかであります。
翁長知事は国際社会に、日本政府による沖縄の自己決定権侵害を糾弾した
去る9月21日、ジュネーブの国連人権委員会で、翁長沖縄県知事は次の様に訴えました。
「沖縄の人々の自己決定権が、ないがしろにされている辺野古の状況を、世界中から関心を持って見て下さい。沖縄県内の米軍基地は、第二次世界大戦後、米国に強制接収されて出来た基地です。沖縄が自ら望んで土地を提供したものではありません。沖縄県内の米軍基地は、沖縄は、日本国土の0.6%の面積しかありませんが、在日・米軍専用施設の73.8%が存在しています。戦後70年間、未だに米軍基地から生まれる事件、・事故や環境問題が、県民生活に大きな影響を与え続けています。(中略)日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を一顧だにせず、美しい海を埋めたてて辺野古新基地建設を強行しようとしています。私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です」と。
朝日放送に対する糾弾面会を11月19日に実現、差別報道の問題点を糾弾
95年の米兵による少女暴行事件から数えるだけでも、どれだけの時間がたったでしょうか。長い歴史の中で、日本は沖縄に何をし続けて来たのでしょう。今日も、今も、この日本と云う国は、沖縄に何をしているのか。安倍政権は何をし続け様としているのか。しかし同時に、日本の国民は、この沖縄の現状と問題にどれだけ向き合っているのでしょうか。日本政府の横暴だけでは済まされないのです。政府による詭弁と弾圧と相まって、ネット上や、主要言論と放送メデイアが、安倍強権政治に迎合した報道を行なっています。特に沖縄に於ける辺野古の戦いに対して、沖縄の歴史と現実を捻じ曲げて、沖縄県民をおとしめる差別発言を垂れ流しています。沖縄県人の自己決定権をおとしめて、否定する為の露骨な攻撃です。
10月24日、朝日放送「教えてニュースライブ正義のミカタ」の放映内容は、お手元の資料に明らかな様に、多くの事実を捻じ曲げ、翁長知事や沖縄県人を愚弄し、差別する悪質な言動に溢れたものでした。我々は朝日放送に対し、抗議の公開質問状を送付し、糾弾面会を11月19日に実現させました。奈良と、大阪の連帯労組、港湾労組のメンバー7名と、抗議に賛同する団体の名簿を提示し、朝日放送のこの差別報道の問題点を糾弾し、彼らの見解を示させました。
朝日放送は、国連人種差別撤廃委員会の3度に亘る沖縄問題の勧告を知らなかったと弁解した
我々はまず、朝日放送は、沖縄問題が人権と差別の問題であることを認識しているのか問いただしました。
2008年、国連人権委員会は、沖縄の人々を「先住民族」と初めて認め、2010年には、国連人種差別撤廃委員会は、「沖縄の人々が被る持続的な差別について懸念を表明する。沖縄における軍事基地の不均衡な集中は、住民の経済的、社会的及び文化的権利の享受に否定的な影響があるという現代的形式の差別に関する特別報告者の分析を改めて表明する。
委員会は、沖縄の住民の権利を促進し適切な保護施策や保護政策を設けるために、沖縄の住民が被る差別をモニターすることを目的に、沖縄の代表者と広い協議を持つことを締約国に慫慂
する。」(下記資料2参照)と、 日本政府に 勧告しています。
国連人種差別委員会は、更に2014年には、「 委員会としては、ユネスコが沖縄の固有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにも関わらず、締約国(日本政府)が琉球・沖縄の人々を先住民と認識しない姿勢を遺憾に思う。」「 締約国が立場を見直し、琉球(沖縄)の人々を先住民として認識することを検討すると共に、彼らの権利を守るための確固たる対策を講じることを勧告する。委員会はまた、締約国が、琉球(沖縄)の人々の権利の促進と保護のため、彼らとの協議を深めることを勧告する。」(下記資料3参照)
沖縄への米軍基地の集中や沖縄に対する差別について、「現代的な形の人種差別だ」と認定し、差別を監視するために、沖縄の人々の代表者と幅広く協議を行うよう勧告し、日本政府は沖縄人の権利の尊重をすべきだとしているのです。安倍政権は、この勧告を全く無視しているのです。人種差別委員会は、条約締結国に対し4年ごとにモニターを行ない、勧告をしています。
然し朝日放送の番組責任者は、そのことを全く知らなかったと弁解しました。我々は朝日放送が、その様な沖縄問題への基本的知識や認識も踏まえずに、放送番組を制作・放映したことが、今回の、沖縄県民の人権を著しく踏みにじる事態を招いたのだと追及しました。
朝日放送は、篠原 章(元大東文化大学環境創造学部 教授)による、沖縄問題に対する数々の捏造と翁長知事・沖縄県人に対する差別発言を垂れ流してよいのか
●「普天間基地は、元々芋畑だった」
●「辺野古新基地は、単なるキャンプ・シュアブの改築」
●「反対、反対は、ごね得の為」
●「反対運動参加者の3分の2は、金を貰って動員された人」
●「翁長知事は本来反対ではない」
篠原と言う教授が、沖縄のスペシャリストと言う肩書で登場していました。この放送の題目が、「翁長知事が、政府への対応で泥沼化、沖縄の民意は本当に、移設反対なのか、」と言うものですが、篠原氏は、「普天間基地は、元々芋畑だったと云うのは、これは事実です。百田さんは、これを言って虐められました。」と、前NHKの右翼経営委員百田を擁護し、普天間基地の為に米軍の銃剣で追い出された県民を愚弄しました。
私は、改めて市役所に確認の電話を入れました。こんな放送が流されていますがどうですかと。そこには部落があり、県民を追い出して米軍が占領したとの回答でした。
朝日放送はこんな事実をどう考えるのかと追求しました。確認をしていないとのことでした。更に辺野古の新基地問題で、篠原は、「あれは大した基地ではないですよーと云いました。「あれは基地の改築です。現在あるキャンプシュワブを改築するだけです。」―と云っている。だったらキャンプシュワブに滑走路がありますか?軍港がありますか?美しい海を埋め立ててX字型の滑走路を造る。
篠原が、「反対、反対と言っていたら振興費が入ってくる」と言ったら、司会の東が「ごね得ですね」と念押しをする。振興費は、何も沖縄だけに出しているものではありません。政府がこれを出して、さも沖縄が潤っている様に云っている。篠原は沖縄に今まで10兆円ばかり投入されたと言う。それだけの金が投入されたなら、その金は何処に行ったのかと聞きたい。沖縄県民の所得が30万ぐらいになっていたら、そうかもしれない。しかし、未だに47番目です。振興予算も被災3県を除いて、6番目にしかありません。こんな嘘をどうして流すのだと追及しました。
そしてもっと悪い事には、辺野古の漁民には、5千万から7千万が配られていると言ったが、名護市役所に確認をしました。漁協と防衛施設庁との協議書は、黒で塗りつぶされて分からないとの回答です。日本政府は国民の税金を裏金として扱っているのです。沖縄・名護市民を分断する道具として税金を使っているのです。
沖縄で反対運動をしている人は、3分の2が本土の人だと。労働組合から金を貰って動員している。反対運動を仕事にしているのだとも言っている。「朝日放送は、島ぐるみ会議があるのを知っているのか」と聞きました。「各市町村で、島ぐるみ会議を作り、各市町村が、曜日を決めて、バスで座り込みに行っている。そんな事実を知っていないのか」と。
篠原は、最後に何を言ったか。「もともと翁長は、解決する気はない」云々、最後で出演者全員が大笑い。「沖縄問題を笑いのネタにするのか」と、怒りを込めて糾弾しました。
これは、単に見解の相違ではない。我々は、この放送を、人権侵害問題であり、回答如何によっては、放送倫理検証委員会に告発すると、連帯委員会その他連名で告発すると言明した
これ等を踏まえ、沖縄県民と翁長知事を侮辱したヘイトスピーチに対し謝罪せよ。朝日放送として返答せよと。要求しました。尚且つこれは人権侵害問題だと、回答如何によっては、放送倫理検証委員会に告発すると、連帯委員会その他連名で、告発すると言明して帰ってきました。回答如何によって、これからも糾弾を続けます。
我々は、辺野古新基地は、日本自衛隊の巨大基地を作ると言う狙いを明確に持っていると考えています
最後に二つだけ問題提起をしています。辺野古問題の核心的問題ですが、1960年台から70年代にかけて、米国は海兵隊を撤退させると言う方針を打ち出していました。1995年の少女暴行事件以降も、海兵隊のグアム撤退の方針を出していました。それを止めたのは日本政府なのです。モンデール-大統領も2004年にグアム移設を言明。しかしそれも日本政府が止めたのです。
なぜ日本政府がとめたのか。今辺野古は、普天間の代替え基地だと言っています。基本的にはそうでしょう。しかし、実態として代替えで済まないのです。普天間を遥かに超える機能と規模を持った全く新しい基地の新設なのです。しかも、この米軍基地は、将来を見据えて、日本自衛隊の巨大基地を作ると言う狙いを明確に持っていると我々は考えています。今日までの日本政府の動きは、そう考えると納得がいくのです。米国の極東アジアに対する軍事的支配で、日本に肩代わりさせると一方で、日本も、アジアの盟主をねらうと言う構図がみえているのです。アジアへの侵略戦争の最大の拠点として位置付けていると、私は考えています。それ以外考えられません。
だからこそ私達は全力を傾けて、この辺野古基地を阻止しなければならない。二度と沖縄を戦場にしてはならない。これからが正念場です。皆さんとの連帯を訴え報告に代えたいと思います。
<資料1> 琉球新報―二つの社説
1、沖縄の民意尊重を 国連人種差別撤廃委が日本に勧告(琉球新報記事 2014年8月30日 付)
国連の人種差別撤廃委員会は29日、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。「彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと」も勧告し、民意の尊重を求めた。琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策を促した。委員会は日本政府に対し、勧告を受けての対応を報告するよう求めている。
同委員会は2010年に、沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別だ」と認定し、差別を監視するために、沖縄の人々の代表者と幅広く協議を行うよう勧告していた。今回は米軍基地問題に言及しなかった。
最終見解は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄について特有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにもかかわらず、日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。「彼らの権利の保護に関して琉球の代表と協議するのに十分な方法が取られていない」ことに対しても懸念を表した。
また、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や、保護策が十分に行われていないと指摘。教科書に琉球の歴史や文化が十分に反映されていないとして、対策を講じるよう要求した。
最終見解は今月20、21日にスイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所で開いた対日審査の結果を踏まえ、まとめられた。
対日審査では沖縄の米軍基地問題に関して、委員から「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることが大変重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだが、最終見解では触れなかった。
日本に対する審査は、日本が1995年に人種差別撤廃条約の締約国になって以来、2001年と10年に次ぎ、今回が3回目。
2、国連委員会勧告 国際世論を沖縄の味方に(琉球新報社説2014年8月31日付)
http://ryukyushimpo.jp/editorial/prentry-230873.html
昔からそこに住む人たちの意思を一顧だにすることなく、反対の声を力でねじ伏せ、軍事基地を押し付ける。地元の人たちが大切にしてきた美しい海を、新たな基地建設のために埋め立てる。
国が辺野古で進める米軍普天間飛行場の代替施設建設は、海外の目にはそう映るに違いない。
国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。
沖縄の民意を尊重するよう求めており、「辺野古」の文言は含まないが事実上、沖縄で民意を無視した新基地建設を強行する日本政府の姿勢に対し、警鐘を鳴らしたとみるべきだ。
国連の場では、沖縄は独自の歴史、文化、言語を持った一つの民族としての認識が定着してきたといえよう。2008年には国連人権委員会が沖縄の人々を「先住民族」と初めて認め、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は2009年、琉球・沖縄の民族性、歴史、文化について固有性を指摘した。
それに対し、国は沖縄を他県と同様に日本民族として、人種差別撤廃条約の適用対象にならないと主張している。
沖縄はかつて琉球王国として栄え、他県とは違う独自の文化遺産、伝統的価値観を今なお持っている。明治政府によって強制的に併合され、日本の版図に組み込まれ、主権を奪われた。これは琉球の歴史から見れば、ほんの百数十年前のことだ。
国は、他県ではおよそ考えられないことを沖縄に対しては平然と強いる。これが差別でなくて、何を差別というのか。
歴史的経緯を踏まえ、国は人種差別撤廃委員会が出した最終見解に従い、真摯(しんし)に沖縄に向き合うべきだ。
最終見解では、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や保護策が十分取られてないことにも言及している。沖縄側の努力が足りないことは反省すべきだろう。
自己決定権の核となるのがアイデンティティーであり、その礎を成すのは言葉だ。しまくとぅばを磨き、広め、自らの言葉で自分たちの未来は自分たちで決める権利を主張したい。
国際世論を味方に付け、沖縄の主張を堂々と世界に向け訴えていこう。道理はこちらの方にある。
<資料2> 人種差別撤廃委員会の最終見解(2012年2月15日〜3月12日)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/pdfs/saishu3-6.pdf
「 21.ユネスコは沖縄の固有の民族性、歴史、文化、伝統並びにいくつかの琉球語を認めている(2009 年)ことを強調するとともに、委員会は、沖縄の特色に妥当な認識を示そうとする締約国の 姿勢を遺憾に思い、沖縄の人々が被る持続的な差別について懸念を表明する。さらに、委員会は、沖縄における軍事基地の不均衡な集中は、住民の経済的、社会的及び文化的権利の享受に否定的な影響があるという現代的形式の差別に関する特別報告者の分析を改めて表明する(第2条及び 第5条)。
委員会は、沖縄の住民の権利を促進し適切な保護施策や保護政策を設けるために、沖縄の住民が被る差別をモニターすることを目的に、沖縄の代表者と広い協議を持つことを締約国に慫慂する。」
<資料3> 人種差別撤廃委員会による日本に関する調査最終見解(2014年8月20日、21日)
(琉球・沖縄問題の項)
「委員会としては、ユネスコが沖縄の固有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにも関わらず、締約国が琉球・沖縄の人々を先住民と認識しない姿勢を遺憾に思う。琉球について、締約国が沖縄振興特別措置法を根拠に措置を講じていることは留意しつつ、委員会としては、彼らの権利保護について琉球(沖縄)の代表者との十分な対話が
なされていない点を懸念する。委員会はまた、消滅の危機に瀕している琉球語の促進及び保護のための十分な対策がなされていないという点、また、琉球(沖縄)の人々の歴史と文化が正確に学校の教科書に反映されていないという点の情報に懸念を表明する(第5条)。
委員会は、締約国が立場を見直し、琉球(沖縄)の人々を先住民として認識することを検討すると共に、彼らの権利を守るための確固たる対策を講じることを勧告する。委員会はまた、締約国が、琉球(沖縄)の人々の権利の促進と保護のため、彼らとの協議を深めることを勧告する。委員会としては更に、締約国が琉球語を消滅の危機から守るための方策導入をスピードアップし、沖縄の人々の琉球語での教育を促進し、学校カリキュラムで用いられる教科書に沖縄の人々の歴史と文化を加えることを勧告する。」
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