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(論考 米帝国主義の対北敵対政策の破綻と、孤立する日米同盟 20171210日)

社会主義朝鮮の崩壊を妄想し、67年間に亘って核威嚇を繰り返してきた米帝国主義の対北敵対政策の敗北

                                                  柴野貞夫時事問題研究会

米全域を射程圏内に収める能力と、核弾頭搭載の技術的課題も確立した「火星15号」試験発射の成功は、核戦争を企む米国に対する力強い抑止力となった

 

20171129日、これまで最長の9車軸を持つ、全長21m(推定)の発射台に立つ<火星―15号>型大陸間弾道ミサイル(ICBM
 

▲大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星-15号」型試験発射が成功的に行われた

米帝国主義に対する「軍事的均衡」」に大きく前進した「火星15号」試験発射成功

1129日、朝鮮民主主義人民共和国は、新型大陸間弾道ミサイルの試射に成功し、次の様な政府声明を発表した。
「朝鮮労働党の政治的決断と戦略的決定に基づいて新たに開発した大陸間弾道ロケット「火星-15」型試験発射が成功的に行われた。大陸間弾道ロケット「火星-15」型兵器システムは、米国本土全域を打撃することができる超大型重量級核弾頭装着が可能な大陸間弾道ロケットとして、7月に試験発射した「火星-14」型よりも,戦術技術仕様と技術的な特徴がはるかに優れた武器体系であり、我々が目標にしたロケット兵器システム開発の完結段階に到達した最も強力な大陸間弾道ロケットである。」
政府声明は、それに付け加え、「予定された飛行軌道に沿って53分間飛行し、日本海の公海上に設定された目標水域に着弾。試射は、通常より発射角度を上げ、高く打ち上げる「ロフテッド軌道」を意味する「最大高角発射態勢」で行われ、最高高度4475キロまで上昇、950キロ飛行した」と指摘した。
今回の「火星15号」に先立って、74日に打ち上げられた「火星14号」は、「最高高度2802q、水平距離933q、飛行時間39分」であったものが、728日の「火星14型」の2次試験発射では、「最大高度3724.9q、飛行距離998q、飛行時間4712秒」へと進化し、既にこの段階で、●米国東部も打撃圏に収め●1次発射と異なる発射場所・時間が、「任意に発射できる能力」を示した。今回の「火星15号」は、大陸間弾道ロケット「火星14号」の2度に亙る試験発射の成功を基に、「米本土全域を射程圏内に収める能力と、核弾頭搭載の技術的課題も確立」したことを示した。
「火星15号」型の試験発射の成功は、米帝国主義による、核先制攻撃の政策化に対する、朝鮮民主主義人民共和国の正当な自衛権の行使であり、1950年の朝鮮戦争以来、60有余年に亘り、不断に社会主義朝鮮に対する侵略的核威嚇を執拗に繰り返し、国家転覆の狙いを隠さず、あらゆる核兵器と軍事的資産を動員して来た米帝国主義に対する、「軍事的均衡」」に大きく前進した歴史的快挙である。

世界のメデイアは「火星15号」試験発射成功に関する朝鮮の発表を追認している

●大気圏再突入技術の完成。
●第6回目の核実験による大陸間弾道ミサイル装着用水爆の運搬手段の完成。
●他のどの国のICBMより巨大な大きさと、米国のミサイル防衛システムが機能しない「多弾頭ミサイル」の可能性。

日本の海上自衛隊・自衛艦隊司令官を務めた元海将・香田洋二は、或るTVの談話で、「火星15号」は、二つの巨大な推進力を持っている。全長は21mと推定され、弾頭部分の底辺の直径は約2mあり、1.5mとされる火星14型と比較して弾頭容積が大きい。核弾頭の小型化を進める朝鮮にとって有利な条件だ。」と指摘している。そして何よりも、「カタログ通りの性能を発揮すれば、射程は、13000キロから14000キロあり、アメリカ全土をカバーする究極の目標を達成するミサイルとなる。」と指摘した。

 

各世界のメデイアも、「火星15号」型の大きさを指摘している。中国のICBM東風41や、ロシアのRS―24、米国のミニットマンVの発射台は8軸で、ミサイル全長は18.5mであり、「火星15型」の発射台・9軸、全長21mより小さい。
また、日本の防衛相・小野寺が言う様に、「飛行中、二つに分離された」と言うなら、「火星15号」は、多弾頭ミサイルの可能性があり、米国のミサイル防衛システムが機能しない可能性を指摘する識者も多い。

米国営メデイア―VOAは、「朝鮮の大気圏再突入技術は既に完成され、その誘導技術は優秀である」と評価し、朝鮮政府がこれまで発表して来た内容を追認している。
朝鮮は、93日、第6回目の核実験を成功させたが、朝鮮核兵器研究所の声明で、それが「大陸間弾道ミサイル(ICBM)装着用の水素爆弾の実験」であると指摘していた。今回の「火星15号」型弾道ミサイル試験発射の成功は、その運搬手段の成功でもあり、<米帝国主義に対する自衛的軍事的均衡>に向けて、大きな前進を勝ち取った。


<米帝国主義に対する自衛的軍事的均衡>は何を指すのか

米国のMD防衛体系では、朝鮮の自衛的弾道ミサイルを防ぐ事は出来ない。今回の「火星15号」試験発射成功によって、米国が肝に命じなければならなくなった明白な事実がある。朝鮮の、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルが、米国本土において100%防ぐ事が出来なければ、米国は朝鮮を先制核攻撃出来ないと言う厳然たる事実の事だ。50%の確率もない,現在の米国のMD防衛体系では、朝鮮の自衛的弾道ミサイルを防ぐ事は出来ない。
そのうち朝鮮は、米国のMD防衛体系を超える、更なる武器体系を確立するだろう。<無条件の話し合い>を前提に、米国が白旗を挙げる時刻がせまっている。
米国とトランプは、朝鮮に対する侵略的核先制攻撃を実行する一つの大きなカードを、失ったのだ。1129日の朝鮮による武器体系の完成は、朝鮮半島で、今も大々的に展開される米・韓合同軍事演習の武器レヴェルでは、米国を防ぐ事が出来なくなった事を、暴露したのだ。


米国は核兵器を「通常兵器の様に」先制使用する国

米国のアジア太平洋の軍事要塞・日本・沖縄、そしてグアムを標的に出来るのは無論の事、水素爆弾を装着し、米国本土を標的に出来る自衛的大陸弾道ミサイルの発射試験は、今回の「火星15号」において、初めて完結を見た。米帝国主義による半世紀以上に及ぶ、朝鮮に対する非人倫的核恫喝に対する、正義の鉄槌と言うべきである。
核兵器を、恰も通常兵器を駆使するかの様に、如何なる道徳的痛みも感じる事もなく、ナガサキ、ヒロシマと、人類の頭上に2度に亙って使用し、現在もなお核兵器を、朝鮮に対する侵略戦争の軸に据えて、核による先制攻撃を叫ぶ米国とは異なり、朝鮮政府の核政策は極めて明快且つ人道的で、理性的である。政府声明は、最後に次の様に指摘している。
「朝鮮民主主義人民共和国の戦略兵器の開発と発展は、全的に、米帝の核恐喝政策と核の脅威から国の主権と領土保全を守護し、人民の平和な生活を守るためのもので、私たちの国の利益を侵害しない限り、如何なる国や地域に、脅威となるものではない事を、改めて厳粛に声明するものである。 朝鮮民主主義人民共和国は、責任ある核大国であり、平和愛好国家として、世界の平和と安定を維持するための崇高な目的の実現のために、自分のすべての努力を傾けるだろう」と。

トランプの甘い幻想は雲散霧消

81日、米共和党のリンゼー・グラム上院議員がNBCテレビ番組に出演し、トランプから聞いた発言を伝えていた事実を想起したい。
「トランプ大統領は“北朝鮮が長距離核ミサイルを開発するのを放っておくよりも、北朝鮮と戦争をする。その戦争は、ここ(米本土)ではなく、向こう側(韓半島、日本列島)でやるはずだ。この戦争で数千人が死ぬ場合、韓半島で死んで、米本土で死なないはずだ”と自分の目の前で言った」と。
トランプは、この発言を通して、あからさまに本音を語った。「北のミサイルは、米本土には届かないから、朝米核戦争が始まった場合、自分たちが死ぬわけでない。太平洋の彼方の日本人と南朝鮮人が我々の身代わりに死ぬだけだ」と言ったのである。言い換えれば、「北の長距離ミサイルは、未だ米本土には届かないから、朝鮮に攻撃を加えても、米国本土と米国人が、その戦争で犠牲になる事はない」「だからこそ、南朝鮮人と日本人が米国の身代わりとなる戦争同盟として、米韓、米日軍事同盟が有効なのだ」と本音を吐露したのである。
しかし、今回の「火星15号」の試験発射の成功は、トランプの出方によっては、朝鮮の正義のミサイルがトランプの住家まで届くことになり、米本土が戦場になる事を明らかにしたのだ。トランプの甘い夢は、雲散霧消した。
「火星15号」の試験発射の成功によって、朝鮮戦争停戦協定と国際諸法、国連憲章を踏みにじり、何よりも人道に対する大罪を犯してきた米国は、自らが招いた災禍の予兆に身震いすることとなった。そして、何よりも重要な事は、「火星15号」の試験発射の成功は、トランプが画策する朝鮮半島における核侵略戦争と言う、非人倫的野望を打ち砕く力強い抑止力となった点である。
米帝国主義とトランプは、もはや「制裁と軍事的圧迫、核の威嚇と国家テロ・斬首作戦」政策が破たんした事実を潔く認めなければならない。彼らの言う「レッドライン」は、既に超えている。しかし、事態に動転したトランプは、ただ喚き散らすだけで、もはや何もできない体タラクだ。
トランプは、29日の「火星15号」の試験発射成功の報を受けて、29日、中西部ミズーリ州で行った演説の中で、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長を念頭に、「小さなロケットマンは病的だ」と罵倒し、「不当な北朝鮮であろうと誰であろうと、われわれは国を守る為なら、何でもするだろう。中国は、原油供給をやめるべきだ」と,他国の力を当てにする以外何も出来ないのだ。

トランプと安倍晋三は全世界から孤立した

919日、国連総会で、“腐敗した、ならず者の独裁国家”“殺人政権”と、イランと朝鮮を名指しし、“やむを得ない場合は朝鮮を完全に破壊する”と述べたトランプは、日本とイスラエルを除くほぼすべての加盟国から、「国連を破壊するヘイトスピーチ(憎悪表現)」と非難された。
米国内では、トランプの演説に対し野党・民主党などが批判を展開。ダイアン・ファインスタイン上院議員(民主党)は「国連の目標は平和と世界規模の協力を育てること。大統領は今日、それを、戦争を引き合いとした脅迫の舞台として利用した」と指摘した。(AFP/Andrew BEATTY)
19日、イランのモハンマドジャバド・ザリフ外相は「無知なヘイトスピーチ(憎悪表現)」だと一蹴し、イラン大統領も「米が制裁強化なら核合意破棄も考える」と応酬した。20日、トランプのヘイトスピーチを援護した安倍晋三のスピーチに対し、国連の議場で拝聴する各国代表の姿は、以下の写真の如く、まばらだった。

2017920日、国連総会で、トランプを“100%支持する”演説をする安倍晋三のスピーチは聞きたくないと、各国代表の姿は、ほとんど見かけない

“朝米枠組み合意を破り、9.19合意を踏みにじり、軽水炉を盗み取ろうとした朝鮮との<話し合い>は、無駄だ”と、前代未聞のウソをスピーチした安倍晋三の前に座る各国代表の姿は、空席だらけだ。前日、トランプの目に余る「ヘイトスピーチ」を援護する安倍の寂しい孤立した姿を、日本の資本主義言論は、ありのままを伝えただろうか。
世界の世論からも、国内の世論からも孤立し、地球村から監視下に置かれたトランプは、核戦争のボタンを押す勇気もなく、自国による独自制裁の種も尽き、朝鮮を圧迫する同調者を募り、他国の力を頼りに、新たな制裁を呼びかけたが、中国はトランプの「原油供給の停止」の要求をきっぱり断った。
また、米国連大使の口を借りて、「戦争が起きれば、北政権は完全な破壊を見る。間違えてはならない」と空虚な脅しをかけ、「国連加盟国の北朝鮮に対する外交関係断絶」や、「朝鮮の国連における権利制限」など、核大国の恫喝的提案を、病的に主張した。
しかし、朝鮮と外交関係を持つ164か国の国々に対し、あらゆる関係を断てと言う前代未聞の呼び掛けに応じた国は一国もない。ただ、トランプの主張に賛意を示したのは、朝鮮と外交関係を持たない、イスラエルと日本だけだ。


国際社会で孤立を深める米国と日本

1130日、ロシアのラブロフ外相は、ベラルーシの首都ミンスクで記者会見に臨み、「これ(米国の提案)を否定的に見ている。我々は繰り返し述べているが、制裁による圧力は使い果たされている」と述べた。また、米国が金正恩政権を刺激しようとしていると非難。「米国の最近の行動は意識的に北朝鮮政府を別の過激な行動へと仕向けているかのようだ」と述べ、「米国人は自分たちの狙いが何かを、説明する必要がある。もし北朝鮮を滅ぼす理由を探しているのであれば率直にそう言うべきであり、米国の指導者もそれを認めるべきだ」と語った。(AFPBB News
ラブロフ外相の発言の意味は重い。彼は、或る一国の主権国家が米国にとって気に食わぬからと言って、外交的、経済的、文化的関係を遮断し、孤立させろと言うトランプの主張は、国際社会において通用しないといっているのである。
それは、主権国家の破壊を狙った、如何なる正当性も無い侵略戦争と同じくらい質が悪いと糾弾しているのだ。ただ一方では、ロシアはこれまで、中国と共に米主導の朝鮮に対する安保理制裁決議に、制限を加えながらも賛成して来た事実は、核を独占することで世界の覇権を争う列強の談合クラブから、一歩も外に出る意思がない事を示しているのも事実だ。
トランプの病的な主張は、中国は無論、英.独、仏をはじめ、ほとんどの国々から総すかんを食った。「朝鮮の孤立化」を狙う米国の不法不当な提案は、逆に、米国(同様に、トランプを支持する日本の安倍政権)の国際的孤立を深化させている。「孤立」しているのは朝鮮ではなく、米国と日本や、その追随国家である。

164か国と国交関係にある堂々たる主権国家・朝鮮

米帝国主義とトランプが狙う「朝鮮の孤立化」は、どうして国際世論の支持を受ける事が出来ないのであろうか。それは、今日の朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国際社会における外交と通商貿易関係が、米国や日本など一部好戦的敵対勢力の妨害があるにせよ、力強く進展している事実による。そして、朝鮮は、世界有数の資源大国であり、すでに中国は無論であるが、英国、ロシア、エジプトなどから乗り込んだ開発投資ファンドや合弁企業は、50社を超えている。

即ち、朝鮮国家は、地球村と世界経済の中に有って、人類の生存と発展に必要不可欠な存在であると、多くの国々が認めているからである

また、今回の「火星15号」の試験発射の成功で証明された様に、宇宙開発における先端的科学技術の先進国でもある。朝鮮は、今日、193の国連加盟国の85%を占める164か国と国交関係にある事実を知っている日本人は少ない。東アジアでは、朝鮮と国交のない国の方が珍しいほどだ。過去植民地支配の清算を逃れようと、対朝敵視政策で再侵略を企む極右ファシスト安倍が政権を取る日本と、米国の核の傘に隠れて朝鮮に対する敵視政策を進める「蝋燭闘争」の裏切り者・米国の傀儡ムンジェインの南朝鮮、他にフィリピンとブルネイだけが、外交関係がない。
朝鮮と外交関係を持たない国々、即ち、米国、イスラエル、日本などは、朝鮮に対する正しい認識を持つ手立ての無い「少数派」である。これ等の国々の、資本主義言論媒体もまた、朝鮮の真実を捻じ曲げるスレギ(ゴミ)情報や、意図的な捏造記事と、国家が発する敵対的主張に迎合して、「国際的に孤立した独裁国家」と言うデマ情報の虜となって、国民の目を曇らせている。
日本国民は、米国と日本の国家とその言論媒体によって、朝鮮民主主義人民共和国が164か国と外交関係を持つ、堂々たる主権国家である事さえ知らされていない、世界から「孤立した民族」である。
朝鮮政府は、47か国に大使館をもっている。ピョンヤンに大使館を置いている国は、24か国―中国、ロシア、キューバ、エジプト、イラン、パキスタン、英国、ドイツ、スエーデン、チェコ、ポーランド、インド、ベネズエラ、ブラジルなどだ。外交関係を結ぶことは、相互の貿易と開発事業、観光事業、合弁企業を促進する。そして、世界経済と切っても切れない関係を発展させている。
一方、たかだか数名の「拉致被害者」問題を奇禍として、朝鮮との外交関係を自ら閉ざしている日本は、朝鮮の真の姿からも、朝鮮半島情勢の正しい判断からも、縁のないものとなっている。日本が、朝鮮の真の姿からも、朝鮮半島情勢の正しい判断からも、縁のないものとなっているのは、たかだか数名の「拉致被害者」問題を奇禍として、朝鮮との外交関係を自ら閉ざし、「戦争経済」を生業とする奇形的帝国主義国家・米国を手本とすることが、日本帝国主義の生き残る道と考えている、日本資本主義階級とその代弁人・安倍政権の、《富国強兵》による《アジア支配》の見果てぬ夢が、その要因である。
国際社会からヒンシュクを買った安倍晋三の国連演説の最後の一節に次の様なくだりがある。“北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれています。勤勉な労働力があり、地下には資源がある。それらを活用するなら、北朝鮮には経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る。 そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はあるのです。拉致、核、ミサイル問題の解決なしに、人類全体の脅威となることで、開ける未来など、あろうはずがありません。”と、前日のトランプの「ヘイトスピーチ」の2番煎じを予想した各国代表が数多く欠席し、空席となった国連総会の場で、「朝鮮の明るい未来」を破壊しようとするトランプを「100%支持する」安倍晋三が、主客転倒した真逆の<説教>を垂れた。
「拉致問題」を政治的に利用することで、朝鮮に対する植民地支配と戦争犯罪の清算を逃れようと企み、日本国憲法を蹂躙する「安保法制」を利用しながら、陸海空自衛隊を動員して、米国の核空母、核潜水艦、核搭載爆撃機、核砲撃手段と共同演習を繰り広げ、日本列島に135箇所も、トランプの言う<朝鮮絶滅>の為の核戦争基地を提供し、「断首作戦」なる国家テロを無条件に支持する安倍政権こそが、日本人民と“人類全体の脅威”ではないのか。
米国と日本による、核戦争威嚇と制裁圧迫政策こそが、朝鮮の「勤勉な労働力、地下資源の活用、経済の飛躍、民生の改善」を暴力的に破壊する元凶ではないのか。


死の苦悶に喘ぐ資本主義体制が生み出した政治的パラノイアトランプと安倍

黒を白と言い、裏を表だと言う安倍のこの異常な言動は、既にトランプが冒されている精神病理学で指摘されるパラノイア(paranoia)の一種である「妄想性パーソナリティ障害」であると所見しなければ理解できない。この病の顕著な症状は、経験した物事を歪曲して受け止める傾向に特徴があり、この障害は、強大な権力を持つ者に極めて多く、独裁者の病であることで知られている。アドルフ・ヒットラーも同様の病に侵されていた。しかし彼等に共通する症状は、特定の個人の資質だけではなく、出口を失った資本主義体制が、この社会を暴力的・抑圧的にしか維持できなくなった段階で、死の苦悶に喘ぐ資本主義社会の社会的力学の中から生まれて来た、資本家階級の政治的代理人に他ならない。
言い換えれば、トランプと安倍は、この危機に瀕した帝国主義社会の、社会的産物なのである。これ等パラノイアの一刻も早い収監手続きが必要だ。それは、民衆の戦いによって、彼らを社会的に葬り、清算すると言うことだ。

朝鮮は人類の生存と発展に必要不可欠な存在

大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星-15号」型試験発射の成功は、20121212日、地球探査衛星、「光明星3号」2号機の成功的打ち上げを想起させる。それは、朝鮮の、あらゆる分野に応用可能な精密科学技術の高度な水準を、世界に示したが、「火星-15号」は、それをさらに進化させた、科学技術大国としての共和国の底力を示したものであるからだ。
「光明星3号」2号機が、地球探査衛星の目的で打ち上げられた当時、帝国主義列強と、韓国、日本の両政府や資本主義言論は、“どこに落下するか分からない、軍事目的を偽装した<弾道ミサイル>”と非難し、朝鮮の精密科学の水準に対する無知を曝け出すだけでなく、譬え人工衛星であっても、“長距離ミサイルの技術を使った人工衛星発射体は、弾道ミサイルだ”との難癖をつけた。
打ち上げ様とするものが衛星であろうが、ミサイルであろうが、宇宙の発射体と弾道ミサイルは発射原理が同じである。“長距離ミサイルの技術を使った人工衛星発射体は、弾道ミサイルだ”と主張する日・米・韓の主張は、自己撞着論であり、こんな荒唐無稽な主張が、その後、安保理制裁の「根拠」となったことは、主権平等の原則を踏みにじる列強の横暴に他ならない。
長距離ミサイルであれ、衛星運搬ロケットであれ、国連安保理が帝国主義列強の政策に従順でない国家に対してだけしか、その利用を容認しないと取り決める事は、国連憲章が規定する諸国家の主権平等の原則が、国連を牛耳る帝国主義列強によって踏みにじられている事をしめしている。

朝鮮にとって、米国による敵対的核恫喝への自衛的弾道ミサイルの開発は、本来無用の長物であるが、国家を米国の核攻撃から守護する盾としての必要悪に過ぎない。
我々は、宇宙探査衛星「光明星3号」に見る宇宙開発の為の科学技術の追求こそが、後に述べる「資源大国」としての朝鮮にとって、宇宙開発の中心的な政策である事を理解する事が出来る。資本主義言論の無知を曝け出した「予想」を裏切って「光明星3号」を搭載したロケットブースター「銀河3号」は、本体を宇宙の周回軌道に乗せ、切り離したあと、予測した地点に正確に落下させた。

自国の精密工作機械(5CNC)で生産する朝鮮は先端科学立国

宇宙探査衛星「光明星3号」を宇宙空間に運んだ「銀河3号」は、推進システム技術、多段ロケットを分離する技術、誘導技術など、高度な科学技術の集積を必要とし、しかも、ミクロンを争う精密部品が15万個以上必要とされると専門家は指摘している。これを人間の手で測定加工する事はほぼ不可能であって、コンピュータを駆使した自動制御機能を持った、精密工作機械CNC ( computerized numerical control)が必要である。
日本のCNCメーカーは、ファナック(山梨)、森精機(奈良)をはじめ、世界的企業が多数ある。航空機、人工衛星、ロケット、精密兵器などの部品がこれによって製作されている。加工範囲が広く、機械構造物での干渉物が少なく、自由度が利き易い<5軸>のCNC工作機が、主流であるが、朝鮮は既に自力開発で5軸のCNC工作機で、部品を製作していると考えられる。

        

▲写真、朝鮮のCNC全自動工作機。2011年に、当時事問題研究会が、ピョンヤンで撮影したものであるが、現在の時点では、更に進化していると考えられる。既に、評判が良い輸出商品となっていて、中東、東アジア、アフリカに輸出されていた。朝鮮のロケット技術の評判は、CNC工作機の輸出を促した。(写真出処―柴野貞夫時事問題研究会)

▲写真 ―森精機は、最新のCNC5軸加工機の世界的メーカーである。世界と国内での販売実績を宣伝しているパンフレットから転載

カン・ホジェ梨花女子大統一学研究院研究委員は、201212月<プレシアン>への論文「北韓の機械工業の発展史」の中で、宇宙発射体の製作に不可欠な高度なCNC工作機械 が、朝鮮でどの様に自力開発されてきたかを論じている。
「宇宙発射体の製作はすばらしい精度が要求されるプロセスである。 これは、人の手で測定しながら進むことはほとんど不可能である。 したがって正確な移送能力と計測能力、そして自動制御機能が備えられ、高度なCNC工作機械が不可欠である。
北韓が独自に開発したCNC工作機械を公開したのは、ほとんど人工衛星の打ち上げ試験直後であった。  19988月光明星1号の発射試験の後に「CNC構成-10号」が公開された。  CNC構成-10号」がマスコミに紹介された、20011月頃すでに輸出を開始したと言う、すでに1998年ごろには、この機械が、北韓内部で活用されていたと推定することができる。
また、20094月光明星2号の発射試験後の20098月から「先端を突破せよ」という労働新聞正論が発表され、5CNC工作機械をすでに開発したという主張が外部に知られた。  20091月に「5軸同時制御水力タービン翼加工班」と「新しい型の専用数字操縦装置」が作られたという労働新聞報道があったことから、2009年以前に、すでに5CNC技術が確保された状態であったと見ることができる。」
今日、日本のメーカーが最新工作機として世界に売りこんでいる5CNC工作機械が、朝鮮において、2009年以前に実用化されていた事実がうかがわれる。宇宙発射体を製作するには、自動制御機能を備えた高度なCNC工作機械が必須である。機械製作能力が最先端に到達してこそ、宇宙発射体を製作する事が出来る。しかも、15万点以上と言われる部品の調達は、朝鮮の工業社会の全体的水準が高まった状況が無ければならないとすれば、朝鮮の科学技術水準の高度化が推測される。

80%の部品調達を外国に頼って、人工衛星を打ち上げた韓国

南朝鮮では、人工衛星「ナロウ(羅老)」の部品総数15万点の内、国産は3万点に過ぎない。残り12万点は、ロシア製だ。2段ロケットの1段目もロシア製だ。精密科学の集積で、朝鮮と比較できない程立ち遅れている。電子機器や液晶技術も、日本の模倣であって、基礎技術の蓄積もない。2010年時、GDPは朝鮮の39倍だと自慢しても、社会の機械工業のトータルな水準が、宇宙発射体の製造能力をしめすものだとすれば、韓国の機械技術の総合力は極めて低いと言える。
「ナロウ(羅老)」は、2度の失敗と10回の打ち上げ延期の末、80%の外国製部品と1段目ロケットをロシアに頼り、20131月初めて打ち上げに成功した。しかし、精密工作機械を作る事の出来ない国は、米、ロシア、中国、英国、フランスなど、「自力で人工衛星を打ち上げた国家」を指して言う、<スペースクラブ>のメンバーとは言えない。
米国は、大陸間弾道ミサイル「火星15号」の試験発射成功に対し、安保理を簒奪して、朝鮮に対する制裁決議を強行した。
しかし、中国はトランプの要求した「原油・石油精製品の全面禁止」には応じなかった。ロシアは、朝鮮労働者の雇用の全面禁止には応じず、現状維持とした。プーチンは、「朝鮮の核・ミサイルの開発は、圧力のみで解決しない。朝鮮は、雑草を食べるようになっても、自国の安全が保障されない限り、核開発は辞めないだろう」と、答えた。朝鮮と外交関係のある各国(164か国)は、トランプの妄動とは裏腹に、朝鮮との経済的連携を深めている。それは、朝鮮が、世界に冠たる資源大国だからだ。


石油資源の埋蔵量はサウジアラビアに匹敵するもの

20121212日に打ち上げられた地球探査衛星、「光明星3号」2号機の目的の一つに、西海に埋蔵された石油資源の探査がある。外国企業に依頼して来た事業を、自国の手で行うか、合弁化するうえで、その主導権を取る目的もある。
200510月、中国海洋石油総公司660憶バーレルの原油が埋もれている巨大な原油貯蔵地を発見したと発表した。サウジアラビアの原油埋蔵量が830億バーレルであるが、660億バーレルが事実であれば、世界的ニュースに違いない。
今まで、朝鮮の油田開発事業は、西方陣営が参加した。英国の石油企業アミネクスは、2005年、北韓投資が政治的危険(リスク)を内包しているが、数10億バーレルの埋蔵可能性を勘案すれば、やって見るに値する投資だと明らかにした。アミネクスのブライアン・ホール最高経営者(CEO)は、ロイター通信とのインタビューで、朝鮮での成功がアミネクスを変化させるものとし、“(事業を)極めて楽観的”と語った。
ノルウェーがまた、西海油田開発を推進したが、GGS社はソハンマン(西韓湾)一帯の採掘権を2004年春まで保有していた。中国も20051224日に、北―中間の海上原油共同協定を締結することで、朝鮮の開発に本格的に参加している。
朝鮮が、「光明星3号」2号機によって、独自の技術能力で西海海域の全ての地域に対する油田探査事業を、全面的に進めることが出来る事となる。この場合、外国企業と共同探査を進めた西海油田事業が、今後、朝鮮主導に変更される可能性もある。これらの事業が進展すれば、朝鮮は「産油国」に近付くかもしれないのである。
米帝国主義は、イラク、イランの油資源に対する強盗的思惑と同じものを、朝鮮に対する侵略戦争の隠された目的に位置付けている可能性がある。

朝鮮は世界一豊かな国

●ウラン鉱石、採掘可能な確認埋蔵量 推定400万トン(韓国統一省、日本原子力産業会議推定)
埋蔵量のナンバーワンであるオーストラリアを上回る可能性がある。
●石油、西海に限定しても、600億バーレル   世界第4〜5位
●金の埋蔵量、 2000t           世界第10
●石炭は、   225億t           世界第5
●鉄の埋蔵量、 5000億t       (世界の年間需要の357年分に相当)
●マグネサイト、40億t            世界第2
●黒鉛、    200万t           世界第3
●タングステン、16万t            世界第6
他に、レアメタル、アルミ、亜鉛など、希少資源が多数ある。(中国海洋石油総公司、韓国鉱物資源公社、米地質資源調査局他の推定資料による。)
上記、朝鮮の鉱物資源の埋蔵量と種類は、他に例を見ないくらい豊富である。石油資源に限らず、西側諸国は、英国を筆頭にあらゆる事業開発に乗り込んでいる。石油探査、鉱山開発、観光事業、化粧品(フランス)ミネラルウオーター事業等、20015年現在、国営企業との合弁事業を展開する世界の企業は、350社以上である。
ロシアも、朝鮮の石油開発に独自の採掘技術を持ち込んで、積極的に参加している。また、朝鮮の希少金属や鉱物資源の採掘権を得る代わりに、鉄道建設と整備事業に対し、250億ドルの資金提供を申し出ている。資金の決済を露貨・ルーブルで行う事も決めている。トランプの朝鮮労働者の受け入れ拒否要求に対しては消極的であり、マレーシア同様に、ビザなし往来を決める予定だ。中国より積極的な関係を築きつつある。ロシアには、ヨーロッパロシアからウラル、シベリアを経由し、朝鮮半島を縦断する遠大な鉄道網と天然ガスパイプライン建設の展望がある。ラブロフ外相とプーチン大統領の、トランプと安倍に対する発言の真意は、“朝鮮半島におけるロシアの国家利害を侵害する米国の政策は、受け入れない”と言うものだ。言い換えれば、朝鮮を第二のアフガン、イラクには決してさせない”と言うものだ。
「制裁と核威嚇」によって軍事的緊張の醸成を政策化し、軍需産業の育成が経済の有効需要の活力と考えるトランプに、身も心も捧げている安倍政権は、恐らく早晩、朝鮮半島で劇的に変化する情勢から取り残され、惨めな末路を迎えるに違いない。
この現実を見れば、世界で一番、平和を必要とする国は、朝鮮である事を理解できるはずだ。朝鮮とその国民は、米・日・韓の敵対勢力の核侵略戦争企図を打ち破った時、世界経済において、その豊かな資源を供給し、人類に貢献するとともに、社会主義朝鮮の繁栄と前進を勝ち取る事が出来るのだ。
朝鮮半島から、米国と日本の戦争策動が一掃されたなら、朝鮮民主主義人民共和国は、世界に類を見ない豊かな国となるであろう。この世界にとって、無くてはならない朝鮮を、核で破壊すると主張する米国の行動が、如何に常軌を失ったものかがわかるであろう。
米国の核による脅しとトランプによる朝鮮の<完全破壊>に同調する国家は、日本とイスラエル位である。日本国民と、日本の資本主義言論は、この真実の朝鮮の姿をしっかり見据えなければならない。

                                        (柴野貞夫時事問題研究会)