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(韓国社会主義政治組織 「労働者連帯」機関紙― <労働者連帯> 2015年7月23日付)http://wspaper.org/article/16101


   [日本 安保法案強行採決] 安倍の暴走に反対し、韓・日軍事協定を警戒せよ


万国の労働者団結せよ

                                              チェ・ミソン( 韓国労働者連帯)


日本の運動陣営は、今回の安保法案を‘戦争法案’と呼んでいる

716日、日本の衆議院で、11件の安保関連法再改定案(‘安保法案’)が与党単独で強行採決された。日本共産党・社民党・民主党などは直前に退場した。
法案成立まで、残った手続きである参議院の表決は、遅くとも9月までかかるものと思われる。現在、日本の国会は衆議院、参議院全て、連立政府を構成する自民・公明党が過半の議席を占めている。従って異変が無い限り、参議院通過も殆ど確実な状況だ。
日本総理・安倍は、昨年7月、憲法の解釈変更を通して容認した集団的自衛権を国内法に反映させ様とした。この為に今回、安保法案の衆議院通過を強行したのだ。日本の運動陣営は、今回の安保法案を‘戦争法案’と呼んでいる。
参考までに、‘戦争法案’は、‘国際平和維持法’の新設、武力攻撃事態法、重要影響事態法、捕虜待遇法、船舶検査活動法、国家安保会議設置法、PKO協力法の改定を言う。
‘戦争法案’の核心内容は、日本自衛隊が集団的自衛権を行使する事が出来、全世界何処にでも、米国等と共に戦争をする事が出来ると言うことだ。
また、今回の‘戦争法案’に括(くく)られなかったが、安倍政権以降、推進されてきた特定秘密保護法、国家安全保障会議(NSC)設置、武器輸出三原則の解除、ODAガイドラインの修正(既存のODA−公的開発援助)事業は、他国軍隊を事業対象から除外していたが、今後は、ODA事業を通した‘軍需装備等の共同開発・生産’を許容するという内容)’などは、全て安倍政権の‘戦争が出来る日本を作る’プロジェクトの一環だ。
国内法を整備する事に先立って、安倍は、集団的自衛権行使が可能になる日本と米国の役割分担をどの様にするかを、最近改定した米・日防衛協力指針(ガイドライン)に明示した。


‘戦争が出来る日本を作る’動きに反対して
大同団結する日本の新しい市民運動


日本では、5月から粘り強く組織されて来た‘戦争法案’反対運動が安倍退陣運動に拡大された。運動陣営は、戦争法案が憲法に違反すると言う点、安倍政権の反民主性を暴露している。何よりも‘戦争は駄目だ’と言う世論が拡散されている、衆議院通過直後、安倍の支持率は急落した。<毎日新聞>の世論調査の結果安倍内閣の支持率は、7月始めに比べ7%下落し、35%に終わった。‘支持しない’も、51%と初めて過半数を占めた。他の日刊紙の世論調査結果も大同小異だ。集団的自衛権行使に反対する世論は、62%(賛成28%)、今回の強行採決が不適切だと言う回答は68%だ。
安倍の‘戦争法案’に反対する日本の運動は大きく、ノーベル賞受賞者である大江健三郎が参加する‘戦争を許さない1000人委員会’と、‘憲法解釈で憲法九条を壊すな実行委員会’で代表される。この団体は、特定秘密保護法、集団的自衛権行使などに反対し、粘り強く運動を建設して来た。今年に入って、このヨンデチェ(連帯体)(訳注―市民運動体のこと)らは、この間の反目を破り、全国単位のヨンデチェ(連帯体)である‘戦争を許さない9条を壊すな総力行動実行委員会’を結成した。日本では極めて異例的で、鼓舞的(士気を励ます)な事だ。


争点の排他性から抜け出て現実の政治的争点を掲げたSEADLsが、青年・学生を組織している

主要運動団体らが互いに手を取り合い、幅広く拡散され、集会参加者数も増加した。衆議院の表決を前にして開かれた国会前集会には、悪い天気でも平日に、最大6万名が集まった。そしてリレー集会の延べ人員は10万名を超えた。この様な成果に力を得て、この間、同じ争点で、同じ日の集会を別々に開いた地域団体らも、地域ヨンデチェ(連帯体)を、一緒に新たに設け始めた。市民・社会団体だけではなく、微弱ながら労働組合も参加している。共産党系列の労総である‘全労連’傘下労組だけでなく、相対的に穏健な労総である‘連合’傘下の労組も地域では一緒に行動していると言う。ただ‘連合’自体は、今回の安保法案に対し、主として強行採決を問題としているだけだ。
一方、最近日本では、新しい学生・青年組織が目に付く。‘自由と民主主義の為の学生緊急行動[シールズ(SEADLs)’だ。この団体は象徴的に、53日、日本国憲法制定日に発足したが、元来は特定秘密保護法反対運動団体として始まり、法案成立以後解散し、再結成した。彼らは2万名近くを集会に動員する程度に成長した。反核運動当時にも若い彼等が多かったが、その時と異なり、‘シールス’は、更に開放的であって(反核集会時は、反核、反原発以外の争点を排他視した。それに比べ今回、‘戦争法案’反対運動の全体の雰囲気は、政治的にもっと開放的な様だ。)政治的な様である。団体の核心指導部の成員達は、演壇で‘戦争法案’問題と日本の他の現実の争点を束ねて主張している。いずれにせよ、日本の‘戦争国家化’に対する反対情緒、安倍の反民主的暴挙、日本の運動陣営の結集、青年・学生達の組織的参加などが、‘戦争法案’反対運動を育てている。
法案成立までは、まだ時間が、もう少し残るので、今後この運動がどの様になるのかを、見守らなければならない。日本の政治専門家達は、8月の安倍談話で、支持率が更に下落すれば、安部が衆議院解散を切り出すと観測する。


日本自衛隊の集団的自衛権の行使が既成事実化され、韓・日軍事同盟結成の為の協議に組み込まれている

一方、韓・日軍事同盟の為の事前作業も急推進される様だ。まず、今年下半期に、韓・日間の軍事実務協議体が稼動される予定であり、韓・日間の陸・海・空軍実務級交流パートナーも挙論されている。下半期に開かれる実務協議体会議では、去る5月シンガポールで開かれた韓・日−国防長官会談で論議された内容の後続措置を協議し、この時韓国政府は、日本の集団的自衛権行使に対する韓国側の要求事項も、伝達した様だ。(<朝鮮日報>720日付)
最近、《週間朝鮮》に載せられたコラムで、韓国国防安保フォーラム専任研究員ヤン・ウクは、韓国政府も今、‘自衛隊使用説明書’に悩みなさいと注文した。既に日本の集団的自衛権の行使が既成事実化しているので、共同の敵である‘北韓’について、自衛隊を活用する方途を立てろというのだ。
韓・日軍事協定を注文するのに、歴史問題で国内世論に神経を使うなら、韓・米・日情報共有協定の様に、中間に米国をはさめば良く、中国との関係は韓・中ホットラインで機嫌を取ればよいというのだ。
従って韓国でも、安倍の軍事大国化の努力と韓・日軍事協力問題に対し、粘り強く注視し、備えなければならない。
                                     (訳 柴野貞夫 2015727