(民衆闘争報道 <韓国に到着したサード>労働者連帯200号 2017年3月10日)
http://wspaper.org/article/18459
<韓国に到着したサード>
‘中国の経済報復’に対する唯一の回答は、サードの撤回だ
▲トランプが韓半島に送った致命的武器・サードが、3月6日、烏山(オサン)米軍基地に運び込まれた。
(写真出所‐在韓米軍が公表)
3月6日、奇襲的にサードの一部システム(発射台2基)が、京畿道平沢市松炭洞(キョンキド ピョンテクシ ソンタンドン)の米軍、烏山(オサン)空軍基地に到着した。
サードの作戦運用を急ぐ、米国と黄教安(ファン・ギョアン)内閣
在韓米軍は、これを映像で撮って公開してしまった。レーダーを含めた残りも、近いうちに相次いで韓国に入る予定だ。だから早ければ、4月に作戦運用が可能である。所謂‘サードの地上げ’だ。
サード配置は、中国が韓国に対応水位を高めてきた時に始まった。この渦中、米国と黄教安(ファン・ギョアン)内閣は配置作業を開始した。これは中国に明確なメッセージを与えたのだ。また、新政権就任前に配置を完了するということだ。
<フィナンシャル・タイムズ>は、サード配備開始についてこの様に論評した。“米国のミサイル防御網が、南韓と中国の間に楔を打った。”
韓国が、サード配置で、米国と中国の間で元に戻すのに難しい選択をしたという事だ。サード配置が強行されながら、韓半島の空は、もう完全に変わることとなった。韓日米の統合ミサイル防衛システム(MD)下に,サード、パトリオットミサイル、SM-3が狙うところと成って行っている。
9日、KBSは韓国と米国が、連合のミサイル司令部を構成すると報道した。統合MD運用が可視化することによって、韓日軍事同盟の時代も目の前に来ている。 そこに、現在取り上げられている、米国の戦術核配備まで行われたら、その即時的な物理的危険の範囲は、単に、星州(ソンジュ)、金城(キムチョン)だけではなく、韓半島全体になるだろう。
有形・無形に拡大される中国の経済制裁は、韓国経済に大きな打撃を与えている
サード配置が行われ、中国が経済制裁に本格着手した。中国の優先ターゲットは、ロッテグループだ。3月9日現在、中国当局の営業停止措置であるため、ロッテマートの中国の売り場の半分以上が門を閉ざした(廃業した)。これに先立って、中国当局は、ロッテ製菓、ロッテケミカルなどのロッテグループ系列会社10ヵ所あまりを相手に税務調査を実施して、瀋陽の'ロッテタウンプロジェクト'工事を中断させた。
中国の制裁処置は有形・無形に拡大されている。韓国旅行商品の販売中断措置に続き、非関税措置が拡大される可能性がある。2012年、釣魚島(尖閣)紛争当時、日本が中国にこれと似たようなことを受けた。それで米国の経済専門メディアグループ・ブルームバーグは、中国の経済報復が韓国経済に大きな打撃を受けるだろうと指摘した。
サードを配置しても“中国の経済制裁による打撃は微々たる水準”と主張したファン・ギョアン
中国のサード制裁は、自由貿易と経済の相互依存性の増大が,諸国家の対立を制御し、戦争を阻止できるという‘常識’が誤りであることを示す最も良い事例になりそうだ。 中国の対応が本格化する前まで、朴槿恵政権と右翼は、サードを配置しても、中国の経済制裁による打撃が微々たる水準だろうと主張した。昨年7月国会で黄教安(ファン・ギョアン)は、“韓中関係は高度化し、簡単に経済報復できる構造ではない ”と言った。
しかし、本当に、実際の被害が生じるや、今は、右翼は'中国の傲慢な大国主義(中華主義)が問題だ'、'稚拙だ'として糾弾する。
韓国右翼が、中国による
‘経済制裁’を‘大国主義’と批判する資格はない
韓国の右翼が中国の大国主義を非難する資格はない。世界で最も傲慢で危険な'大国主義'国家の米国を、もっと近くに引き入れながらの言葉だ。
米国は、北朝鮮を相手に世界で最も強力な経済制裁を加えていて、韓国はその制裁の最も充実した協力者だ。今も米国と韓国は、金氏殺害をめぐって北朝鮮テロ支援国再指定カードをいじっている。最近、米国は、米国の北朝鮮・イラン制裁に違反した疑いで中国の通信装備会社ZTEに11億ドルが超える罰金を賦課した。外交・安保問題に経済制裁を動員するという点で、米国・韓国が中国を非難するのはただの偽善に過ぎない。
朴槿恵政権は、中国の経済制裁が尋常ではないという警告を黙殺して、サードの配置を強行した。朴槿恵政権が自ら招いたことなのである。中国の制裁が拡大され、大衆が被害を見れば、政権が責任を負わなければならない。
サード配置に明確に反対しない最大野党<共に民主党>文在寅(ムン・ジェイン)
サード配置が目の前に来たにも拘らず、野党主流は、サードに反対していない。李在明(イ・ジェミョン)・シム・サンジョンを除いた大統領選候補たちは、サード配置反対を明らかにしない。(もちろん、李在明(イ・ジェミョン)は、中国の経済制裁について"サード撤回が唯一の道と解答"と明確に明らかにしたが、韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)の完成をサードの代案として提示する。)
特に、文在寅(ムン・ジェイン)は、この中でも、'外交的努力や国会批准同意過程'を経て、問題を解決すると主張する。しかし、院内1党の有力大統領選候補が、このように主張するのは、チョン・ウクシク平和ネットワーク代表が指摘するこのような問題がある。“文脈から、(ムン・ジェインの)この発言は、本人の政権時にもサードの配置を推進しつつ、中国とロシアの反発は外交的努力で解決して、国会批准同意を経て、手続き的正当性も確保するという意味に解釈できる。国会批准同意は、次期政府もサードの配置に賛成するときに成立できる話だからだ。"それで<朝鮮日報>などが'文在寅(ムン・ジェイン)側も内心、執権前にサード配置が完了し、負担を減らすことを望まないか'と非難することだ。
韓半島の緊張の増大は労働者階級への犠牲と負担をもたらす
<朝鮮日報>は、中国の経済制裁が、“韓国の内部分裂を狙っている”とし、サード問題を巡り、国民的団結を促す。そして、ロッテ側のサード敷地提供に反対したデモについて、中国政府側が嬉しがる事という意味で、“中国領土であるようなロッテ攻撃”と、激しく非難した。
しかし、国民的団結は単純な神話だ。韓国の右翼は、朴槿恵の明白な憲法違反も盲目的に擁護する勢力だ。さらに、帝国主義は国民内の左右間対立をさらに不可避に作る動因だ。
朴槿恵政権と右翼は、韓米同盟を強化し、世界資本主義体制で韓国の国家の地位を高めることが国民に莫大な利益を与えると主張する。しかし、労働者階級はその利益の一部を共有するどころか、韓半島の緊張の増大による各種の犠牲と負担(軍備の増加による福祉犠牲、兵役義務、安全脅威など)をしょい込む。
中国の経済制裁から'我が'経済を守ろうとするが、しばらく前までは政府や企業主たちは'強勢労組のために中国へ事業を移転する'と、ともすれば脅し、労働者らの労働条件を攻撃した。
ロッテは、不況の中でも国内外で百貨店の売場を増やしてきており、ホテルロッテは中国観光客のおかげで、昨年の免税事業で営業利益3千9百億ウオンを収穫した。しかし、2015年、労働契約書もなく10年以上百貨店で働いてきた非正規職労働者が、デパートのトイレで、心臓麻痺で死亡した時、ロッテ側は‘
我々の職員ではない'とし、冷たく背を向けた。Kスポーツ財団に捧げる70億ウォンは、惜しまないロッテの言葉だ。それでも‘我が'ロッテか。
サード反対運動は、中国の"大国主義的"行動に同調するのではなく、'我が'支配者たちの危険千万な、親軍国主義的政策に抗議するものだ。
その運動が効果を高めるには、むしろ"韓国の内部分裂"を喜んで受け入れなければならない。
〈訳 柴野貞夫 2017年3月18日〉
<参考サイト>
○ 経ヶ岬・米軍Xバンドレーダー基地反対 9・28全国集会 (2014年9月28日)
○ 米軍Xバンドレーダー基地建設反対4.20現地集会(2014年4月20日)
○ 米軍基地(経ヶ岬・米軍Xバンドレダー基地)は、京都にも、沖縄にも、何処にもいらない(2013年12月15日)
○ 天文学的な<サード>配備費用、くび木は誰が担ぐのか(朝鮮民主主義人民共和国・ウリミンジョクキリ 2016年7月29日付)
○ 米・韓は、中国・ロシアが厳しく警告する深い意味を必ず認識しなければならない(韓国・統一ニュース2016年8月9日)
○ 韓国・米国大使館に抗議行動−サード韓国配備撤回、朴槿恵政権退陣を要求(在日韓国民主統一連合 2016年8月12日)
○
中国(人民解放軍)「韓国へのサード配置は、アジア版・キューバミサイル危機の再現」と規定(韓国・統一ニュース2016年7月15日付)
○ サード配置反対の措置で、国(中国)に5項目の行動の施行を建議する(韓国・統一ニュース2016年7月10日付)
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