(韓国民衆言論 ハンギョレ 社説 2012年7月8日付)http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/541524.html
憂慮すべき、日本平和憲法の'封印'剥がし
日本右翼の、平和憲法を揺り動かす(行動)は、昨日、今日の事ではない。
戦争放棄と、軍隊の保有・交戦権の否認を規定した9条を核心とする平和憲法が、1947年マッカーサー占領軍司令部の主導で制定されて以来、軍隊を保有し戦争をする事が出来る'普通の国家'を作ろうとする事は、右翼の長い間の夢だった。こんな野慾(野望)は、過去の侵略を美化称賛し、戦犯裁判である東京裁判の正当性を否認し、A級戦犯の位牌がある靖国神社を参拝するなどの、言葉と行動で繰り返されてきたが、(それが)実現されなかったのは、日本国内の強固な反戦・平和世論と、韓国・中国を始めとする周辺諸国の牽制があったからだ。
しかし、最近に入って、日本の政治・社会情勢が切り替わり、平和憲法の封印剥がしの動きが急速に現実化へと動いている。先ず、平和憲法の守護者の役割をしていた、革新野党である社会党(現社会民主党)が、1993年、55年体制の崩壊とともに没落しながら、右傾化を牽制する政治勢力が無くなった事が大きい。
2009年、政権を取った民主党は、右派政治家の育成機関である<松下政経塾>出身の野田佳彦が総理となり、右傾化を牽制するどころか、先導している
最近の政治圏の流れだけみても、総理直属の委員会が、集団的自衛権の行使を容認する方向に憲法を解釈する事を注文(要求)した。
武器輸出三原則を緩和し、核武装の道を開いて置く方向に原子力基本法を改定したのも民主党政権だ。
第一野党である自民党は、憲法改定なくとも、集団的自衛権行使を可能とする'国家安全保障基本法案'を、次期総選挙の公約として出した。
既成政治に対する嫌気を背景として急浮上した、橋下徹大阪市長の大阪維新の会も、9条の改定を問う国民投票をしようと乗り出した。
まるで、太平洋戦争時の国民総動員体制である大政翼賛運動を、思い出すこととなる成り行きだ。
一方、日本の中の平和・反戦・反核勢力は、徐々に存在感を失い、牽制力を喪失した。むしろ20年に及ぶ長期経済沈滞と、昨年起こった東日本大惨事の影響で、社会に挫折感と被害意識が深くなりながら、攻撃的右傾化とファシズムの雰囲気が広がっている。ここに、中国の浮上を牽制しようとする米国の要求まで激しくなる実情だ。
日本の植民支配と言う惨状を経験した我が国としては、過去の侵略行為と明確に断絶しない日本の再武装の動きを、強力に牽制し制御する責務がある。
(日本)軍隊慰安婦に対する責任さえ認めない日本が、平和憲法の封印を?す事は、東北アジアの平和を壊す'パンドラの箱'を開けることである事を、日本だけでなく国際社会に広く知らしめ警告しなければならない。
(訳 柴野貞夫 2012年7月12日)
<参考サイト>
☆日本国憲法の理念こそ、平和の構築である(2)
(2007年 3月18日)
☆9条1項・2項の破棄は、日本の軍事大国化と、働く民衆の諸権利を抑圧体制を作ることにある(1)
(2007年 3月18日)
☆名古屋高裁は「航空自衛隊による多国籍軍兵員輸送は、憲法9条1項に違反する戦争行為」と判決した(11)
(2008年 4月22日)
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