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(世界の新聞/朝鮮民主主義人民共和国 労働新聞 201931日付)

リ・ヨンホ(李容浩)外相とチェ・ソンヒ(崔善姫)外務次官が、回朝米首脳会談の結果について会見した

米国は、シンガポール朝米首脳会談の共同認識としてなされた段階的解決原則に則って、今回の会談で現実的な提案を提起した。しかし、過去には有り得なかった我々の歴史的提案を受け容れなかった。しかし、我々の原則的立場には、今後も、いささかの変化もない。米国は、千戴一隅のチャンスを逃したのだ。今回のチャンスが再び訪れるかは、難しいかも知れない。

朝鮮の李容浩外相と善姫外務次官が1日、ハノイ市内のメリアホテルで記者会見を開き、第2回朝米首脳会談についての立場を表明した。以下、李容浩外相のコメント全文と記者の質問に対する崔善姫外務次官の発言要旨である。

李容浩外相発言要旨

[要約]
●我々は昨年6月のシンガポール会談の中で、朝米首脳会談の共同認識としてなされた段階的解決原則に則って、今回の会談で現実的な提案を提起した。
●我々が要求することは、全面的な制裁解除ではなく一部解除、具体的には国連制裁決議11件の中で、2016年から2017年まで採択された5件、その内、民需経済と人民生活に支障を与える項目だけを先に解除するなら、我々は寧辺核施設のプルトニウムとウラニュームを含めた全ての核物質の生産施設を米国専門家の立会のもとに、両国技術者たちの共同作業で永久かつ完全に廃棄すると提案した。
●これは、朝米両国間の現在の信頼水準を見ると、現段階で我々が踏み出すことができる最も大きな歩幅の非核化措置である。
●核実験と長距離ロケット実験を永久に中止するという確約も文書形態で与える用意があることも明らかにした。
●会談過程で米国側は、寧辺地区の核施設廃棄措置以外に、もう一つプラスしなければならないと最後まで主張した。
●米国は、我々の提案を受け入れる準備が出来ていないという事が明確になった。
●我々の原則的立場には僅かな変化もない。今後、米国側が交渉を再び提起してくる場合でも、我々の方案に変わりはない。今回のチャンスが再び訪れるかは、難しいかも知れない。
[本文]
今回の第2回朝米首脳会談の結果に対するわれわれの立場をお知らせします。朝米両首脳は今回、立派な忍耐力と自制力を持って2日間に渡り真摯な会談を行いました。
我々は昨年6月のシンガポール会談の中で、朝米首脳会談の共同認識としてなされた段階的解決原則に則って、今回の会談で現実的な提案を提起しました。
米国が国連制裁の一部、すなわち民需経済と人民生活に支障をきたす項目の制裁を解除すれば、我々は寧辺核施設のプルトニウムとウラニュームを含めた全ての核物質の生産施設を米国専門家の立会のもとに、両国技術者たちの共同作業で永久かつ完全に廃棄するということです。
我々が要求することは、全面的な制裁解除ではなく一部解除、具体的には国連制裁決議11件の中で、2016年から2017年まで採択された5件、その内、民需経済と人民生活に支障を与える項目だけを先に解除するということです。これは、朝米両国間の現在の信頼水準を見ると、現段階でわれわれが踏み出すことができる最も大きな歩幅の非核化措置です。
我々が非核化措置を取っていく中で、より重要な問題は安全担保の問題ですが、米国がまだ軍事分野の措置を取ることが負担になるだろうと見て、部分的な制裁を相応措置として提案したのです。今回の会談で、我々は米国の憂慮を軽減するために、核実験と長距離ロケット実験を永久に中止するという確約も文書形態で与える用意があることを明らかにしました。
信頼醸成段階を経れば、今後、非核化過程は一層早く前進させることができるでしょう。しかし会談過程で米国側は、寧辺地区の核施設廃棄措置以外に、もう一つプラスしなければならないと最後まで主張しました。それにより、米国が我々の提案を受け入れる準備ができていないということが明確になりました。現段階で我々が提案したことよりも、より良い合意がなされるかを、この場で述べるは難しいことです。今回のチャンスが再び訪れるかも難しいかも知りません。
完全な非核化への道のりには、必ずこのような初段階の工程が不可避であり、我々が出した最大限の法案が実現する過程を必ず経なければなりません。我々の原則的立場には僅かな変りもなく、今後、米国側が交渉を再び提起してくる場合でも、我々の方案に変わりはありません。以上です。

キム・ジョンウン同志が、第2次朝米首脳会談実務代表団と打ち合わせを行っている。中央は、キム・ソンヒ外務次官

崔善姫外務次官の発言要旨
[要約]

●米国が、制裁決議の中で、民生用と民需用の5件を解除するなら、我々は、寧辺の核団地全体の、全ての核施設を、米国専門家の立会のもとに永久的に廃棄するという、過去には有り得なかった歴史的提案を今回行った。
●寧辺核団地全体に対する永久的廃棄に代わるものとして、我々は、民生用と民需用に限定した5件の解除を要求しただけである。米国がこれを受け容れなかったのは、千戴一隅のチャンスを逃した様なものだ。
●私は、我がキム・ジョンウン国務委員長が、我が国の歴史的提案を受け容れなかった<米国式計算方法>に対し、理解に苦るしみ、意欲を失ったのではないかと言う、印象をうけた。
●また、米国の核科学者ジーグフリード・ヘッカー博士が、かって指摘した全ての核施設を我々が今回永久かつ不可逆的に破棄するという提案に対しても、米国は、呼応しなかった。
●今後、米国にとって、この様なチャンスが訪れるのかは、我々は確信をもてないだろう。

[本文]
寧辺地区と関連し、今回われわれが出した案は外相が明らかにしたように、寧辺の核団地全体、その中に入っている全てのプルトニウム施設、全てのウラニューム施設を含めた、全ての核施設を丸ごと米国専門家の立会のもとに永久的に廃棄するという、歴史的に提案しなかった提案を今回行いました。
その代わりに我々が米国側に要求したことは、外相が明らかにしたように制裁決議の中で、民生用と民需用の5件を解除するよう要求しました。このような提案を米国側が今回受け入れなかったことは、(米国が)千戴一隅のチャンスを逃した様なものです。
民生に関しては我々が提案した5件の制裁決議の中で、軍需用については、まだ要求していません。民生と関連し、人民生活、経済発展と関連した部分に対する制裁解除を要求しただけです。2016年から取った対朝鮮決議は2270号、2375号など、5件ですが、その中でも100%ではなく、民生と関連した部分だけ制裁を解除するよう要求しました。我々が提案したのは、寧辺核団地全体に対する永久的廃棄です。ここで(廃棄を)実行するときは米国専門家も立ち会えるようになっています。
今回、私が首脳会談を横で見ながら、我が国務委員長が、米国による米国式計算方法に対して少し理解に苦しんでいるのではないか、よく理解できないのではないかという印象を受けました。このように過去にはありえなかった寧辺核団地を丸ごと廃棄するという提案を出したにも関わらず、このような民需用の制裁決議の部分的決議まで解除するのが難しいという米国側の反応を見ながら、わが国務委員会委員長が今後のこのような朝米交渉に対して、少し意欲を失くしたのではないかという、そのような印象を受けました。
次の会談は決まっていません。一つ強調したいことがあります。米国の核科学者ジーグフリード・ヘッカー博士が核施設にある、濃縮ウラニューム工場を訪問したことがあります。その工場までも、巨大な濃縮ウラニューム工場まで含めた全ての核施設を我々が今回永久かつ不可逆的に破棄するという提案を出しましたが、これに対する米国側の呼応はありませんでした。そして今後、このようなチャンスが再び米国側に訪れるのか、これについて私は確信をもって言えません。

 
31日、労働新聞は回朝米首脳会談について以下のように報道した。

http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=great&subtype=songunload&no=6663



全文
朝鮮労働党委員長で朝鮮国務委員会委員長である、わが党と国家、軍隊の最高指導者金正恩同志が、2月28日、アメリカ合衆国のドナルドJ・トランプ大統領と再び対面し会談した。
最高指導者同志は、現地時間で午前9時から、朝米首脳会談の場所であるハノイ市の「メトロポル」ホテルで、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と再び対面して単独会談と全員会談を行った。
朝米両首脳は単独会談と全員会談で、シンガポール共同声明を履行するための歴史的な道程で刮目すべき前進があったことを高く評価し、これに基づいて朝米関係改善の新しい時代を開いていくうえで提起される実践的な問題について、建設的で虚心坦懐な意見交換を行った。
各会談では、朝鮮半島の緊張状態を緩和して平和を促し、完全な非核化のために双方が傾けた努力と主動的な措置が相互の信頼を図り、朝米両国間に数十余年間続いてきた不信と敵対の関係を根本的に転換していくうえで、重大な意義を持つということについて認識を同じくした。
最高指導者同志とトランプ大統領は、シンガポール共同声明で提示した共同の目標を実行していくために、現段階で必ず解決すべき問題に対する相互の見解を聴取し、その方途を真しに論議した。
最高指導者同志とトランプ大統領は、70余年の敵対関係の中で積み重なった反目と対決の障壁が高く、朝米関係の新しい歴史を開いていく旅程で避けられない難関と曲折はあるが、互いに手を固く取って知恵と忍耐を発揮して共に切り抜けていくなら、十分に両国人民の志向と念願に即して朝米関係を画期的に発展させていくことができるとの確信を表明した。
朝米両首脳は、2回目となるハノイでの対面が、互いに対する尊重と信頼をいっそう厚くし、両国関係を新たな段階に跳躍させられる重要な契機になったと評価した。
最高指導者同志とトランプ大統領は、朝鮮半島の非核化と朝米関係の画期的発展のために今後も緊密に連携し、ハノイ首脳会談で論議された問題解決のための生産的な対話を引き続きおこなっていくことにした。
最高指導者同志は、トランプ大統領が遠い道を行き来しながら、今回の対面と会談の成果のために積極的な努力を傾けたことに謝意を表し、新しい対面を約束しながら別れのあいさつを交わした。

全世界の大きな関心と期待の中で行なわれた第2回朝米首脳対面と会談は、朝米関係を両国人民の利益に即して発展させ、朝鮮半島と地域、世界の平和と安全に資する意味のある契機になる。()