ホームページ タイトル

 

民衆闘争報道 「NHK受信料裁判第2回口頭弁論」(於・奈良地方裁判所大法廷―2016年5月13日)
「NHK受信料裁判・第2回口頭弁論」記録


      放送法を蹂躙し安倍政権の宣伝機関となった
                  NHKの報道姿勢が、全面的に糾弾された


奈良地裁に、支援者200余名が結集
第2回口頭弁論後、奈良地裁・ 森川さつき裁判長が、不当にも口頭弁論を打ち切ろうとし、弁護団は、直ちに忌避(きひ)申し立てを行った。

 
▲2016年5月13日午後、第二回口頭弁論後、奈良地裁横広場で、写真左―支援者に報告をする佐藤弁護団長、右―4万数千円の支払いを拒否、全面的にNHKと争う事にした奈良在住の受信契約者(写真出処―柴野貞夫時事問題研究会)

 

▲報告集会に参集した支援者、200余名(写真出処― 柴野貞夫時事問題研究会)

●放送法を、遵守する義務を履行しない原告(NHK)の報道姿勢に対し、被告(受信契約者)が 受信料支払いを拒絶するのは、正当な行為だ

2016年5月13日午後、奈良地方裁判所で開かれた「NHK受信料裁判」を傍聴し、「被告」を支援しようと、100名収容の大法廷に入れ切れない、200名を超える支援者が参集した。
受信料支払いを拒否した受信契約者は、戦争法報道をはじめとする、ここ数年のNHKの報道姿勢が、国や安倍政権の主張を、手段を弄して垂れ流し、NHKが番組を編成するに当たって、本来、受信契約者に遵守する義務を負っているはずの、放送法の各条、各項「放送法4条―2項・政治的に公平であること。3項・報道は事実をまげないですること。4項・ 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」などを、著しく蹂躙している事態を、もはや見過ごすことは出来ないと考えた。
とりわけ、2014年1月25日に安倍政権によって選ばれた籾井会長は、 就任会見で「政府が右というものを左というわけにはいかない」と発言、 日本軍従軍慰安婦問題についても「政府の正式なスタンスというのが見えないので、放送するのが妥当かどうかは慎重に考えないといけない」と主張、原子力発電所再稼働問題についても、「専門家の意見を聞いていたら、国民の不安を掻き立てるだけ」など、真実を隠蔽し、政府に対する批判的意見を抹殺し、意を異にする多くの意見を否定する狙いを露骨、且つ大ぴらに披歴し、多くの国民の批判を無視し、NHKを、これまでになく、国家の宣伝媒体に変質させ、「放送法」の順守義務を無視、蹂躙してきた。
「被告」は、NHKが、視聴者の受信料支払いが、「義務」であると言うなら、 当然、NHKもまた、視聴者に、放送法を遵守した番組提供の「義務」がなければならないと主張し、NHKの受信料請求に対し、全面的に争うことにしたのだ。
本来、「被告席」に立たなければならないのは視聴者ではなく、「NHKと籾井会長」更には、それと一体となってNHKの「安倍チャンネル化」を企む「安倍と其の政権」である。
「被告」は、国民の批判を全く無視し、それを国策言論媒体に転落させようとするNHKは,もはや一般的な言論活動による批判で是正する事は不可能であると判断し、受信料の支払い拒否と言う実力を行使したのである。
この裁判において、奈良合同法律事務所の佐藤弁護団長以下の5人の弁護士は、「被告の支払い拒否は、放送法に則っても正当な行為」であることを、明確な論理で展開し、NHKが「受信料請求」の根拠とした、「特別な負担であって、双務性に基づく対価ではない。従って、受信契約者とNHKの間には相互の義務関係はない」と言う言い逃れを、徹底的に暴くであろう。
以下、次の項目に沿って、「NHK受信料裁判第2回口頭弁論」の全記録を報告する。

(1)  辰巳弁護士と白石弁護士による準備書面1〜2の陳述
(2)  第2回口頭弁論後の屋外報告会における、佐藤弁護団長・他の発言


(1) 辰巳弁護士と白石弁護士による準備書面1〜2の陳述
(注―以下の準備書面1〜2は、 法廷で両弁護士が陳述したものを、当・時事問題研究会が速記記録したものである)

[準備書面1]


被告の受信料支払い義務と、原告の放送法4条各号を遵守した放送番組の放送を行う義務は、対価関係にある
準備書面1について説明します。ここで二つの事柄について触れます。第一に「同時履行の抗弁」・「不安の抗弁」についての主張です。もう一つは、放送法の趣旨から導かれる抗弁の主張です。それぞれについて説明します。
不安の抗弁とは、双務契約において、当事者の一方が先履行義務を負う場合でも、相手方の財産状態が著しく悪化するなどして、その反対給付が為されることが、危機的状況に陥ったとみられる場合、反対給付が実行されるか、反対給付の実現が担保されるに至るまで、先履行義務者が、反対給付の実行ないしは担保供与まで、自己の先履行を拒絶する権利のことをいいます。
これについては、明文上の規定はないものの、取引上の信義則に基づくものとして実務上認められている。今回提出の準備書面でも、地裁。高裁の平成19年の判決、東京高裁の26年の判決で、不安の抗弁権が認められている事を指摘しています。

対価関係によって、放送法を遵守する義務があるにもかかわらず、それを履行しない原告(NHK)に対し、受信料支払いを拒絶するのは債務不履行に当たらない
ところで、本件受信契約において、被告の受信料支払い義務と原告の放送法4条以降各号を遵守した放送番組の放送を行う義務が、対価関係となっています。
原告が、平成24年12月の衆議院総選挙を放送するにあたって、放送法第4条に明確に違反する放送があったこと、更にはその後も、放送法違反の放送を続けた事などから原告がその義務を履行する意思を全く有しない事が、(被告と原告との)契約締結後に判明したと言える。
従って、被告が受信料支払いを途絶していることは、同時履行の抗弁、乃至不安の抗弁として、債務不履行を構成するものではありません。


本件受信契約が、双務契約でなかったとしても、放送法の趣旨から受信料の支払いを拒絶できる
次に、予備的な主張について述べます。先ほど本件受信契約は、双務契約である事を前提に、不安の抗弁を主張できると述べました。
しかし、仮に本件受信契約が、双務契約でなかったとしても、放送法の趣旨から受信料の支払いを拒絶できる場合がある。本件はそれに該当すると考える。
戦前の社団法人・日本放送協会は、国家統制色の強い、法律によって規制され、日中戦争・太平洋戦争の戦時下で、大本営発表に見られる国家の宣伝機関としての役割を担い、終戦を迎えました。
戦後の放送法は、この反省から生まれたものです。全国民の要望を満たす様な放送番組を放送する国民的公共的役割を担うNHKと、個人の創意工夫によって、自由闊達に放送する一般放送局(民間放送)の2本立てにしました。
放送法1条の1、2、3各項には、放送を公共の福祉に適合する事とともに、放送の不偏不党、真実および自律を確保する事によつて、放送による表現の自由を確保することを明確にしている。
放送法4条の1,2,3,4各項で、放送事業者が重視すべき放送番組編集のルールを定めており、具体的には1項―公安及び善良な風俗を害しないこと。2項―政治的に公平であること。3項― 報道は事実をまげないですること。 4項―意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることと定めている。

放送法4条―1項のルールをねじ曲げ、放送局に停止を命ずる事に言及した高市早苗総務大臣の主張は、明確な憲法違反である
しかし、この放送法4条―1項のルールは、国家権力が放送事業に介入して規制すべきものではありません。放送法4条1項は、放送の内情に基づく規定であって、国家権力が介入して、これを守らせると言う事は、憲法21条に明確に違反します。「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送における表現の自由を確保する」とした、放送法1条2項の目的にも反するからです。このことをねじ曲げ「放送法違反」を理由に、放送局に停止を命ずる事に言及した高市早苗総務大臣の衆議院予算委員会での発言は、憲法学者等から厳しく批判されているところです。
もっとも、放送法1条の目的を達するためには、放送法4条1項以降のルールが必要ですが、ではこれをどの様に守らせるのか、民放各局、及びNHKは、放送倫理番組向上機構を設置し、国家からの介入を許さず、自律的、自主的に、放送法4条1項を守る仕組みをとっている。これに加えて民放各局は、広告収入によって放送事業を維持しているから、放送法4条1項を守らない番組編集を行った場合には、視聴者、国民からの厳しい批判により視聴率が低下、結果として広告収入が減少すると言う自己抑制が働く結果として、放送法4条1項の遵守が働いています。


もはや一般的な言論活動においては、その是正が不可能な事態に陥ったNHKに対する受信料の支払いの拒絶は、放送法によっても正当である
ところが、NHKはその性質から、民放各局より高水準の遵守義務が課せられているが、放送受信契約の締結を義務付ける事による受信料収入が確保されている為、民放各局の様に遵守義務違反があった場合にも、視聴者の批判を受けて視聴率が低下する事を回避するために遵守義務を守ると云う自己抑制は働かない。
そしてNHKが、放送法4条以降、同81条以降に明確に違反する放送を行い、且つそれが、継続的に行われ、もはや一般的な言論活動においては、その是正が不可能な事態に陥った場合には、契約者がその支払いを一時保留して、これを守らせる方法として受信料の支払いを拒絶することは、正当なものとして許容されるものである。これは、放送法でも予定されている事と解すべきである。
以上、放送法の趣旨からNHKが放送法4条以降、および同81号以降に違反する場合、受信料支払いを拒否することが出来ると考えている。

[準備書面2]


NHKは安保法案の報道で、国家権力の意に沿った「暗黙のルール」を行使して来た事実は明らかだ
原告(NHK)による放送法違反の事例は、多数に上るが、安保法案の報道に関する報道実態の事例を説明したい。NHKに存在する、暗黙のルールがあると言われている。
一つは、国会中継ニュースを報道する際には、「政府側が野党を論破した様な印象操作をする」ことで、しめなければならないと云う。これが事実だとすれば、この様な報道ルールは、放送法4条各項に明確に違反する。
また、NHKに存在するルールとして、国会中継報道で、「全会派が出席する時を選んで中継をする」と言うものである。一見、公平なルールと思わせるが、実際は政府与党に有利に活用されている。
2013年5月8日の参議院予算委員会で、自民党議員が国会の許可なく中国滞在を延期した事に対し、野党が追及したのに対し自民党が審議拒否をした。NHKは、中継の予定を中止し、視聴者の目にこの様な事態は触れることはなかった。
2014年1月25日に就任した籾井会長になってから、こんな傾向は一層顕著になっている。籾井会長が国会で答弁する際には、背後から秘書が渡すメモを受け取る姿は、映らないように配慮されている。
また、2015年7月15日の衆議院での安保関連法案特別委員会での、採決直前の統括質疑については、これを中継していない。視聴者から抗議が殺到していた。NHKは、“全会派が揃うかどうかが分からなかったから”と弁解しているが、暗黙のルールの存在を自ら示す弁解だ。
この様な「ル−ル」の存在如何は、本件にとって重大な問題である。今後この問題を、いろんな観点から立証して行きたい。

NHKの安保法に関する報道実態は、出来る限り多くの角度から取り上げるとした(放送法4条―2項、3項、4項)を、顕著に踏みにじるものであった
冒頭に申し上げた通り、安保法案に関連するNHKの報道が、政府よりの傾向が顕著であると言う点について、数点紹介したい。
NHKは、(安保法案について)独自の取材・調査が皆無であったと評価できる。例えば、(2015年)6月20日の「ニュースセブン」と云う番組があるが、安保法案を巡って、地方議会で論議され国会に意見書が提出された。2014年7月1日の集団的自衛権の閣議決定後、地方議会の凡そ14%である246議会が、国会に意見書を提出し受理されています。その内訳であるが、賛成が3、反対が181、慎重審議を求めるものが53議会あり、これを紹介しておいて、NHKは、それぞれ現場を取材したとして、以下次の様に報道している。
一つは、埼玉県の地方議会が、全会一致で慎重審議を求めたと云う話題を取り上げている。続いて、賛成の立場の金沢市議会の場合を紹介している。取り上げたのは、この二例のみである。実際に意見書の圧倒的多数は反対であるとしながら、紹介報道で取り上げたのは「賛成」と「慎重」のみである。
安保法について、出来る限り多くの角度から取り上げると言う報道姿勢から大きく外れ、「放送法4条―2項・政治的に公平であること。3項・報道は事実をまげないですること。4項・ 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」 とする放送法に明らかに反するものである。
この他にも多々放送法違反の事例がある。放送法に違反するばかりか、その程度が国家権力や広告主に依存しない自主的な放送の趣旨に反し、これを大幅に逸脱する場合には、受信契約を締結した契約者が放送の是正を求めて受信料の支払いを停止することが出来ると考えている。
今後、法廷において、NHKによる放送法違反の具体例を詳細に明らかにしていく予定である。これで、今日の弁論を終えます。
両弁護士の陳述終了後、第3回口頭弁論の日程協議に入ろうとした途端、 森川さつき裁判長が席を立ちざま、口頭弁論の終結を一方的に宣言しようとした。
佐藤弁護団長が、「裁判長!それは不当極まりない!忌避を申し立てる!」と叫んだ。傍聴人席からも、裁判長を批判する怒号が沸き上がった。
“まるで、戦争法を強行採決した安倍内閣と同じではないか”と叫ぶ傍聴人もいた。


(2) 第2回口頭弁論後の屋外報告会における、佐藤弁護団長・他の発言

受信料は、NHKに課せられた<公正な内容の放送をする義務>への対価である
皆さんご苦労さんです。今日は100人以上の傍聴人が入る大法廷を要請しましたが、その倍以上がお集まり頂きましたので、全員が傍聴出来なかったのは残念ですが、我々の戦いに、大きな勇気を与えていただきました。
今日、私達は二つの準備書面を用意し、辰巳弁護士と白石弁護士が陳述しました。NHK側からは4月段階に出ています。また、我々の5月の準備書面に対する簡単な反論書面も出ています。
問題の基本論点は、放送受信料と云うものは、私達視聴者が契約するにあたり、私達は、NHKが<公正な内容の放送をすると云う対価>として、互いの契約として受信料を払う義務を履行しますが、一方NHK側も、視聴者に対し公正な内容の放送をすると云う義務を持っており、互いに<対価関係>にあると云う事を明確にする点にあります。即ち、NHKと契約者は、「双務契約の関係」にあると云う事です。
「放送法」に照らせば、放送法4条2項に「政治的に公平であること」或いは4項に、論点が分かれる問題については「できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と定められている。


国家・政権の主張を垂れ流す酷い放送は、視聴者に、受信契約上の支払い義務を停止する権利がある
今日のNHKは、それらを守っていないのではないか、所謂、「安倍チャンネル」と揶揄される様に、国家・政権の主張を垂れ流しているのではないか、そのような状況が酷い場合は「双務契約」に違反しており、視聴者側の受信料契約上の支払い義務は、停止する正当性があると考えるのです。
私たちは、仮に、双務契約と云えないとしても、放送法の趣旨に照らして出鱈目な放送が続く場合には、これらが是正されるまで、一時的に支払いを留保する権利があると主張しています。

受信料を、“特別な負担”であって、「双務性に基づく対価」ではないと主張するNHK
他方NHK側は、受信料は“特別な負担”であって、相互的契約関係ではないと主張するのです。「双務契約」は存在しないとし、契約者は、どんな場合でも支払い義務があると云うのです。こんなバカな事はありません。
今日、私達は二つの準備書面を用意し、第2審裁判に臨みました。NHK受信料契約の「双務性」の根拠を明らかにし、真正面から「特別な負担」と云うNHKの主張の不当性を、さらに今後、証拠を提示して明らかにしていく予定でした。

審理を打ち切り、判決日の期日指定をしようとした裁判長に対し忌避申し立てを行う
しかし、皆さんご承知の様に、担当裁判長は、我々の陳述のあと、急遽、裁判の打ち切りと判決日の期日指定を行おうとしました。我々は、直ちに裁判長の「忌避」申し立てを行いました。
「忌避」とは、裁判官が公正中立の姿勢で裁判に臨まない場合、偏った裁判をする可能性のある裁判官に対し、忌避する権利があります。彼女(裁判長)は、まさに戦争法を強行採決した安倍政権と同じ事をしようとしています。裁判は、厳しい局面にあります。NHK受信料裁判で「双務契約性」を立てて争う裁判は、今までなかったものです。今後どう戦うか、弁護団で英知を結集してゆきたいと考えます。この様な司法の横暴を許さない運動を更に進めて行こうではありませんか。


NHKは、放送内容に対する視聴者の意思表示に、もはや聞く耳を持っていない
受信契約は、私達視聴者だけが義務を課せられているのではない。NHKにも同様の義務がある。互いにあいこの関係です。さらに、民放との関係で云えば、彼らがおかしな放送をすれば、視聴率が下がり、それと連動するスポンサー料・広告料も落ち、経営に対する牽制が働きます。ところが、NHKは、督促裁判までちらつかせ、抑え込みにかかる。従って、NHKの放送内容に対する視聴者の意思表示が働く機能が、言論だけでは限界があると言わざるを得ません。

「安倍チャンネル」と化したNHKに対する支払い義務は、もはや存在しない
特に安倍が指名した籾井会長になってから、就任談話で、「政府が右と云えば右と云わざるを得ない」と言い、日本軍慰安婦問題では、「政府が方向を決めなければ報道出来ない」。今回はまた、原発報道の在り方で、「専門家の意見を聞いていたら国民の不安を掻き立てるだけだから、政府発表ベースに従う」報道をするなど、これはもはや、NHKの姿勢は改める事はできない。義務を放棄するNHKに対する受信契約上の支払い義務は、停止すべきであると考えています。今この様な状況の中で、今日の裁判が行われているのです。

裁判の基本的論点である、NHKと視聴者間の権利・義務について、決着をつける責任を放棄しようと企む裁判長
今日の裁判長の態度は、被告側の訴え,意思を受け止め、この裁判の持つ基本的な論点を真摯に追求する姿勢を、全く放棄したものと言わざるを得ない。改めて振り返ると、この受信料裁判は、元々<簡易裁判所>からはじまったものです。しかし、簡易裁判所は、自分のところでなく地裁に移すとしました。それは、この裁判の論点が、“お金を払う、払わない”と云う問題ではなく、「受信契約」とは、そもそも如何なるものなのか,NHKと視聴者間の権利・義務について、被告に立たされた宮内さんは、正面から戦うと云って来たからです。だとすれば、簡易裁判所で決着をつけるには手に負えない。こんな事案は地裁に移し、本格的に議論をしてほしいと云うことで、地裁裁判となったはずです。
今日、裁判長は、この点を触れず議論を避けたまま、幕引きを図ろうとしているのです。我々は、あらゆる手段を尽くして、こんな理不尽な状況を打破しなければなりません。
今日お集まりの方々が、この裁判で私たちは、こんな主張をしているのだと、これで幕引きなどあり得ないのだと言うことを、多くの人々に広めて頂きたい。奈良地裁の裁判長が、これではまずいかなと考える様に、圧力を加えて頂きたい。最悪、上告するとなった場合には、次の裁判に向かって、徹底審理が行われるようにすることが私たちに課せられた仕事です。

「特殊法人のNHKを支える特別の負担金」なるものの法的根拠を問いただすのが裁判長の責任ではないのか
もう一度触れますが、NHKが視聴者に対し、一方的な義務の根拠として挙げる「特殊法人のNHKを支える特別の負担」なるものは、如何なる法的根拠もないものです。彼らはこれをもって、“対価”ではないとする根拠にしています。
昭和39年9月の臨時放送関係法制調査会の答申は「受信料は特殊な負担金説」と説明しましたが、それがその後の政府の見解になっているに過ぎないのです。受信契約にも存在しません。NHKが繰り返し使って、それを何となく法的文書かの様に使っているに過ぎないのです。
裁判所が採用出来る様な規範でもない。審議会報告書に書かれた<言葉>にどんな法的規範性があるのか、これこそ、この裁判で、裁判長が明確に判断を下すべき問題ではないでしょうか。それも一度として触れないまま、審理を打ち切るなどと云う事は、絶対に許されません。

<関連・参考サイト>

●NHKのあり方を考える弁護士・研究者の会
http://nhkkaikaku.com/modules/sitemap/

☆NHKへの、安倍首相の「政治介入」と「放送命令」(3)(2007年 3月18日)

(柴野貞夫時事問題研究会)