(主張) 米韓合同軍事演習<キー・リゾブル>は第2次朝鮮戦争の導火線 (2013年3月11日)
朝鮮民主主義人民共和国への<国家テロと核先制攻撃>を準備する米韓合同
軍事演習<キー・リゾブル>(3月11日〜21日)は第2次朝鮮戦争の導火線
柴野貞夫 時事問題研究会
●朝鮮を圧殺する事を目的とした、不法な安保理決議
国連安保理は、1月23日、(昨年12月に)人工衛星「光明星−3号」2号機を成功裏に打ち上げた朝鮮民主主義人民共和国に対し、2087号を決議し制裁を加えた。さらに3月7日、人工衛星発射を理由とする列強の核威嚇に対する自衛的な(第3次)核実験に対しても、制裁の強化・拡大を図る追加制裁―2094号を発動した。
この朝鮮に対する制裁決議は、実際には米国と列強が「国連」の名を詐称し、「国連憲章」が謳う「主権国家の自主権と平等権」さえも蹂躙して行使した不法な決議である。米国を軸として利害を分け合う、<核・ミサイル大国同士>が談合し、国際法に基づく自由な貿易と金融取引を侵害し、主権国家の外交活動に制約を加え、生存権を奪い取る事で、朝鮮を圧殺する事を目的とした不法行為である。
●朝鮮民主主義人民共和国を、帝国主義との政治的取引の道具にした中国
この二つの不法な制裁決議を、社会主義を主張する中華人民共和国が容認した事は、社会主義朝鮮を資本主義社会に併呑しようと、核侵略戦争を準備する帝国主義列強に加担する事にほかならない。中国が、世界資本主義市場における相互関係の中で、過剰生産恐慌の渦中に晒され、その矛盾の火粉を被るのは当然である。しかし、その危機突破の活路と政治的軸足を、社会主義朝鮮をはじめとする世界の労働者階級の側に置かず、社会主義朝鮮を米帝国主義との取引の道具にした事は、自分自身の危機を深かめるだけだ。
中国共産党の官僚たちは、自分たちが、中国に於けるエリツインの登場(資本主義の復活)を手助けしている事に気付くべきだ。それは、自分自身の社会的基盤を掘り崩すに留まらない。中国革命の獲得物と、世界の労働者階級の財産である「社会主義体制」を帝国主義列強に売り渡すことになる。
●国際法を蹂躙する、「安保理決議」と列強の横暴
朝鮮民主主義人民共和国は、国連と「国際社会(列強)」の中で、唯一衛星発射を「認められない国」だ。米国と帝国主義列強は、宇宙空間の平和利用に関する国際法とその諸手続きを順守したにも拘わらず、朝鮮の人工衛星の運搬手段であるロケットは、安保理決議をまもらぬミサイルだと言い掛かりを付けた。民生用衛星「光明星−3号」2号機発射の4日後、同時に打ち上げられた日本のスパイ衛星、米国のロケット、中国の軍事ミサイルは、不問にふされた。1月30日発射された南朝鮮の偵察衛星「ナロウ号」に対し、米国や列強から「制裁」の動議はなかった。「安保理決議」なるものの見え透いた茶番劇を、世界に見せつけた。米国は、朝鮮の核武装が「核拡散防止条約」(NPT)体制を破壊すると非難するが、自身は包括的核実験禁止条約」(CTBT)の批准を拒否し、核実験を継続すると言う横暴ぶりだ。
●「朝鮮半島の戦争の危機」に火を付けた米国
我々が今、日本国民に、広く訴えなければならないのは、朝鮮が民生用衛星を打ち上げた直後、米国は、東海上に射程1000kmのトマホーク搭載核原子力潜水艦、射程500km対地ミサイル搭載イージス艦を侵入させ、北への核威嚇をはじめた事だ。さらに、それへの北の自衛的核実験が行われた前後から、大々的な北への核侵略演習が「フォーイーグル」(3月1日〜4月30日)として展開され、「キー・リゾブル」(3月11日〜21日)が、これから開始される深刻な事実である。即ち、米国によって付けられた火で、朝鮮半島に戦争の危機が迫っているという事実だ。
この演習には、南朝鮮兵20万、グアム・沖縄・米本土から1万の米軍が参加、核戦略爆撃機B52H、100余の核爆弾を搭載した核打撃空母など、あらゆる攻撃武器が投入されている。
これらの演習の狙いは、1974年に、はじめて作成された米軍の「作戦計画5027」や、そのあとの「5029」に基づいた演習である点だ。韓国「新東亜」や、「ハンギョレ」の記事からも明らかだが、これは、テロを含む軍事力を行使しながら、朝鮮に深く侵入し、「急変事態を誘導しながら、政府指導者を逮捕し、国家を転覆し、朝鮮共和国を占領する」という目的の下で行う米国と南朝鮮による国家的テロを含む侵略戦争準備が、始まっているという事実だ。
●オバマになっても尚、朝鮮の崩壊と圧殺を夢見ている米国
列強は、国連の「制裁決議」を通して、あたかも朝鮮が「ミサイルと核で挑発する不法国家」と言う加害者のイメージを作ろうとしているが、事実は逆である。米国の朝鮮に対する核威嚇は、既に朝鮮戦争時期から60年に亘って継続している。米国はオバマになっても尚、朝鮮の崩壊と圧殺を夢見ている。朝鮮の対話要求も徹底的に無視してきた。(クリントン政権時)2000年10月の朝米合意締結から、(ブッシュ政権時)9・19六者合意,(オバマ政権時)2・29朝米合意まで、すべての合意を紙切れにした米帝国主義は、いま、「朝鮮有事」を誘発させ、「体制崩壊」を目的とする核戦争挑発に血なまことなっている。この米韓核侵略演習を前にして、南朝鮮国防長官は、「先制打撃」も口にした。
●朝鮮は、「イラクでもリビアでもない、核攻撃には、核を含む最新の兵器で、断固たる反撃をする」と朝鮮人民軍最高指令部報道官
朝鮮民主主義人民共和国は、この事態に対し、「米国と南傀儡による明確な停戦協定の系統的破壊行為の集中的発露であり、3月11日をもって、形式的に維持されてきた朝鮮休戦協定のすべての効力を全面白紙に戻すであろう」(朝鮮人民軍最高指令部報道官声明)と言明した。また、「この地はバルカンではない。イラクやリビアでもない。わが軍隊と人民は過去と違い、軽量化され、小型化された核爆弾を含むすべてのものを保有している。」(同上)として、米国の侵略には、核を含む最新の兵器で、断固たる反撃をすると宣言した。
米国と南朝鮮の挑発的北侵略演習が、第二次朝鮮戦争を誘発する可能性は大である。米国と韓国、そして日本を含む追従国家は、これからも、朝鮮圧殺を狙う軍事演習と軍事的挑発、ならびに不法な制裁行動を続けるなら、朝鮮半島と、米国の軍事要塞列島―日本列島が、火の海となるであろう事を自覚しなければならない。
○米国と列強は、朝鮮に対する戦争挑発をやめろ!「米韓合同軍事演習「フォーイーグル」「キー・リゾブル」を直ちに中止せよ!
○米国と南朝鮮による、朝鮮民主主義人民共和国への核侵略戦争を許すな!
○米国に残された道は、朝鮮民主主義人民共和国が主張する「平和協定の締結」に直ちに応ずる事である!
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