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論考―「ピョンヤン宣言の履行を10年間も放置する事を正当化する如何なる理由もない」(2012917日)


<ピョンヤン宣言10周年に>
 ピョンヤン宣言の履行を、10年間も放置する事を正当化する如何なる理由もない


●それは国家に任す問題ではなく、日本国民一人一人の朝鮮民族に対する歴史責任である。
●日朝関係のあらゆる問題で、植民地支配に対する歴史的罪過と「拉致問題」を、同じ天秤にかける日本政府の行為は、自らを袋小路に追い込むだけである
●「残留日本人遺骨問題政府間協議」は、ピョンヤン宣言履行協議の突破口であっても、「拉致問題」協議の場ではない。


                                                 柴野貞夫時事問題研究会


○ピョンヤン宣言を10年間も放置する、如何なる正当な理由もない

917日は、日朝両首脳がピョンヤン(平壌)に会し、両国の「不幸な過去を清算」し、日本による「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。」ピョンヤン宣言が締結された2002917日から、10周年を迎える日だ。
しかし、野田(と歴代日本政権)は、国家が一つの民族に対して専制と隷従を持って支配し、その民族の生命を脅かし、その経済的社会的財貨を収奪し、民族の尊厳と襟持を蹂躙してきた40年有余の歴史的罪過を、日本国民の名に於いて謝罪すると同時に、それに見合う国家による賠償責任を速やかに実行に移すことを、朝鮮民主主義人民共和国2400万の国民に約束し、国際社会に表明したピョンヤン宣言の履行を、10年ものあいだ棚晒しにして来た。この節目の日を迎えても平然と無視を決め込んでいる。
言い換えれば、自らが重ねて来た朝鮮民族への犯罪行為への謝罪は、口先だけの言い逃れであって、実際には認めたくなかったのであり、根拠のない色んな理由を持ち出して、その責任を逃れ様とするばかりか、その罪の正当化を事あるごとに画策していると指摘されても弁解の余地はない。この67年間(40年にわたる植民地支配だけではない。朝鮮戦争に於ける米国への加担、冷戦の終結から今日までも尚、帝国主義列強の朝鮮民主主義共和国に対する不当な抑圧政策への協調)が、それを実証している。

自分達が自慢する資本主義国家の世上の常識なら、国家権力による、67年以上にわたって積み重ねられた犯罪に対する<長期の服役刑>、10年間賠償支払い義務を逃れた行為に対する<重加算税>とその<強制執行>を課されて当然な不法行為だ。
その責任は、日本国家だけに問われる問題なのか?決してそうではない。朝鮮民族への、この人類普遍の道徳に対する恥ずべき冒涜への精算を、正しい歴史認識を通じて、日本の全国民を挙げて、即刻履行することが一人一人の国民に問われている。それは国家に任す問題ではなく、国家の不法を追求する日本国民一人一人の朝鮮民族に対する歴史責任である。責任を履行しない国家の行為や、恥ずべき歴史を正当化する現政権と保守野党の主張に、疑いの目を注ぐことが国民に問われている。

○「拉致問題」を、日朝関係のすべての問題に優先する前提条件とする事は、植民地支配の歴史の正当化を狙う、破たんした政策である

8910日、北京で、残留日本人の遺骨(21600)帰還をめぐって日本赤十字社と朝鮮赤十字会による会談が開催され、それに引き続いて829日から31日まで、北京で政府間の課長級予備会談が開かれた。この、朝鮮残留日本人遺骨引き取りをめぐる、日朝協議に対する日本政府の態度は、ピョンヤン宣言の取り決めを10年間にわたって履行せず、棚晒しにしてきた日本政府の基本的な共通姿勢を、余すところなく暴露している。
言い換えれば、彼等は常に、自分達の虚構の上に成り立つ政治的目論みを前提条件にして、国家として責任を問われている、より大きな基本的中心課題の解決を、不当に引き延ばし、或いは、出来れば闇に葬ろうと画策しているのではないかと、疑われても仕方がない行為を続けているのだ。
2400万の朝鮮公民を隷属し、その生命と生活の安全を奪った40年にわたる植民地支配に対する歴史的罪過と、(100歩譲って「未解決」と主張するなら主張すればよいが、)たかだか数名の「拉致被害者」を天秤にかける日本国家の主張には、国家としての、ひとかけらの責任感もない。
ピョンヤン宣言で、朝鮮民族と世界に向かって「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」のは、口から出まかせの嘘であったのか。
「拉致問題は、解決済みである」と言う事実を、日本政府が拉致家族に隠蔽し続ける事が、野田政権の政治的カードとして利用価値があると考えるのであれば、これ程、拉致家族を愚弄するものはない。
予備会談を前に14日、藤村官房長官は「29日の協議では、日朝間の諸懸案について議論する。拉致問題は当然含まれる」と主張し、玄葉外相も外務省で記者会見し、「拉致問題に確固たる姿勢で対応したい。拉致問題の解決は、最重要の問題だ。」(815日付、読売新聞1面)と述べた。この日朝協議は、(人道上の遺骨引き取りの為の実務協議ではなく)「拉致問題の解決が、最重題要課だ」と言うのだ。これを、本末転倒と言わずして何と言うのであろう。
日朝赤十字協議では遺骨収集問題が中心議題だが、政府間の予備協議では、「拉致問題」を中心議題とするのは当然であるかのような主張である。
816日、朝鮮中央通信社は、直ちにこの日本政府の対応を「人道問題を政治化しようとする不純な目論み」と痛烈に批判する論評を出した。(全訳)
「朝日赤十字団体間の会談が10年ぶりに北京で行われた。会談では、日本側が要請した共和国領内にある日本人遺骨問題に関連する対話が行われ、相互の理解を深めた。周知のように、日本人遺骨問題は第2次世界戦時期、朝鮮で亡くなった日本人の遺骨返還の為の実務処理問題であり、人道問題である。しかし、日本当局はいま、会談の趣旨とは全く異なる動きを見せている。
玄葉外相と拉致問題担当相松原をはじめ当局者らは、会談で“拉致問題を交渉の争点から外すような事があってはならない”“遺骨問題を提起し、拉致問題の棚上げを図るのではと懸念する意見も多くある”などの怪異な事を言った。
特に官房長官藤村は14日の記者会見で、“日朝両国の間には、遺骨問題に限らず、拉致問題をはじめ様々な諸懸案がある。日本としては、拉致問題は当然議題に含まれるとの姿勢だ”と力説した。
これは日本政府が、遺骨問題の解決に心から望んでおらず、自ら会談の雰囲気を曇らせていると言う事を示している。
日本の右翼勢力がすでに遺骨問題を、‘金儲け’と描写した雅拙さを想起するとき、遺骨問題と‘拉致問題’を混ぜて、会談を不純な政治的目的に利用しようとする真意を難なく見極める事ができる」と。
予備会談を前にしたこの日本政府の態度は、日本赤十字社の申し出により、諸懸案の解決とは別に、純粋に人道上の実務問題としてその解決に応ずる朝鮮の姿勢を、あたかも、他意があるかのように捏造し、他の政治的主張の場に利用しようとする日本政府の態度を予備会談の前に批判したものだ。
長年、朝鮮残留遺骨の引き取り問題に中心的活動をして来た「全国清津会」会長・正木貞雄事務局長の「やっと念願がかないそうだ」と言う喜びの言葉に代弁される遺族たちの願いを、政治的に利用し毀損するものである事は言をまたない。

○「残留日本人遺骨問題政府間協議」は、「拉致問題」協議の場ではなく、「ピョンヤン宣言履行協議の契機」とする事が、日本政府の責任である

日朝関係に対し、朝鮮政府は一貫して(日本政府が)「ピョンヤン宣言をこれから履行し、関係改善をしっかり果たそうと言う立場がしっかり整っていない限り、そう言う意思を持つことなく、しょっちゅう対話をするとか何とか言って向き合って‘話し合い’をしても空転するだけです」(朝鮮外務省日本課・チョ・ビョンチョル研究員−朝鮮外務省との会談記録参)との原則的立場を堅持してきた。
しかし、今回、「ピョンヤン宣言の履行と言う、両国家間の歴史的合意」を無視する日本政府との交渉は、何の意味もないと言う立場の朝鮮政府は、日本赤十字社の申し出に対し、「人道的実務協議」としてなら、国家間の協議に応ずる度量をしめしたのである。
もちろんこの場を通して(遺骨問題を契機に)日本政府が、ピョンヤン宣言の履行を前提とする国の関係改善の協議を求めるなら、朝鮮政府はそれに応じないはずはないであろう。
「残留日本人遺骨問題政府間協議」を、ピョンヤン宣言履行協議の突破口とすることが、日本政府の責任であろう。(日本側が)「ピョンヤン宣言をこれからどのように履行し、関係改善をしっかり果たそうと言う立場を明確に示すこと」こそが、日朝関係改善協議の前提である。それは決して「拉致問題」協議の場ではない。
しかし日本政府の対応は、北京予備協議を前にした段階から、両国間の関係改善の諸問題をピョンアン宣言の履行を前提として話し合う態度どころか、「遺骨問題の人道的実務協議」さえも鼻から否定しかねない、「拉致問題が最優先」だと主張したのである。


○「拉致は未解決」「横田めぐみの遺骨はほんものでない」など、言い古された捏造と事実関係の歪曲を根拠とした対朝交渉は、いい加減にやめるべきである

815日付の<読売新聞3面>は、「日本政府が北朝鮮との政府間協議に4年ぶりに踏み出したのは、(政府が)金正恩新体制の発足で、拉致問題の対応に変化が生じる可能性があると判断したためだ。政府は拉致問題の進展に全力を挙げる方針だが、北は拉致問題で不誠実な対応を繰り返してきた。200411月には拉致被害者の横田めぐみさんの骨を日本に返還したが、日本側のDNA鑑定で別人の骨である事が判明した。さらに、086月には日朝実務者協議で死亡したとした拉致被害者の再調査を約束しながらも、9月には調査の先送りを一方的に表明した。北朝鮮が日朝関係の改善に本腰を入れるつもりがあるのかどうか、政府は29日の協議で見極めたい考えだ」と野田政権の主張を代弁した。
「拉致は未解決」「横田めぐみの遺骨はほんものでない」など、我々時事問題研究会は、すでに事実を積み重ね、これらの主張が根拠のない情報や作文であることを明確に実証して来た。これら言い古された捏造と事実関係の歪曲を根拠にして、日本国家が他の国に対し、まともな外交交渉が出来る筈がない。
朝鮮政府が「086月には日朝実務者協議で死亡したとした拉致被害者の再調査を約束」したと言う「拉致再調査」とは、<読売>に言う086月でなく、2008811日〜12日、中国・瀋陽での日朝関係改善交渉のことだ。朝鮮側が「拉致問題再調査委員会」を立ち上げると約束したにもかかわらず、それを履行しなかったと言う日本側の主張である。
この経過は、事実は、拉致問題が日本政府と朝鮮政府の間で「解決済み」として合意されている事を推測出来る多くの証拠がある。日本政府(外務省)は、朝鮮政府と日本国民に対し、それぞれ2重帳簿で臨んでいる形跡がある。
我々時事問題研究会が、今年5月の訪朝を通して各方面から確認した事実は、日本政府が主張する、「拉致問題再調査委員会」の設置の約束の事実経過は、我々が別項(「朝日関係における朝鮮外務省との会談記録」512日入力)において明らかにした通り、<瀋陽合意>を、日本政府が、外務省の記録として、国内向けに改竄する事で、国民を誤導した結果である。
日本側は、この<瀋陽合意>で、@“拉致問題の再調査委員会の立ちあげは、日朝親善のムード作りの為であって、拉致問題解決のためではない。”A“再「調査委員会」の立ちあげを、朝鮮側からの発表として行って頂きたい。またそれを外交ルートで公表すると同時に、制裁の一部解除をおこなう”と確言した。
即ち、日本側は、朝鮮側の前で、「拉致問題」は解決済みである事を認めざるを得ない事を白状する一方で、実態のない形だけの「調査委員会」を「朝鮮側から」発表させることで、「朝鮮側も、拉致問題が未解決であることを認めている」と言う国内向けの言質を取ろうと企んだのである。
事実、日本外務省は、自らのHPで、「日朝実務者協議の概要」で次のように書いた。@“北朝鮮側は、「拉致は解決済み」との従来の立場を変更して、拉致問題の解決の向けた具体的行動を取るための再調査を実施する事を約束。「再調査」は、「生存者を発見し帰国させる為の調査である必要がある。」旨を明確に指摘し、先方も同意した。(原文のまま)”と言うのだ。
しかしこれは、見事な捏造と言うべきである。「立場を変更していない」のに「変更した」と言い、「約束していない事」を「約束した」と言い、亡くなった人間を連れ戻す事に朝鮮側が同意したと言う。まだしも、「再調査委員会を朝鮮側が発表すれば、制裁一部解除に応じる」と言う約束でも実行すればよいが、日本政府は、その「見返り約束」さえ踏みにじったのである。
歴代政権と野田は、日朝関係改善で、約束を踏みにじり、虚偽情報をばらまき、日朝関係改善に「本腰を入れる」どころか、ピョンヤン宣言の履行を10年以上も放置し、「拉致問題」を日朝関係のすべてに優先する前提条件とする事で、対北敵対感情の醸成と極東の軍事的緊張を高め、日本国民に対する政治的支配の道具として利用する事に、力を振り絞ってきた。

○「拉致問題」を日朝関係のすべてに優先する前提条件とする日本政府の政策は、既に破たんしている

野田政権と、読売を始めとする右翼媒体はいわずもがな、ほとんどの言論媒体が、「拉致問題」を日朝関係のすべてに優先する前提条件かの様に主張し、国民と拉致家族に対し、今も正しい情報を隠し、事実を捻じ曲げて伝えているのだ。
日本政府が、「拉致問題が最優先課題だ」「もし、拉致が議題に挙がらなかったら、交渉を打ち切るぐらいの覚悟で臨むべきだ」と言った、荒唐無稽にして頓珍漢な主張を持って臨もうとした日朝課長級予備会談が、829日から30日の3日間にわたって開催された。日本の言論媒体では、会談で、「拉致問題が取り上げられたかどうか」と言う1点に関心を絞った報道合戦が繰り広げられた。
彼等は「拉致問題」が、まだ未解決との盲目的な信念と、矮小な歴史の1コマが、日本の植民地支配の長い悲劇の歴史の決着より、もっと大きな重さを持つと言う国家の宣伝と政策に無批判に反応し、およそ言論人の資格もない無知をさらけだした。彼等は、ひょっとしてこの予備会談で議題に上るかも知れないピョンヤン宣言の履行の行くえなど、何の関心も示さなかったと言う訳だ。
三日間の「日本人遺骨問題」をめぐる日朝予備会談が終了したあとの、94日、朝鮮外務省代弁人は、「日朝政府間予備会談に関する共和国の立場表明」を次の様に行った。(全訳)
共和国外務省代弁人は、朝日政府間の予備会談が行われた事に関連し、5日、朝鮮中央通信社記者の質問に次の様に答えた。去る829日から31日まで、中国北京で朝日政府間課長級予備会談が行われた。
今回の予備会談は、先に行われた朝日赤十字会談で共和国に埋まっている日本人の遺骨問題を円滑に解決するには、政府の関与が必要であると言うことで見解の一致を見て、それぞれ政府に提起したことによって行われたものである。
予備会談では、日本人の遺骨問題で開かれる朝日政府間本会議に関する双方の立場が通報され、本会議の議題と、場所、時期などについての実務的な問題が論議され、今後外交的経路を通じ、引き続き調整することにした。
これに関連して、日本の政府と政界、報道界が、本会議の議題に「拉致問題」を含める事を我々が受け入れたなど、我々が日本人の遺骨問題でいわゆる経済的代価を望んでいるなど、何のと言うのは、全く事実に合わない戯言である。
真実を歪曲し、我々の善意を愚弄する、この様な世論欺瞞行為は、日本側が日本人の遺骨問題を、不純な政治目的に悪用していると言う疑いを濃くするだけである。
我々は日本人の遺骨問題を人道的立場から善意と雅量を持って扱っており、今後もそうするであろう。しかし、日本が引き続き不純な政治目的だけを追求するなら、朝日政府間の対話が続くのに否定的な結果を及ぼす事になるであろう」と。
朝鮮政府は、最大限の自制をもって、「人道的実務協議」さえ破綻に追い込みかねない日本政府の態度に対し警告し、日本の言論媒体の悪意の報道を牽制した。事実を捻じ曲げ、虚偽と捏造を事実かの様に見せる為に、加害者が被害者を装うのは、犯罪者の一つの逃げ道である。繰り返すが、日朝関係の基本は、まず過去の清算を履行する事を出発点としなければならないと言う点に尽きる。この事を日本人は、繰り返し自覚すべきである。
日本帝国主義がアジアの民衆の前に敗北して、既に半世紀を超える67年を経ても尚、歴史に積み上げられた罪過の山を前にして、世界に於ける国民総生産を米国と競って来た先進資本主義国家日本が、その国家としての責務を逃れようと、屁理屈をこねて逃げ惑う政府と国民の姿は、地球上の笑い物である。
フランス・パリコミユーンの革命家、ルイ・オーギュスト・ブランキは、30万のブルジョアジーが、3000万の国民を搾取しておきながら、彼等を「私有財産に襲いかかろうと身構えている強盗として告発」する不条理を、ブルジョアジーの裁判所の被告席から糾弾した。
「特権者共の税と圧政に不平を申し立て抵抗するプロレタリア」を攻撃するブルジョアジーを、「死刑執行人が犠牲者のふりをしているのだ。一体、極刑にふさわしい強盗は誰なのか?」と、厳しく問うた。(ブランキ革命論集・上巻、‘重罪裁判所における市民、ルイ=オーギュスト・ブランキの陳述’―現代思潮社1968年)
まさに、19458月以降、現在に至る、朝鮮半島38度線以北―朝鮮民主主義人民共和国に対する米国と日本を中心とする世界の帝国主義列強による半世紀以上に亘る執拗にして長期の抑圧政策は、加害者が犠牲者のふりをすると言う、オーギュスト・ブランキのブルジョアジ―に対する告発を彷彿とさせる。
朝鮮民主主義人民共和国が「核とミサイル」で日本を「脅かしている」などと言う、加害者が被害者ずらをする欺瞞は、もはや歴史的に破綻した政策である。
ピョンヤン宣言の即時履行を、日本政府に迫る全国民の運動を、全国津々浦で組織していく事は、日本国民の義務であるといわなければならない。

<参考サイト


論考「日本政府は<拉致問題>が決着済みであることを隠蔽している」(2012年5月20日)

☆「横田めぐみ・偽遺骨」は日本政府による国家的でっち上げである
(2007年11月19日)


☆朝鮮民主主義人民共和国外務省との会談記録(3) (2012年6月1日)

☆朝日報道に関する、朝鮮民主主義人民共和国外務省との会談記録(その2) (2012年5月25日)

朝・日関係に関する,朝鮮民主主義人民共和国外務省との会談記録(その1) (2012年5月12日)


[参考] 日朝平壌宣言

 

 

日朝平壌宣言

(平成14917日)


 小泉純一郎日本国総理大臣と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長は、2002917日、平壌で出会い会談を行った。
 両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。
1
.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために200210月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
 双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。
2
.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
 双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
 双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945815日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。
 双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。
3
.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。
4
.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。
 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。
 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。
朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。
双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。

日本国
総理大臣
小泉 純一郎

 

朝鮮民主主義人民共和国
国防委員会 委員長
金 正日

2002917
平壌