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(論考 大陸間弾道ミサイル「火星14型」は、核戦争を阻止する正義の抑止力 2017827日)


大陸間弾道ミサイル「火星14型」発射実験の連続的成功は、米国と日本が企む東北アジアにおける核戦争を阻止する正義の抑止力であるその1)

                                                 柴野貞夫時事問題研究会
 

▲28日、大陸間弾道ミサイル級「火星-14」型ミサイルの2次試験発射を実施した    

▲朝鮮が28日夜に実施した大陸間弾道ミサイル「火星-14」型ミサイルの2次試験発射の様子

     

      ▲平壌を中心に射程11,000kmの範囲(正距方位図法)
憂慮する科学者同盟(UCS)のデビッド・ライト氏は、「火星14号型」の飛距離は、10,400kmとの試算を出している。 仮に11,000kmとすると、下表のようになる。

     

グアム近海への弾道弾発射予告は、米国本土が戦場になる事を暗示させている

朝鮮は、74日と728日、大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星14型」の発射試験に連続成功した。米国の独立記念日である7月4日午前9時、平安北道亀城で火星-14型の初の試験発射を断行した。「発射されたロケットは予定された飛行軌道に沿って最大頂点高度2802キロメートルまで上昇し、水平距離933キロメートルを39分かけて飛行」したと明らかにした。
初めて大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星14型」の発射試験に成功すると、728日には、飛行高度、距離ともに、それを上回るICBMを打ち上げ成功させ、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾させた。
朝鮮中央通信は、2回目の発射試験について、「今回の試験発射は大型重量核弾頭の装着が可能な大陸間弾道ロケット火星-14型の最大射程距離はもちろん武器システムの全般的技術的特性を最終確証することに目的を置いて進行された」として「我が国、西北部地帯から発射された火星-14型は、最大頂点高度3724.9キロメートルまで上昇し、水平距離998キロメートルを4712秒間かけて飛行し、公海上の設定された水域に正確に弾着した」と報道した。通信はさらに「今回の試験発射は、最大射程距離を模擬して、最大高角発射体制で実施され、周辺国の安全に全く影響を与えなかった」と伝えた。
また、ミサイル発射の現地指導に出た金正恩委員長が「今回の試験発射を通じて、大陸間弾道ロケットの信頼性が再確証され、任意の地域と場所で任意の時間に大陸間弾道ロケットを奇襲発射できる能力が誇示された」として「米本土全域が我々の射程圏内にあることが明確に立証された」と伝えた。
朝鮮における、中距離弾道ミサイル「火星12型」と、大陸間弾道ミサイル「火星14型」の発射実験の安定的成功は70年に亘って、アメリカ帝国主義が朝鮮国家に対し繰り返してきた、その体制崩壊を目的とする、卑劣な「核戦争威嚇」に対し、米国全土を標的とする、決定的な「自衛的核反撃」の運搬手段を確立したものと言える。


安保理は、朝鮮に対して「これまでにない」過酷な制裁を科した

米帝の、朝鮮国家の息の根を止めようとする、敵対的非人倫的行為は、70年に亘る「核戦争威嚇」にとどまらず、「国連安保理」を、列強達の経済的政治的利害の取引の道具として利用し、朝鮮国家とその人民・2400万人に対し、「制裁」という言われなき懲罰を通して、国際社会における基本的生存手段を奪い取る、悪魔の如き所業も、核威嚇と並行して行われてきた。
朝鮮による、7月の2度に亙る大陸間弾道ミサイル発射実験成功に対し、国連安保理は85日、朝鮮への「これまでにない」厳しい制裁(2371号決議)を全会一致で採択した。中国もロシアも、躊躇することなく賛成票を投じた。朝鮮の主要外貨獲得源となっている石炭や海産物などの輸出を全面禁止する追加制裁案だ。これにより輸出額が3割減ることになる。
東南アジア諸国に対しても、朝鮮との取引を遮断する圧力が加えられている。朝鮮国民の息の根を止めようとする圧迫が加えられている。

繰り返される朝鮮に対する軍事的挑発と圧迫

今年に入ってからも、次のような、朝鮮に対する軍事的挑発と圧迫が、執拗に繰り返されてきた。ここで強調すべきは、挑戦半島とその近海で、卑劣にも朝鮮の国家転覆を公言する韓・米の軍事的挑発行動に、日本自衛隊が公然と参加し始めた事だ。朝鮮に対する核侵略戦争を画策し、「軍事演習」としてその機会を狙ってきた米軍艦船、戦闘機、重爆撃機の「護衛・補給」から、直接的な戦闘訓練への参加へと歯止めなく展開している実態が、浮かび上がっている。
<3月の米韓合同軍事演習>3月にひき続き、821日から、乙支(ウリジ)フリーダムガーデイアン韓米合同軍事演習が展開されるが、「先制攻撃」「政権交代」「首切り作戦」など、朝鮮の屈服を叫ぶ米帝の不法な侵略策動が開始されている。
<5月2日>米戦略爆撃機「B−1B」2機が、朝鮮上空の威嚇飛行をおこない朝鮮国境周辺で、大規模な目標に対する核爆弾投下訓練を行った。
61日>日本空自のF15戦闘機が、米空母「カール・ビンソン」と日本海で共同訓練を行った。
7月30日、88日>B1戦略爆撃機2機が朝鮮半島周辺で、日本自衛隊機と南朝鮮軍機、共同訓練を実施。日本自衛隊が、朝鮮への核戦争を画策する米軍と、歯止めなく共同演習をおこなっている。朝鮮半島は、今、米国による無謀な軍事挑発が、朝鮮半島情勢を核戦争の瀬戸際に追い込んでいる。


ドナルド・トランプは、「炎と激怒」で北朝鮮を攻撃すると威圧した


トランプが朝鮮の大陸間弾道ミサイルの発射実験に対し、“「炎と激怒」で北朝鮮を攻撃する”と威圧したが、米国自身は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3Minuteman III)」の発射実験を、今年に入ってからも4回に亘って(2月、4月、5月、8月)繰り返している。もちろん安保理が、朝鮮に対してと同様に、その行為を糾弾し、制裁を加えると言う事はない。
米国が出来る事を、朝鮮がしてはいけないと言う根拠は何処にもない。米国や列強の権利を、朝鮮には与えないと言うなら、それは主権国家に対する不当な暴力である。朝鮮に対する史上最大の圧迫と制裁が進行している。
<炎と激怒>は、トランプではなく、朝鮮人民の胸の中に燃え滾っているものだ。「グアム水域への弾道ミサイルの発射計画」は、この様な情勢が生み出したものである。“グアム海域”とは、米国・トランプに対する明確な警告を示す文言だ。即ち、米国の目に余る侵略策動が続けば、次は、米国本土が戦場となる事を暗示したのだ。

「遠い太平洋の彼方の戦争」ではなくなった米国

朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)は、トランプの「炎と激怒」の数時間後に、太平洋上の米領グアムに対して中長距離ミサイル攻撃を検討していると伝えた。朝鮮中央通信は、朝鮮人民軍が「中長距離戦略弾道ロケット火星12で、グアム周辺海域、40〜50qを炎で包み込むための作戦を慎重に検討している」と伝えた。米国領グアム水域に、核弾頭を装着するわけではないにしろ、公開的にミサイルを撃ち込む事は、言葉の爆弾程度と片付けるには厳しい内容である。
しかし、朝鮮には、米国による継続的な屈服要求と制裁、軍事的恐喝に立ち向かい、核戦争も辞さないと言う決意を、断固として示さなければならないと考えている。その理由は、山とある。選択を迫られた米国は、混乱を隠し切れないでいる。


グアム沖海面へのミサイル打撃予告は、全面戦争か政治的妥協かを米国に迫っている

全面戦争か、政治的妥協か、米国に迫った朝鮮の政策は、「自衛的核反撃」の運搬手段を確立した朝鮮だからこそ、取る事が出来た行動である。
米国に者択一を迫る朝鮮のミサイル打撃予告は、隠蔽されてきた米韓、米日の軍事同盟の実態や、日本の戦争法規のまやかし、米・日・韓三角軍事同盟と「ミサイル防衛体制」を通しての,アジア版NATOの企み、日本の安倍<軍事政権>が、朝鮮問題を奇貨として、軍拡を推し進め、民衆に更なる犠牲を強要しながら、極東アジアで、覇権を追い求める危険な動きを浮かび上がらせている。
81日、米共和党のリンゼー・グラム上院議員がNBCテレビ番組に出演し、“トランプ大統領は、北朝鮮が長距離核ミサイルを開発するのを放っておくよりも、北朝鮮と戦争をする。その戦争は、ここ(米本土)ではなく、向こう側(韓半島)でやるはずだ。この戦争で数千人が死ぬ場合、韓半島で死んで、米本土で死なないはずだ”と自分の面前で語ったと報告した。
トランプは、この発言を通して、一つの本音と、一つの間違いを語った。朝米核戦争が始まった場合、自分たちが死ぬわけでない。太平洋の彼方の朝鮮人と日本人の土地が戦場となり、数千人が米国人の身代わりとなって死ぬだけだといったのだ。
●米韓、米日軍事同盟は、南朝鮮人と日本人が米国の身代わりとなる戦争同盟だと本音を吐露したのである。
●同時にトランプは、戦争の開始とともに、南北朝鮮と、米軍の軍事要塞と化している日本が核戦争の修羅場となって、数百万人が死ぬと言う事実を、隠蔽したのである。
●そして、トランプの大きな間違いは、朝鮮の大陸間弾道ミサイルは、米国本土を戦場にするだろうと言う事実を、認めたくなかったのである。
朝鮮の大陸間弾道ミサイルの連続的実験成功は、東北アジアにおける核戦争陰謀を阻止する正義の抑止力となるに違いない。朝鮮半島をめぐる核戦争の危機を深化させて来た全責任は、ひとえに米国と列強にある。
70年の長きに亘って、同じ国連の加盟国である朝鮮の息の根を止め、屈服を強要し、核戦争の威嚇と恐喝を繰り返し、主権国家の指導者に対するテロを公言して来た米国に対し、他の列強も同調こそすれ、異議を差しはさむことはしてこなかった。
国際諸法と、国連憲章に基づく権利の行使を、他国には認めても朝鮮国家に対してだけは認めないと言う、列強が取り決めた政治的「二重基準」で動く国連安保理は、アフガン、イラク、リビア、シリア等を見るまでもなく、彼らの政治的・経済的利害の談合の結果として、主権国家を崩壊させる事も厭わない、帝国主義列強の戦争の道具と化してしまったのである。

核の惨禍を経験した民族である朝鮮は、自衛的核武装を最も必要とせざるを得なかった国家

実際に、史上二度に亘って、核兵器を人間の頭上に投下し、日本人と、日本国家に徴用された朝鮮人を含む広島40万人、長崎20万人を虐殺した米国が、戦後、朝鮮戦争を契機に、他国を恫喝する手段とするだけではなく、《核戦争を政策化》してきた事実を見れば、朝鮮国家こそ、<自衛的核武装>を、最も必要としている国家に違いない。
日本列島を、核武装した米国の軍事要塞と化し、米国の<核の傘>の下にある日本が、<核で自衛する国家>を批判する資格はどこにもない。<核の傘>も核による武装>も<安保>にとっての脅威に大きな違いはない。朝鮮民族は、史上、日本人とともに、米国による核の惨禍を被った民族の一つであることを考えれば、それを理解できるはずだ。(当時、広島、長崎は、軍需工場が集中していた。徴用された朝鮮人が17万人被爆し、内4万人が死亡したと推計される。)米国の朝鮮国家への日常的な核恐喝が、如何に理不尽で、非人道的な所業であるか、その身になって考えればわかる事だ。

「離散家族」問題は米国の核恐喝が生んだ「核避難民」による悲劇だ

今日、南北に存在する「離散家族」問題は、朝鮮戦争当時、米国の核恐喝が生み出した「核避難民」による悲劇だ。1950年〜1953年時期、朝鮮戦争でトルーマンは、核兵器の使用を準備した。
トルーマンは現実に核攻撃の出撃命令を出した。戦争初期の頃マッカーサーは、5012月、朝鮮北部にトンヘ(東海)からファンへド(黄海道)に至る放射能ベルト地帯をつくり、60120年の間、生命体が蘇生する事はできない、人間の住めない様にする準備にとりかかった。この様な核恫喝は、「核避難民」を生みだし、ファンへドから多くの住民が南に向かって逃げ一 族全員が逃げられないなら長男だけでも逃がす。この様にして「離散家族」が生まれたのである。現在も尚、米国の核恐喝に晒された朝鮮は、自主経済を基盤に、自分の力でしか、身を守るすべはなかったのだ。

“朝鮮人はリンゴでも栽培していればよい”と言ったソ連朝鮮の核保有を批判する中国

ソ連社会主義が資本主義化される直前、友邦ソ連でさえ、朝鮮の自主経済路線に反対した。キム・ジヨン(金志永) 朝鮮新報社副編集局長は、京都での講演で次の様に指摘している。
“朝鮮人は、そんな事をやる必要はない。あなた達は農民ではないか、リンゴでも栽培していれば良い。我々に地下資源をよこせば機械をあげます。無駄な事はするな。機械から御飯が生まれるのか。いま大変な時期に、自主、自主と綺麗事を言っている場合じゃない。」と批判しました。
しかし、金日成主席は自主経済の道を選んだのです。金日成主席が、90年代のあの厳しい時代にも、自主経済を放棄しなかった事が、今日の科学技術の成功を生んだと言うのが、ウリナラ人民の共通認識です。”
(→京都同胞時局講演会「緊張激化、朝鮮半島情勢」)
どっぷりと帝国主義世界経済に身を沈め、米国資本主義経済の世界最大の「債権国」である“社会主義国家”中国は、米国の銀行に預けた米国債の目減りに最大の関心事があって、手形の回収に気もそぞろな親会社の社長の様な眼をしている。朝鮮は、中国が、帝国主義列強の政治的軍事的圧迫から、自分たちと共に戦う真のパートナーであるのか、常に疑ってきた。
“中国の一部論者達が、我々の核保有が、北東アジア情勢を緊張させ、この地域に対する米国の戦略的配置を強化する役割を提供すると言う、とんでもない詭弁を並べているが、米国のアジア太平洋支配戦略は、我々が核を持つ遥か以前から、稼動されたのであり、ずっと前から、その基本目標は、他でもなく中国だった。”
“中朝関係の主導権が,自分たちの手に握られており、我々が中国との軍事的対立を望まないなら、《長期間の孤立と、又他の国家安保の道》の間で、中朝親善と核放棄の中のいずれか一つを選択せよと言う、極めて挑戦的な妄言も躊躇しなかった。これは、主権国家としての我が共和国の、自主的で合法的な権利と尊厳、最高利益に対する重大な侵害であり、親善の長い歴史と伝統を持った善良な隣国に対する露骨的な脅威だ。”
(→朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行を、これ以上してはならない 朝鮮中央通信 201753日付)

列強による戦争の道具となった安保理

一国的利害の狭い窓から、東北アジアの米帝の核恐喝を捉えて来た中国は、朝鮮の自主的核自衛に批判的だった。1960年代、米国による核恐喝に、核保有で対峙した時、その中国を唯一最初に支持したのは朝鮮であったことを、彼らは忘れたフリをしている。
自主独立の朝鮮は、帝国主義の攻撃から自国を守るすべを、他国に求めはしなかった。そうしていたら、今頃は地球上から抹殺されていただろう。
朝鮮は、主権国家が等しく持つ権利である朝鮮の自主経済に基づく宇宙産業の開発、自衛的核武装とその運搬手段であるロケットの研究に対する、列強の制裁攻撃に対し、幾度となく安保理に提訴して来たが、全て門前払いされてきた。これは、もはや形を変えた、帝国主義者による戦争ではないのか。安保理こそ、戦争を引き起こす源泉となっている。彼らは、常に誰かを悪魔化し、それを奇貨として戦争と軍拡に狂奔する。
一体全体、国連は、8500万人と推計される、第2次世界大戦の犠牲者の屍の上に、「世界平和の実現」を建前として創設されたのではなかったのか。
しかし、国連は、今や、帝国主義者達の戦争の手段と化している。朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争、イエーメン、リビア、シリア全てにおいて、アメリカ帝国主義と西欧列強による「国連」の役割が見えてくる。端的に言えば、国連は、帝国主義者の戦争の隠れ蓑である。その核心に、「安保理」がある。
朝鮮はトランプの「炎と激怒」の数時間後に、太平洋上の米領グアム近海に対して、中長距離ミサイル攻撃を予定した。米国による軍事的圧迫が、異常に高まった背景が以下に見て取れる。
<85日>国連安保理は朝鮮への「これまでにない」厳しい制裁(2371号決議)を全会一致で採択した。
●<31日から430日>に亘って米韓合同軍事演習、「フォール・イーグル」、「キー・リゾブル」が展開された。北首脳の「斬首作戦」なる、イスラム国の残虐性を彷彿とさせる国家による不法なテロ行為を、目的の一つに公言した。
核先制攻撃による「ピョンヤン占領」「朝鮮指導部の暗殺・除去」を狙った、上陸訓練・野外機動演習である米韓合同軍事演習・「フォール・イーグル」と、指揮官らによるコンピュータシュミレイション演習である「キー・リゾブル」(313日〜24日)が、並行的に実施されていたのである。
この演習には、南朝鮮兵30万人、米兵15千名が参加し、核空母・「カールビンソン」、米海兵隊の「強襲揚陸艦・ボノムリシャール」、ステルス戦闘機F−35Bなど、米侵略軍のあらゆる核戦略資産が投入された。さらに、この演習の目的に、北首脳の「斬首作戦」なる、イスラム国の残虐性を彷彿とさせる国家による不法なテロ行為を、目的の一つに公言した。
36日の弾道ミサイルの同時発射は、これ等米韓の不法な軍事演習に対する重大な警告の意味があったのは、言うまでもない。それが日本海に向けられた意味は、既に、米国の軍事要塞と化した日本の隅々まで、その標的を正確に打撃する能力と決意を示したものである。
●<52日>米戦略爆撃機が朝鮮領内で、大規模な「目標に対する核爆弾投下訓練を行った

5月2日、南朝鮮国防省報道官は、「米韓合同軍事演習」の一環で、米戦略爆撃機「B━1B」2機が1日に朝鮮半島上空を飛行したことを明らかにした。米空軍提供(2017年/ロイター)

朝鮮中央通信は2日、米戦略爆撃機が朝鮮領内で「大規模な目標に対する核爆弾投下訓練を行った」と非難。トランプ米大統領などの「米国の主戦論者は(わが国に対する)核の先制攻撃を求めている」と伝えた。さらに「無謀な軍事挑発は、朝鮮半島情勢を核戦争の瀬戸際にさらに追い込んでいる」と表明した

B−1B、非常に多くの通常爆弾を機内のウェポンベイ(爆弾庫)に格納することができ、そのペイロードは2000ポンド(907kg)誘導爆弾ならば最大24発、実に20トンにも及ぶ。地中貫通爆弾、いわゆる「バンカーバスター」によって、地下施設に対する攻撃も可能である。
レーダー網を避けるため超低空を飛行し、ロシア(ソ連)に対して核爆弾、ないし核弾頭巡航ミサイルを投射する目的で開発された。
南朝鮮国防省報道官は2日、「米韓合同軍事演習」の一環で、米戦略爆撃機「B−1B」2機が1日に朝鮮半島上空を飛行したことを明らかにした。
●<6月1日>日本空自のF15戦闘機が、米空母「カール・ビンソン」と日本海で共同訓練をした。

201761日、日本海で共同訓練を行う米空母「カール・ビンソン」(左)と日本空自のF15戦闘機=[防衛省提供]【時事通信社】

海上自衛隊の護衛艦と航空自衛隊の戦闘機が1日、日本海に展開中の米原子力空母「ロナルド・レーガン」、「カール・ビンソン」などと共同訓練を開始した。空母2隻との訓練は、朝鮮に対する軍事的威嚇であり、「休戦状態」の朝鮮に対する戦争行為そのものであるとの指摘が、朝鮮政府によって行われている。

 防衛省などによると、訓練は能登半島沖の日本海で3日まで行われ、日米で計12隻の艦艇が参加し、戦術運動や通信の確認などを実施した。
海自側はヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」とイージス艦「あしがら」の2隻が参加。米側は空母2隻をはじめ、ミサイル駆逐艦や巡洋艦など計10隻という。空自からはF15戦闘機が合流し、米空母艦載機のFA18戦闘攻撃機7機と訓練を行った。
●<7月30日、88日>B1戦略爆撃機2機が朝鮮半島周辺へ、日本自衛隊機と南朝鮮軍機、共同訓練を実施した。

朝鮮半島沖などの空域で共同訓練を実施した空自のF2戦闘機(下)と米空軍のB1B戦略爆撃機=2017730日[航空自衛隊提供]【時事通信社】

大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の2回目の発射実験のあと、米軍のB1戦略爆撃機2機が30日、アンダーセン基地から発進し、朝鮮半島周辺や上空を飛び、自衛隊機、韓国軍機とそれぞれ共同訓練を実施した。8月8日にも同様の訓練を行った。 2機はグアムのアンダーセン空軍基地から発進、10時間にわたり飛行。まず、自衛隊のF2戦闘機と合流、その後、朝鮮半島上空を飛び、韓国空軍のF15戦闘機と訓練を行った。
一方、朝鮮人民軍総参謀部は声明を発表し、最高首脳部を狙う米軍の「斬首作戦」や、核能力除去を目的とする「予防戦争」「先制攻撃」を強く非難。こうした作戦の動きを把握した場合、「先制的報復作戦を開始する」と予告し、「ソウルなどを『火の海』にし、太平洋作戦戦域の米軍基地を制圧する全面攻撃につながる」と警告した。
<83米国は弾道ミサイル・ミニッツマンを今年4回目となる発射実験をおおこなった。

米軍は2日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3Minuteman III)」の発射実験を実施したと発表した。
カリフォルニア(California)州バンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)で行われたICBMの発射実験は、先週行われた朝鮮によるICBMの発射実験で米朝関係が緊迫する状況に重なった形となった。
「ミニットマン3」はB−52戦略爆撃機、戦略原子力潜水艦(SSBM)などとともに米国の「3大核の傘」の一つに挙げられる。米国は「ミニットマン3」を450発以上保有しているという。「ミニットマン3」はダイナマイト475トンを一度に爆発させる強大な威力を発揮し、ミサイル1発で1万3000キロを飛んで都市3カ所を同時に打撃できる多弾頭弾道ミサイル(MIRV)というのが最も大きな特徴だ。
朝鮮半島を巡る戦争の危機は、日増しに高くなってきている。朝鮮政府は、自国に対する侵略戦争の水位が、高まっており、韓米軍事同盟は無論の事、朝鮮に対する核侵略戦争の為の世界1巨大な米国の軍事要塞と化した日本に対し、今後容赦なく、標的とせざるを得ない事は、火を見るよりも明らかである。

日本が、そして日本国民が、それをもって、朝鮮を批判するとしたらお門違いと言うものだ。日本が、アジアと朝鮮に対する侵略の軍事要塞を許容している事こそが問題なのである。
そして何よりも、朝鮮政府の、度重なる「休戦協定」を「平和協定」に転換する呼びかけと、「米韓合同軍事演習」の停止と、平和に向かっての話し合いの呼びかけを拒否し、「軍事的圧力と制裁」を叫ぶムンジェイン政権と米トランプ政権を全面的に支持すると、執拗に繰り返し、自らも、朝鮮への軍事的圧力と制裁を米国と協調する安倍政権の戦争政策が問題なのだ。
侵略の為の日米戦争同盟の廃棄と、日本列島から、米国の軍事基地を全面撤去する事こそが、アジアの平和と、東北アジアの核戦争を阻止する道であることを自覚しなければならない。(続く)

(次回予定)

●朝鮮の<グアム海域周辺打撃>予告は、「韓米、日米」軍事同盟の欺瞞を暴露した

●「存立危機事態」とミサイル<迎撃>及び、米の軍事演習に自衛隊が参加する法的根拠
●鮮半島の平和体制を拒否する米国、平和への努力を重ねて来た朝鮮国家
●「圧力と制裁」で、朝鮮に対する「清算」を逃れることは
●日本の「安保法制」の欺瞞

●東北アジアの戦争の根源、日米・韓米―軍事同盟を直ちに解体せよ