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(世界の新聞/ 「リ・ヨンホ朝鮮外相の第73回国連総会演説」 統一ニュース 2018年9月30日付)
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=126365

          リ・ヨンホ朝鮮外務相73回 国連総会 演説

“我が国の善意の措置に対し、米国は相応の答えを出していない。 その様な状況で、我々が一方的に、核武装を解除する事は絶対にありえない”

 

▲ リ・ヨンホ朝鮮外務相が、929日に国連総会で演説をした。

<要約>
●朝鮮は、「612朝米共同声明」の徹底した履行の意思を、既に核ミサイルと核実験の停止、ブンギル核実験場の廃棄など、「善意の措置」を取る事で表した。
●反対に米国は、朝鮮半島の平和体制欠落によって、我々の懸念を払う代わりに<先核放棄>(朝鮮に対して、一方的な核武装の放棄〈武装解除〉を要求する政策)だけを主張し、それを強圧的に実現しようとして<制裁圧迫>の度数を高め、甚だしくに至っては、約束した「終戦宣言」の発表まで反対している。
●米国の政治的反対派達は、単に政敵を攻撃する為の口実として、我が共和国を信じることができないという中傷を、日常行っており、政権に強制して、対話と交渉が順調に進まない様に妨害をしています。
●「制裁」で我々を屈服出来ると考えるのは妄想だ。しかし、「制裁」が、我々の不信を増幅している事が問題なのだ。「朝米共同声明」の履行が停滞している原因は、米国が、信頼醸成にとって致命的な、強権の方法だけにぶら下がっているからだ。
●米国との信頼関係がなければ、我が国の安全に確信を持つ事は出来ない。その様な状況で、我々が一方的に、核武装を解除する事は絶対にありえない。
●国連と安保理は、「朝米共同声明」を通しての平和気流を無視し、我が国に対する安保理制裁決議を放置し、「共同声明」歓迎の議長声明の発表さえ拒否している。
●朝米共同声明が、米国の国内政治の犠牲になれば、それから始まる予測不可能な後の災い(後遺症)の最大の犠牲は、まさにアメリカに降りかかるだろう。
●米国の指揮だけに服従する南朝鮮駐屯国連軍司令部は、国連の名を盗用する尋常で無い組織だ。

[リ・ヨンホ朝鮮外務相の第73回国連総会演説(全文)]

議長先生
私はまず、マリオ・ペルナンダ・エスビノセ・カルセス先生が、国連総会第73回会議の議長として選挙されたことをお祝いします。 また、あなたの巧みな司会のもと、本会議が素晴らしい結実を結ぶ事になると言う期待を表明します。
議長先生。
平和と発展は、現時代の共通した指向であり、国連のすべての活動を規制する主な目的です。 世界の多くの国が、平和と発展のための努力をしているが、依然として深刻な課題に直面しています。
力の立場に立った一方主義の傾向として全般的国際関係が緊張し、世界の多くの地域で平和が脅かされ、発展が阻害されている過去1年間の国際情勢は、国連の役割をさらに高めることを要求しています。今年、世界的に平和と発展を目指した最も顕著な気流が造成されたのは、朝鮮半島です。 朝鮮民主主義人民共和国国務委員長キム・ジョンウン同志は、今年4月に社会主義経済建設に総力を集中する事に対する、新たな戦略的路線を提示しました。
過去数十年の間、持続されて来た共和国に対する核の脅威に対処できる、防衛力と戦争抑止力を頼もしく固めた状態で、私たちは、経済建設に総力を集中しなければならない歴史的課題が出ています。 経済建設に総集中する事に対する、共和国政府の路線は、何よりも平和的環境を必要としています。
キム・ジョンウン同志は、朝鮮半島を、核兵器も核の脅威もない平和の基盤にするための確固とした意志を持ち、果敢な首脳外交活動を展開し、北南関係と朝米関係を改善し、周辺諸国との親善協力関係を活性化する為の重大な突破口を切り開くことで、朝鮮半島情勢を劇的に緩和させる貴重な新しい局面をもたらしました。朝鮮半島とその周辺の情勢が緩和されるほど,地域の平和と安全は、それだけ、強固となるのであり、これはアジアと、ひいては世界の平和と安全、即ち、国連加盟国のすべての利益へとつながります。
この演壇から、多くの国の代表が朝鮮半島の現情勢の発展の流れを一様に支持歓迎しているのは、共和国政府の戦略的選択とその実現のための真剣な努力が、国際社会の共同の利益と指向にも完全に合致することを示しています。
議長先生。
朝鮮半島の平和と安全を強固にするうえで、かなめは、去る612日シンガポールで行われた歴史的な朝米首脳対面と会談で合意採択された、朝米共同声明を徹底的に履行することです。 朝米共同声明には、朝鮮半島情勢の緊張の根源となって来た、過去数十年間の敵対関係を終わらせ、新しい朝米関係を確立するという問題や、朝鮮半島に強固な平和体制を構築するという問題、朝鮮半島に完全非核化を実現する事に対する問題、朝米間の人道主義問題を含む朝鮮半島問題の究極的解決のための原則の問題がすべて含まれています。
朝米共同声明が履行されれば、朝鮮半島に造成された現在の緩和気流は、強固な平和に定着されて、朝鮮半島の完全な非核化も実現されるものであり、そうなれば、世界最大のホットスポットであった朝鮮半島は、アジアと世界の安全に貢献する平和と繁栄の発源地に転換されるようになります。
朝米共同声明を徹底的に履行しようとする共和国政府の立場は、確固不動です。朝米共同声明が円満に履行されるようにするためには、数十年間に亘って積み重なって来た朝米間の不信の壁を崩さなければならず、その為には何よりも、朝米両国が信頼醸成に労力をかけなければなりません。これまで朝米間に進められた、いくつかの交渉、合意の履行が実を結ばなかったのは、お互いに対する不信が正しく解消されず、相互信頼が不足したからです。
朝鮮半島の非核化も、信頼作りを基本に置いて、平和体制の構築と同時行動の原則で、行うことが出来る事から、一つずつ段階的に実現していくというのが、私たちの立場です。 共和国政府は、今回の朝米共同声明が、成功的に履行しようとする確固たる意志と願いから、信頼醸成を特別に造成し、ここに先次的<第1義的>な力を入れています。共和国政府は、既に朝米首脳会談が行われる以前から、核試験と大陸間弾道ロケットの試験発射を停止し、核試験場を透明性ある様に廃棄したのであり、そのいずれの場合にも、核兵器と核技術を移転しない事についても確約した様に、重大な善意の措置を予め取ったのであり、今も信頼醸成のための努力を傾けています。
しかし、これに対する米国の相応な(それに見合う)回答を私たちは見る事が出来ません。 反対に、今米国は、朝鮮半島の平和体制の欠落に対する私たちの懸念を払う代わりに、<先非核化>だけを主張しながら、それを強圧的に実現するために制裁圧迫度数をより高めており、甚だしくに至っては、終戦宣言発表まで反対しています。
制裁で私たちを屈服させることが出来ると考えるのは、私たちを知らない人々の妄想に過ぎないが、制裁が私たちの不信を増幅させている事が問題です。 朝米共同声明の履行が膠着に直面した原因は、米国が信頼醸成に(力を入れる代わりに)致命的な強権の方法にだけ縛られ、ぶら下がっているからです。
最近、北南関係で示された急速な改善協力の雰囲気は、信頼醸成が決定的な役割を発揮することが出来ているかをよく示しています。 北南首脳は、5ヶ月にも満たない短い期間になんと三回の対面と会談を通じて南北関係の諸問題を建設的に解決していくために必要な信頼を築き、その結果が実践ではっきり示されています。
去る919日、北南首脳が、共同発表した歴史的な「9月平壌共同宣言」が示す様に、今年に入って、北南間の政治、軍事、人道主義、体育文化、経済協力を含む多くの分野で、対話が活性化され、和解と協力の機運が比べ様も無いほど高くなり、全民族と国際社会の支持と歓迎を受ける、著しい成果が列をなしています。 万一、非核化問題の当事者が米国ではなく南朝鮮だったら、朝鮮半島の非核化問題も、今の様に、膠着状態に陥ることが無かったのです。
私たちが、共同声明の履行のために、朝米間の信頼醸成の理由が、即ちここにあります。 米国に対する信頼がない我が国家の安全に対する確信はあり得ないのです。こんな状態で、私たちが一方的に先に核武装を解除することは絶対にありません。 非核化を実現しようとする、私達共和国政府の意志は確固不動ですが、これは、米国が、私たちにとって、十分な信頼感を持つ事となる時にのみ可能です。
議長先生

米国で,朝米共同声明の履行に関する悲観の声が、継続して響き出ているのは、決して、何かの不足点があったのではなく、米国の国内政治に関連する問題です米国の政治的反対派達は、単に、政敵を攻撃する為の口実として、我が共和国を信じることができないという中傷を、日常行っており、私たちが受け入れることができない無理な一方的要求を持っていくことを、政権に強制して、対話と交渉が順調に進まない様に、妨害をしています。
会話の相手に対する不信を鼓吹しながら、強権の方法にだけぶら下がるのは、決して信頼醸成の助けにならないのであり、むしろ相手側の不信だけを、更に加重させる事となるのです。相手方を不信する理由について言えば、米国より、我々の側にこそ、(米国を不信する)理由が、遥かにもっと多いのです。
米国は、私たちよりも先に核兵器を保有しており、世界で唯一、核兵器を実戦に使用した国です。 米国は、70年前に我が共和国が誕生した最初の日から、私達に敵対視政策を実施しており、自国の企業が、我が国とネジ一個取引しないように徹底した経済封鎖を敢行している国です。 私達は、米国の地に、石ころ一つ運んだことがありませんが、米国は朝鮮戦争時期、我が国に数十発の原爆を落とすと恫喝した事のある国であり、それ以降、私達の敷居に、絶える事無く、核戦略資産を引き込んだ国です。万一、朝米両国が過去にだけ執着しながら、互いに相手側を無闇に疑心だけしようとすれば、今回の朝米共同声明も、過去時期の失敗した他の朝米合意と同じ運命を免れる事は出来なくなるでしょう。
朝米首脳会談の最も重要な精神の一つは、双方が旧態から抜け出し、まったく新しい方法で問題を解いていくことに合意した事です。 米国は、このカギとなる時に、自身が、シンガポールでの約束を誠実に守る事が、最終的には米国の国益にもつながるという、先見の明ある判断を下し、朝米関係解決の新しい方法を堅持しなければならず、唯ひとえに、その様になる時だけが朝米共同声明は、初めて、その履行の展望を見通す事が出来る事となるのです。朝米共同声明が最後まで、米国の国内政治の犠牲になれば、それから始まる予測不可能な後の災あい(後遺症)の最大の犠牲は、まさにアメリカそのものです。
朝米関係と朝鮮半島問題を解決することは、本総会の主題に選ばれた、すべての必要な国連の建設、平和的で、持続的な社会の為の、世界的な指導力と共同の責任を実現するうえで、核心中の核心事項となります。経済建設に総力を集中ことに対する路線は、朝鮮人民の生活を向上させるだけでなく、平和と発展を目指す地域と世界人民の念願にも符号する正しい戦略的選択です。国際社会は、当然、朝鮮半島の緊張緩和と強固な平和のために、私たちが下した決断と私たちが取った善意の措置に応えて、経済建設に総力を集中する私たちの努力を、支持、鼓舞しなければなりません。朝米共同声明を履行する事は、朝米共同の責任であると同時に、ここには、国連の役割もあります。 朝鮮半島の緊張状態について,そのように懸念を表明する事が好きだった国連安保理が、今年、朝鮮半島に到来した貴重な平和の気流に対し、未だに顔を背けているのは、決して正常とは言えません。
私たちの核試験とロケット発射を問題視して、数多くの制裁決議を吐き出した国連安全保障理事会が、その試験が中止されてから,そのまま一年になる今日まで、制裁決議は解除されたり緩和されるどころか、何一つ変わったことはありません。 むしろ朝米首脳会談と共同声明を歓迎する議長声明を発表する事に対するいくつかの加盟国の提案さえ拒否する極めて憂慮すべき態度を見せています。
甚だしくに至っては、南朝鮮駐屯国連軍司令部は、北南間の履行まで遮る、ただならぬ動きまで見せています。国連軍司令部に対して言うならば、国連の統治の外で、米国の指揮にだけ服従する連合軍司令部に過ぎませんが、未だに、神聖な国連の名称を盗用している事が問題です。
国連と、特に国連安全保障理事会は、憲章に規制されている自分の使命から、国際平和と安全に助けとなる事態の発展を支持歓迎し、鼓舞しなければならない責任と義務があります。国連は、すべてに必要な国連建設、世界的な指導力と共同の責任と言う本総会の主題を、朝鮮半島問題解決の為の実際行動に具現する事で、‘国連安全保障理事会の部下は国連’と言う汚名を、一日も早くすすぐべきです。
ありがとうございます。
                                             (訳 柴野貞夫 2018103日)