ホームページ タイトル

 

(韓国民衆言論 プレシアン 2015822日付)
http://www.pressian.com/news/article.html?no=129133


         安倍の‘謝罪’は6つの要点が欠落している  (その2


安倍談話は、侵略戦争に対する反省と謝罪を拒否し、新たな帝国主義的侵略戦争の準備と挑発を宣言している。
この論文は、米国のインターネット言論<laprogressive>に載った米国の平和活動家による、<安倍談話>批判である。
原題は、「The Art of the Non-Apology by Shinzo AbeHow To Express Remorse Without Apologizing安倍晋三による非謝罪の術、謝罪ぬきで反省をする方法である。韓国民衆言論<プレシアン>が韓国・朝鮮語に翻訳したものを、当研究会が日本語に再訳した。
原文は以下のサイトにある。(
https://www.laprogressive.com/shinzo-abe-apology / )

<慰安婦関連記念碑>の撤去を画策する為に、世界のあちこちに代表団を送った安倍政権

しかし、安倍の行動は、(その意図が何なのかを)水晶玉の様に透明に見せてくれる。安倍は、慰安婦に関する報告書を撤回させる為に、国連を脅迫したし、慰安婦関連記念碑を処分する為に、世界のあちこちに代表団を送った。
閣僚達に、過去日本政府の謝罪を再検討して修正する事を指示し、A級戦犯を‘復権’させ、自身の内閣を極右修正主義者達で満たした。そして最も重要な事には、1993年の河野談話が、内閣決定によるものでないと言う点を、内閣決定による採択にせよと云う特別の指示を下した。即ち、河野談話の公的性格を無力化させ、その影響力を除去しようとしたのだ。

賠償−韓国国民達の抵抗、大規模国家テロと拷問などの強制に依って、親日―朴 正煕・傀儡政権との間で締結した日韓条約に、正当性はあるのか

誰かを加害した人間が謝罪する時は、必ず、原状回復に対する要求があるはずだ。万一原状回復が不可能であれば、賠償、或いは補償をしなければならない。
ところが、例えば、安倍政府は植民支配に対する韓国人達の補償要求を全面拒否する。1965年の日韓国交正常化条約により、両国政府間の補償要求は、完全に解決されたと云うのがその理由だ。これは、技術的には間違った言葉ではない。しかし、次の様な不当な側面がある。
国交正常化会談当時、ほとんど論議されない数多い加害事例がある。最も代表的事例が慰安婦問題だ。

○条約は、正当性がない傀儡独裁政権によって署名された。これらは過去親日 附逆者(反逆者)らで構成された親日政権だ。
この政権は、腐敗していたし、正当性がないので、実際、植民支配の被害者達には(日本の補償金中)ごく一部が、或いは,ほとんどが伝えられなかった。
この条約は、ほとんど全ての韓国国民達の抵抗にも関わらず、大規模国家テロと拷問などに依って、強制で成立された。
慰安婦女性達に対する補償の場合、今まで、公式的に実行された唯一の補償は、民間慈善基金に依るものだった。アジア女性基金がそれで、これは日本政府の公式補償と言う形態を回避する為の手段だ。
日本政府は、過去、自身が犯した蛮行を認め、補償しなければならない。韓日国交正常化の足りなかった点を認める事が、その出発点となる。ここから一歩さらにすすんで、慰安婦女性達に対する日本政府の公式的な補償をしなければならない
[訳注―この日韓条約は、朝鮮半島全体の戦争犯罪に責任を持つべき日本国家が、朝鮮民主主義人民共和国を除外し、当時の韓国朴 正煕軍事独裁政権とだけ締結した不当極まる条約である。安倍政権は、現在も尚、2002年9月17日朝鮮と取り交わした「日朝平和宣言」の履行を先延ばしし、戦争と植民地支配に対する清算と戦後賠償を放置している。両国間で締結された外交的約束は、即時・無条件に履行すべき性格のものだ。安倍政権の態度は、如何なる言い訳も通るものではない。当時、朝鮮民主主義共和国は、朴 正煕軍事政権を評して、李王朝時、朝鮮を日本に売り渡した第2次日韓条約―‘乙巳(ウルサ)五賊’と比肩する売国奴と非難した。]

 再発防止の約束安倍は、再発防止を約束するどころか、“自虐的で敗北的な謝罪はする必要はない”と主張する極右の視点から、二度と謝罪する必要はないと主張した


普通、謝罪をする時は、“二度とこんな事が起こらない様にします。約束致します。”と云う言葉で終わりを結ぶものだ。ところが、安倍の論理はこれとは全く違うのだ。安倍は再発防止の代わりに、二度と謝罪しないと誓った。
“日本では、戦後生まれた世代が今、人口の80パーセントを越えます。この戦争と、どんな関係もない我々の子供や孫、そしてその後の世代の子供達に、謝罪と言う宿命を継続して負わせることは出来ません。(安倍談話)”と言ったのだ。
これは,“日本の継続的な謝罪は、自虐的で敗北的であり、ひいては、全く謝罪する必要はない”と言う右翼の見解と完全に一致している。この視点から、安倍の‘謝罪でない謝罪’は、極右としての方向にスイッチを入れ、その隠された歯をむき出している。
“国民の皆さん、私達はアジア太平洋地域の平和と安保を増進する為の米国の‘(アジア)再均衡=リバランス’政策を支持します。はっきりと申し上げますが、私達は、この様な米国の努力を最初から最後まで、一貫して支持するものです。”(安倍談話)
“最近、再・改定された安保法制は、米国と日本自衛隊間の協力を更に強化するものであり、米・日同盟は東アジアの平和を守るための確固とした抑止力として作用するでしょう。”(安倍談話)
より直接的に、この様に述べた。“私達は、米―日同盟を強化しなければなりません。それが私たちの義務です。私達は現在、安保強化の為の法制整備を推進しています。安保法制整備が完了すれば、日本は全ての水準の危機に柔軟に対応することが出来るでしょう。”(安倍談話)
これは、東アジアの軍事対決状況が、悪化される事を見守ってきた人々には、極めて不吉な発言だ。(1930年代以後、中国を侵略した)過去の野蛮的帝国主義国家(日本)が、中国を包囲し封鎖するのに血眼になっている現在の帝国主義国家(米国)を支援し、軍事行動を共にすると言う意味があるからだ。
  

  
さる4月27日(現地時間)ニューヨークで開かれた米―日防衛協力指針改定記者会見場で握手する、両国外交・国防長官、(写真―AP/ヨンハップ)

 安倍政権の最近の動きは、“(帝国主義的侵略戦争の)再発防止どころか、”平和憲法9条を無力化させる最終段階だ

安倍政府の最近の動きは、平和憲法9条を無力化させる最終段階に入りこんだ。安倍政府は、すでに日本の国防費を歴代最大水準に増額したのであり、防衛庁を省クラスに昇格させ、米―日軍事協力を強化する為の<米―日防衛協力指針>改定を完了した。
これに依って日本は、西大平洋地域を始めとして、米国が世界のどこででも繰り広げる軍事行動に、下位パートナーとして参加することが出来る事となった。それによって、安倍が日本国民達の大大的な反対にも拘わらず(内閣決定によって)平和憲法を改定した事は、(ほとんどの学者達に依れば、これは憲法違反だ)積極的侵略と戦争準備の為の最終段階の行動だ。


 安倍談話で多用する“ルールに基づく国際体制”・“法の支配”・“積極的平和”とは、米国と共に、中国に対する軍事対決を挑発するスローガン

(安倍談話における)“ルールに基づく国際体制”、“法の支配”、’“積極的平和”、等々の言及は、米国が要求する、即時、米国とともに中国征伐に乗り出すと言う意思の表現に他ならない。それは、少なくとも1592年豊臣秀吉の朝鮮侵略(当時、彼の最終目標は明国だった。)以来、日本が成し遂げられなかった宿願事業だ。
これが、即ち核心だ。私たちが本当に“胸の中に刻むべき事”(安倍談話)とは、即ちこの事だ。未来の軍事対決のための事前準備作業は、すでに完了された。砲弾が装填された大砲は、発射待機状態に入っていった。
アジア人の誰でも、(米国の)<アジア回帰>と言う“大戦略”の実像を、、はっきりと見ることが出来る。それは次のようなものだ。

 米国<アジア回帰>戦略と、それを支える安倍政権の戦争準備は、既に待機態勢に入っている

@ 中国(朝鮮)を包囲し、沿海地域と海洋通行路、また制空権の掌握の為の新しい軍事基地(済州島カンジョン海軍基地建設と、沖縄・辺野古などに)建設、既存軍事基地の戦闘能力強化、ミサイル防衛システムの配置と、京都・経が岬]−バンドレーダー基地の設置、沿岸戦闘艦、5世代戦闘機―など
A 米・中軍事対決に備えた(米国主導の)両者、3者、4者、また多国間の軍事協力と軍事訓練、そして情報共有協定。
B 空海戦((AirSea Battle) :中国の防衛的軍事能力を侵食し、破壊する為の統合軍事ドクトリン。
C TPP(環太平洋経済連携協定):中国を除外した米国主導の12ヵ国経済協定。経済的側面での米国のアジア回帰戦略だ。
D 情報戦争、歴史修正主義、そして安倍談話による挑発。


 批准―日本政府の公式謝罪が必要である安倍は、戦争の残酷さがどれほどのものかを、正しく知るべきである

最後のこの<批准>が、最も重要だ。この(日本議会の批准、或いは内閣決定による日本の公式謝罪)が、正しく成し遂げられなかったなら、アジアの平和と和解は、不可能だからだ。中国、韓国、朝鮮、そして、アジアの諸国家に、日本の謝罪が重要なことは、即ちこの為だ。安倍は、戦争の残酷さがどれほどのものかを、正しく知るべきである。
更に、葛藤を煽る新帝国主義的な二重発言を中断すべきだ。歴史修正主義を放棄し、河野談話を批准し、近隣諸国と和解をしなければならない。何よりも安倍は、真心を込めて、正直に、はっきりと、そして最終的な謝罪をしなければならない。東アジアの戦争と平和が、即ちここにかかっている。
                                     訳 柴野貞夫 20159