ホームページ タイトル

 



論考・2戦争法廃棄と安倍政権打倒の戦いは、日・米・韓が企む朝鮮に対する核侵略戦争を糾弾する戦いと連結しなければならない


米国は、朝鮮政府が呼びかけている平和協定の締結に応じる責任がある
<光明星3号>3号機の打ち上げは朝鮮経済発展に不可欠な地球観測衛星

                                                  (
2016年2月26日)
                                                 柴野貞夫時事問題研究会

「朝鮮に対する核戦争演習を中止し、停戦協定を平和協定に代える話し合いをしよう」という提案を拒否した米国

我々が朝鮮の水爆実験を<非難>する帝国主義者の偽善」(1月22日付[論考])で触れたように、朝鮮のアン・ミョンフン国連次席大使は、2015年1月14日 国際連合で記者会見し“(米韓が合同軍事演習を中止すれば)朝鮮は核実験を一時的に中止する。(この提案をのむなら)今年中に朝鮮半島で、多くのことが可能になる”とし、“アメリカは内政に介入し、南北間の対話を邪魔している。我が国を敵視し続けている”と批判した。これに対し、アメリカで朝鮮問題 を担当するソン・キム特別代表は「40年間続く米韓の軍事演習について、朝鮮民主主義人民共和国が不満を言う権利はない」などと外交交渉の相手に対する不遜極まる発言をした。問答無用的に朝鮮民主主義人民共和国の提案を拒否した。
この朝鮮の提案は、3月2日から13日までの日程で予定された米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と、3月2日から4月24日の日程で並行して実施する米韓両軍の野外機動訓練「フォールイーグル」が一触即発の停戦状態にある朝・米間にあって、戦争の危機を高め、半島の緊張を極限に深めるばかりでなく、朝鮮に対して核先制攻撃を仕掛ける戦争準備そのものであることを警告し、また、1975年国連総会決議で「国連軍司令部」を解体し停戦協定を平和協定に取り換える<3390号>議案を議決しているにも拘らず、米国がこれを無視して来た事を糾弾する一方で米国に対し朝鮮との話し合いに応じさせるための朝鮮側の譲歩と条件を示したものだ。

主権国家の元首に対する国家テロのプログラム―米韓合同軍事演習

米韓が予定した「米韓合同軍事演習」とはどの様なものなのか。韓国・聯合ニュースが2015年2月21日伝えたところによれば、3月7日から始まった韓米合同軍事演習「キー・リゾルブ」は例年の2倍の米軍兵力1万5000人余りが参加し、過去最大の規模で実施し、昨年約1万人が参加した韓国軍も大幅に規模を拡大する予定だという。海兵隊の演習には韓国側3000人と米国側7000人が参加。2012年の演習開始以降、最大の規模になり米特殊部隊をピョンヤンに侵入させ「斬首作戦」と称する朝鮮首脳を「捕獲」するという主権国家に対する野蛮極まりない国家テロを公言する挑発的な戦争プログラムであった。核搭載の戦略爆撃機、核潜水艦、核空母などありとあらゆる核武力が動員された。
まるで、米国と云う強盗殺人者が白昼公然と平穏に暮らす市民の住居の玄関口に立って鉈(なた)や包丁を振りかざして押し入り、その家の主人を「斬首するぞ」と狂ったように叫んでいる様子が目に浮かぶ。彼らはこんなことを朝鮮国家に対し60年以上にわたってやって来たのだ。米国が朝鮮に対して行っている行為は、かくの如く許しがたい非人倫的野獣的行為なのである。主権国家の破壊を目的とした脅迫、殺人行為を予告、しかも核兵器の使用をちらつかせながら、侵略を公言する米国を「国際社会」が黙認しているのである。

言葉での合意を行動に移した朝鮮」、「言葉での合意を行動で踏みにじった米国」

NPT(核不拡散条約)締結国の義務は、締結国の中の核を持たざる国家に対しては核軍縮の義務と核兵器による威嚇を否定しているが、米国は朝鮮戦争時期から一貫してこの義務を破ってきた。核を持たざる国家・朝鮮が、核で脅迫する米国に対し、忍耐強く対処するにも程があるのがお分かりだろう。
このシリーズで明らかにしていくが、朝鮮は朝鮮戦争の停戦以降、米国との最初の締結文書である「ジュネーブ朝米合意」(1994年9月)以降、幾度とない朝米協議と6か国協議を通して核計画と核の保持を必要としない条件さえ<合意>に達すれば<核計画と核の保持は必要としない>と主張してきた。
そして、幾度となく米国との<言葉での合意>が成立した時、朝鮮は率先して核廃棄に向けての<言葉の約束を行動>に移した。しかし、米国は一貫して<言葉だけの合意>はするが、(後程明らかにする様に)米国は一度成立した「合意」を悉(ことごと)く破り、あたかもその責が朝鮮側にあるかのように取り繕い、資本主義社会の途方もない巨大で無数の言論媒体を動員して「国際社会」を欺瞞してきた。
それだけでなく、朝鮮が<合意>を履行しなかったと偽り、朝鮮の玄関口で強盗的演習を繰り広げ、体制崩壊を目的とする不当極まる核侵略戦争準備を展開してきたのだ。
「北は悪の枢軸」として機会あらば政権崩壊を狙おうとしたブッシュの体質は、黒い帝国主義者オバマに依然として受け継がれている。


水爆実験は朝鮮半島で仕組んだ核戦争危機を朝鮮国家の責任に転嫁した米国に対する警告

2016年1月6日の水爆実験は、朝鮮半島で自ら仕組んだ核戦争危機を朝鮮の仕業に仕立て上げ、東北アジアの不安定状態を政治的支配の道具として来た日・韓・米支配階級に対する朝鮮国家による断固たる警告である。
引き続く2月8日の商用地球観測衛星<光明星3号>3号機の打ち上げ成功は、朝鮮経済の発展に直接寄与する人工衛星であると同時に、結果として核戦争を仕掛けてくる帝国主義者に対する政治的威嚇と抑止となるに違いない。
朝鮮政府の一貫した「(米国は)朝鮮戦争・停戦協定を一刻も早く平和協定締結に代えるための話し合いに応ずべきである」と言う主張・提案をことごとく無視して来た米国が、朝鮮政府に向かって「挑発を繰り返す北」と攻撃するのは世界に対するとてつもない欺瞞である。火付け強盗が被害者を装う欺瞞に、日本人は怒りをもって抗議しなければならない。

<光明星3号>3号機は朝鮮経済の発展に不可欠な地球観測衛星

2012年12月、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮と表記)は、初めての商用地球観測人工衛星<光明星3号>2号機を宇宙ロケット<銀河3号>による運搬手段で宇宙の周回軌道に打ち上げる事に成功しているが、2016年2月7日、商用地球観測衛星としては実質2号目となる<光明星3号>3号機を発射し成功した。
朝鮮は既に1998年8月に<光明星1号>と2009年4月に<光明星2号>を発射しているが、それらはいずれも試験通信衛星と考えられるものであったが、2012年12月の<光明星3号>2号機と今回2016年の<光明星3号>3号機は朝鮮経済の発展に直接寄与する実用衛星である点で大きな違いがある。
2012年4月、<光明星3号>1号機の発射時は朝鮮の「科学技術衛星発射の平和的性格を透明性をもって示す為に世界の権威ある専門家達と言論界の人士達を発射過程を参観するように招請し、「宇宙条約’をはじめとする宇宙の平和的利用に関する普遍的国際法に準じて」(3月23日・朝鮮外務省スポークスマン談話)打ちあげた。
これは軌道にあげることに失敗したが、引き続いて同年12月に打ち上げに成功した<光明星3号>2号機は予め国際海事機関(IMO)への事前通報、他国の島嶼、領土の頭上を避けた海上コースをとり、安全対策に万全を期した。

朝鮮国家だけに宇宙に打ち上げる運搬手段を禁止する安保理決議は猿芝居

当時、米帝国主義者や日本の支配者とそれに追従する言論媒体は、この朝鮮の商用人工衛星発射を“人工衛星と称する弾道ミサイルであり、核実験と弾道ミサイル技術を使用した発射をこれ以上認めないとした2009年の国連安保理決議1874号違反’”などと苦しい説明を弄して非難したが、わざわざ軍事用ミサイルの発射の現場を世界に向かって「透明性をもって公開」する国家がどこにあるのか。また、しばしば大国の利害で歪められて来た「国連安保理決議」なるものが、すべて正しいなどとする根拠はどこにあるのか。
何よりも、そもそも人工衛星はロケットと言う運搬手段によってのみ、宇宙へ打ち上げる事が出来るのである。このロケットと言う運搬手段によってしか宇宙に人工衛星を打ち上げられない事ぐらい、日本の小学生なら誰でも知っている知識だ。

「周回軌道に入った人工衛星」と「地上に落下する弾道ミサイル」を区別できない言論

今回、2016年2月7日、商用観測衛星として発射に成功した<光明星3号>3号機は、2号機と同様、 予め国際海事機関(IMO)への事前通報、他国の島嶼、領土の頭上を避けた海上コースをとり、安全対策に万全を期した上で、地球の北極と南極上空を通過する軌道を南北方向に飛行することで気象衛星と海洋観測衛星などに活用できる「極軌道衛星」として周回軌道に入ることに成功した。

米国や日本政府のみならず、日本の言論媒体は、性懲りもなく、2012年の<光明星3号>2号機打ち上げ時と同様の使い古されたウソと欺瞞を、日本と世界の「世論」に垂れ流している。
即ち、彼らが朝鮮の人工衛星に対し、常套的に使う人工衛星と称する弾道ミサイルと言うフレーズは、他の日本語に言い換えれば、人工衛星と言ってはいるが、これは弾道ミサイルそのものであると言う意味だ。しかし、弾道ミサイルとは一旦宇宙に打ち上げられたら地球上の何処かに落ちてくる爆弾だ。周回軌道に入った人工衛星の一体何処が「 弾道ミサイル」なのか。
日本政府と言論媒体は、事実を捻じ曲げて「世論」を篭絡しようとする不純な意図を押し付けようと焦ったあまり、自分たちが使った「日本語」の意味さえ十分に確認していないのである。

朝鮮国家にとって地球観測衛星は何故必要なのかを指摘した韓国の研究者

2012年当時<光明星3号>2号機に対して、韓国の研究者は商用衛星は北韓経済に切実な設備だとして次のように指摘している。
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=97894統一ニュース>サイト
気象衛星は、夏の季節、台風の接近をありまま把握し、地域別降水量と集中豪雨に備える為、切実に必要な装備だと言う事が出来る。とりわけ近接撮影による気象情報は、農業生産量の増大を国家の主要課題として提示している北韓当局に絶対的に必要な情報だと言う事が出来る。
最近、韓半島地域は夏の季節、集中豪雨による洪水被害が頻繁となっている。北韓も毎年、所謂 大水被害と呼ぶ洪水被害を経験しているのであり、この様な洪水被害が農業生産量を落とし、北韓経済の各部門に莫大な支障を与えることが事実の様だ。しかし、北韓は気象衛星がない為に天気予報をする時毎に中国が提供する衛星写真のデータに基づく他はなかった。
(要訳− 柴野貞夫)
.

韓国<ハンギョレ>国家経済に必要不可欠な死活的設備としての北韓の観測衛星

韓国のハンギョレ新聞は当時、“2006年現在の1m級解像度で、横―縦15kmの地域を撮った衛星映像の国際価格は1枚につき約10,000ドル(約120萬円)に達する”と報道したことがある。中国の衛星写真に頼ってきた朝鮮の気象データにかかる費用は、膨大なものになっていたと指摘していた。
一方韓国は、以前から衛星を製作し、委託発射による<アリラン>と呼称する軍事用、商用衛星を持っている。一方、自国の観測衛星を持たなかった朝鮮にとって、この二つの商用衛星は農業生産計画のための気象観測や、鉱物資源と海洋資源の探査を必要とする朝鮮にとって国家経済に必要不可欠の死活的設備なのである。
世界の宇宙技術者は、地球の上空500kmを周回する観測衛星の寿命を4年〜5年と指摘している。2012年に打ち上げた朝鮮経済の死活的設備としての <光明星3号>2号機は、新たに打ち上げた<光明星3号>3号機に引き継がれる必要性があったとも推測される。

とどきもしない地対空ミサイルを全国に配置し「人工衛星と称する弾道ミサイル」だと世論を欺瞞した安倍晋三

日本政府は<光明星3号>2号機の発射時と同じように、今回の<光明星3号>3号機の打ち上げを日本国土の頭上に飛来する弾道ミサイルだと捏造した。日本と国際世論に対する挑発だと世論を欺瞞し、世上に根拠なき恐怖感をばらまき、一部民衆の対北敵対感情を掻き立てることにある程度成功した。 政府は北のミサイルに対し、迎撃体制を整えるとして、スタンダードミサイル(SM3)搭載イージス艦を飛行ルート周辺海域に派遣し、沖縄県、首都圏などに、地対空誘導ミサイル・パトリオット(PAC3)の ミサイル部隊を 国民が現に生活する全国の市街地、農地などに展開し、 憲法を否定し、国民の諸権利を制限する臨戦体制に持ち込もうと画策した。
これに、大手商業新聞とあらゆる言論媒体が国家権力の宣伝媒体となって迎合し、「人工衛星と称する弾道ミサイル」が今にも民衆の頭上に落ちてくるかのような嘘八百を並びたてた。どこに落ちるか分からないなどと民衆を誑(たぶら)かした。
先島諸島上空500kmを飛行する<光明星3号>3号機に対し、迎撃高度がたかだか数10qしかないPAC3が届きもしないことは防衛庁も政府も自明のはずだと、軍事専門家は指摘していた。これは、世論を欺瞞する猿芝居であるが、この猿芝居のお囃子を率先して唱和する大手言論と放送媒体は、一度、自分たちの腐敗した脳髄を三途の川で洗い流したらどうだろう。

国連安保理に「朝鮮国家だけに打ち上げる権利を剥奪する」などと決定する権利がどうしてあるのか

光明星3号3号機は<光明星3号2号機と同様に、ロケットブースターはその本体を切り離したあと、正確にそれぞれの予測地点に落下した。朝鮮国家の経済的発展に寄与するための商用観測衛星を朝鮮国家だけ「打ち上げる権利がない」と、どうして言えるのか。国連安保理に「 朝鮮国家だけに打ち上げる権利を剥奪する」などと決定する権利がどうしてあるのか。
しかし、国連安保理は、2012年12月の朝鮮の衛星発射成功と関連して、対北制裁を強化する内容の<決議2087号>を米国と日本の主導で、ロシア、中国 も巻き込み満場一致で採択した。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/missile_12_2/anpori_2087_jp.html
(<決議2087>のサイト)

<安保理決議2087>に対し「米国の敵対視政策が変わらない限り、朝鮮半島の非核化を論議できない」と朝鮮外務省

朝鮮は、直ちに外務省声明(2013123日付)を発表した。少し長くなるが引用する
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=gisa3&no=64519
<ウリミンジョクキリ>のサイト)
米国の主導下につくり上げられた<決議>は、我々の平和的衛星発射を敢えて非法化し、我が国の経済発展と国防力強化を阻害するための<制裁>強化を狙った暴悪な敵対的措置で一貫している。
衛星を打ち上げ様とすれば、弾道ミサイル技術を利用する方法以外に無いと言う事を誰よりも良く知っており、そのような衛星発射を最も多く行う国々が我々の衛星発射が「弾道ミサイル技術を利用した発射」である為、問題視されると言い張る事は、自己欺まんと2重基準の極致である。第1に、我々は国の自主権を乱暴に侵害し、我々の平和的衛星発射の権利を抹殺しようとする、国連安全保障理事会の最も不当な仕打ちを断固と糾弾排撃する。
敵対勢力らが、制裁圧迫で我々をどうにかして見みようとするのは愚かな誤算であり、そんな試みはこれまでと同様、今後も恥ずべき惨敗を免れないであろう。
国連安全保障理事会は、普遍的な国際諸法を踏みにじり、米国の対朝鮮敵対視政策に追従し、主権国家の自主権を甚だしく蹂躙(じゅうりん)した自分の罪行について謝罪し、不当につくり上げたあらゆる「決議」を直ちに撤回しなければならない。
現情勢に対処して、朝鮮民主主義人民共和国外務省は次のように宣言する。
第1に、我々は国の自主権を乱暴に侵害し、我々の平和的衛星発射の権利を抹殺しようとする、国連安全保障理事会の最も不当な仕打ちを断固と糾弾排撃する。
敵対勢力らが、制裁圧迫で我々を、どうにかして見みようとするのは愚かな誤算であり、そんな試みはこれまでと同様、今後も恥ずべき惨敗を免れないであろう。
国連安全保障理事会は普遍的な国際諸法を踏みにじり、米国の対朝鮮敵対視政策に追従し、主権国家の自主権を甚だし蹂躙(じゅうりん)した自分の罪行について謝罪し、不当につくり上げたあらゆる<決議>を、直ちに撤回しなければならない。
2に、我々は宇宙の平和的利用に関する普遍的な国際法に準じて自主的且つ合法的な、平和的衛星発射の権利を、引き続き堂々と行使していくであろう。
われわれの科学者、技術者は人工衛星<
光明星32号機を成功裏に打ち上げたその精神、その気迫で、経済強国の建設に必須的な通信衛星をはじめとする各種の実用衛星と、より威力ある運搬ロケットを、もっと多く開発し、打ち上げるであろう。
宇宙を征服する我々の平和的衛星の打ち上げは、中断することなく続き、我が国は世界が見上げる宇宙強国に飛躍するであろう。
3に、我々は米国の敵対視政策が、少しも変わらなかったという事が明白になった条件で、世界の非核化が実現される前には朝鮮半島の非核化も不可能だという最終結論を下した。
米国の増大する対朝鮮敵対視政策による、自主権尊重と平等の原則に基づいた6者会談の919共同声明は死滅し、朝鮮半島の非核化は終焉を告げた。
今後、朝鮮半島と地域の平和と安定を保障する為の対話はあっても、朝鮮半島の非核化を論議する対話はないであろう。
第4に、我々は日を追って露骨になる米国の制裁圧迫策動に対処して、核抑止力を含む自衛的な軍事力を質量的に拡大強化する、任意の物理的対応措置を取る事となるであろう。
(要訳− 柴野貞夫)

<安保理決議2087>に対して「北の理由ある抗弁」と朝鮮を擁護した韓国の言論

当時、この安保理「制裁」に対して、韓国のネット民衆言論<統一ニュース>(2013年1月23日付)は、「国連の対北制裁に対する、北の理由ある抗弁」と言う次のような論評を行った。
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=101213<統一ニュース>のサイト
北韓が今回の外務省声明を通して、米国が問題にした弾道ミサイルに対して行った抗弁が注目される。声明は衛星を打ち上げようとすれば、弾道ミサイル技術を利用する方法以外に無いと言う事を誰よりも良く知っており、(それを)最も多く行う国々が我々の衛星発射が(事実上の)弾道ミサイル技術を利用した発射である為に問題視されると言い張る事は自己欺瞞と二重基準の極致とし、米国の二重定規(ダブルスタンダード)を辛辣に批判した。
更には、米国と国連安保理に向けて間違ったと言う事を、明らかに知っていながら、それを正す勇気や責任感もなく間違った行動を繰り返す事こそ、自分も他人もあざむく臆病者達の卑劣な措置だと指摘した。
全くその通りだ。どの国々も衛星を発射すれば、その運搬手段ロケットで弾道ミサイル技術を利用する以外に無い。米国もそうだし、ロシア・中国もそうであり、我が国(南韓―訳注)の<ナロウ(羅老)>号の発射でもそうだ。そうであるのに、唯一つ北韓だけ取りだして、衛星を打ち上げる事にも長距離ミサイル発射と規定し制裁を加える事は拙劣な行為の極致だ。
北韓の理由ある抗弁に、米国は答えを出さなければならない。米国は北韓に対し、衛星発射をこれ以上するなと哀願するよりは二重定規(ダブルスタンダード)から抜け出て、鷹揚に韓半島非核化協議に入って行く事がもっと現実的な打開策となるだろう。それが大きい国米国がいくじなしと言う汚名から抜け出る道だ。
(要訳− 柴野貞夫)

正真正銘の大陸弾道ロケットを打ち上げたインドを擁護する米国の二重基準、これを糾弾する韓国の言論

更に、韓国の民衆言論<チャムセサン>は、2012年4月23日付で“米国の二重基準(ダブルスタンダード)北韓とインドのミサイル発射”と題して、米国を非難した。
http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=65914&page=1&category1=38
<チャムセサン>のサイト
インド政府が19日、核弾頭を装着できて最大6000kmまで飛んで行くことが出来る新型ミサイル・アグニ-5の試験発射に成功したと明らかにした。
このミサイルは(もちろん,北韓の様な人工衛星ではなく)中国と韓国は無論、日本の西側まで到達可能で、欧州の半分も射程距離内に含まれる。米国とロシア、中国など核保有国が配置しているICBM(大陸間弾道ミサイル)に匹敵する。外信報道によれば、インド政府当局がICBMでなく中距離ミサイルと表現を変え、射程距離も5000kmと対外的に主張しているが、8000kmまで到達する可能性が高いものとみている。
米国と西側言論は、北韓が人工衛星<光明星3号>を搭載した長距離ミサイル発射に対し、国連の制裁まで再び動員し、これを遮ろうとした事とは異なり、インドに対しては特に変わった非難をしなかった。むしろ米国は進み出て、インド政府を北韓と違うとし、長距離ミサイル発射実験を擁護してやる発言さえ厭わなかった。
米国・白亜館(ホワイトハウス)カニ代弁人は20日(現地時間)、外信とのインタビューで “インドの弾道ミサイル発射を北韓と比較すれば、克明な(はっきりとした)差がある”とし、“北韓は国連安全保障理事会の多くの制裁を受けているが、インドはそうではない”と語った。
マークトナー米国務省代弁人も19日、“あらゆる核保有国家は、核とミサイル試験を自制しなければならない”とし、“インドは核不拡散の為、国際的努力に積極参加している”と語った。“インドはワシントンとソウルで開かれた核安保首脳会議に参加するなど、(核の)非拡散に対し堅実な信頼と相当な国際的役割をしていると説明した。
その上、米国は「中国政府もインドのミサイル発射を容認した」と指摘した。「中国は北韓のミサイル発射実験中断を促して、国連の制裁強化に同参する議長声明に中国政府が承認した一方、インドのミサイル発射実験に対しては特別の態度表明はない」とし、「中国も、北韓とインドとの態度が違う」と強調した。
しかし、米国のこんな主張は事実ではない。インドは、核武器を公然と保有しながらも、パキスタンやイスラエルと同様に、核拡散禁止条約(NPT)に加入していない。NPTが、核武器保有を米国、ロシア、英国、フランス、中国など5カ国だけに認定する不平等条約だと言うのがその理由だ。
北韓が核開発を試み、1985年NPTに加入したが、核主権を侵害すると言う理由で1993年、脱退と脱退留保をしながらもNPTを維持している事とも対照的だ。
それでも米国は、インドが民主主義国家であり他国への核武器拡散に関与しておらないとし、インドの核武器保有を黙認してきた。2007年に米国は今までの政策を変更し、民間消費用核燃料や、核技術の輸出を認める協定を締結した。次の年には45カ国が参加した原子力供給国グループ(NSG)も、米国とインドの原子力協定を承認した。この様に米国は、インドの核武器保有を公然と容認する政策を持続的に広げて来た。
もっと問題になるのは、インドの核武器保有はパキスタンの核武器開発を呼んだと言う点だ。先制攻撃をせず防護的だとどれだけ 強調してみても、核武器保有を正当化することは核武器の拡散を誘発させ世界をさらに危機におとしいれるものだ。
一般の武器にあっても、インドは軍事大国化を加速している。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、インドの戦闘機など主要武器の輸入は07〜11年のあいだ、その前の5年間に比べ38%程度上がった。インドの武器輸入は世界全体の武器輸入の10%を占め最大となっている。
(要訳 柴野貞夫)


対北制裁を強化する<2087号決議>に加わった中国を“事大主義”と非難した朝鮮

国際法によって各国にあまねく認められた宇宙開発の権利を朝鮮にだけは認めない、或いは認めたくないと言う列強の卑劣な魂胆は、如何なる言い訳も通用しない。国連安保理が朝鮮に対し、米帝国主義の主導で「非難決議」や「制裁」を乱発するが、それはその時々の列強間の利害関係と取引で朝鮮の固有の権利を踏みにじっているだけである。
国連安保理は2012年12月の朝鮮の衛星発射成功と関連して、対北制裁を強化する内容の<決議2087号>を米国と日本の主導で行ったが、この制裁に中国が加わった事に対し朝鮮国内ではごうごうたる非難の嵐が沸き上がった。「社会主義中国」が帝国主義列強の抑圧と戦う朝鮮国家を米国との取引の道具にした事に対する怒りである。中国が今回の水爆実験と衛星打ち上げに対する安保理制裁をめぐる米国との交渉で、前回のようには簡単に結論が出せず、未だ揉めている状況は朝鮮から浴びた“事大主義に貶められた中国”への批判が、足かせとなっているからに違いない。
朝鮮のピョンヤンみならず中国の北京をも射程に収める米国のサードミサイル韓国配備の動きは、「社会主義中国」が朝鮮と共に団結し事大主義から国際主義へ舵を切らなければ帝国主義列強の企みから生き残れないことを示している。

隠された日本の弾道ミサイル―長距離ロケットH2A

<銀河3号>の性能を優に上回る日本の長距離ロケットH2Aは、名実ともに地球をカバーする隠された弾道ミサイルある。
人工衛星を打ち上げる手段は長距離ロケットしかない事は誰しも認めているが、日本政府は憲法に背いてそれを軍事ミサイルに転用する事を公然と意図して整備した。

(上写真) 三菱重工製・H2Aロケット。日本は宇宙産業の全面的な軍事化への転換によって、人工衛星の運搬ロケットを何時でも核運搬ミサイルに転換する道を作った。H2Aロケットは、推進力、大きさ(高さ、駆動距離とも<銀河3号>を陵駕する。

日本政府は、2012年6月「宇宙機構法」の「平和目的に限定」する文言を「宇宙基本法の平和的利用に関する基本理念に準ずる」に置き換え、所管省庁である文科省・総務省に内閣府・経産省が加わり、防衛省の介入にも道を開いた。これは、日本の宇宙産業の全面的な軍事化への転換によって人工衛星の運搬ロケットを何時でも核運搬ミサイルに転換する道を作ったのである。
その日本政府が<銀河3号>を打ち上げた朝鮮民主主義人民共和国に対して、「挑発行為」と非難し「迎撃する」することに如何なる道理があると言うのだろう。
欧米列強も、日本も、過去、韓国が打ち上げようとしてきた「人工衛星」に関して非難・糾弾したことはない。2012年、12月に朝鮮が打ち上げに成功した光明星3>2号機の数週間前の11月29日、韓国が打ち上げる計画だった、2段ロケット<羅老(ナロウ)号>が技術的欠陥から打ち上げられなかった。韓国は過去にも2度失敗したし、また10回も打ち上げ延期となった事はあまり報道されていない。
韓国の長距離ロケット<羅老>の部品総数15万のうちロシア製が12万個、国産が3万個に過ぎないと言う。この<羅老(ナロウ)号>2段式ロケットの1段目もロシア製だ。
長距離弾道ロケットは多段ロケットを活用する技術の為、推進システム、段の分離技術、誘導技術等、高度な科学技術の集積からなり、この技術を持つ国は10カ国にも及ばない。朝鮮民主主義人民共和国は、その一角を占める事となった
韓国は国内総生産(GDP)が朝鮮に対し39倍(2010年)だと自慢し、「北と比べロケットの技術だけが10年立ち遅れている」(朝鮮日報)と言うが、「宇宙発射体の製造能力は機械工業全体の水準を高めながら発展するものである」(韓国・梨花女子大 統一学研究院のカン・ホジェ氏)と指摘する言葉通り、人工衛星はその国の科学技術の総合力である。
すべての部品を自ら調達する朝鮮と比べ、15万個の部品のうち80パーセントを外国に依存する韓国が「ロケットの技術だけが遅れている」と強弁することには無理がある。米国と一緒になって「戦略的忍耐」なる珍語で、経済制裁と軍事的抑圧を加えれば「自己崩壊」するだろうと淡い夢想にふけっていた韓国の支配階級と米帝国主義者は今厳しい現実に直面している。
主権国家を核で脅し、日常的に主権国家の崩壊を公言し「ピョンヤン攻略」の軍事演習を繰り返し、彼らが作り上げた戦争の危機にやむなく自衛的に対処しなければならない朝鮮国家の行動を“挑発”だ“暴挙”だと騒ぎ立てる米・日・韓の好戦主義者達の正体を見分けなければならない。
我々は、東北アジアの核戦争の危機を作り上げている張本人が、米国と安倍政権である事を自覚しなければならない。
東北アジアの不安定性を演出することでそれを政治的に最大限利用し、アジアにおける覇権を追及する米国の「アジア回帰戦略」と一体となってアジアの政治的軍事的復活を夢見る日本資本家階級とその先兵、安倍政権の企みを糾弾しなければならない。

共産党と社民党が、朝鮮を非難する<第110国会決議第2号>に賛成した事は、安倍政権の「朝鮮敵視政策」を下から支える許しがたい行動である。

2月9日、日本の衆参両院において、朝鮮の人工衛星発射を「我が国を含む地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なう重大な挑戦」(衆院)、「国際社会全体に重大な不安を与える許し難い暴挙」(参院)などと非難し、「弾道ミサイルの発射禁止やミサイル計画のすべての活動停止を求めた一連の安保理決議などに違反する」として、日本独自の対北朝鮮制裁措置を通じ、「核・ミサイル・拉致問題の早急かつ包括的な解決を図る」よう政府に求めた決議に日本共産党と社民党が賛成した事実は、東北アジアに冷戦構造を作り上げることを政策化し国民を国家に統合することで戦争国家へ突き進む日本の支配階級を下から支える許しがたい行動である。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/ketsugian/g19013002.htm
衆議院・北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案<第一九〇回国会決議第二号>では、日本の独自制裁を要求する文言は“我が国においても、政府が独自の対北朝鮮制裁措置をとることを通じて、北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題の早急かつ包括的な解決を図るために総力を挙げた努力を傾注することを求める”と なっている。)
国会決議には朝鮮非難にとどまらず、日本政府による「対北独自制裁」まで含まれている。日本共産党と社民党は<第110国会決議第2号>に無条件に賛成した。
我々がしばしば訴えてきた様に、日・米が自分たちの朝鮮敵視政策によって安保理を主導し決議・発動してきた朝鮮に対する不当な「経済的・政治的制裁」は、朝鮮民族の生存権を否定する非人道的なものばかりだ。
日本政府は、これまでも米国の敵視政策から生まれた朝鮮の反撃に対し、米国と一緒になって「非難と制裁」を主導し、同時に安保理決議を上回る日本政府による「独自制裁」を上乗せしてきた。
しかもそれらは、必然的に在日朝鮮人に対する日常的「制裁」をともなってくる。安倍は、第110国会での共産党・社民党を含む「超党派の支持」の下で「対北独自制裁」を2月19日閣議決定した。今回の朝鮮政府の核実験と人工衛星打ち上げに対する安保理制裁決議の動きを先取りし、意気揚々と朝鮮に対する「独自制裁」に踏み切ったのだ。

在日朝鮮人の基本的人権を蹂躙する日本政府の「独自制裁」

朝鮮総連は、この不当な「独自制裁」を次のように抗議している。
“今回の措置には再入国禁止者の対象者の大幅な拡大、共和国への送金禁止、万景峰92号を始めとしたすべての朝鮮籍船舶の入港禁止など、総連の合法的な活動を厳格に規制し在日同胞の生活と権利を踏みにじる極めて不当な内容が含まれていた”“特に看過出来ないのは今回の措置が再入国を禁止する北朝鮮当局の職員、またその活動を補佐する者の対象を従来より拡大するとした事。
これにより、日本政府が恣意的にあらゆる総連関係者と在日同胞達にその対象を制限なく拡大しようとするのは、総連に対する明白な政治的弾圧であり在日同胞達の基本的人権を蹂躙する露骨的な反人道的行為だ。”

万景峰92号は在日朝鮮人が格安運賃で里帰りし祖国を行き来出来る唯一の交通手段だった。ストックホルム協議で再開の約束をした日本政府が、未だそれを保留したままにしていた事案だ。安倍は、在日朝鮮人の手も足も、もぎ取って仕舞おうとしている。

政府独自制裁を求めた<第110国会決議第2号>に賛同した共産党と社民党の責任は重い

安倍の「独自制裁」は、日本国憲法で日本国籍者と同等の人権を保障された在日朝鮮人の基本的人権を蹂躙する差別的・反人道的行為だ。我々は、安倍政権に無条件の政府独自制裁を求めた<第110国会決議第2号>に賛同した諸政党の責任を徹底的に追及するものである。
あてにならぬ権力亡者の民主党は別として、日本共産党と社民党は、本来ならば米国と安倍政権が推し進める戦争法と憲法改悪に対決する民衆の戦いの先頭に立たなければならない勢力だ。しかし、戦争法と憲法改悪に象徴される米国と安倍政権のアジア戦略が中国と朝鮮を敵視し、東北アジア、とりわけ朝鮮半島の核危機の元凶を朝鮮とするかのように装う欺瞞によって成り立っているとすれば、この事実と本質を暴くことを抜きにして民衆に事の本質を訴え抜くことは出来ない。

1994年以降の米朝協議と6者協議の経緯と歴史に対する検証をした形跡がない<赤旗>

日・韓・米帝国主義者が「朝鮮半島の核危機の元凶を朝鮮とするかのように装う欺瞞」を根拠に「挑発者朝鮮」の大々的扇動を繰り広げている真っ最中に、朝鮮の核実験と観測衛星の打ち上げを「国際世論に対する挑戦」「平和に逆行する核実験」「国際的合意に反する行為」「孤立を深める北朝鮮」「国連安保理決議は軍事用の弾道ミサイルだけでなく、その技術を使った平和利用の衛星打ち上げも含めた禁止だ」とする記事が連日の様にその紙面に踊っているのは、「サンケイ、日経、読売」の右翼新聞ではなく日本共産党機関紙<赤旗>である。
朝米ジュネーブ合意書から始まる、1994年以降の米朝協議と6者協議の真実の経緯と歴史に対する真剣な検証をした形跡が全くない<赤旗>の,このような主張はただでさえ「挑発者・北朝鮮」の間違ったイメージを刷り込まれて来た日本の一部民衆の意識に歴史的に形成されてきた「朝鮮差別」が結びつく危険を内包している。日本の支配階級が植民地支配と戦中戦後の階級支配の道具として民衆の中に根深く醸成して来た排外主義は、特に朝鮮民族に対して向けられて来た。

「反朝鮮」の排外主義に火を付ける、政府独自制裁を求めた<第110国会決議第2条>

日本共産党と社民党(もちろん民主党もだが)が、今回の無条件の政府独自制裁を求めた<第110国会 決議第2号>に賛同したことはこの日本の民衆の中に潜む「反朝鮮」の排外主義に火を付ける事になるだろう。これは反戦・安倍打倒の民衆運動にとっても犯罪的役割を果たすに違いない。
日本の支配階級が、もし米国と共に朝鮮に対する侵略戦争に走り出したとき、これら民衆の中に「挑発を繰り返し暴走する朝鮮」に対する戦争を是認する流れが生まれかねないのだ。或いは既に、一部民衆の中に刷り込まれて来た「反朝鮮」意識に赤旗が迎合している危険さえ感じてならないのである。彼ら民衆の意識を教育し日本の支配階級の民衆に対する扇動を打破するためには、朝鮮国家を批判するのでなく、朝鮮半島の核危機を生み出してきた張本人―日・韓・米の、朝鮮国家に対する敵対政策を糾弾すべきである。ピョンヤンに特殊部隊を潜入させると公言し国家テロを企む米・韓合同軍事演習に抗議し、東北アジアの平和に対する敵対者は朝鮮でなく、日・米・韓の支配者である事を粘り強く訴えなければならない。<赤旗>の役割はそこにある。

戦争法廃棄と安倍政権打倒の戦いは、日・米・韓が企む核侵略戦争を糾弾する戦いと不可分に連結しなければならない

日・韓・米の朝鮮に対する核侵略戦争の企てを非難し、抗議し、阻止すること無しに戦争法と憲法改悪に象徴される日・米帝国主義者の首根っこを押さえつけることは出来ない。これが戦争法と憲法改悪に対する戦いの依って立つ立脚点である。この視点で戦いを推し進めることが革新政党の民衆に対する責務である。
共産党と社民党が安倍政権と一緒になって朝鮮に対する非難決議に加わるだけでなく、あまつさえ、朝鮮民主主義人民共和国の生存権を否定する経済的・政治的諸権利に対する「制裁の発動を政府に要請」する事にも賛同した責任は重い。これは安倍政権と米帝国主義の冷戦戦略に加担する犯罪行為でなくて何なのだ。戦争法廃棄と安倍政権打倒の戦いは、日・米・韓の支配階級が朝鮮半島で繰り広げる朝鮮国家への核侵略戦争を糾弾する戦いと不可分に連結していかなければならない。
彼ら日本共産党と社民党が遣るべき道は、朝鮮半島の核危機を生み出してきた日・韓・米の、対朝鮮国家に対する敵対政策と、今も核侵略戦争準備を繰り広げる米国の対朝鮮抑圧政策を糾弾し、1975年、国連総会決議である“「国連軍司令部」を解体し、停戦協定を平和協定に取り換える<3390号>議案”に基づき米国政府に対し直ちに朝鮮政府との話し合いに応ずべきであるとの要求を国会で決議することではないのか。
我々の「戦争法」を粉砕し、安倍戦争内閣を打倒する戦いは、米国による核侵略戦争の脅威に晒されている朝鮮民主主義人民共和国を無条件に擁護する戦いに他ならない。
何故なら、安倍政権と米帝国主義のアジア支配政策の基軸こそ「朝鮮・中国に対する敵対構造」を意図的に作り出し政策化する事にあるからである。特に、謂われなき核侵略戦争の脅しと国際経済活動に対する制裁と政治的抑圧を加える日・米両帝国主義を糾弾し、その矢面に立たされた朝鮮国家を擁護することは安倍政権と米帝国主義のアジア政策と真正面から対峙することが避けられないからだ。この立脚点を抜きにして安倍政権を打倒する戦いの展望はない。

次回、「米国は、朝鮮半島の非核化協議で、1994年朝米合意から2009年の六者協議の破綻まで、如何に朝鮮と国際世論を欺いて来たか」を連載します。

<参考サイト

☆<論考・1> 朝鮮の水爆実験を「非難」する帝国主義者の偽善と欺瞞http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_45.html

☆論考/国連安保理の役割と朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁
http://www.shibano-jijiken.com/SEKAI%20O%20MIRU%20SEKAI%20JOUSEI%2030.html