(韓国民衆言論 ハンギョレ 国際報道 2016年6月19日)
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/748779.html
[ルポ] 強く照り付ける日差しよりも熱い憤怒
家族と一緒に出て来た6万5千人「我々は奴隷ではない」
生きていく事の尊厳が軍隊によって否定され、命を奪う事が正当化される社会を、一体誰がつくったのですか
▲写真 19日午後、沖縄人6万5000人が、沖縄の中心都市・那覇のおのやま公園で、進行された沖縄県民大会に参加している。去る4月末、米海兵隊出身軍務員に殺害された沖縄女性を追慕するため、この日県民大会で、沖縄人たちは、米国政府の謝罪と完全な補償、沖縄の米海兵隊撤収と米国基地の大幅縮小、米―日駐屯軍地位協定改定などを要求した。[出処・沖縄/AP ヨンハップニュース]
●去る4月、米海兵隊出身軍務員が、沖縄の女性を性暴行した後殺害
●子供を連れ、観光バスに乗って集結
●“米軍犯罪なくすには、基地を無くさなければならない
●米軍基地縮小、整理など要求
“ボラク・オバマ、我々は奴隷ではない。米国市民と同じ人間だ。”
“ウチナンチュウ(沖縄語で、沖縄人と言う意味)と真摯に向き合って、謝罪しなさい。”
演壇で、凛とした声で演説を続けた学生代表 タマキ・アイ(21)は、遂に涙を流してしまった。彼女の前に、雲集のごとく集まった65000人の沖縄人たちが、温かい拍手を送った。
“泣くな”、“大丈夫。”
慰めの喚声に支えられ、タマキは発言を続けた。“私と同じ世代の女性が、また殺害されました。それは私だったかも知れないし、私の友達だったかも知れないのです。生きていく事の尊厳が軍隊によって否定され、命を奪う事が正当化される社会を、一体誰がつくったのですか。”
19日午後2時、殺人的な日差しを物ともせず、数万名の沖縄人達が米海兵隊出身軍務員 ケネス・フランクリン・シンザト(32)に殺害されたシマブクロ・リナ(20)を追慕するために、那覇市内中心部であるオノヤマ公園に押し寄せた。
靖国神社違憲訴訟で韓国でも良く知られた彫刻家、金城実(77)は、隣人たちと観光バス10台をチャーターし、一緒に集会に参加し、ピョンテク(平沢)米軍基地反対運動時(訳注―ブッシュ政権が、2003年イラク戦争による財政難で、海外基地の効率化の一環として韓国では、ハンガン北側の米第二師団等をピョンテクに集中させようとした。)活発な連帯活動をしたことのあるトミヤマ・マサヒロ(62)沖縄民衆連帯代表も、記者を見つけて少し離れたところから手を振った。
今回、県民大会を準備した‘オール沖縄会議’は、“米海兵隊は撤収せよ”と言う文字が刻まれた小さなバナーを市民たちに分け渡した。
外に立っているだけでも苦痛になる天気だったが、多くの沖縄人達が子供達を連れて家族単位で、この日集会に参加した。
島袋は、去る4月26日夕方8時頃、一緒に住んでいた男性の友人に、“散歩をしてくる”と言うメッセージを残した後、連絡が途絶した。沖縄県警は以後携帯の位置情報が最後に確認された地域を特定し、そこを行き来する300余台の車両を、1台1台たどって捜査するという、粘り強い捜査を通して、シンザトを容疑者として特定し逮捕した。
韓国で、米軍の犯罪が非常に大きな社会的争点として浮かんだ契機が、1992年ユングミ氏殺害事件だったとすれば、沖縄では、1995年9月発生した米軍兵士3名が少女を性暴行した事件が、極めて大きな導火線となった。半月後、沖縄人達8万5000人が,雲集のごとく押し寄せて県民大会を開き、米国に抗議した。
以後沖縄人達は、▲沖縄戦争の最も大きな悲劇である‘集団自決’事件を否定した教科書検定(2007年)▲普天間基地県外移転(2010年)▲オスプレイ配置反対(2012年)等、重要な事件が勃発する時毎に、県民大会を開き、沖縄人達の尊厳を確認して来た。
この日、県民大会の要求事項は、遺族に対する米国政府の謝罪と、完全な補償、沖縄米海兵隊の撤収と米軍基地の大幅整理・縮小、米―日駐屯軍地位協定(SOFA)の根本的な改定などだった。
タカザト・スズヨ‘基地・軍隊を許さない行動する女性達の会’(以下、会)共同代表は、“今回の要求事項に、海兵隊撤収と言う内容が入っているという事が、極めて重要だ”と語った。彼女は、“去る3月にも、キャンプシュワブの一人の兵士が、那覇のホテルで観光客の女性を、性暴行した。当時にも米軍側では、兵士達の軍紀を厳重管理し、再犯防止の為努力すると言ったが、半月もたたず、またこんな事件が噴出した。結局、米軍犯罪を無くそうとすれば、基地を無くさなければならない。”と語った。
しかし、すべての沖縄人達が、今回の集会の為に心を一つにしたわけではない。県民大会が7月10日の参議院選挙を前にして開かれた為に、与党である。
自民党と公明党が不参加宣言をした為だ。翁長武知事は、こんな自民党などの反応を意に介さない様に、“こんな事件を阻止できる様に、政治の枠組みを変えなかったのが知事として痛恨の極致だ。
政府は県民の怒りが限界に達しているということを知るべきだ"と話した。”
沖縄では県民大会の主要要求事項である海兵隊撤収をめぐる議論が活発に行われている。
<沖縄タイムズ>の論説委員を務めた独立言論人屋良トモヒロは、“現在、米海兵隊を積載する強襲揚力艦は長崎県の佐世保、実戦部隊は沖縄に、離れ離れになっている。
佐世保と言うのは、始発駅から出発して沖縄で、兵士と装備を載せて、アジア-太平洋地域に投入される状況であるため、必ず沖縄へ海兵隊を置かなければならない軍事的な理由がない"と話した。
県民大会が開かれる二日前の17日午後、名護市屋内運動場では島袋の死を追悼する集会が開かれた。
この席で、犠牲者の両親は"いつ治るかわからない悲しみと,どうにもならない怒りに心が張り裂けそうに痛いです。 娘が最後の犠牲者になり、子供を失って悲しむ親が私たちが最後になることを願います"というメッセージを残した。
(訳 柴野貞夫 2016年6月21日)
<参考サイト>
☆465 辺野古に米軍基地、絶対駄目だ (韓国・ハンギョレ 2014年11月20日付)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_465.html
☆464 沖縄の進歩・保守、力を合わせ米軍に打撃をくらわす (韓国・ハンギョレ 2014年11月16日付)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_464.html
☆民衆闘争報道/沖縄−怒りの御万人(うまんちゅう)大行動(2012年12月23日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_81.html
☆民衆闘争報道/「沖縄の課題を私達の課題にする11・25奈良集会」
(2012年11月27日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_79.html
☆民衆闘争報道/「沖縄の課題を私達の課題にする11・25奈良集会」へ(2012年11月21日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_78.html
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