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<ワールドソシャリストウェブサイトthe International Committee of the Fourth International (ICFI) 2014424日)
http://www.wsws.org/en/articles/2014/04/24/pers-a24.html


            ワシントンはロシアと戦争をしたいのか


終始一貫して、ウクライナ危機はアメリカ帝国主義によって、けし掛けられてきた。帝国主義システムの深刻な矛盾は、核による第三次大戦の大破滅を生む可能性がある 
                                                       (Bill Van Auken

● アメリカとNATOは、選挙で選ばれた大統領を、ネオファシストの右翼勢力から出て来た武装殺人集団を動員し、ファシストの準軍事的組織によって転覆させる‘市民革命’を演出した。

  <ウイキリークス>が、‘ウクライナとNATO’に関する秘密外交文書を公開し、NATOの東進は、 “東に向かって1インチも動かない”と言う19902月の協約精神の違反であり、約束を破ったのはNATOであると指摘している。
● CIAと結びついたネオファシスト・スボボダは、「市民革命」を偽装、親露政権をクーデターで打倒した。
  ウクライナでの諸々の出来事は、中東地域、もっと広くはユーラシア大陸に於けるヘゲモニー主張の志向に対する障害物として、合衆国帝国主義がロシア排斥の戦略を開始した事を示唆している。

 

<写真> ネオナチ・スヴォボダ指導者オレフ・チャフニボク()とツウショットのアメリカ国務次官補ビクトリア・ヌーランド(中央) スヴォボダは、国防、司法、内閣の主要部門を支配している。

ワシントンは、ロシアと戦争をしたいのか?

ウクライナの危機にまつわる最近のアメリカの行動に対する論評は、昔は想像も出来なかった様な問題を提起している。オバマ政権は、まさに危険なロシアンルーレットの賭けに出ている。
ここ48時間中には、米国防省はポーランドと、かってのソ連のバルト三国である、エストニア、ラトビア、リトアニアへの、アメリカ軍落下傘部隊の展開を公表した。アメリカ軍を、まさにロシアとの国境に配置させながら。もう1隻のアメリカの軍艦は黒海へ急派され、更にアメリカ軍は、この夏には自らをラピッド・トライデント作戦と言う演習のもとで、ウクライナに動員する予定である。
ワシントンによるこれ等の軍事行動は、ウクライナ内における緊急危機の文脈の下で展開されている。ワシントンとその傀儡の陰謀のお蔭で、今にも本格的な市民戦争が爆発しそうなウクライナにおいて。
ロシアとの共同声明に署名してから1週間にも経たない内に、アメリカとEUはジュネーブで、ウクライナにおける暴動を終らせ、非合法集団を武装解除し、キエフにおけるアメリカ傀儡政権をして、その軍隊に命じて手に負えない「ロシア語を話す南東工業地域の人々」に、反テロ名目の手入れを遂行せしめた。

その目的の為に、軍隊、戦車、戦闘機、だけでなく、ネオファシストの右翼勢力から出て来た武装殺人集団も急派されてきた。
モスクワのプーチン政権は、死にもの狂いでワシントンとの和解調停の道を探って来たが、致命的な事の重大さに目を覚まさせられている様だ。ロシアの外相、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)は、水曜チャンネルの国営放送RTテレビとの英語でのインタヴューにおいて、彼の政府はウクライナに住むロシア人への襲撃は、必ずロシアそのものへの襲撃と看做すと警告した。彼はグルジョア政府によって、南オセアチアのロシア人に向けて放たれた20088月の攻撃を先例として挙げた。それに対してロシアは、軍事的に干渉する事によってグルジョア軍への反撃をしたと答えた。
ロシア政府がドンバス地方でロシア語を話す人々を、ウクライナ軍が虐殺しようとするのを止めさせ様と同様の干渉をする事を仄めかす事は、最大の深刻な事をもたらすと見なさるべきである。
インタビューにおいてラブロフ(Sergei Lavrov)は、キエフにおける政府の行動に言及して、“アメリカ人は、とてもけちな(決して手放さないと言う)遣り方でショウを演出している。”と述べた。この事は議論の余地がない。政権それ自体は、この国の内政にアメリカの長引いた干渉の産物である。それは1991年に、ソヴィエトが解散して以来、ウクライナに、所謂(いわゆる)“民主主義普及促進(democracy promotion)”資金として投入された50億ドルによって支えられたものである。
これらの努力は、右翼抵抗勢力を助長する結果を導き出してしまい、その勢力は街頭で暴力を振るう事によって、ロシアとタイアップした政府の大統領、ビクトル・ヤヌコービッチ(Viktor Yanukovych)を不安定にしてしまった。
かなりの数の者が、ヤヌコービッチとその反対派の間で仲介された時、ワシントンは、その仲介は御破産になると保障し、また選挙で選ばれた大統領は、ファシストの準軍事的組織によって転覆される事を保障した。
222日のファシスト主導の襲撃によって息を吹き返し、権力の座に就いた首相・アルセーニエ・ヤチェニク(Arseniy Yatsenyuk)は、アメリカの政府高官達によってお手盛りで選ばれた。その高官達は、親しみを込めて、彼のことを“ヤッツ(Yats)”と呼んでいた。
この作戦のキーマンは、アメリカ欧亜局政務次官(US Undersecretary of State for Eurasian Affairs)をしていたビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)だ。前の副大統領デイック・チェイニー(Dick Cheney)の安全保障部首席顧問であったロバート・ケイガン(Robert Kagan)の妻である彼女は、プロジェクト‘新しい米国の世紀(Project for a New American Century.)’の創設議長でもある。彼女は、ウクライナとロシア自体に、2003年のイラク侵略で実行された侵略戦争と全く同じ政策で焚きつけた。
ワシントンが“弾丸”(the shots)と呼んでいる遣り方は、CIA局長ジョン・ブレナン(John Brennan)に依って放たれた「キエフに傾く転向者への、最初の挫折するであろうドンバスでの反撃テロリスト」作戦と言う尚更悪意に満ちた遣り方に表われている。そして、副大統領ジョセフ・バイデン(Joseph Biden)が今週に訪れるという直接の余波の再開という更なる悪意に満ちた遣り方に表われている。
終始一貫して、ウクライナ危機はアメリカ帝国主義によって、けし掛けられて来た。ワシントンの行ったあらゆる行動は、この危機を悪化させ激化させる方向に向けられている。この危機が長引けば長引く程、アメリカの政策がウクライナに向けられているというより、むしろ、ロシアに向けられているという事が明らかになる。ウクライナは、単に、ロシアとの戦争の口実を準備する目論見の元にある様だ。
その短い間、ウクライナは常にモスクワによって、恥ずべき降伏を強いられたものであった。そして、ロシアから国土分割を目論ろまれ、増幅する侵略を受けると言う役を演じさせられて、無力な半植民地へと変質させられた。
恐らく、ホワイトハウスとペンタゴンの連中は、この様な衝突は核戦争は問題外として、いずれ止むであろうと信じている。そうでないと誰が言えるだろうか?
アメリカの、ロシアへの戦争の前兆が、戦争プロパガンダの洪水の中で社会全体にけし掛けられている事は、尚一層明らかとなっている。ウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)は、サダム・フセイン(Saddam Hussein)とムアンマール・カダフィ(Muammar Gaddafi)に以前から準備されていた悪魔化と同じ種類のものを受けている。
一方、国防省とニューヨークタイムスの忠実な学者達は、“大量破壊兵器がイラクにある”と言った<証拠>と同じ様な、ウクライナにおけるロシア軍の証拠写真を再々蒸し返す様に出してきた。合衆国の戦争志向の根底にあるものは何か?ウクライナ危機の前段階において、合衆国は、プーチンによる

NSAUnited States National Security Agency−国家安全保障局)の裏切り者、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)の保護は言うに及ばず、シリア、イラン両国に対する合衆国の戦争計画を妨害したモスクワの役割に、徐々に怒りを増大させていた。
それよりも前、合衆国に後押しされたグルジョアによる、南オセチアに対する2008年戦争に於いても、モスクワがワシントンに打撃を与えると言う不真面目な結果があった。ウクライナでの諸々の出来事は、中東地域、もっと広くはユーラシア大陸に於けるヘゲモニー主張の志向に対する障害物として、合衆国帝国主義がロシア排斥の戦略を開始した事を示唆している。
同時に、合衆国を戦争に駆り立てる国内的要因もある。合衆国内の社会的矛盾は危険なまでに激しさを増している。働く国民の大多数は、資本主義経済危機の矢面に立たされている。ウオールストリートが2008年の破綻による損失から回復し、更に豊かになっているお言うのに。アメリカに於ける、かって例を見ない不平等と悲惨の責任が、超富裕層にあることを指摘する事柄がますます増えている。
過去にしばしばそうであった様に、戦争は国内の社会的圧力や国情不安といった危機の、外部への捌け口を提供した。軍による介入に対する民衆の圧倒的憎しみと言う条件の下では一つの事が確実である。つまり、ロシアとの戦争は憲法の破壊、民主的権利の廃止、政治的反対勢力への暴力、警察国家的手法の途方もない拡大などに急速に繋がるだろうと言うことである。
最も危険なことは、戦争の脅威を見くびることであろう。例え、それが一時的に当面回避されたり、先延ばしにされたとしても、帝国主義システムの深刻な矛盾は、核による第三次大戦の大破滅をもたらすのである。
この事(核による第三次大戦の大破滅)は、単なる危険性の問題ではなく、資本主義に終わりをもたらす統一された運動に、労働者階級が結集し、国際的にその力を強める事がなければ、不可避となる問題なのである。
4インターナショナル国際委員会とWS(ワールドソシャリストウェブサイト)が54日にインタナショナル・メーデー・オンライン・ラリーを行おうとしているのは、その様な戦いを準備しているからです。我々はあらゆる国の労働者と若者に、この緊急熱烈に必要とされる革命的社会主義者の運動を作るためのフォーラムとデイスカッションに参加する様呼びかけます。今直ぐ、internationalmayday.org.に、登録されたい。Bill Van Auken
                                              (訳 柴野貞夫時事問題研究会)

<関連サイト>
以下のサイトで、<ウイキリークス>が、‘ウクライナとNATO’に関する秘密外交文書を公開し、NATOの東進は、 “東に向かって1インチも動かない”と言う19902月の協約精神の違反であり、約束を破ったのはNATOであると指摘している。

世界を見る−世界の新聞/NATOの東進政策がウクライナの危機を深化させている(韓国・チャムセサン 2014年3月15日付)

☆NATOは平和ではなく戦争を挑発してきた(韓国・チャムセサン 2014年9月9日付)