(「靖国型学校開設」のため国有財産の私物化に関与した安倍晋三は即時退陣せよ 2017年4月6日)
[森友学園ゲート]その(2)
「靖国型学校開設」のため、国有財産の私物化に関与した安倍晋三は即時退陣せよ
国有地取引における安倍の口利きを糾弾する闘いは、安倍政権打倒と教育の靖国化を阻止する闘いである
柴野貞夫時事問題研究会
●靖国型教育のモデル瑞穂の国記念小学院−国有財産を盗み取った安倍政権と松井知事
安倍は、学校法人「森友学園」による「瑞穂の国記念小学校」開設を、2006年「教育基本法改悪」に沿った、「靖国型学校教育の先進モデル」と位置付け、「森友学園」に、国民の財産である国有地を国家の権限を総動員し、自分の女房を隠れ蓑に、破格の価格で譲渡した。国有地売買の最終決済は、近畿地方財務局長と、上部組織の財務省理財局長である。これを動かしたのは安倍と財務大臣の麻生太郎であることは言うまでもない。
一方、新設学校の設置認可業務は、2016年4月から教育長となっているが、実質は安倍に共鳴し、「教育改革」を主張して来た松井知事の権限だ。
大阪府私立学校審議会で「森友学園」に対し、財務状況が悪く、偏った教育方針を指摘する委員が多かったにもかかわらず、臨時審議会を開き、たったの1か月で「認可適当」の結論を下したのも松井知事だ。(松井は、2014年に、私立小中学校の認可基準を緩和した。)
松井は、維新を除名された上西小百合衆議院議員から、ツイートで次の様に告発されている。“私が国会議員になった4年前、維新から「塚本幼稚園」を視察して、その素晴らしさを広めろと命令されました。しかし、行って見たら異様だったので、プログにアップするのを止めました。森友問題は、松井一郎大阪府知事が認可した責任を取って終わるでしょう。”と指摘している。維新一派の松井と「森友学園」の深い関係が見えてくる。
安倍もまた、国会での追求が始まった当初の2月17日ごろまでは、“森友学園の先生の熱意は素晴らしいと聞いている。(籠池理事長は)私の考え方に非常に共鳴した人”と、「二人三脚」ぶりを自慢していた。
●14億と評価された国有地が500万のからくりと公文書を破棄(?)した財務省の犯罪
2月15日の財務金融委員会を皮切りに、共産党・宮本たけしが追求の火蓋を切った。その後の究明の事実を併せて要約すれば次のような事実が明らかとなった。
2015年「国有財産近畿地方審議会」で、航空局所管の建設予定地を、森友学園に「10年間の賃貸」の後、その時の時価で売却する事が決まった。その直後、「森友学園」から「地下に埋設物が見つかった」として定期借地契約を「売買契約」に変更し、森友学園に、約14億円とされる土地を9億5600万円と評価し、そこから埋設物・土壌汚染除去費として、8億1900万円を控除した1億3400万円とする売却金額が決められた。しかも、大阪航空局は、森友学園側に、賃貸契約した段階である2016年4月6日、既に、「除去費用」として1億3176万円支払っている。
即ち、14億の国有地が、9億5600万円と少なく見積もられた上に、埋設物撤去の名目で、控除された金額を合計すると、国庫に戻るのは、たったの500万と言う事になる。しかも、航空局は、埋設物・土壌汚染除去費として、8億1900万円と算定した「深さ9.9m」にわたって存在すると言う埋設物の存在を、何ら証明する事が出来なかった。
宮本たけし議員は、自らの独自調査から、2月24日の衆議院予算委員会で、「森友学園側と、財務省近畿財務局が、2015年9月4日午前10時から正午にかけて、近畿財務局9階で、売買価格の交渉をしたのではないか」と追求し、その記録を提出せよと迫った。
しかし、財務省佐川宣寿理財局長は、後ろの座席で見守る安倍晋三と麻生太郎の前で、 “そうした交渉記録については残っていない”と、嘘を吐いた。その根拠として、佐川は、財務省行政文書管理規則に基づいて保存期間が「1年未満」と判断し、16年6月の売買契約締結で文書の保存期間が満了し、廃棄したと言うのだ。
●廃棄は行政文書ガイドラインと財務省行政文書管理規則違反
第三者で構成する政府の公文書管理委員を務める三宅弘弁護士は、財務省側の説明を次の様に批判している。“行政文書ガイドラインやそれに基づく財務省行政文書管理規則は、「歳入及び歳出の決算報告書並びにその作製の基礎となった意思決定及び(中略)過程が記録された文書」を保存期間5年とし、「会計検査院に提出又は送付した計算書及び証拠書類」を挙げている。
面談記録は土地売買契約の過程の記録であり、この『証拠書類』に該当する。保存期間は最低5年とされるべきだ。廃棄は行政文書ガイドラインと財務省行政文書管理規則違反だ”と指摘している。
現在進行中の会計検査の対象となる国有地の譲渡に関する公文書を廃棄したと言う、佐川の主張は、隠蔽して出さないのか、廃棄は虚偽なのか、どちらかであろう。国民を愚弄するにも程がある。(この日の国会中継テレビで)怯えた安倍の横で、麻生は緊張を隠すために、元々歪んだ口元で、下品にニタニタ笑っていた。
●「安倍昭恵、安倍晋三 内閣総理大臣夫人」として児童募集に積極協力した
野党の追及が、「森友学園」に対する国有地の不当且つ破格な売買の裏で、2017年4月開校予定の「瑞穂の国記念小学院」に、深くかかわって来た人物として安倍晋三とその女房−昭恵そして、防衛大臣・稲田朋美等の働きかけがあぶり出された。
安倍晋三は、2017年2月17日の衆院予算委員会で、民進党・福島伸享(のぶゆき)議員が、父兄から手に入れた「安倍晋三記念小学校」名義で寄付を募った実際の振込用紙を突き付けられた。
安倍は、“(「安倍晋三記念小学校」の名称が使われている事について)今、話をうかがって初めて知ったわけでございます”と言う一方で、“いわば私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から『小学校をつくりたいので、安倍晋三小学校にしたい』という話がございましたが、私はそこでお断りをしているんですね。(そこで)私の郷土の大先輩である、吉田松陰先生の名前とかをつけられたらどうですか?』」というお話をしたわけでございます”と答えた。はじめは、“初めて知った”と言いながら、実際は籠池理事長との間で、自分の名を付けるやり取りが親しく行われていた実態を、こと細かく答えたのである。しかも「振込用紙」が配布されたこの時期は、安倍が第2次安倍内閣を誕生させてからであると、父兄が証言している。
▲「瑞穂の国記念小学校」は、「安倍晋三記念小学校」として寄付金が募集されていた。安倍は、2次安倍内閣発足時に、校名の相談を受けていた事実を認めた。
安倍は、「靖国型学校教育の先進モデル」を世に送り出そうと、国有財産の不法な処分を、籠池理事長の想像を超えて推し進めた。「安倍晋三記念小学校」という名前を使用したい、という申し出があったのは、第一次安倍政権退陣後、安倍が野党議員であった時代だったというが、用紙が配られたのは、2014年で第二次安倍政権が始動してからである。野党議員時代に「断った」という安倍総理の証言とは、明らかに食い違っている。
とりわけ、「安倍晋三記念小学校」ではあまりに露骨だとして、「瑞穂の国記念小学院」として開校するについて、安倍晋三とその女房−昭恵は、その「名誉校長」に、「 安倍 昭恵 安倍 晋三 内閣総理大臣夫人」として児童募集に積極協力した。
学校法人「森友学園」の「愛国的・靖国的学校経営」や、理事長の「人種差別的行為」が明るみになり、安倍と昭恵の関与が知られることになってから、彼らが池森学園に対する不法な国有財産の譲渡にも、深くかかわって来た多くの事実が浮上し、週刊誌や、安倍政権に批判的な日刊紙を通して大衆的糾弾が始まった。
▲「瑞穂の国記念小学校」ホームページには昭恵の名誉校長としての「あいさつ」が掲載されていたが、3月23日籠池理事長を国会証人喚問に引き出した日には、削除されていた。
●「国有地売却に女房も含め関わっていれば首相を辞める」と安倍晋三
安倍は、それと同時に、それらの事実を隠蔽する為に、籠池理事長との関係をあからさまに否定するばかりか、巷に流れる「森友学園」の評判と行政の対応は、理事長個人の不正な行為によって生み出されたものと、世論を誤導し、かっての盟友を切捨てたのである。「瑞穂の国記念小学校」ホームページには、昭恵の名誉校長としての「あいさつ」が掲載されていたが、3月23日には、削除されていた。
安倍晋三は2月17日、衆議院予算委員会で、“私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切関わってないということは明確にさせていただきたいと思います。もし関わっていたんであればですね、これはもう、私は総理大臣を辞めるということでありますから、これははっきりと申し上げたいと、このように思います。”
ここで安倍は、“自分は、理事長に会ったことも無ければ、如何なる便宜を図ったこともない。(妻が)寄付金を渡した事も無ければ、講演料を貰ったこともない。みんな籠池理事長の作り話だ”と、見っとも無い嘘をまくし立てているのである。これらは、全て真っ赤なうそである。「関わっていれば首相もやめる」と言うが、安倍が森友疑獄に関係があるどころか、その主人公であり張本人である。
安倍の頭の中には、「森友疑獄」を生み出した最大の下手人としての自己反省がひとかけらもない。まるで人ごとの様なポーズをとって、自分に一切の責任が無いかのように、世論を欺いているのである。安倍は「関わっていても首相を辞めるつもりはない」と考えているのだ。この嘘つき野郎は、籠池理事長でなくとも怒りがこみ上げてくる。
安倍は、「森友学園」問題が‘疑獄化’し、国民的糾弾が始まる直前まで、「学園の熱意が素晴らしい」と称賛し、「理想の教育実践の場」として、2006年の「教育基本法改悪」が狙った国家主義と皇国史観を実現する学校教育を世論化するモデル学園と考えたからこそ、「森友学園」の為に、国民の財産を不法的につぎ込み、官僚の尻をたたいたのである。従って、安倍と『森友学園』との深い関係こそ、ここから必然的に生み出された産物である。
●安倍は右翼国家主義教育者である籠池を見捨て、昭恵とともに戦線から逃亡を決め込んだ
「森友学園」に対する「国有地の格安売買」も、本来認可出来ない「瑞穂の国記念小学院」の開設も、2006年の教育基本法改悪に沿った、学校教育の国家主義的「改革」のモデルとして世論化するための暴挙であった。
しかし、安倍は、「森友学園」の疑獄化と国民の批判が噴出するや、その火の粉が自分に及ぶのを恐れ、自身の国家主義者としての矜持(きょうじ)さえかなぐり捨て、右翼国家主義教育者である籠池を見捨て、自分の保身だけを謀って、女房―昭恵とともに戦線から逃亡を決め込んだ。安倍は、全ての責任を籠池に押し付け、あまつさえ、「公金詐欺」で脅しを加え、あらゆる補助金の返還を要求した。
3月10日、森友学園は、「瑞穂の国記念小学院」の設置認可申請を取り下げ、また籠池理事長の辞任を明らかにした。「瑞穂の国記念小学院」4月開校は、認可の見通しもつかず、頼りとした安倍及び安倍政権が、自己保身のため、その土地取得に対する疑惑と批判を、一方的に籠池理事長側の責任に転嫁したからである。
証人喚問に先立つ3月21日、安倍政権は、国交省を通じて「森友学園」に対する補助金交付(国土交通省から受け取った「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」)を取り消した。また、支払い済みの5600万円の返還を要求した。
また国交省は、「瑞穂の国記念小学院」用地の取得における契約書に基づき、学園側が違約金1340万円を支払う義務と「原状」に戻す義務があるため、財務省は校舎を撤去して更地にするよう学園側に求める方針だ。「瑞穂の国記念小学院」を施工する業者は、建設費の未払いを理由に、学校法人森友学園が運営する「塚本幼稚園」を差し押さえ、追い打ちをかけた。籠池理事長は、安倍によって完全に見捨てられた。
●籠池理事長に対する「証人喚問」
自民党は、頭初回避していた籠池理事長の国会喚問に応じ、自分たちの国政壟断を隠蔽するために、籠池の手続き上の些末な事案の追究で、彼を追い込めると誤算した。
これに対し、3月23日の国会喚問を前に、籠池理事長は「二つの内閣が吹っ飛ぶ位の資料を持ち込む」と主張し、安倍政権と対決する事を鮮明にした。
▲3月23日衆院予算委で行われた証人喚問に立つ籠池泰典氏
自民党が、当初「証人喚問」に応じなかったのは、自分たちが「森友学園疑獄」を引き起こした主犯であり、当事者であるからだ。
理事長側に対し、籠池個人の不正行為を取り上げることで、安倍をはじめとする政治家と関係者の国有地疑惑を回避できるものと望みを託したからだ。そして、籠池証言の信ぴょう性を傷つけ、嘘つきを印象付けることにあった。
他方、我々が、「証人喚問」で追及する事柄は、「森友学園疑獄」の真相、即ち不透明な国有財産の売買に、安倍首相とその女房が関与していなかったか、決済権限のある財務省に対する政治家の関与がなかったか、大阪府と松井知事による「新設学校」の許認可で、不正がなかったかと言う諸点である。その中で、「森友学園」と関係が深い安倍とその女房―昭恵が、首相夫人付政府職員(谷査恵子)を通して、財務省に、国有地売買に関する働きかけをしたのではないかと言う疑惑の解明と、「道義国家を目指す、親孝行などの核の部分を取り戻す為、教育勅語を教える森友学園の教育に感銘した」と言う稲田防衛大臣が、国有地の取得に関し、関与していないか、と言う問題だ。
証人喚問で、自民党を代表して最初に立った参議院議員の西田昌司は、案の定、今回の「証人喚問」の核心である、国有地の不透明な売買に対する政治家や関係者の「口利き」の有無を一切問わなかった。西田は、森友問題の本質は、“初めから森友学園にお金がなかったと言うことだ”つまり、森友学園に自己資金がなかったにも拘わらず、学校開設を目論んだのが、事のはじまりだと言うのである。
しかし、用地の自己所有も、資金のめども無いのに、学校の設置認可を認めたのは、西田をはじめとする安倍政権ではないのか。何故それを認めたのか、何故国有地を二束三文で処分したのか―を明らかにしなければならないのは、西田昌司の側ではないのか。答弁に立った籠池理事長が、“どんな「口利き」があったのかが、本質だから、西田議員の言っている事は的外れです”と反論すると、議場に失笑が溢れた。
続いて西田は、寄付金振込時期の食い違いや、HPの天皇訪問のでっち上げなど、本題と関係のない枝葉末節の事柄を取り上げ、それを「偽証」として、籠池理事長を「偽証罪」に追い込めないかと、姑息な質問を繰り広げた。他の自民議員と維新議員は、国有地取引の追及は、一切しなかった。
維新議員の下地幹郎に至っては、“梯子をはずされた”と松井知事を批判する理事長に対し、瑞穂の国記念小学院」の認可手続きで、橋下徹と松井一郎知事が、「森友学園」の為に「規制緩和」をした事実を明らかにし、
“あなたが自分で、梯子から落ちただけだ”といって、「森友学園」の為に便宜を図った事実を暴露してしまった。本題と関係のない枝葉末節の事柄で、問題の本質を逸らす自民党の試みは失敗した。〈続く〉
次回―[森友学園ゲート]その(3)
●国有地取引に関し、満額回答を引き出した、二つのファクスと籠池理事長の書簡は、 安倍昭恵の関与を明らかにした。
●「森友学園」新理事長が、2006年の安倍「改悪教育基本法」に基づく「愛国教育」と決別し、旧「教育基本法」に立ち返る教育を宣言。
●安倍政権の公然化する「教育勅語」の「活用」を許すな。
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