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論考/米国の「アジア・リバランス戦略」は、日本に<集団的自衛権行使>を要求している) 
                                              2014.5.12

米国の「アジア・リバランス戦略」は、日本に<集団的自衛権行使>を要求している

<日・米・韓―三角軍事同盟>と<MDミサイル防衛体制>は、
自国の働く民衆に向けられた抑圧体制でもある

 

柴野貞夫時事問題研究会


● 安倍が<集団的自衛権行使>を急ぐ理由


「アジア・リバランス戦略」は、米国の戦略的利益の追求を目的としている。それは、彼らが言う“安全保障”のための軍事的側面だけに目を向けてはならない。政治と経済を総合した、彼らの資本主義体制の維持・存続を賭けた「戦略」として理解しなければならない。

資本家階級の軍事体制を巡る政策は、外に向けられるだけではない。資本家階級にとって、自国の内なる敵である労働者階級と、多くの働く民衆を抑圧する政治的・経済的支配と深く結びついている。

それは、日本の支配階級が、憲法改悪と集団的自衛権行使を狙おうとすれば、労働者の諸権利と国民の生存権を制限する攻撃を一体的に進めざるを得ない事を考えれば理解できる事だ。いつも、戦争(軍事体制)は、政治の延長線上にある。

米国の「アジア・リバランス戦略」において、<日・米・韓 ―三角軍事同盟>と東北アジアのMD防衛体制>の確立は、彼らの当面する中心課題となっている。

同時に、この<MD防衛体制>を軸とする<日・米・韓 ―三角軍事同盟>への日本の参加は、<集団的自衛権の行使>を、安倍政権に前提的に要求していると言える

何故なら、米国のアジアにおける<MD防衛体制>の確立は、三角軍事同盟を必要条件としており、また、<集団的自衛権>が行使出来ない日本の三角軍事同盟への参加は、三角軍事同盟の十分条件を満たす事にならないからだ。

安倍が、資本主義体制の法治国家としての体裁をかなぐり捨て、<集団的自衛権行使>を急ぐ理由の一つはここにある。

● オバマが、安倍の「歴史認識」を不問にする理由

オバマは、ハーグでの日・米・韓首脳会談で、パク・クネの韓国に対し、安倍の歴史認識を不問にして、彼らにとっての、より大きな利益と目的で手を結ぶ事を要求した。

オバマは、グロテスクな歴史認識とアジアに対する侵略戦争の正当化に対する国際的集中非難の洪水の中で、溺れそうになっていた安倍に、助けの手を差し伸べたのだ。

米帝国主義は、帝国主義列強同士の暴力的衝突の敗者である日本が、過去の歴史をどう説明し、認識しようが、帝国主義者同士が、新たな現実の中で、共通利益で同盟を結ぶ事に、如何なる障害も無いと考えたからだ。

“安倍は、戦後体制の国際的共通認識を否定している”などと言って、第二次帝国主義戦争の階級的性格を曖昧にする“一部民主勢力”の見解では、オバマが安倍に助けの手を差し伸べ、パク・クネが、朝鮮民族に対する植民地支配を正当化する安部政権と、同じテーブルに着くことに合意したことを、説明する事はできない。

米国が、マーク・リッパート次期駐韓米国大使の口を通して主張する様に、「アジア・リバランス戦略」によって狙う米国の戦略的利益とは、軍事的安全保障政策を最大限利用しながら、韓・日に対し、MDミサイルやイージス艦を始めとする大量の軍事製品の売り込みや、<環太平洋経済同伴者協定(TPP)>を始めとする、“究極的には政治的・経済的な戦略”(マーク・リッパート)を、米・韓・日間の利害調整の中で追及する事にある。三角軍事同盟とは、そのための政治的道具に他ならない。

この様な、東北アジアを舞台にした米・日帝国主義者どもの、意図的な軍事的緊張の醸成は、アジアを戦争の危機に巻き込むものであると同時に、米・日・韓の労働者階級と民衆に対する、更なる、政治的・経済的抑圧体制の確立を抜きに成し得ない。

MDミサイル防衛体制>と<三角軍事同盟>は、日・米・韓の働く民衆に対する抑圧体制に他ならない。三国における労働者階級と民衆にとっての敵は、国外にあるのではない。国内の資本家階級である。

しかし一方で、オバマの、安倍政権の植民地・侵略戦争正当化不問政策は、今、朝鮮民族全体の憤激を買っている。米帝と日帝による、朝鮮半島侵略に対する帝国主義者同士の密約―「桂・タフト密約」を想起せよとする言論も表われている。

レームダックのパク・クネは、セウオル号惨事や<三角軍事同盟>に対する国民の批判と、オバマの圧力の間で、死の苦悶に喘いでいる。安倍を死の苦悶に追いやるのは、我々日本人民の責任だ。(続く)
(201412日)

参考サイト>


248 侵略的な、三角(米・日・韓)軍事同盟をつくる策動は、情勢緊張の根源である (労働新聞 2010年12月4日付)


347 違憲的な韓日軍事情報保護協定の締結(韓国・統一ニュース コム2012年6月28日付) 


☆362 日本極右派、米国新聞に「慰安婦」侮辱広告(韓国ハンギョレ 2012年11月9日)


☆399 軍国化に疾走する危険な戦争国家 (労働新聞 2013年8月7日付)