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(民衆闘争報道 <大阪朝日放送の沖縄差別番組に対する放送倫理検証委員会・放送人権委員会への申立書 2016年1月15日)


申 立 書



放送倫理・番組向上機構

放送倫理検証委員会・放送人権委員

                                  申立年月日      20161月13
                                  申立人名        崎浜 盛喜
                                        住所   奈良市朱雀4丁目7
                                             TEL
 0742710535

                                        申立団体名 奈良−沖縄連帯委員会
                                        代表者名  崎浜 盛喜
                                        事務局 奈良市法蓮町432−1中企連内
                                              TEL  0742347007
                                              FAX  0742338154

1.放送局名  朝日放送株式会社
2.番組名  「教えてニュースライブ正義のミカタ」〜「翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消し!政府と対立で泥沼化・・・沖縄の民意は本当に移設反対なのか?翁長知事の本当の狙いとは?」
3.放送された年月日と時間帯 2015年10月24日(土)午前10時台

朝日放送(株)の番組「教えてニュースライブ正義のミカタ」が10月24日(土)に放映した「翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消し!政府と対立で泥沼化・・・沖縄の民意は本当に移設反対なのか?翁長知事の本当の狙いとは?」は、事実をねじ曲げたばかりか意図的に捏造し、もって沖縄人と県民、翁長県知事を差別・侮辱したヘイトスピーチ(差別憎悪煽動)放送である事を告発します。

T.経過報告

 私の「本籍」は沖縄県中頭郡北中城村字瑞慶覧です。海兵隊の「キャンプ・ズケラン」は、元々私の故郷です。沖縄から奈良市に移住してから約50年になります。
 去る10月24日(土)、朝日放送の番組「教えてニュースライブ正義のミカタ」が「翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消し!政府と対立で泥沼化・・・沖縄の民意は本当に移設反対なのか?翁長知事の本当の狙いとは?」(以下「本件放送番組」とします)と題して放映されました。
 しかしながら、この放送の録画を点検しましたところ、放送内容は極めて悪質で事実をねじ曲げ、翁長沖縄県知事や沖縄人と県民を愚弄し、差別に満ちたヘイトスピーチそのものでした。私たちは、11月1日付けで朝日放送に「抗議声明及び公開質問状−朝日放送『教えてニュースライブ正義のミカタ』−翁長沖縄県知事と県民を愚弄する差別放送を糾弾する!! 篠原の『元々普天間基地はいも畑』『県民はたかりの名人』発言をはじめ、司会者・出演者の事実を歪曲し、悪質で意図的なヘイトスピーチを許さない!!」と題した「抗議声明及び公開質問状」を提出しました(別紙@)。11月12日付回答書が届きました(別紙A)。
 11月13日付で「抗議声明」への賛同団体署名(別紙B)を集め改めて抗議をしました。11月14日(土)には、前泊博盛先生(沖縄国際大学)が同番組に「急遽」出演されて、沖縄の基地問題を、普天間飛行場と辺野古新基地問題を中心に事実に照らして、その本質的な問題についてお話をされました。それは、我々沖縄人・県民、そして翁長県知事の思いを日本本土の国民・住民に伝える事が出来た意義のある番組であったと思います。だからといって、前回の「差別放送」が帳消しになるものでは決してありません。
 11月19日(木)に朝日放送本社(大阪市)に於いて、朝日放送(株)からは井上隆史広報部長を始め3名が応対され、我々は当委員会を始め部落解放同盟奈良県連合会、奈良平和フオーラム、全日本建設運輸連帯労働組合、全日本港湾労働組合、しないさせない戦争協力関西ネットワークの各団体代表が参加して抗議の話し合いを午後3時半から5時過ぎまで行いました。
 その話し合いで、私は「(この番組放送によって)沖縄人として侮辱され、人権を侵害され、憤怒に耐えません。大変な精神的苦痛を受けました。放送局として、沖縄問題を人権問題として捉え返し、反省と謝罪をしていただきたい」と厳しく抗議し、文書での謝罪を要求しました。しかしながら、朝日放送からの回答はありませんでした。それ故、12月8日付で「再度の抗議及び謝罪要求」を提出しました(別紙C)。
 これに対する回答書が、12月18日付で届きました(別紙D)。 前回同様、放送局としての使命感が欠落し、かつ形式的で自己保身的で、何よりも人権侵害を無視した内容でした。
 以上が、本件に関する今日までの経過です。

U.本件放送番組の問題点について

 本件放送番組は、明らかに「放送法」第2章放送番組の編集等に関する通則の(国内放送等の放送番組の編集等)の第4条、第3項「(3)報道は事実をまげないでする事」に違反しています。また、日本国憲法第14条に規定された【法の下の平等】「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」に違反し、2010年3月、第76会期国連人種差別撤廃委員会の勧告にも違反しています。
 以下、放送の具体的な問題点について言及します。

1.事実をまげた放送が行われた
(1)「沖縄問題」は、「安保・軍事基地」問題でもあるが、本質的な問題は「差別・人権」問題です。
 2007年の国連総会において「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択され、先住民族には「自己決定権、平和的生存権、文化権」等々あらゆる権利を有すると明記されました。さらに琉球(沖縄)に関しては、前述の第76会期国連人種差別撤廃委員会が次のような勧告を日本政府に行いました。
「ユネスコが数多くの琉球の言語、そして沖縄の人びとの独自の民族性、歴史、文化、伝統を認知したことを強調しつつ、委員会は、沖縄の独自性について当然払うべき認識に関する締約国の態度を遺憾に思うとともに、沖縄の人びとが被っている根強い差別に懸念を表明する。委員会はさらに、沖縄への軍事基地の不釣り合いな集中が、住民の経済的・社会的・文化的な権利の享受に否定的な影響を与えているという、現代的形態の人種主義に関する特別報告者の分析をここで繰り返す」と。
 つまり国連は琉球人を独自の民族として認識し、米軍基地の押しつけを人種差別として考え、義務教育のなかで琉球語による教育を求めるとともに、差別の監視や権利保護に関して琉球側と協議するように日本政府に勧告したのです。この「勧告」について朝日放送の見解を質したところ、認識していないとのことでした。
 沖縄問題の極めて重要な「差別と人権」問題に対する無知、無理解、無関心が、今回の「差別放送」の根底にあると思います。
2)放送法違反(事実の歪曲)、かつ沖縄人・県民、そして翁長県知事を侮辱したヘイトスピーチそのものです。
 朝日放送の回答にある「ニュースについては、『正しい』『間違っている』と結論づけるのではなく、賛成反対も含めニュースの様々な見方」という見解については、11月19日の抗議行動当日にも指摘したとおり、大きな疑義と問題点があります。
 報道倫理に照らしても、報道は事実を述べなければなりません。その事実に照らして、視聴者や国民・住民がどのように考えるのか、判断するのかが重要な問題であると考えています。
 しかしながら今回の放送は現在問われている「沖縄基地問題」について、基本的な事実をねじ曲げ、改竄したことが放送局として許されない問題であること、なおかつこの差別言動によって沖縄人と県民、翁長県知事を侮辱し、差別した行為が問われている事を我々は厳しく糾弾しました。
 主な内容をここに列挙し、その問題点について見解を述べます。
@「元々普天間基地はいも畑」 〜沖縄基地問題の原点を歪曲〜
 「沖縄のスペシャリスト篠原章先生」は、手書きのテロップ「翁長知事は実は辺野古移設を望んでいる。県民も移設に大賛成」を示した上で次のような発言をしました。「沖縄県や知事なんかは新基地だと言ってるけど、新基地じゃなくて改築なんです」
 これは事実と明らかに違います。現在のキャンプ・シュワブには、滑走路や軍港は一切存在しません。オスプレイが離発着する1800mV字型滑走路、海兵隊の強襲揚陸艦が寄港する軍港=軍事要塞基地が建設されるのです。これが新基地でなくてなんなのでしょうか。「元々普天間基地の周りはサトーキビ畑と、あの・・・いも畑、まあ百田さんはそれ で虐められたんですけども、ほんとにさつまいも畑だったんですよ」「事実です。田んぼもありましたけども」
 これらは、あまりにも「沖縄基地問題」の本質を隠蔽し、国民・住民を欺く極めて悪質な虚言そのものです。百田氏の「差別・暴言発言」を擁護する発言は、篠原氏が「(政府に反対する)マスコミは潰してしまえ」と同じ考え方だということです。
 普天間基地が存在する宜野湾市役所に再確認をしたら「元々宜野湾村の宜野湾部落を中心に人々が生活、住んでいた地域(役場や国民学校などが存在)を、沖縄戦の時米軍が占領して強制的に土地を接収し、日本本土への爆撃基地として普天間間基地が造られた」との回答でした。上記の篠原氏の発言は、歴史を無視するどころか、書き換える「虚言」「暴言」による改竄そのものです。
 前述したように私の故郷は、沖縄県中頭郡北中城村瑞慶覧(ずけらん)。1945(昭和20)年4月1日沖縄島本島に上陸した米軍は、その日に瑞慶覧に侵攻し「名幸のガマ」にガス弾をぶち込み約80人もの人々を虐殺しました。住民を捕虜収容所に強制収用している間に130世帯余の家々を破壊し、米軍基地を建設したのです。現在の海兵隊基地、「キャンプ・ズケラン」が私の故郷です。普天間基地はその南方にあります。
 沖縄の米軍基地は、沖縄戦で勝ち誇った米軍が沖縄人の土地を強制接収し、「銃剣とブルドーザー」によって建設されたのです。ここに沖縄基地問題の原点があります。朝日放送や出演者の皆様方には、この歴史的事実が全く理解されていません。この米軍の軍事占領支配下で、我々沖縄人と県民は、戦後70年もの長い間、人権と生命を蹂躙されてきたのです。それは現在も変わりがありません。
 なお米国の海兵隊は、朝鮮戦争の時に米国本国から日本の岐阜県や静岡県等に移駐してきました。しかし、1950年代の「本土」における反基地闘争の激化を恐れた日米両政府が、50年代後半から60年代にかけて、当時米軍の占領下にあった沖縄に海兵隊を再移駐させたのです。普天間基地には1960年に移駐し、空軍基地から海兵隊基地になったのです。
A辺野古の漁民と土建業者がぼろ儲け〜悪質な侮辱発言
 <漁業補償金>について、篠原氏は、次のように発言されました。「支払われた漁業補償は32億円」「平均は3000万円ですけども、辺野古の漁業組合員は5000万円から7000万円で、基地と関係がない西海岸などの漁業の組合員は2000万から3000万くらい」
 名護市役所に尋ねると「市役所には一切報告がない。漁業関係者の補償金の関係書類は、重要な箇所が黒色で塗りつぶされている」という、「基地対策係」の担当者の答えでした。篠原氏は、何を根拠に発言されたのですか。この補償金は、日本国民の貴重な税金です。
沖縄防衛局(日本政府)は、漁業補償の経過や内容を名護市や沖縄県、そして全国民に全く説明せずに「裏金」のごとく扱っています。
 名護市民をいがみ合わせる卑劣な差別・分断政策を行っています。この沖縄防衛局(日本政府)の卑劣な政策こそ第一に問題すべきではないのでしょうか。
 沖縄の土建屋が儲かるために、建設計画を現在の計画に変更した」とも発言しました。美しい自然環境を破壊して、人殺しの軍事基地を建設する、それによって日本本土のゼネコンや地元の零細業者が儲かる。しかしながら、軍事基地によって被害や犠牲を受けるのは一般県民・住民です。こんな理不尽は許せません。だから、沖縄の人々は、新辺野古軍事基地建設を止めようと主張しているのです。
 現在マスコミ各社の県民世論調査では、約70%から80%の県民が新基地反対を訴えています。これが沖縄の民意と思いますが、この状況を直視すべきではないでしょうか。「(埋め立て)土砂はタダ」この発言について沖縄防衛局に尋ねると、「そんな事ありません」との回答でした。大型トラック350万台分の土砂で、大浦湾のちゅら海を破壊しようと企む日本政府の蛮行を批判することなく、「土砂はタダだから、沖縄の土建屋が儲かる」と、事実をねじ曲げた悪質な差別発言そのものです。
B沖縄人と県民はたかりの名人!?〜日本政府の沖縄差別政策を意図的に隠蔽する差別発言
 さらに篠原氏は、次の発言を行いました。「(沖縄振興予算)これは47都道府県ありますが、沖縄だけに特別に認められている振興予算でして、毎年3000億円以上なんです」「基地の見返りです。ですから基地反対運動が激化すると、この予算は増える傾向にあるわけです。国の方がより沢山小遣いを上げる。」 これに賛成するかのように、司会者の東野さんは、次の発言を行いました。「反対、反対、と言葉は悪いですが、ごねればごねるほど金額が上がっていく。」
 引き続いてテロップ「基地が無くなった方が経済が活性化して儲かる。沖縄は年間1兆円の経済効果が見込まれる。」を流した上で、 高橋洋一氏が下記の発言を行いました。「こんなにも経済効果があるのなら沖縄予算なんか無くなっちゃいますよ。・・・沖縄予算を増やすためになら言っちゃたらまずいですよ。」
 まさに、沖縄人と県民は、「お金のためには、どんな悪どい事もする、低劣な人間だ」と言わんばかりの悪意に満ちた差別発言の乱発、ヘイトスピーチそのものである、と断じざるをえません。あのメア元沖縄総領事の差別発言「沖縄人はごまかしとゆすりの名人」と同根にほかなりません。
C「沖縄振興予算で沖縄は優遇されている」〜虚言を弄し、県民を愚弄する差別扇動発言
<「沖縄振興予算」とは、沖縄だけ通常予算にプラスしてもらっているという意味のお金ではありません。他の都道府県ももらっている「国庫支出金」とほぼ同義のお金です。内閣府の沖縄担当部局が窓口になり、各省庁の予算をまとめて一括計上しているという特殊な仕組みの予算にすぎません。>

<もともとは27年間、米軍占領下にあったために遅れた、道路や橋などの社会資本や生活基盤の整備を進めて、他の都道府県と同じレベルにするためのものです。>

<3千億円前後の沖縄振興予算も含め、国から沖縄県に入ったお金は、1人当たりで計算すると、被災3県を除いて、島根、高知、鳥取、秋田、青森に次ぐ6番目。1位の島根県(69万4千円)の4分の3にとどまります。>(以上、木村司著『知る沖縄』朝日新聞出版2015年)
 この現実と事実をどのように考えますか。我々沖縄人と県民は、「振興予算はいりません。軍事基地を無くしてください」と主張しているのです。今までは自民党沖縄県連と自民党本部が手を組んで(これこそ軍事基地で金儲けをしたのだが)「米軍基地によって沖縄は潤う」政策が中心でした。
  しかし、1972年の沖縄返還当時は沖縄経済全体の約15.5%を占めていた基地経済は、現在では約5%前後で推移しています。返還された軍用地の跡地利用は、那覇市新都心地区では雇用者数が93倍の1万5560人となり、税収効果をみても16億円から199億円と31倍に増加するという絶大な経済効果を生みだしています。
 現在では、翁長県知事をはじめ経済界や経済学者等が「米軍基地は沖縄経済発展の阻害要因」と断言しています。「沖縄は米軍基地のおかげで潤っている」は、もはや「神話」となりました。
D「県民の総意」である新基地反対運動への誹謗・中傷
「辺野古の反対運動の3分の2は本土から。仕事です、日当も労働組合から出ています」
沖縄の民意として辺野古新基地反対運動は「島ぐるみ」で闘われていす。
「島ぐるみ会議」(<普天間基地の県内移設断念とオスプレイ配備撤回を掲げる「沖縄建白書」の実現を目指し、未来を拓く島ぐるみ会議>)の活動
@、市町村レベルで結成し、各市町村ごとに辺野古行動日を決めて、バス等で辺野古への抗議行動を行っている。
A、那覇から辺野古直行バスを毎日運行している。
B、沖縄県民はもちろんの事、「本土」からの抗議行動参加者も増加している。
「普天間・辺野古問題」は、日本全国住民の問題だ。「本土」から抗議行動に参加するのは当然の事であり、むしろ知らんふりし、無視している日本本土国民こそ問題ではないか。
 C、毎日2〜300人が座り込みの抗議行動を行っている。
 これらの人権と平和を守る崇高な運動に対して「3分の2は本土から」とか「労働組合から日当が出ている」といった、全く事実無根、事実をでっち上げて反対運動を誹謗中傷する言動は、この番組に一貫している「沖縄人と県民を、さらには翁長県知事を侮辱し、愚弄するヘイトスピーチ」そのものであり、決して許されるものではありません。
E「翁長沖縄県知事はウソつき」、屈辱的差別発言を糾弾する!! 最後の場面がこの番組のクライマックス、象徴的場面です。篠原氏の発言です。
「仲井真さんと翁長さんが仲が悪くなった。それで知事選で闘った。仲悪くなった理由はいろいろあって・・・」「(翁長知事は辺野古問題を)解決する気ないですよ」「共産党や支持者に面目が立つ」「(翁長知事は)誰も止めてくれないと文句を言っている」(出演者一同笑い)
また、この番組の冒頭に「ほんこん」さんは次の発言を行っています。「翁長さんが言っているのは反対、反対で、その前の仲井真知事の時は推進派だったのに、コロッと変わっている」「反対派の人のイントネーションがなんか沖縄っぽくない人もいるんですよ。」
 全く事実誤認・認識不足も甚だしい上に、 最後は「笑い」で終了ですか。「沖縄問題」を「お笑いのネタにした」ということですか。沖縄人と県民の民意、そして人間としての尊厳と人権を守るために、全身全霊をかけて奮闘されている翁長県知事に対して、それも事実をねじ曲げての悪意に満ちた侮辱的、屈辱的差別発言は、絶対に許せません。
 仲井真元知事と翁長さんは、元々辺野古反対論者であり、そもそも仲井真さんは自民党の候補者として県外移設を公約に掲げて当選しました。しかしながら、知事になった仲井真さんは、2013年12月に公約を破って「辺野古埋め立て承認」を行ったのです。しかも、自民党政府に脅かされ、「振興予算」をエサに、東京の病院に入院して(仮病?)の「決定」でした。政治家として、人間として、決して許されない恥ずべき行動でした。この県民への裏切り行為に怒った翁長雄志氏が、2014年11月の県知事選に立候補して、約10万票という圧倒的大差で当選しました。名護市長選挙、県知事選挙、衆議院選挙、沖縄県民は「普天間飛行場即時撤去」「辺野古新基地建設反対」を選択したのです。これこそが「沖縄の民意」に他なりません。
F沖縄の願いは、人間としての尊厳と人権を尊重すること。翁長沖縄県知事は、2015年9月21日、国連人権理事会において次の声明を発表しました。
@、沖縄人の自己決定権や人権がないがしろにされている現状と自己決定権確立。
A、米軍基地は沖縄人が自ら提供したものではなく、米軍によって強制収用されて造られたという歴史的原点の確認。
B,  現在の軍事基地による事件・事故、深刻な人権侵害・環境問題。
C、自国民の自由、平等、人権、民主主義が守れない日本国がどうして世界の国々と価値観を共有できるのか、と批判。
D、日本政府は沖縄の民意を一顧だにせず、美しい辺野古の海を埋め立て、辺野古新基地建設作業を強行しようとしている。あらゆる手段を使って阻止する、と宣言。
 これらが翁長沖縄県知事の覚悟であり、沖縄県民の総意であります。 翁長県知事と沖縄人、県民・住民の願いは、蹂躙されている人間としての尊厳、人権を回復することです。日本政府は、「沖縄県民に寄り添う」「基地負担軽減」等と繰り返し、繰り返し強調してきました。しかし、日本政府は沖縄の民意を全く無視し、踏みにじって、辺野古新基地建設を強権発動=国家権力の暴力によって強行しています。
 昨年、中谷防衛大臣は、佐賀県に「オスプレイ訓練の佐賀空港移転」を要請しました。しかし、佐賀県に「危険な訓練は受け入れられない」と断られると、いとも簡単に訓練要請を撤回しました。沖縄県の全市町村長や議会の「オスプレイ反対」の意見を無視して配備を強行したのに、一体全体どういう事でしょうか。明らかに日本政府の沖縄差別政策です。
 朝日放送の本件放送番組は、このような日本政府のあからさまな沖縄差別政策に同調するかのごとく、我々の人間としての普遍的な願いを踏みにじり、事実を故意に歪曲し、「たかりの名人」と罵り、暴言を吐き、笑いものにしました。我々沖縄人と県民・住民の人間としての尊厳と人権を泥靴で平然と蹂躙しました。報道機関として、人間として決して許されるものではありせん。
 以上のように本件放送番組並びに朝日放送の11月30日及び12月18日付「回答書」は、以下に掲げる点において、極めて重大な疑義と問題点があります。
1.人権問題としての沖縄基地問題に対する無知及び無理解。
 2010年3月、第76会期国連人種差別撤廃委員会が次のような勧告を日本政府に行いました。「 沖縄の人びとが被っている根強い差別に懸念を表明する。委員会はさらに、沖縄への軍事基地の不釣り合いな集中が、住民の経済的・社会的・文化的な権利の享受に否定的な影響を与えているという、現代的形態の人種主義に関する特別報告者の分析をここで繰り返す」と。従って「沖縄問題」は、極めて重大な差別・人権問題であるという認識が朝日放送には欠落していること。
2.「放送法」(「事実をまげないでする事」)違反が明白であること。
 この差別放送は、明らかに「放送法」第2章放送番組の編集等に関する通則(国内放送塔の放送番組の編集等)の第4条、第3項「(3)報道は事実をまげないでする事」から明白に乖離し、それに違反しています。放送局としての社会的使命に基づいた責任ある謝罪をなさなければなりません。
3.「自主・自律」は、国家権力に対する規範ではないのか。
 朝日放送の回答には「自主・自律で番組を編集し」とありますが、「自主・自律」とは、国家権力からの圧力や報道統制・規制に対する報道機関としての「自主・自律」に他なりません。視聴者や国民・住民の意見について真摯に向き合い、明確で的確な対応をすべきではないでしょうか。私と我々に対する回答や対応は、あまりに形式的で「放送局が間違いを犯すわけがない」と言わんばかりの横暴・横柄な対応そのものです。報道機関としての基本姿勢が問われています。
4.歴史的・現在的事実を歪曲し、沖縄人・県民全体を誹謗・中傷した一連の言動は、明らかに差別・侮辱発言、ヘイトスピーチそのもの。
 この番組に通底しているものは「沖縄基地問題」への反対意見ではありません。篠原氏を始め出演者は、まず「普天間基地は、元々いも畑であった」などと主張する事によって、沖縄基地問題の本質を歪曲・隠蔽しました。そして辺野古新基地反対運動を「一部の人々」と矮小化する事によって「沖縄の民意」を踏みにじりました。
 さらには新基地建設に「賛成」していると思われる「土建屋」「漁民」や平和と人権尊重を願う「沖縄県」を「ゆすり・たかりの名人」と揶揄することによって、沖縄人・県民全体を侮辱したのです。あげくの果てに、翁長沖縄県知事は「ウソつき」と悪罵を投げかけ、笑いものにしました。結局のところ、番組全体に通底している問題は、沖縄人と県民、そして翁長県知事を侮辱し、沖縄県民にとって屈辱的なヘイトスピーチ(差別憎悪扇動)となっている事に他なりません。
 本件放送番組の問題点は、以上の通りです。

V、放送倫理・番組向上機構におかれましては、以下の点についてご検証いただきますよう心からお願いいたします。

1.本件放送番組の問題は、何よりも沖縄人と沖縄県民ならびに翁長知事に対する侮辱的・屈辱的な差別発言、ヘイトスピーチ(差別憎悪扇動)であるという、我々の抗議内容をまずご検討されたい。それをふまえられる事を切に希望します。
2.以上の点をふまえて、朝日放送が本件番組の問題と真摯に向き合い、沖縄人・県民、翁長県知事への謝罪と日本本土国民・住民に誤解を与えたことへの謝罪をするよう、ご指導をしていただきたい。
3.朝日放送が反省と謝罪に基づき、今後「沖縄問題」の根本的解決のために、沖縄への構造的差別・自己決定権の侵害状況等の沖縄問題に関する番組を制作するようご指示をしていただきたい。
4.さらに今後、このようなヘイトスピーチまがいの番組を放映しないために、朝日放送局内の体制作りをどのようにされるのか、ご指導をしていただきたい。
5.貴機構に於かれましては、「沖縄問題」に関して認識をあらたにされ、ご理解を深めていただければ幸いです。
以上、よろしくお願い申し上げます。

 

 

関連サイト

朝日放送に対する再度の抗議および謝罪要求(2015年12月8日)

http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_130.html

翁長沖縄県知事と県民を愚弄する朝日放送の差別報道を糾弾する(2015年11月5日)

http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_127.html