(朝鮮民主主義人民共和国 朝鮮中央通信2017年2月23日付 朝鮮法律家委員会代弁人談話 )
朝鮮民主主義人民共和国 朝鮮法律家委員会・ 代弁人談話
●外交旅券所持者の死を、反共和国謀略に捏造している南朝鮮当局と、それに無定見に従っているマレーシア警察
●我が国は、法律家代表団を派遣し、事件の正確な解明の為の共同捜査を提起している
去る2月13日、マレーシアで、外交旅券所持者である我が共和国公民が、飛行機搭乗を控えて、急にショック状態に陥り、病院に移送される途中死亡したのは、思いがけない不祥事と言わざるを得ない。
当初、マレーシア外務省と病院側は、共和国公民に対する領事保護権を行使しているマレーシア駐在の我が大使館に、心臓ショックによる死亡である事を確認しながら、遺体を我が大使館に移管し、火葬する事にしたと言う事を通報してきた。これによって、我が大使館では、死亡者の身分を確認し、遺体を移管する事を要求した。
しかし、その日の夜、南朝鮮保守言論が《政府消息筋》によるものだとして、誰かによる《毒殺》を主張するやいなや、マレーシア秘密警察が介入し、これを無酌定(闇雲)に既定事実化し、遺体解剖問題を提起したことから、問題が複雑になり始めた。
我が大使館では,心臓ショックによる死亡と結論されただけに、解剖をする必要がなく、更には、死亡者が外交旅券の所持者として、ウイーン条約によって治外法権対象であることから、絶対に解剖が出来ない事を明白に述べた。
しかしマレーシア側は、我々の正当な要求と国際法を無視し、我々とのどんな合意や立会もなく、遺体解剖を強行しただけでなく、解剖結果も発表せず、2次解剖まで進めると大騒ぎした。
これは、我が共和国の自主権に対する露骨な侵害であり、人権に対する乱暴な蹂躙であり、人倫道徳にも背(そむ)く反人倫的行為だ。
更に厳重視せざるを得ないのは、マレーシア側の不当な行為が、南朝鮮当局が繰り広げた反共和国謀略騒動と、時を同じくして起こっている事だ。
南朝鮮当局は予見していたかの様に台本まで作って置いた
南朝鮮保守言論達は、遺体解剖結果が発表される前に、《北朝鮮偵察総局女性要員2名による毒殺》だの、《北朝鮮の仕業に違いない》とか言う、根も葉もないデマを、甚だしく撒き散らし始めた。
我が公民が死亡した次の日である14日、青瓦台が大いに湧き返り、16日、長官級会議が開かれるなど、南朝鮮当局の反応は、目に付く様に現れ、仕舞いには、我が公民の死亡と何ら関係もない《サド》配置問題まで公然と取り上げられた。
このことは明らかに、南朝鮮当局が、今回の事件を予め前から予見していたのであり、その台本まで前もって作って置いたと言う事を示している。
この様な陰謀策動の目的が、我が共和国のイメージに泥を塗り、終末の息をゼイゼイと吐いているパク・クネ逆徒の息の根を開いてやり、国際社会の耳目をそらして騙そうとする点にあると言うのは、火を見る様に明らかである。
早くから米国は、事件捜査結果が発表される前に、我が国を《テロ支援国》のリストに再指定しなければならないとか、何とか言いながら、南朝鮮当局と相槌を打っている。
しかし、大部分の国々は、南朝鮮政客達の陰謀論、朝鮮を転覆するための《大型爆弾》として利用しようとする試み、不当な世論形成で南朝鮮政局の混乱を、もみ消させようとする意図などを非難しながら、南朝鮮当局の雅拙で見え透いた謀略騒動に唾を吐いている。
更には、南朝鮮内部からまで、この様な、無謀で必要のない事をして利益を見る勢力は、ただ一つ、パク・クネと《自由韓国党》、《国家情報院》だと主張する声が高まっている。
しかし、唯一、マレーシアだけがこの様な事実を無視しているのは実に遺憾な事と言わざるを得ない。我が公民が、マレーシアの地で死亡しただけに、それに対する最も大きな責任はマレーシア政府にある。
それにも拘わらず、マレーシア政府が、我々に食って掛かっている事こそ、千万不当であり、初歩的な人倫道徳も知らない厚顔無恥な行為だ。
現在まで、マレーシア警察が進めた捜査定型は、犯罪捜査学的見地と法律的見地から見ると、全てが弱点と矛盾だらけだ。
まず、初期に、心臓ショックによる死亡だと結論したものを、どんな糸口(手がかり)もなく、無酌定(むやみ)に、《毒殺》だと固執したことだ。
《毒殺》に固執したマレーシア警察
心臓ショックだと結論したのがマレーシア病院側であり、《毒殺》と言う世論をまき散らしたのが南朝鮮言論だと言う点を考慮してみる時、何故、マレーシア警察が自国の病院側の結論を信じないで、確認もされていない誰かの言葉から、無酌定(むやみ)に従ったのかと言うことだ。
マレーシア警察側が記者会見で、死亡原因に対し確定する事が出来ないと言いながら、毒性検査結果を待つと言う矛盾する事を云ったのは、彼らが最初から、死亡原因を《毒殺》に固着させていたと言う事を、彼ら自ら立証したことになる。マレーシア側の非友好的な態度は、遺体移管問題で、更にはっきりと表れる。
非法的で、非道徳的な方法で、遺体の解剖検査と法医学鑑定をしたなら、当然我々に遺体を返すべきであるのに、マレーシア法により、死亡者の家族側からDNAサンプルを提出する前には、遺体を渡すことは出来ないと言う、根拠無き口実を付けながら、未だに遺体を引き渡していない。これは、マレーシア側が、国際法と人倫道徳は眼中にも無く、遺体移管問題を政治化し、その何かの不純な目的を達成してみようとする事を見せてくれる。
次に,事件初期、殺人容疑者を逮捕したと喧しく騒ぎ立てたが、それ以降、彼に対し、ほとんど言及さえしていないのである。
更にとんでもないことは、殺人容疑者達が陳述したと言う《掌に流した油の様な液体を、頭に塗ってやった》為に、死亡者が毒殺されたと言うが、手に塗った女性は生きて、それを塗られた人は死ぬと言う、そんな毒薬が何処にあるのかと言うことだ。
マレーシア警察は意図的に我々に責任転嫁しようとしている
最も重大な事は、マレーシア警察が今回の事件を《共和国公民達の背後操縦》説に依るものと、誤導していることだ。
17日、マレーシア警察は、現地の我が大使館に知らせることもなく、マレーシアで働いている、わが公民が生活する住居に不意に入ってきて、闇雲に彼を逮捕し、彼の家族達まで殴打する行為を犯した。
19日、マレーシア警察庁副総監が捜査結果と言うものを発表し、事件当日である13日「北朝鮮人達がマレーシアを離れ、周辺諸国に行ったが、全て犯罪嫌疑者だ」と言ったが、事件当日、マレーシアから出国した他の国の人々は、嫌疑を受けず、どうして我が公民達だけ、嫌疑対象になるのかと言う事だ。
この様な矛盾点は、マレーシア警察が客観性と公正性がなく、その誰かの操縦によって捜査方向を定めながら、意図的に事件の嫌疑を我々に責任転嫁しようとすることを、示している。
我が共和国は、当然にも、法的保護を受けなければならない外交旅券所持者である我が公民が死亡した事に対して、被害者の立場から意見が多々あったが、マレーシア警察の公正かつ客観的な捜査を信じ、忍耐性を発揮してきた。
しかしマレーシア警察は、殺人容疑者として逮捕した外国人女性達に対する取り扱い情況は公開せず、むしろ被害者側である我が公民達を、犯罪嫌疑者としてひっくるめて、甚だしくは逮捕までしながら、我々に対する標的捜査にだけ熱を上げている。
この様な見地から、今後、マレーシア保健相が発表すると言う遺体解剖結果を果たして信じる事が出来るのかと言う事だ。
事件の正確な解明の為の共同捜査を提起
我々は、既に今回の事件の正確な解明の為の共同捜査を提起し、我が法律家代表団を派遣する準備が出来ていると言う事を、明らかにしたところである。
法律家代表団を、直接現地へ送り、殺人容疑者達と会って、彼らの陳述も聞いて見て、彼らが誰の指示を受けたのか確認し、逮捕された我が公民にもあってみて、事件現場と映像資料などを具体的に調査し、事件の捜査を公正に束ねようと言う事だ。
我々は、尊厳高い自主の強国、核強国のイメージを毀損させようとする、どんな試みも絶対に容認しないものであり、今回の事件の黒幕を最後まで、ひとつ残らず暴いて見せるだろう。我々は、マレーシア側の今後の態度を見守るだろう。
〈訳 柴野貞夫 2017年2月23日〉
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