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<ワールドソシャリストウェブサイトthe International Committee of the Fourth International> (ICFI―第4インターナショナル 201525日付)
http://www.wsws.org/en/articles/2015/02/05/pers-f05.html

 

 

 

         イスラム国(ISIS)の死刑を上回る、帝国主義者の偽善

 

 

● 米国のイラクに於ける蛮行と殺戮の数々は、イスラム国の比ではない
● 米国は中東に於ける最も進んだ国家―イラクを破壊し尽くした
● ISISは、シリアとイラン政権打倒の目的の為に、アメリカが育てた創造物


                                           第4インターナショナル・ウェブサイト
                                    (翻訳 柴野貞夫時事問題研究会)


● 世界中に嫌悪を巻き起こした、ISISの後ろ向きの反動的性格は、アメリカ帝国主義の犯罪的政策の直接の産物である

捕らえられていたヨルダン人パイロット、大尉・モアズ・アル−カサベ(First Lt. Moaz al-Kasabeh)の焼殺の後、帝国主義者やその周辺の同盟者からの、更なる暴力の脅威と結びついて、偽善的なお説教の波が続いている。
アル−カサベイの殺害、これは、彼が操縦していたジェット戦闘機がシリアで墜落して間もない1月のはじめ頃に行われたらしいが、(この殺害は)世界中の普通の人々の間に嫌悪を巻き起こした。ISISの後ろ向きの反動的性格の反映である。
然しながら、この行為は、政治的真空状態の中で起こったものではない。ISISも、シリアやイラクで明らかになりつつある災害も、現在道義的憤慨を公言している諸々の(米欧帝国主義)政府の犯罪的政策の直接の産物である。
バラク・オバマを始めとする帝国主義のリーダー達は、最近のISISの残虐行為を好機と捉え、不気味さを細かく伝え、恐怖心を売りつける事によって大衆を攻撃し、反戦主義的感傷を征服しようとしているのだ。

● イラク民衆に対する大規模殺戮の下手人―オバマが、ISISの悪辣さと残酷さを非難するのは、驚くべき偽善である

先月の(パリにおける)シャルリーヘグドゥの殺人と火曜日の処刑は、「テロとの戦い」を戦うという名のもとで、中東に於ける現在の戦争の拡大を正当化する為に利用されるであろう。
近頃見られるものは、合衆国の政治家や、現役そして退役軍人や情報関係公務員からの声明の集中砲火である。これらは、数千人規模の地上軍のイラクへの投入を要求したり、シリアのバッシャー アル−アサド政府を転覆させるキャンペーンの拡大を求めている。またこの国に、飛行禁止区域を設定する呼びかけも含まれている。
火曜日には、オバマはISISの悪辣さと残酷さを非難し、こう付け加えた。“この組織は、死と破壊しか、興味を持っていない様だ”また国務長官、ジョン・ケリーは、アル−カサベの処刑は“この敵のあらゆる邪悪を思い起こさせる”と述べた。
何という、驚くべき偽善か!(What colossal hypocrisy!

中東の巨大な埋蔵エネルギーの支配権を握ろうとする努力の中で、実質無防備な人々に対して、最も進んだ致死兵器を展開して、巨大規模の「死の破壊」をもたらして来た国家の首脳としてのオバマが言っているのだ。

● 中東で最も進んだ社会(イラク)を、組織的に破壊した米国の犯罪は、第二次世界大戦で、ヒトラー軍がヨーロッパを荒廃させた以来の暴挙である

イラクに於ける米国の、“衝撃と恐怖”の侵攻と占領は、世俗(非宗教)のサダム・フセイン(政権)を転覆させ、分派主義のシーア派傀儡政権をうち立てた。これは、スンニ派に対して大量殺戮を実行し、現在まで続いている分派的戦争の引き金を引いたのだ。
ワシントンは、フアルージヤ(Fallujah)、アブグレイブ(Abu Ghraib)、ハディサ(Haditha)などの名称で表現された犯罪方法(いずれも、米国によるイラク民衆に対する拷問監獄)を用いて、中東で最も進んだ社会の一つ(イラク)を組織的に破壊したのだ。
合衆国は、1990年の法外な(有害な)制裁と、1991年の第一次湾岸戦争以来25年間に亘って、この国に対し、経済的軍事的な戦争を行って来ている。この間に、2011年から2014年までの3年足らずの中断はあったが、爆撃で傷ついた1990年から2003年までの13年の制裁は、何十万人もの子供達を含む100万人以上のイラク人を死に至らしめた。
この国への2003年の侵攻と、それに伴う占領の結果死んだイラク人の数は、慎重に推定して450万から100万にのぼる。2007年頃、200万人のイラク人が母国を逃れ、更に190万の人々が自分自身の国の中で居場所を奪われた状態に落としめられている。これ等の合計は、この国の人口の15%にあたる。
合衆国は、イラクの上・下水道システムを破壊し、発電所を不能にし、保健システムを衰退させ、イラク国民の教育システムを事実上破壊させた。1990年から2005年までの間に、イラクは乳児死亡率を150%まで増加させた。合衆国による占領の第4年目には、人口の3分の1足らずが清潔な飲料水に接する事が出来ただけだった。そして19%の人達だけが、機能している下水システムを持った。
その結果は、激しい下痢、チフス、肝炎である。この国の子供達の半分が栄養失調に苦しんでいる。一つの完全な社会が、暴力と犯罪行為によるこの様な組織的破壊の例は、第二次世界大戦でヒトラー軍がヨーロッパを荒廃させて以来である。

● ISISは、合衆国帝国主義の創造物である。米国は、ISISの戦闘員を武装させ、訓練し、資金を提供してきた

ISISが出現したのは、この(合衆国帝国主義による)大破壊の中からである。ISISは、合衆国帝国主義の創造物である。一般的な意味では、ISISの前身であるイラクのアルカイダが、合衆国の手の中でイラク社会の廃墟の中から立ち上がったという事、より特別な意味では、それ(アルカイダ)や、他のムヒャヒデイングループへのアメリカの後押しがあったと言う事、この両者の意味においてISISは合衆国の創造物である。
中東を支配するという合衆国の戦略には、アフガニスタン、イラク、リビア、シリアの世俗的政権を標的としたイスラム主義軍事力に、資金を与え訓練する事を含んで来た。これ等の政権は、世界的規模で覇権を達成しようとしているアメリカ企業の財務エリートにとっては、障害であると考えられて来たからである。

シリアに於いては、米国は直接、ISISの戦闘員を武装させ訓練し、同じ目的の為にヨルダンにCIAの基地を設けた。(シリアの)アサドに対して政権交替を求める戦いの地域同盟はサウジ、クエート王国を含み、ISISやアルカイダと繋がるグループにふんだんに資金を与えた。
オバマは、ISISがアサドを標的にしている限り、これらの党派的殺戮や、シーヤ派への非道について、何も言う事はなかった。ISISがイラクの西部、北部に移動し、イラクに於ける合衆国の利権とより広い地域への脅威となって初めて、オバマ政権はISISの悪の性格を主張し、この進出を食い止める為にイラク、シリア両国において不法な戦争へと乗り出したのである。
ここ数ヶ月に亘って、ISISの行為、特に様々な処刑ビデオは、中東で新たな局面に入った戦争に合衆国とその同盟国が関与を拡大する事への、時宣を得た正当化となった。何時もそうであるが、帝国主義者の道徳的偽善は、来るべきより大きな犯罪の先駆けなのである。
                                       (翻訳 柴野貞夫時事研究会)

<参考サイト>

☆「安倍は‘イスラム国家と戦う’という愚かな公言をして、‘平和主義’を投げ捨て、十字軍諸国家の戦争に参入した(<dibig>2015年2月12日付)

[論考] 「2邦人の死を利用して<有志連合>の侵略戦争に加担する意思と法整備を明らかにした安倍政権」(2015年2月6日)


[論考] 「安倍は、アラブ世界の<ならず者国家>イスラエルと手を組んで、初めて公然と、アラブの民衆に敵対することを宣言した」(2015年1月27日)

☆459 米国のISIS空襲はシリア政権交替の為の戦争である (韓国・チャムセサン 2014年9月15日付)

☆403 
オバマはシリアに対し、戦争を始めるのか (韓国・オンラインジャーナル 2013年8月27日付)

☆402 
シリア軍化学兵器使用説はフセイン大量殺傷兵器説と類似している   (韓国・チャムセサン 2013年8月22日付)