ホームページ タイトル

 

(韓国民衆言論 プレシアン 国際記事 2014112日付)
http://www.pressian.com/news/article.html?no=121446



           エボラ退治に乗り出した、キューバの偉大な闘争
              −キューバに感動した世界、恐怖に踏みつけられた米国



“持った資源と言えば、勇気と、品位、そして教育の他に何も無い。この英雄的な島国は、今回のエボラ退治闘争を通して、もう一度、真の国際主義とは何かを国際社会にみせている”

エボラ拡散を防ぐ為のキューバの献身的努力が、世界を感動させています。反面、世界の指導国家を自任する米国は、エボラの恐怖に踏みつけられた恥ずかしい姿を見せています。一方米国の最高権威紙である<ニューヨークタイムス>が、エボラ事態を契機としてキューバとの関係正常化を要求し、50年以上継続されて来た米国とキューバ間の敵対関係が解消される気配を見せています。

キューバ、エボラ退治の為に15000名の医師と看護士支援

AIDS以後、40年ぶりの最大医療災難であるエボラ拡散を防ぐ為に、先頭に立った国はキューバです。少しどころか、15000名の医師、看護士がエボラ震源地である西アフリカ派遣に志願したのです。キューバ保険当局は、この中の461名を選抜し、3週間の訓練課程を経た後、今月初めから西アフリカ現地に派遣しています。102日、165名がシエラレオネに到着し、21日には95名がギニアとリベリアに派遣され、残り205名が出発を待っています。これらの内、相当数は既にアフリカ現地で、医療奉仕をしていた方々です。
これだけではありません。キューバは、1020日首都ハバナで、‘米州人のためのボリバル同盟(ALBA)’緊急首脳会談を開き、エボラ拡散を防ぐための南アメリカ次元の対策を論議しました。ALBAは、南米諸国家の主体的連帯を標榜し、去る2004年、キューバとベネズエラ主導で創立されました。現在9ヶ国が加入しており2カ国が加入申請をした状態です。
この会談の開幕式の演説で、キューバ国家評議会議長 ラウル・カストロは、キューバとアフリカ大陸間の緊密な紐帯関係を強調しました。
“既に76000名のキューバ医療陣が、アフリカ大陸39ヶ国で医療奉仕活動を繰り広げており、キューバで教育された3392名のアフリカの医師達が45カ国で活動しています。彼等は、ただの一銭の治療費も受けません。さらには、4000名の保険関連要員達が32ヶ国でエボラ予防活動を繰り広げています。”

 

▲ ?? ?? ? ?? ??? ??????? ??? ???? ??? 21?? ???? ??? ??? ??. ?AP=????

△写真 米国ニューヨークなど、幾つかの州では、西アフリカから帰国した医療スタッフを、無条件に、21日間の隔離措置を取っている(AP―ヨンハップニュース)

首脳会談では、エボラ予防、また拡散防止のための勧告事項が決定されました。これによれば、ALBA会員諸国は、国連、世界保健機構(WHO)などの指揮の下、必要な医療陣、また医療装備を支援する計画です。それらは、その上102930日キューバのハバナで、各国の保険担当長官達の実務会談を開き、エボラ拡散防止の為に世界各国が執らなければならない‘行動計画’を、115日までに送る計画です。

<Will Ebola Finish Off the US blockade of Cuba>
エボラとの戦争に出たキューバ保険要員の中では、既に犠牲者が出ました。先発としてギニアに派遣され、エボラ救護活動を支援したホルヘフアンケラ・ロドリゲス(60)が、マラリア症状で1026日死亡しました。今後エボラを治療する過程で、キューバ医療陣がエボラに感染されることがほとんど明らかです。既に400名以上の医療陣がエボラに感染された為です。この中には、スペイン人と米国人もいます。しかしキューバ医療陣の覚悟は固いです。先立って1021日、リベリアに到着したキューバの医師、ホナルド・エルナンデス・トーレスは、自身のフェイスブックに次のような文を残しました。
“私は、革命家的医師の義務を尽くす為にここに来た。エボラ伝染病と戦うアフリカ人民達を助けることが、そのことだ。我々は昨日到着したが、必ずエボラとの戦いに乗り出すだろう。人類がアフリカに負った借りを、返さなければならない。エボラが全世界に広がる事を防ぐ唯一の方法は、直ぐここで、エボラを止めるようにすることだ。

この偉大な大陸に、これ以上のエボラ犠牲者が現れ無い様に、私は全力をつくすだろう。“キューバ医療陣は、エボラに感染された場合にも、本国に送還せず、現地でアフリカ人と全く同じ条件で治療を受けるのだと言います。

医者の代わりに軍隊を送った米国。エボラの狂乱に、15000名の医療陣が、医療奉仕を支援するキューバ。

米国の対応は、キューバと極端に対比されます。荒れ狂うエボラに対するオバマ政府の初対応は、軍隊の派遣でした。アフリカ司令部に所属する米軍550名を、リベリアなどに派遣して、今後全部で、4000名を派兵する予定です。
致命的な伝染病が広がっているのに、医療陣でなく軍隊を派遣するなんて異常ではないですか?オバマ政府は現地に、野戦病院等を建設する為のものだと弁明しますが、下心は、この機会に、これ等国家に対する政治・経済的支配を強化する為のものだと言う評価が、もっと 正確な様です。
米国のメイン州(State of Maine)の前医師であるWT・ホイットニー博士は、“米国が強要する新自由主義政策で、公共医療体系が崩壊した事が、エボラ狂乱の直接的原因”だと言う点で、軍隊派遣は恥ずべき振る舞いだと叱咤しました。保健危機に、米国が軍隊派遣として対応した事は、今回もはじめてではありません。去る2010年、ハイチ地震の余波でコレラが荒れ狂った時も、米国は軍隊を送りました。一方キューバは、医療陣を送り、コレラ退治に全力を傾けました。

その為、一部医療陣がコレラに感染したまま故国に帰り、キューバは100年ぶりのコレラ事態を迎える事となりました。
2005年、カトリーナ台風で米国が屈辱を経験した時、キューバは、緊急医療陣を被害地域であるニューオリンズに派遣する事を提議しました。無論米国は拒否しました。50年以上敵対国家であるキューバの助けを受けるのを自尊心が許さなかった為でしょう。


一人や二人のエボラ患者の発生で、全国民が恐怖に怯えている米国

一方米国でも、エボラ患者が発生しながら米国軍人たちは、極端的で、非理性的な恐怖に覆われています。エボラ支援地である西アフリカで医療活動を繰り広げ帰国した医療陣に対し、事実上“罪人や囚人”として取り扱う措置を取っています。現在米国の一部州は、西アフリカでエボラ感染者と接触した人は、無条件に21日間、隔離する措置を取っています。
最近、シエラリオンで‘国境無き医師会’所属で活動し、帰って来た看護士―ケーシー・ヒックコックス氏が、1024日、ニューヨーク近郊のニューオーク飛行場で経験した事を暴露しながら、論難が更に大きくなっています。

ヒックコックスは、<ダラス モーニングニュース>に寄稿した文で、“7時間の間、隔離されたまま、空腹だと言うので彼らは私に、‘シリオルバー’(訳注―マシュマロやナッツなどをパンに乗せた軽食 )一つをくれただけ”だと暴露しました。 こればかりではありません。彼はウイルス検査で陰性と出たが、三週間隔離されたまま保険当局の監視を受けなければなりませんでした。エボラウイルスの潜伏期が21日である為です。ニュージャージーなど一部州防疫当局は、ウイルス検査で陰性と出ても、無条件21日の隔離措置を取ると言う方針です。
しかし、“3週間無条件隔離”と言う措置は、“エボラ感染者でも、症状を見るまでは感染力がない”と言う米国疾病統制センター(CDC)の発表と相反します。‘過剰対策’と言う論議を避けるのは難しいです。ヒックコックスは、“私の様な医療奉仕者は、誰も帰国すれば、狂気漂う検疫に直面する事のなると言う事実が恐ろしい”と語りました。
この為に米国人の心理状態は、正常ではないと言う評価が出ています。米国防疫当局が手を出すのが難しいのが、即ち、エボラよりもっと恐ろしい‘ピオボラ’(エボラに対する恐怖を表す合成語。Fear−恐怖+ebola−エボラ)と言う言葉が出る理由です。
エボラの狂乱に、15000名の医療陣が医療奉仕を支援するキューバ、そして一人や二人のエボラ患者の発生で、全国民が恐怖に怯えている米国、果たして、どの国が見習わなければならない国でしょうか?

<ニューヨークタイムス>、キューバとの関係正常化を要求

一方、米国の最高権威紙である、<ニューヨークタイムス>が、キューバのエボラ退治の努力を絶賛しながら、オバマ政府に対し、キューバとの関係正常化を要求し、関心を集めています。
新聞は、1019日、‘エボラに対するキューバの印象的な役割(Cuba's Impressive Role on Ebola)’と言う社説で、“キューバは、エボラが荒れ狂う西アフリカで、4500マイルも離れた貧しい島国であっても、数百名の専門医療陣を派遣するなど、エボラ拡散を防ごうとする努力に参加する諸国の中で、最も目立つ役割をしている”と指摘しています。続いて“キューバの役割が、部分的には国際社会で立場を高めようとする計算もあるが、賞賛を受け、見習わなければならない寄与をしている”と強調しています。
続いて社説は、“エボラ退治の戦線に最も多い金を寄付した米国が、最も献身的な寄与をしているキューバと、外交的断絶状態にあると言うのは恥ずかしい事”だとしながら、“二つの国の断絶で、両国の協力が高位級当局者の水準で調律されず、今、生死を分ける結果を生んでいる”と、批判しました。<ニューヨークタイムス>は、“今回の事態を契機に、オバマ政府はキューバとの即刻的な国交正常化が、短所よりは長所が遥かに多い措置である事を悟らなければ成らない”と強調しました。

Cuba’s Impressive Role on Ebola
これに先立って、キューバの最高指導者、フイデル・カストロは、国営新聞<グランマ>に寄稿した‘召命(使命)に応答せよ(duty calls)’は、文を通して数十年間敵対関係を続けて来た米国とキューバ‘両国間の平和’でなく、エボラ退治と言う‘世界平和’のために、一時的でも協力しようと提案しました。これに対し、<ニューヨークタイムス>は、“全的に同意する(He's absolutely right)”と応答しました。
米国の主流社会の意思を代表する<ニューヨークタイムス>が、キューバとの関係正常化を公開的に要求して出た事は、驚くべき変化です。キューバはカストロのキューバ革命があってから2年後である1961年から今まで、米国の経済制裁を受けてきた不倶戴天の敵だったからです。

北韓の次に、最も長い間、米国に依って国際社会に孤立させられた国でした。そんなキューバに対し、米国主流社会を代弁する新聞が、関係正常化を要求したのです。それも今回が初めてではありません。
1011日付社説でも、オバマ政府に対し、キューバに対する経済制裁を解除せよと要求しました。米国の主流社会がキューバとの関係正常化を要求して出た事は、慈悲心の為ではありません。その間、米国の自家菜園だった中南米で、米国が孤立していると言う危機感の為です。去る4月、パナマシテイで開かれた第7次米州大陸首脳会談で、全ての中南米国家がキューバの加入を要求しました。2年前、コロンビアカルタヘナで開かれた首脳会談でも、全く同様の要求が出ました。米国とカナダの反対で、この様な要求を防いできたが、これ以上、キューバの加入を拒否したら、米国が追い出される状況に至るのです。その上、中国と欧州国家がキューバとの経済関係拡大を推進している状況です。
社説は、“キューバとの関係正常化は、(この間疎遠になった)中南米諸国家との関係改善は勿論の事、米州大陸で米国の主導権を回復するのに助けとなるだろう”と、指摘しました。2000年以後、自主的路線を歩んでいる中南米諸国家の間で、米国が疎外されている事を、自認したのです。本当に驚く変化ではないですか。万一オバマ政府が、キューバとの関係正常化に出れば、これは国際社会にも大きな変化をもたらして来るでしょう。その間、戦争と秘密工作によって自身の意思を他国に強要して来た米国が、真情な互恵、平等の精神に帰ってくる事を意味するからです。無論そんな変化が起きるかは考えて見なければならない問題です。

Obama Should End The Embargo on Cuba
しかし、去る50m余年間、米国の経済制裁のなかでも自主と平等の精神で、人間らしい社会を作りながら、中南米をはじめとして国際社会に革命的変化を引き起こしているキューバの行動は、賞賛を受けるにふさわしいものです。
ベネズエラの、或る政治学教授が、こんな言葉を語った。“持った資源と言えば、勇気と、品位、そして教育の他に無い、この英雄的な島国は、今回のエボラ退治闘争を通して、もう一度、真の国際主義とは何かを国際社会にみせている。”正しい言葉だ。
                                            (訳 柴野貞夫 20141129日)