(民衆闘争報道/ ウクライナで今、何が起こっているのか 2022年3月4月19日付)
ウクライナで今、何が起こっているのか <連載3>
柴野貞夫時事問題研究会
NATOと米国が、彼らを利用する‘道徳的根拠’は、一体何であるか。ネオナチの武装集団・アゾフ大隊が、アゾフ大隊の旗幟を真ん中に、左に合衆国帝国主義とヨーロッパ資本家階級の軍事組織―NATOの旗、右に、ハーケンクロイツのナチスの旗を臆面もなく掲げている。NATOとウクライナ政権、ネオナチの軍事組織・アゾフ連隊の関係を象徴する姿だ。
今彼らは、ロシア軍によって、マリウポリの欧州最大規模のアゾフスタリ製鉄所の地下に追い詰められ、袋のネズミとなっている。しかし、卑怯にも、ロシア系住民を人間の盾として地獄から逃れ様としている。
ナウマン・サデイクの「ゼレンスキーに関する、グローバルリサーチへの寄稿文」を掲載
(韓国・チャジュシボウ) www.jajusibo.com/59101
【チャジュシボウ編集者の注】
3月18日、グローバルリサーチ(Global Research)に、ナウマン・サディクがゼレンスキー・ウクライナ大統領関連の文を寄稿した。 ナウマン・サディクは、イスラマバード(パキスタンの首府)に基盤を置いた、地政学的及び、国家安全保障アナリストで、東ヨーロッパ、及び中東地域の地政学的問題とハイブリッド戦争の専門家である。
サデイクは、新植民主義、軍産複合体、石油帝国主義に関連した論考を著わしてきた。‘ハイブリッド戦争’とは、強大国が、経済制裁と貿易戦争、軍事同盟などを通じて、軍事・経済覇権を強化したり、世界経済と安全保障秩序を改編するために展開する新しい概念の戦争方式を意味する。
サデイクは、ゼレンスキーに対して、欧州で最も腐敗し、政治的に立ち遅れた国家において、CIAを後ろ盾に成長し、極右民族主義、そしてオリガルヒと手を結び、劇的に大統領に当選した者だと主張している。現在、西側メデイアはそれに対し(ゼレンスキーが)ウクライナと欧州を守った「戦争の英雄」だと描写しているが、東ヨーロッパと中東の事情に明るい第3国家のジャーナリストが見つめる視点は、ただひたすら米国の覇権に踊らされながら、ウクライナ市民にとんでもない犠牲と苦痛を被らせている劇中の“ピエロ”に過ぎないと明らかにした。
●NATOと米国の覇権の為、ロシアを排除する先兵として躍らされている「ピエロ」である。
●CIAが後見人となって反ロシア極右民族主義者として育てられ、ウクライナ市民達の過酷な犠牲の上に、NATOと米国の覇権の先兵として躍らされている「ピエロ」である。
●ゼレンスキーが、国際条約である<ミンスク合意1>、<ミンスク合意2>を 無視、否定した行為は、ウクライナとロシア民衆を戦争の災禍に晒した主要な要因の一つである。NATOと米国は、ゼレンスキ―を支持、戦争へとけしかけた。
●ウクライナ事態の本質こそ、合衆国帝国主義が、ロシアを、敵対的に排除することを目的とする戦争準備を、ウクライナ戦争と連動しながら推し進めていると言う点にある。ロシアの安全保障が、NATO(欧州資本主義軍事同盟)と米国によって、一方的に侵害され様としている事に対するロシアの自衛戦争である。
▲ 世界中のどこを見ても、「武装したナチス」が、国家(ウクライナ)の公認の元、大手を振って市民に対する暴力をふるう姿はあり得ない。
▲ 13日、メリオポリ・アゾフスタリ製鉄所に立てこもっていた、ウクライナ兵が投降した。第36海兵旅団の1026人の兵士と、162人の将校。
【本文】
ゼレンスキーは学生時代からウクライナの秘密のCIA(米国)エージェントだった
先月、ロシアのウクライナ侵攻が差し迫って世界が恐怖に震えている中で、地震の中で瞑想する坊主の様に落ち着いて、平気な、鋼(はがね)で作った神経を持った一人の男がいた。皮肉なことに、欧米の政策立案者に、外国人投資家や観光客がウクライナから逃げ出さないように、ロシア侵略の脅威を誇張しないよう促した坊主は、他ならぬウクライナの大統領だった。
ゼレンスキー大統領という人物は、欧米諜報機関の彼の指導者達によって割り当てられた極秘任務を達成するために、三年間の大統領在任中に、ロシア・ウクライナ戦争を画策する上で、極めて重要な役割を担っている。
1978年1月、ウクライナ中部のある村で、ユダヤ人の両親の間で生まれた彼の幼年期は、依然として謎に包まれている。ボロデイミール・ゼレンスキ―は、キエフのクリフィリー(Rih National University)で法学を勉強しながら、学生時代から、ウクライナの秘密のCIAエージェントに訓練されたことが知られている。
彼は法律のキャリアを追求する代わりに、全国的な人気を得る為に、影響力のあるスポンサーの脚本に従い、職業的な演技を通じて、特に、ゼレンスキーが「ウクライナ大統領の役」を‘予言的に演じた’と言うコメデイTVシリーズ《国民のしもべ》を通して、俳優という職業を選択した。
実際、映画、漫画、テレビ番組を制作した彼のプロデユーサー《?vartal95》は、西側情報機関の莫大な資金援助を受けた。ウクライナの政治家たちと、寡頭政治化たちの腐敗と卑猥な取引を、コミカルに暴露した《国民のしもべ》シリーズは、2015年から2019年まで放映されウクライナ大衆の心を捕らえた。
西側の情報機関は、無名俳優だったゼレンスキーのメデイア組織に、惜しみなく資金を投入しただけでなく、心理戦争と広報が巧みな、ハリウッドの著名な製作者と監督からなる秘密の専門集団を、連携し紹介した。《国民のしもべ》の成功は、グローバルオピニオン・メイキングを専門とする国際メデイア組織の力のおかげであった。メデイア広報の波に支えられ、ゼレンスキーは2019年の大統領選挙で、勝利を収め、彼が大統領就任直後に行われた臨時総選挙でも《国民のしもべ》と名前を付けた与党が勝利した。
ゼレンスキーは、2019年から、‘眉唾(まゆつば)な方法で大統領に当選’してから、秘密なやり方でロシアとの危機を助長するプロジェクトを進めてきた。
ゼレンスキーは<ミンスク合意1><ミンスク合意2>を無視し、否定した
彼は、2014年から始まった、ウクライナ兵とネオナチ武装勢力による、ドンバス、ドネツク地方のロシア住民に対する虐殺戦争を容認し、前任政権とロシアの間で取り交わされた合意(ミンスク合意1,ミンスク合意2)を、‘自分はかかわっていないから知らない。ウクライナ国民も、同意しない’として、無視を決め込んでいる。
およそ一国の政権のトップとして言語道断な主張のもとで、ロシアの融和的な話し合いの提案を、軽蔑的に拒絶した。軍事的騒乱の最も重要な原因であり、国際条約であるミンスク合意1,ミンスク合意2を無視、否定する行為は、ウクライナ国民のみならず、全世界の民衆に対する万死に値する犯罪行為だ。この犯罪行為を咎めず、助長している米国帝国主義と欧州資本家階級の責任は重大だ。
ロシア系住民の虐殺、斬首、民族浄化の下手人・ネオナチ軍事組織・アゾフ連隊
ウクライナ大衆の苦痛を一方的に無視し、まるで自殺を試みるかのようにロシアとの武力対決を厭わないゼレンスキーは、実は巨大な西側の反ロシア計画のスズメバチに過ぎない。ゼレンスキーは、ユダヤ人というその出目の背景にも拘らず、公式に、ウクライナ防衛軍所属の悪名高い「アゾフ連隊」と協力することを躊躇しなかった。「アゾフ連隊」は、外国の白人優越主義組織とつながったネオナチズムの軍事組織として広く知られている。
「アゾフ連隊」は2014年5月、超民族主義的なウクライナの愛国者暴力団と、ネオナチ社会主義国会議員(SNA)によって、ボランテイア中心に始めて結成された。
ウクライナ東部のドンバスで、親ロシア‘分離主義者’たちに対して、無差別の虐殺、拉致、拷問、誘拐、ISISまがいの断首を実行してきた。彼らは、異なる言語と文化を持つ民族の連邦主義を、「分離主義」として歪曲し、暴力的民族浄化を企んだ。米国とNATO諸国、そしてゼレンスキーも、その主張と行動を容認した。
ロシアの支援を受ける分離主義者(訳注―正しくは、‘連邦主義’と言うべきであろう。ウクライナの民族主義者は、<連邦主義>を<分離主義>として攻撃の手段にしていた。)から、戦略的港町・マリウポールを奪還してから数か月後、この軍事組織は公式に、2014年11月12日、ウクライナ防衛軍に統合され、当時の大統領ポロシェンコは、2014年の表彰式で、‘彼らは、我々の最高の戦士、最高のボランテイアと賞賛した。
この部隊は、ウクライナ愛国者(2005年設立)と、SNA(2008年設立)の指導者を歴任したアンドリー・ビレッキーが率いていた。2010年、ビレッキーは、ウクライナの国家目的が‘世界の白人人種を導き、セム人が率いるウンターメンシェン(劣等人種)に対抗する最後の十字軍’と話した。
アゾフ連隊は、軍事力の拡大や武器・傭兵、外国戦闘機の購入などに必要な資金を、マリウブールの寡頭政治家によって個人的に支援された。アメリカの進歩的オンラインニュース Mint Press Newsは、最近、次のことを明らかにした。
ゼレンスキーは、‘2019年、73%の票を獲得したが、汚職と闘い、国内に平和をもたらすために立候補したという根拠に基づいて成功したが、パンドラ・ペーパーズとして知られる漏洩文書によると、彼自身も、オフショア銀行口座に資金を保管していた。ゼレンスキーの選挙運動は、当時、イスラエル-ウクライナの億万長者イーゴリ・コロモイスキーによって後押しされ、資金援助された ?彼自身も、銀行から55億ドルを盗んだ容疑を受けた。
大統領就任時、ウクライナのオルガリヒとの関係を記者に問われた時、‘我が国の経済がオルガリヒに支配されている以上、4000万国民が何らかの関係を持たないという事はあり得ない’と、堂々と見え透いた詭弁を弄した。
ムスリムはアゾフ大隊にとって大きな問題であるように思われる。アゾフだけでなく、ウクライナ国家警備隊にも存在するイスラム嫌悪は、公式の国家警備隊サイトが、アゾフ大隊を豚の脂肪に浸したことを賛美したため、ソーシャルメディアで強く伝わった。このビデオは、ロシア側で戦っているチェチェン出身のイスラム教徒兵士に向けられ、ツイッターで国家警備隊によって海に棲む怪物と表現された。2015年6月、カナダと米国は、ネオナチとのつながりを理由に、アゾフ大隊を支援、または訓練をしないと発表した。
イスラム教徒という人種がアゾフ大隊の主な目標だったようだ。アゾフ大隊だけでなくウクライナ防衛軍にも強く存在するイスラム・嫌悪症は、公式防衛軍のサイトがアゾフ大隊を豚油に浸す姿を称賛し、これをSNSで強力に広げた。この映像はロシア側で戦っているチェチェン出身のイスラム軍人たちを狙ったもので、Twitterでこれらのイスラム出身たちを「海に住む怪物」と描写した。
2015年6月、カナダと米国は、ネオナチとの関連性を理由に、アゾフ大隊を支援または訓練しないと発表した。しかし翌年、米国は国防部の圧力で彼らに対する禁止令を解除し、2019年10月、マックスローズ下院議員が率いる米議会議員40人は、米国国務省にアゾフ大隊を「海外テロリスト組織(FTO)」に指定することを要求という手紙に署名したが、結局は失敗した。
2019年2月、ネーション・マガジンは「ネオナチと極右はウクライナで行動中だ」という詳細な記事を発表し、ウクライナの極右過激派グループの外国人嫌悪と白人至上主義の政治イデオロギーを詳述した。「当時の国会議長アンドリー・パルビイは、ウクライナ社会国民党(後にスヴォボダと改名)とウクライナ愛国者という2つのネオナチ組織を共同設立し、率いていた。
さらに憂慮すべきは、極右が法執行機関に浸透していることだ。2014年のマイダン・クーデターの直後、アメリカは、ウクライナの民主主義を支える特徴的なプログラムとなることを意図した、新しく設立された国家警察を装備し、訓練した。国家警察を支配する内務副大臣は、アゾフの退役軍人でウクライナの愛国者であるヴァディム・トロヤンだ。
2015年、ウクライナ議会は、ウクライナ民族主義者組織(OUN)とウクライナ反乱軍(UPA)という二つの第二次世界大戦時の準軍事組織を、ウクライナの英雄とする法律を可決し、彼らの英雄主義を否定することを犯罪とした。OUNはナチスと協力してホロコーストに参加し、UPAは数千人のユダヤ人と70,000〜100,000人のポーランド人を自らの意志で虐殺した歴史を持つ。
キエフに「英雄的に滞在」し、キエフがロシア軍に包囲されている間、欧米マスコミに対する広報活動を"勇敢に仕掛けた"にもかかわらず、ゼレンスキーの個人的な安全に対する危険はない。ワシントン・ポスト紙は3月5日に次のように報じた。
「ロシアによるキエフ乗っ取りの可能性は、ゼレンスキー政権が首都や国自体から逃げなければならない場合に備えて、国務省、ペンタゴンや他のアメリカ機関で計画の嵐を引き起こした。我々は今、あらゆる可能性について緊急時対応計画を行っている」と、ゼレンスキーがポーランドに亡命政府を樹立するシナリオを含め、ある米政権高官は語った。
「自らをロシアの標的第1位と名乗るゼレンスキーは、キエフに留まり、市民に退去しないと保証した。彼はポーランド国境に近いリヴィウ市のより安全な場所に西に移動すべきかどうかについて、米国当局者と議論してきた。ゼレンスキーの治安の詳細は、彼と彼の閣僚を迅速に移転させる準備ができている、とウクライナの高官は語った。「これまでのところ、彼は行くことを拒否している」。
行間を読めば、ゼレンスキーの治安詳細には、ウクライナ国内治安機関SBUの工作員だけでなく、手ごわいCIAやNSAを含む、いくつかの欧米治安機関の高度に熟練した特殊作戦専門家も含まれており、首都がロシア軍の前進に陥りかけていることが明らかになり次第、国境を越えてポーランドに彼を連れ去るだろう。
実際、CIAや欧米諜報機関の秘密工作員と緊密に連携し、協議している民間軍事請負業者は、ウクライナへの軍事支援として、アメリカ、ドイツや他のヨーロッパ諸国が提供するMANPADSと対装甲弾のキャッシュの使用について、ウクライナの徴兵部隊を訓練しているだけでなく、最も困難な戦闘作戦のいくつかで戦闘作戦に積極的に参加することで、ウクライナの防衛戦略全体を指揮している。キエフ北部、ハリコフとドンバスでロシアの治安部隊との戦いを戦った。
先月ヨーロッパに派遣された15,000人の兵士の大半が、既に駐留している4,000人のアメリカ軍兵士に加わるためにポーランドに行ったので、ポーランドだけでも、アメリカ軍の足跡は今や10,000人を超えている。ポーランドの国境地帯にある飛行場と訓練キャンプは、西ウクライナのリヴィウに武器や過激派を輸送するためのハブとなっている。ゼレンスキーは、NATOと米国によって、ウクライナのロシア治安部隊に対する長期にわたる血なまぐさい反乱を率いる"カリスマ的救世主"として表現されている。
同胞への感傷的な演説で「ロシアの侵略者」に対して武器で立ち上がるよう促すゼレンスキーは、これまでに、どのような並外れた勇敢な行動をとったというのだろうか。彼はロシア・ウクライナ戦争の最前線で銃を握った事があるのだろうか。
だまされやすい聴衆の英雄崇拝に対する生来の嗜好を利用して、主流メディアは、NATOによる、ロシアの伝統的な勢力圏へのさらなる東方拡大に敢えて立ち向かう十字軍として、ゼレンスキーを投影している。彼の憎悪に満ちた暴力的な演説をヨーロッパとアメリカの議会に生中継することの公的な理論的根拠は、世界の舞台で大敵を中傷し、国際的に孤立させるのと同じくらい、消耗品の傀儡を宣伝することである。
バイデンとゼレンスキーはロシアの安全保障にとって許すことのできない一線を踏み越えた
NATO諸国と米国は、イラク、シリアで実行した様に、ISISまがいの無法集団―アゾフ連隊(ネオナチ)を育成し、莫大な金を投入してきた。ゼレンスキーは、NATOと米国との軍事的結びつきを継続、公然化し、バイデン政権は2021年3月、1億2500万ドルの軍事支出をゼレンスキーと協議した。また、ゼレンスキーは、米国と結託した、市民デモを装ったクーデター‘マイダンデモ’と、親露・ヤヌコービッチ政権の崩壊を支持した。
ゼレンスキーは、2019年から不審な方法で大統領に当選した後も、秘密の方法でロシアと危機を助長するプロジェクトを進めていた。大統領就任後、彼は、国際条約(国連に登録された)である<ミンスク合意1>、<ミンスク合意2>を無視、‘自分が関わったものではない’として、ドンバス・ドネツク地方対する、ロシア系住民への血なまぐさい攻撃に、ネオ・ファシストを動員した。
彼は、自治権とNATOを再三のロシアの提案を軽蔑的に拒否しただけでなく、ウクライナ軍は、ロシアの鼻先の黒海で、NATO軍と合同軍事訓練と海軍訓練を強行した。米国とウクライナは、2021年6月28日から7月10日まで、黒海で多国籍連合海上訓練「シーブリーブズ21(sea breeze 21)を実施した。これは、米国とウクライナが、1997年から毎年実施する対ロシア圧迫軍事訓練で、2021年には、NATOと米国32か国が参加した。
2021年9月1日、バイデンとゼレンスキーが、両国の「戦略的防衛協力を深める」として、ウクライナが希望する自国内の「米軍基地の設置」を匂わした。ゼレンスキーは、NATO加盟と同様に、ロシアの安全保障に対する許すことのできない一線を踏み越える動きを示したのである。
更に、2021年9月19日から、10月1日まで、ウクライナ西部地域で、例年化している米国を含む15のNATO諸国と、合同軍事訓練「ラビットトライデント2021」を行い、訓練責任者、クロチュコフ准将は、‘この訓練は、ウクライナの欧州統合に向けての重要なステップだ’と、対ロシアの敵対的軍事同盟であるNATOへの加入を要求した。ソ連を解体する当時、米国はNATOと米軍は東ヨーロッパに東進しないと約束した。しかし、米国はその約束を守らなかった。
1993年から旧東ドイツ地域にNATO軍が駐留し、1999年ハンガリー、ポーランド、チェコ3局を、2004年にはエストニア、ラトビア、リトアニアバルト3局とルーマニア、ブルガリアなどを加盟国に編入した。以後、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニアなどが加入し、NATO同盟国は30カ国に増えた。NATOの東進はロシアと国境を合わせてウクライナまで進撃してきた。
昨年12月、ロシアは米国とNATOにそれぞれロシアが作成した協定文草案を伝えた。プーチンがレッドラインを提示した。その内容は、NATOの東進を中断し、東ヨーロッパから事実上兵力を撤収することと核兵器の配置を米国内に限定するというものだった。しかし、NATOと合衆国帝国主義は、それを拒否した。彼らは、ロシアの共存では無く、戦争を選んだのだ。プーチン大統領は、2月24日ウクライナ事態に対し、世界に対し次の様に問いかけた。
‘過去30年間、私たちはヨーロッパの平等で不可分な安全保障原則について、NATOの主要加盟国との合意に達するために継続的で粘り強く努力してきました。私たちの提案に対する答えは、いつも冷笑的欺瞞と偽り、あるいは圧力と脅迫の試みであり、その間NATOは私たちのすべての抗議と懸念にもかかわらず、絶えず拡大を続けました。軍事装備が移動しており、私たちの国境のすぐ前まで近づいています。なぜこれが起こっているのですか。自分たちは例外であり、間違えず、何でもしてもよいように話すこの傲慢な態度はどこから来るのでしょうか。私たちの利益とあまりにも正当な要求を無視して軽蔑する態度はどこから来るのでしょうか。’
答えは明らかである。ウクライナでの諸々の出来事は、中東地域、もっと広くはユーラシア大陸に於けるヘゲモニー主張の志向に対する障害物として、合衆国帝国主義がロシア排斥の戦略を開始した事を示唆している。NATOと米国は、ロシアに戦争を仕掛けたのだ。ロシアの戦いは、理不尽な戦争に対する自衛行動に他ならない。
(翻訳・加筆追加論考 柴野貞夫)
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