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(民衆闘争報道/ ウクライナで今、何が起こっているのか <連載8> 202213日)

         ウクライナで今、何が起こっているのか <連載8>

                                                  柴野貞夫時事問題研究会

NATOの反露覇権と、ウクライナ・ネオナチ政権の民族浄化に対する戦いは、ロシア人民の、大義と正義の為の戦争である


右翼親米国家・イスラエルが、反ロシア国際制裁に加担せずウクライナへの軍事援助を拒否しているのには、深い理由がある


【冒頭解説】
反露覇権の為の不正な戦争に、クライナ人民を駆り出しているゼレンスキーは、この戦争の中で、大規模な個人的蓄財に走っている事が暴露された

ゼレンスキーは、ハリウッドとCIAの脚本に乗って、‘ロシアにいじめられる可哀そうな大統領’の役を演じている。ゼレンスキーは<善>で、プーチンは<悪>だ。世界中の資本主義言論がフル回転したフェイクニュースの賜物だ。
世界の善意の民衆を手球にとり、ウクライナの成人男子の出国を阻止し、兵役に駆り出し、米国と欧州資本家階級の「反露覇権」の為の不正な戦争にウクライナ人民を追い立てている。
ゼレンスキーは、ネオナチを信奉する、米国と欧州帝国主義のエージェントであった。我々は他の論考でも、彼の汚い足跡を明らかにしている。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIj)が、昨年、“ゼレンスキーは、英国領バージン諸島にペーパーカンパニーを設立し、2019年に就任後2年間で、実に85000万ドルの蓄財をおこなった”と暴露した。目を疑う金額である。ゼレンスキーは、ロシア侵攻直後は、ロシアの暗殺におびえていたが、いまは、ウクライナ軍内部からの暗殺に怯えている。


【項目】
(1 親米国家・イスラエルが、反ロシア国際制裁を拒否している深い理
(2) ネオナチ勢力が生息する、ウクライナの右翼政党
(3) イスラエルはいまなおネオナチ勢力が生息するゼレンスキーのウクライナを許さない
(4) ロシア語系住民の民族浄化を遂行するゼレンスキー政権は、正真正銘のネオナチストである
(5) 米国はなぜ、ネオナチの虐殺蛮行を一貫して支援してきた
(6) ロシアと、帝国主義ヨーロッパ共同体(EU)とネオナチ勢力の関係を具体的に把握する
(7) 
細菌兵器の実験を敢行する、米国とウクライナの凶悪犯罪

 




(1) 右翼親米国家・イスラエルは、なぜ、反ロシア国際制裁を拒否しているのか


ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに、世界の政治地形が3つの陣営に分かれた。第一の陣営は、ロシア・ウクライナ戦争で、ロシアを支持する勢力だ。世界中の社会主義国と社会主義政党、及び社会主義性向の社会政治団体がそれを構成する(しかし、日本共産党はその中に含まれない)第二陣営は、ロシア―ウクライナ戦争に介入せず、中立を守る勢力だ。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの数多くの国々、政党、社会政治団体が第二陣営を構成する。
ところが、地理的にはアジアに属しつつも、唯、日本と韓国だけが、出しゃばってロシア・ウクライナ戦争に介入し、ウクライナとロシアの歴史的因縁も意に介せず、米国とNATOの不当な好戦的覇権主義に迎合しながら、反ロシアの国際制裁に参加する愚か者である。反ロシア国際制裁に参加すれば、ロシアの報復制裁を受け、倍返しの報復制裁によって自国民衆の生活を圧迫するのは歴然としている。日本と韓国は、韓米同盟、日米同盟の束縛によって反ロシア国際制裁に参加するというのだが、それを愚か者の所業と言わずしてなんと言うのだ。
第三陣営は、米国の指揮によりロシア・ウクライナ戦争に介入してウクライナを支持し、反ロシア国際制裁に参加する親米右翼勢力だ。世界帝国主義陣営の盟主として、破綻した政治的経済的力関係を、露中に対する軍事的対立関係を通して再編したいという危険な野望を持って、帝国主義的欧州を糾合しようとする陣営だ。
世界の政治地形を見れば、ロシアを支持する第一陣営と、中立を守る第二陣営は多数であり、ウクライナを支持する第三陣営は少数だ。それにも関わらず、日本や韓国の言論媒体は、低質な扇動記事をまき散らしながら、ウクライナに対する支持が、まるで世界的な大勢であるかの様に事実を捻じ曲げている。言論報道を装った様な親米右翼騒動の渦から抜け出し、ロシア・ウクライナ戦争の客観的事実を直視しなければならない。
ところで、ロシア・ウクライナ戦争に関連して、興味深い現象が現れた。戦争が始まるや否や、ロシア財閥総帥(oligarch―オリガルヒ)達が反ロシア国際制裁を避ける為に、自家用ジェット機で海外に一斉脱出したが、そのジェット機が飛んだ先は、意外にもイスラエルだった。イスラエルの言論報道によると、ロシア・ウクライナ戦争直後の10日間、少なくとも14台の自家用ジェット機が、ロシアを離れテルアビブ国際空港に着陸したと言う。
この様な現象は、ロシア・オリガルヒが、反ロシア国際制裁を避けることが出来る安全な避難所として、イスラエルを選んだと言う事実を示している。ロシア・オリガルヒが、イスラエルを反ロシア国際制裁からの避難所として選んだのには、それなりの理由がある。
イスラエルは、反ロシア国際制裁に参加しなかっただけでなく、鉄兜と防弾チョッキを支援してほしいというウクライナの差し迫った要請も拒否し、ヘブライ語を使用するユダヤ系ウクライナ人だけを難民として受け入れるとして、ウクライナ難民の収容を制限した、ユダヤ人の血統を受け継いだウクライナ人は、約40万人にもなるが、ヘブライ語を使うユダヤ系ウクライナ人は、約35百人にしかならない。
ロシアとウクライナの間で、中立を守るナフタリ・ベネット((Naftali Bennett)イスラエル首相は、202235日、モスクワを訪問し、ウラジミール・プーチン(Vladimir V. Putin)大統領に会い、ロシアとウクライナの戦争を仲裁しようとした。
全世界の親米右翼国家の中で2番目といえば悲しむイスラエルが、自らの政治的性向と異なって中立を守っているのである。もともと、イスラエルの親米右翼傾向は、日本や韓国の親米右翼傾向と比べよりはるかに強い。そんなイスラエルが、日本や韓国に先立ってウクライナを軍事的、政治的に支援し、反ロシア制裁に参加すると考えるのが当たり前であろう。しかし、イスラエルは、意外にも中立を守っているのだ。
米国とウクライナは、反ロシア国際制裁に参加しないイスラエルの中立的態度を見て、失望と怒りを感じている。2022313日、ドミトロ・クレバ(Dmitro I. Kuleba)ウクライナ外務大臣は、ヤイール・ラピド(Yair Lapid)イスラエル外務大臣の電話通話を冷たく断った。
2022314日、副大統領(当時)、のバイデンとともにネオナチ・スボボダや、ゼレンスキー政権との癒着を深め、イスラエルにおける生物化学兵器の開発を主導してきたビクトリア・J・ヌーランド((Victoria J. Nuland)米国務次官は、米国メデイアとの対談の中で、‘イスラエルが、ウクライナ侵攻の燃料として使用される汚れたお金の避難所になってはならない’と、批判の矛先をイスラエルに向けた。またヌーランドは、イスラエルが、反ロシア国際制裁に参加する事が、ウクライナに対する軍事援助やロシア・ウクライナ戦争の仲裁よりもはるかに重要だと主張した。
ヌーランドが‘汚れたお金’について言及するなら、バイデンの息子―ハンター・バイデンと連携し、ウクライナで反人類的生化学兵器開發に‘汚れたお金’を投入してきたヌーランドが、自分の犯罪を棚に上げる見え透いた偽善であると言わなければならない。代表的な親米右翼国家であるイスラエルが、米国とウクライナの反ロシア国際制裁に参加せよと言う要求を拒絶し、中立を守る理由は何だろう。


(2) ネオナチ勢力が生息するウクライナの右翼政党


観察の焦点を、80年前のウクライナに移してみよう。1941622日、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889~1945)が指揮するナチス軍は、所謂‘ババロッサ(Barbarossa)’と言う作戦名を掲げてソ連を侵略した。ババロサと言う名称は、遠い昔の12世紀、ヨーロッパを統治していた神聖ローマ帝国(Holy Roman Empire)の皇太子フデレリック・ババロッサ(Frederick Barbarossa, 1122~1190)の名に由来したものである。彼はホーヘンスタウヘン王家(Hohestaufen Royal House)に属するドイチェランド国王だった。当時人々は、‘赤い顎鬚の皇帝’と呼んでいた。
ヒトラーが、ソ連侵略作戦の名称を、神聖ローマ帝国の名から取ったのは、その様な理由があった。ドイチェランド民族を、所謂「主人民族(Herrenvolk)」と信じていたヒトラーは、「主人民族」の繁栄を実現する「生活空間(Lebensraum)を創設し、神聖ローマ帝国の「栄光」を復活させようとする妄想に捕らえられた。ヒトラーは、神聖ローマ帝国の「栄光」を蘇らせるためには、「ユダヤ・ボルシェビキ国家(Judeo-Bolshevist state)」を破滅させ、東ヨーロッパを植民地にしなければならないと信じていた。彼が破滅させようとした「ユダヤ。ボルシェビキ国家」が、将にソ連だった。狂人ヒットラーは、ソ連とユダヤ人に極度の敵意を抱いた。
ヒトラーが「ユダヤ・ボルシェビキ」国家を破滅させるために動員した侵略軍隊は、ドイチェランド、イタリア、ルーマニア、ハンガリー、スロベンスコ、フィンランドからそれぞれ駆り出された、380万人の大兵力で編成された。ナチス軍は、破竹の勢いで襲いながら、極悪非道な蛮行を犯した。ナチス軍が捕虜に捕まえたソ連の赤い軍隊の将兵達と、占領地で血まみれになったソ連人民330万人が、集団餓死(Holodomor)と集団虐殺(Holocaust)で命を失った。ナチス軍が占領したソ連領土で集団虐殺されたソ連系ユダヤ人(Soviet Jews)は、100万人を超えた。ナチス軍が占領したソ連の領土には、今日のウクライナの領土の大部分、今日のベラルーシの領土の一部、今日のポルスッカ領土の一部が含まれていた。ヒトラーは、ナチス軍が占領したウクライナと隣接地域に巨大な植民地を建設したが、それを「帝国執政区ウクライナ((Reichskommissariat Ukraine)と呼んだ。ヒトラーは、自分の側近であるアルフレッド・ローゼンベルグ((Alfred E. Rosenberg, 1893~1946)と、エーリッヒ・コッホ(Erich Koch, 1896~1986)を執政官に任命し、植民地ウクライナを統治した。
19441110日、「帝国執政区ウクライナ」が解体されるまで、ナチス占領軍は植民地ウクライナで、当時の人口の12%に達する520万人を集団虐殺する蛮行を犯した。
日本帝国主義勢力が、朝鮮を植民地統治した時期、民族を裏切って日帝に協力した加担者達が出現した様に、ナチス帝国主義勢力がウクライナを占領した時期に、植民地ウクライナでも、ソ連に反対してナチス占領軍に取り入った親ナチス協力者が出現した。例えば、当時、ウクライナ人の250,000人が、<国家主義軍事分遣体>、<ウクライナ国家主義兄弟団>、<ウクライナ解放軍>、<ウクライナ国家軍>、などに加入し、ナチス協力者として活動した。ウクライナのネオナチス協力者は、ナチス占領軍の命令に従って、ユダヤ人を集団虐殺した。

(3) イスラエルは、ネオナチ勢力が生息するゼレンスキーのウクライナを許さない

当時、ウクライナをソ連から分離独立させようと暴れたウクライナの右翼勢力は、1929年に、オーストリアのウイーンで、「ウクライナ国家主義機構(Organization of Ukrainian Nationalists)」を創設したが、彼らは、ナチス軍がウクライナを占領すると、オーストリアから帰国した。ナチスの植民地(ウクライナ)で勢力を拡大したこの右翼団体の会員は、全盛期に、300,000人に達した。
ウクライナ出身で、カナダのオタワ大学教授であるイワン・カチャノフスキー((Ivan Katchanovski)の研究によると、「ウクライナ国家主義機構」指導部の23%が、植民地ウクライナの親ナチス警察組織に加入し、18%は親ナチス軍事学校と情報学校で訓練を受け、11%はネオナチス武装組織に加入し、8%は、各地方の親ナチス統治機構に入り、1%はネオナチス歩兵師団に入隊したと言う。言い換えれば、「ウクライナ国家主義機構」は、ネオナチスの協力者の巣窟だったのである。ネオナチス協力者達は、ウクライナの右翼勢力に、反ソ連・ネオナチ遺産を残した。(ソ連邦の崩壊によって)ウクライナがソ連から離れて独立した後、ウクライナの右翼勢力の「反ソ連遺産」は、「反ロシア思想」に転換され、彼らの「ネオナチス遺産」は「親NATO思想」に転換された。
今日、ネオナチス勢力は「反ロシア・ネオナチス思想に染まったウクライナ右翼勢力」を宿主として、その勢力の中に潜り込んで生息している。ネオナチス勢力は、ウクライナを北大西洋条約機構と欧州連合に加入させようと画策しながら、ロシアに反対し、ロシア語を使うウクライナ住民を排斥し嫌悪している。
ネオナチス勢力が入り込み、生息するウクライナの右翼政党は、今日以下の通りだ。
人民服務者党     (Servant of the People),
欧州連帯党      (European Solidarity)
ヴァートキブシュチーナ(Batkivshchyna)
ホロス党       (Holos),
ラジカルパーテイ   (Radical Party),
力と栄誉党      (Strength and Honor),
ウクライナ戦略党   (Ukrainian Strategy),
公民地位党      (Civil Position),
ウクライナ民主改革同盟Ukrainian Democratic Alliance for Reform),
自力更生党      (Self Reliance)
上に列挙した右翼政党は、ウクライナ議会の450席の中で、314席を占めている。「右翼執権党」(現在、権力を握る党)である「人民の服務党」は、241議席を占めた。
もともと「人民の服務者」と言う党名は、2015年から2019年まで放映された政治風刺連続ドラマのタイトルからきている。その政治風刺ドラマに主演俳優として出演したのがゼレンスキーだ。汚職とロシア系ウクライナ人に対する民族差別への批判が、東部出身でネオナチ支持者であることを隠蔽したゼレンスキーに、紛争解決の期待を抱いたウクライナ民衆の支持が沸き上がり、20194月、大統領選挙に当選した。


(4) ロシア語を話す住民の民族浄化を謀るゼレンスキーは、正真正銘ネオナチである

 

既に述べて来た様に、「人民の服務者党」とゼレンスキーは、執権するや否や、ネオナチスとしての本性をむき出しにした。ゼレンスキーは、今後の反ロシア、反ロシア系住民に対する威嚇を念頭に置きながら、「核放棄」を取り決めた「ブタぺスト覚書」に異議を唱え、「ドンバスにおけるロシア系住民に対する民族排外主義を、ネオファシストの私兵による殺戮で貫いてきたウクライナに、待ったをかけた「ミンスク合意」を、“東部2州に、「特別な地位」(ミンスク合意)を与えるつもりはないと、一方的破棄を言明した。
ゼレンスキーは、2015年国連安保理事会で、全会一致で決議された「ミンスク合意の履行を求める決議」を、あからさまに無視した。この様に、ネオナチ勢力が生息する「人民の服務者党」が執権したウクライナの政治状況は、その国がネオナチス勢力の影響圏の中にあると言う事実を示す。
この様な事情を見渡せば、過去、植民地ウクライナで、ナチス占領軍と親ナチ協力者が100万人以上のユダヤ人を集団虐殺した歴史を覚えているイスラエルが今日、ネオナチの影響圏内にあるウクライナを、支持しない理由が自明になる。


(5) 米国はなぜ、ネオナチの虐殺蛮行を一貫して支援してきたか


米国と帝国主義ヨーロッパの、ウクライナを利用した軍事的威嚇による反ロシア覇権を遮断し、ウクライナの民族排外的ネオナチズム勢力を制圧する正義の戦争である。>と規定することが出来る。ロシア・ウクライナ事態は、表面的には、ロシアによるウクライナへの一方的な侵攻に見える。しかしその実態は、以下の通りである。
第一に、中東(イラク、シリア、リビア、アフガニスタン)をはじめとして、ベトナムの屈辱を彷彿とするみじめな軍事的敗北を被り、世界経済の主導力からも脱落した米国が、欧州資本主義と結託してNATOの軍事的プレゼンスを動員し、新たな覇権を求めて、ロシアと中国を圧迫するという、危険な動きから生まれたものである。
第二に、ウクライナ・ドンバス地方におけるロシア系住民に対する民族浄化・民族排外主義を、国家が主導するという、ウクライナにおける暴力的なネオファシズム勢力の大規模な顕在化が、ロシア系ウクライナ人の生命を危険にさらしてきた事実を、住民の要請もあり、これ以上黙認できないと、ロシアが決断した事にある。<ロシア・ウクライナ事態は、米国と帝国主義ヨーロッパの、ウクライナを利用した軍事的威嚇による反ロシア覇権を遮断し、ウクライナの民族排外的ネオナチズム勢力を制圧する正義の戦争である。>と規定することが出来る。
ロシア人民は、ロシア・ウクライナ戦争が、帝国主義ヨーロッパ同盟の軍事的威嚇を伴った勢力拡張を遮断し、ネオナチ勢力を制圧する正義の戦争であることを知っている。だから、彼らはロシアとウクライナの戦争を支持している20223月上旬、ロシア公共世論調査センター((VCICOM)がロシアで行った世論調査によると、回答者の68%がロシア・ウクライナ戦争を支持し、回答者の22%はその戦争に反対し、回答者の10パーセントは答えなかったと言う。
2022319日、モスクワ ルズニキ国立競技場に20万人の群衆が雲の様に集まった。その日、ルズニキ国立競技場では、クリミア半島がウクライナがロシアへ帰属した歴史的事変8周年を祝う大衆音楽公演が繰り広げられたが、異例的にプーチン大統領も参加した。公演舞台の背景には、「ナチズムのない世の中の為に、ロシアの為に!」と書かれた巨大なスローガンが掲げられた。
プーチン大統領は、大衆音楽公演中に行われた幕間演説で、ロシア語を使用するウクライナ・ドンバス地方住民を、ネオナチ勢力の抑圧と暴力から解放するために、ロシア軍が英雄的に戦っていると力説した。その瞬間、20万群衆はモスクワが割れるような歓声で答えた。


(6) ロシアと帝国主義ヨーロッパ共同体(EU)とネオナチ勢力の関係を具体的に把握する

①帝国主義ヨーロッパ同盟体は、北大西洋条約機構(NATO)と言う名称を掲げた、軍事・安保同盟体と、欧州共同体((European Union)と言う名称を掲げた政治・経済組織体で構成されている。
去る時期、アジア、アフリカ、ラテンアメリカに植民地を建設し、すべての植民地を残酷に抑圧、収奪した米国、英国、フランス、オランダ、イスパニア、ポルトガルの様な帝国主義国家、そして、社会主義国家ソ連を崩壊させるための侵略戦争を遂行したナチスドイツ・イタリーの様な戦犯国家が、今日の帝国主義欧州共同体を主導している。
第二次世界大戦以前は、自らを帝国と呼んだこれらの国々は、第二次世界大戦以後、圧倒的な力を持つ盟主国として登場した米国に追従しながら、国際社会主義陣営に対峙した。そして彼らは、「帝国主義国家」としての正体を隠し、「自由国家」、「民主国家」と言う衣装を纏い、変装した。そんな変装術に騙された人々は、あの帝国主義国家が何所に消えたのかと勘違いする。
しかし、帝国主義国家は、どこかに消えたのではなく、植民地統治によって収奪する方式を、戦後の国際情勢に合わせて変え、「自由国家」あるいは「民主国家」に変装したに過ぎない。自由国家」、「民主国家」に変装した帝国主義国家は、今日も依然として、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの数十億の民衆を、構造的に収奪し、反帝自主勢力を抑圧しており、世界至る所で侵略戦争を挑発している。
かつて冷戦時期、帝国主義的欧州同盟体と対決した国はソ連邦だった。1991年に、ソ連が解体された後、ソ連の継承国であるロシアは、帝国主義ヨーロッパに対峙しながら、反帝自主路線を堅持してきた。反帝自主路線を堅持するロシアと、常にその軍事機構NATOによって、軍事的圧力を強め、勢力拡張を狙う欧州・米国帝国主義との間に形成された敵対関係が、ウクライナで極度に激化しておきた武力衝突が、ロシア・ウクライナ戦争である。
➁ロシアは、帝国主義ヨーロッパと対立するだけでなく、ネオナチ勢力とも対立しなければならなかった。ネオナチ勢力は主として、東ヨーロッパで台頭している。ソ連の崩壊後、東欧ではナチ勢力が再結集し勢力化し始めた。
ドイツの研究機関である「反極端主義プロジェクト」(Counter Extremism Project)が、20216月発行した、「欺瞞的な表情・中欧州と東欧州で、極端主義と準軍事主義の出会い(Looks can be Deceiving: Extremism meets paramilitarism in Central and Eastern Europe)と言うタイトルの研究報告書によれば、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランド、ウクライナで、ネオナチが勢力化しているが、そんな現象が最も顕著なのがウクライナだと指摘している。ウクライナでは、国家権力自体が、ネオナチストによって支配されていることが他の東欧と大きく違う点である。
ウクライナのネオナチ勢力は、ロシア・ウクライナ戦争が起こる前から、ロシアを敵視してきた。ナチズムは、基本的に他民族の言語・文化・慣習を否定し、民族浄化と排外主義によって、自らは他民族より優秀であると主張する反人類的思考に病んだ連中である。彼らは、‘自分たちより劣等な人種は’暴力的に抹殺する事を正当化した。ロシア語を話す人間は劣等な民族だと、東ドンバスのロシア系住民の殺戮を繰り返してきた。ウクライナ全人口の中で、ロシア語を使う人口は、30%であるにも拘らず、ジェネレンスキーと、そのネオナチ政権は、言論や公的場でのロシア語の使用を禁止した。それに異を唱えたウクライナ共産党は、非合法化された。
朝鮮を強占した日本帝国主義者が、1938年、朝鮮語の使用を禁止し、現在もなお、朝鮮人を差別する様に、ウクライナのネオナチ政権は、暴力的な民族差別政策を推し進めている。ロシア語を使うウクライナ住民は非常に深刻な危機に陥った。ネオナチ勢力がウクライナの大都市で暴動を起こし、テロを敢行したのだ。ウクライナのネオナチ政党である‘右側区域’ (Right Sector)とその傘下の武装したネオナチ集団が、ウクライナの大都市で起こった右翼デモを暴動化し、テロ化した。
彼らは、当時、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領が率いた中道政府を暴力で転覆させた。ヤヌコビッチは、NATOに加盟することを拒否し、親ロシア・中立政策を表明していた。暴動とテロの渦に巻き込まれ、失脚した彼は、モスクワに逃れ亡命生活をしている。もちろん、このネオナチ・クーデターは、米国とCIAを後ろ盾に、その庇護の下で敢行された。
ネオナチ勢力の武装暴動とテロのなかで中道政府が崩壊し、右翼政権の登場によって、ウクライナでロシア語を使う30%の住民が、ネオナチの攻撃に身を晒す事態となった。ロシア語を話す住民たちは、ネオナチの攻撃に身を晒すのか、攻撃から抜け出すのか、選択しなければならなかった。
ロシア語を使用する人口が大多数のクリミア半島は、ウクライナから離脱、ロシアに帰属した。ロシア語を大多数が使うドンバス地域では、ドネツク人民共和国、ルㇵンスク人民共和国が、住民の意思に基づいてウクライナから分離し、独立した。それに激怒したネオナチ勢力とその政権は、アゾフ連隊を始めとするファシストで構成されたウクライナ国家守備隊を中心に、各共和国の民兵隊員、5800人と、民間人3400人を集団虐殺した。その手口は、斬首、誘拐虐殺、銃殺処刑など、ゼンスキーがでっち上げる‘ロシア兵の戦争犯罪’どころではない。
二つの共和国にすむ415000人は、国家守備隊の集団虐殺を避け、他の地域に難を逃れ、925000人は、国境を越えてロシアに避難した。これが、ネオナチ勢力がドンバスで行って来た虐殺蛮行の一端である。
ところが、口ではネオナチ主義に反対すると騒ぐ、米国と欧米の親米右翼国家らは、ネオナチ勢力が、ドンバスで行った虐殺蛮行を積極的に支援した。201594日、イギリス・ウエールズで行われた北大西洋条約機構首脳会議で、バラク・オバマ大統 と親米右翼国家首脳は、ドンバスで虐殺蛮行を行うウクライナに、武器を提供することを決定した。
2015417日、米国はイタリーに駐屯する米国軍第173      空挺旅団兵力300人をウクライナに派遣し、ドンバスで虐殺蛮行を繰り返すウクライナ国家守備隊を支援、米国中央情報局<CIA>は、特殊要員をキエフに派遣し、ドンバスにおける蛮行を背後から支援した。彼ら帝国主義者こそ、羊の仮面をかぶって羊を食べる、凶悪な山犬たちだ。

(7) 細菌兵器の実験を敢行する、米国とウクライナの凶悪犯罪

開戦直後、ロシア軍が<‘生物化学兵器に関する資料を直ちに廃棄せよ’とのウクライナ生物化学研究所に対する上部指示>を示す文書を押収したと発表。同時に関連資料も押収
ウクライナにおける米国帝国主義者達の凶悪な犯行は、ゼレンキーと、そのネオナチ勢力を操縦し、支援する水準を遙かに超える、凶悪な直接犯罪に米国自らが、手を染めていることが明瞭となった。
【参照】ウクライナで今、何が起こっているのか<連載5>

http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_79.html
202236日、イゴール・コナシェンコフ(Igor Y. Konashenkov)ロシア国防部代弁人が明らかにした所によると、炭疽病やコレラ菌の様に、極めて危険な感染症を引き起こす細菌や研究資料を、急いで破棄せよという上部指示がウクライナ生物学研究所に下されたという事実を示す文書を2022224日、ロシヤ軍がその生物学研究所職員から押収したと明らかにした。
ロシア軍が文書を押収した2022224日は、ロシア・ウクライナ戦争が開始された日だ。その日、ゼレンスキー政権は、生物学研究所が実験してきた細菌と研究資料を急遽破棄する緊急指示を出したのだ。ロシアによる実態解明を恐れたからに他ならない。当然のことながら、生物化学兵器の開発研究は、国際法によって固く禁止されている。
311日、ロシアは、国連で安保理事会を招集し、ウクライナで米国が生物兵器の開発に関わっていると告発した。313日の安全保障理事会緊急会合では、アメリカの代表は「空想的な主張だ」と全面否定した。次席大使に至っては、「まるで悪いスパイ小説から取ったような空想的な主張だ」と否定し、「ロシアは嘘の情報を吐き出すための舞台として安保理を利用している」とまで言って、国連開催中に欺瞞と根拠なきロシア攻撃を臆面もなく展開した。
しかし、国連安保理でのロシアの追及に、「空想的主張」と子馬鹿にした言い訳をした米国は、その3日前、バイデン副大統領とともに、ネオナチ政権の登場に同化し、ウクライナに深く関わってきたビクトリア・ヌーランド国務部次官は、38日の上院公聴会で明確に生物化学兵器への関与を述べているのだ。米国帝国主義者の欺瞞は留まるところを知らない。
イゴール・キリロフ(Igor Kirillov)ロシア軍・化学兵器防衛軍司令官は、“ロシア軍がウクライナで見つけた生物学研究実験室は、30か所を超える。すべて米国主導だ。米国国防部傘下の防衛脅威減少庁(Defense Threat Reduction Agency)が、その生物学実験をおこなってきた。”と指摘した。
2022314日、趙堅中国外交部代弁人は、次の様に述べた。“米国はウクライナで、生化学実験室十数か所を運営している。米国はこれらの実験室を運営する資金を、既に2億ドル以上を投資した。米国の研究目的は、致命的なウイルスを広めるシステムを構築しようとするものだ。”世界保健機構(WHO)は、ウクライナの生化学実験室に保管された高リスク細菌を廃棄することを勧告した。
2022317日、ロシア・タス通信によると、 化学兵器防衛部隊指揮官、イゴ ル・キリロフは、201536日に作成された文書を証拠物として提示した。その文書は、米国国防省が、ウクライナの生物学実験に、直接資金を提供したと言う事実が書かれていると暴露した。
彼は、米国がアジアとアフリカで、国立保健機関を押し立てて、伝染病に関する研究を進めて来たとして、201010月当時、バラク・オバマがグアテマラで、梅毒菌とイムギル菌を感染させる違法な細菌実験を行おうとしている事実を知りながら、細菌計画を承認したしたという事実を思い出した。
注目されるのが、ウクライナが米国防部の財政と監督を受けながら、細菌兵器を研究開発する目的が何かと言う点だ。かかる深刻な問題に対する答えは、2022318日、ワシントン駐在ロシア大使館の発表文で見つけることが出来る。
ワシントン駐在ロシア大使館は、発表文で、‘米特殊部隊の監督を受けるウクライナの急進団体が、民間人に生化学兵器を使用しようとするいくつかのシナリオを準備してると言う事実を我々は知っている。’と明らかにした。この引用文に出てくる<米特殊部隊>は、米中央情報局傘下の特殊活動センター(Special Activities Center)を意味するが、特殊軍事作戦と言う名称を掲げ、テロ、暗殺、拉致、拷問、爆破などと言った凶悪な犯行を執行する集団である。また上記引用文で出てくる、<ウクライナの急進団体等>とは、CIA傘下の特殊活動センターの指揮を受ける、ウクライナのネオナチ・テロ団体を意味する。ウクライナのネオナチ・テロ団体で代表的なのは、アゾフ(Azov)、アイダ(Aidar)であるが、彼らは、CIAから軍事訓練と武器提供を受け、ウクライナ軍に編入され、ロシア語を使用するドンバス住民を殺害してきた。
上記の事情を見れば、米国国防省の財政と監督を受けるウクライナ生物学実験室で、細菌兵器が完成する日、CIAは、ウクライナ軍に編入されたネオナチ・テロ集団に細菌兵器を提供し、彼らが、ロシア語を使用するドンバス住民を細菌兵器で抹殺しようとする凶悪な集団虐殺計画を準備してきたと言う事実が明らかとなってきた。もし、ネオナチ・テロ集団が、炭疽菌100㎏を空中散布すれば、最大300万人を抹殺することが出来る。ネオナチが望むロシア系住民の<民族抹殺・民族浄化>を達成することが出来る。炭疽菌は、無色無臭で、建物外に散布すれば、呼吸器感染経路を通じて、建物外にいる人々をすべて殺すことはもちろん、建物内にいる人々まで殺すことができる。
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