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(民衆闘争報道/ 4・15総選挙の評価<その4>  韓国・チャジュシボ(自主時報) 2020年4月19日付
http://www.jajusibo.com/50237


           韓国・4.15総選挙の評価 <その4

[時事研編集部 注]
南朝鮮の民衆言論「自主時報」が発表した「4.15総選挙の評価」は、日本の言論界に出回る、「韓国国民が、ムン・ジェインの新型コロナウイルス対策を評価した結果である」とする次元の政治分析とは、大きな隔たりがある。この論考は若干長文の為、5回に分けて、その訳文を日本の読者に提供するものである。

(二)何が運動場(社会的地形)を動かしたか
運動場を逆に動かした核心要因は、北韓(朝鮮)の変化だ。第一に、北韓の力が大きくなり、これによって米国が対北政策で、受け身に落ち込んだ。北韓が、北・米の対決を主導し、朝鮮半島で、北韓が決定的な影響力を発揮するようになった。韓国社会は、米国の影響を大きく受ける。米国が、北韓に対する態度が変わって、トランプ大統領がラブレターを送る為に、韓国人の対北認識が変わったものと考える事も出来る。
しかし,米国の態度変化は、やはり、北韓の力が大きく成ったことに対する反応に過ぎない。本質的には、北韓の力が大きく成り、あらゆる変化が開始された。
次に、北韓が継続して発展する姿を見せる一方、米国は、絶える事無く凋落する醜く、見すぼらしい姿を現している。北韓の主導権が、一時的なものでなく将来にも継続される事をしめしている。即ち、2018年の北・米首脳会談や、米国の韓米連合訓練の取り消しなどが、一時的で偶然的な現象ではないと言う事だ。朝鮮半島秩序の根本的変化は、韓国社会にも直接的な変化をもたらした。
最後に、北韓が、大韓民国国民の心に接近(アクセス)する事で相当な能力を見せてくれている。もし、北韓が、朝鮮半島の秩序を主導しながら覇権的な姿を見せた場合、韓国国民の警戒心を育てる事になるだろう。しかし、北韓は、自分の力を誇示することなく、(韓国国民に対し)尊重と配慮で一貫している。これによって、韓国国民の対北朝鮮認識が、肯定的に変化した。
このに、北韓の力が大きく成って、朝鮮半島の秩序が変わり、親米・親日・保守積弊が繰り広げる論理の前提条件が全て崩れ、これによって、政治地形も変化したのであり、民主改革勢力の大勝利につながった。韓国社会の民主改革勢力の発展は、北韓の成長・発展と、照応しているのである。


(2)国民の主権意識の成長と良識

保守積弊勢力は、総選挙で勝つために手段を選ばなかった。しかし国民は、揺るがなかった。選挙直前の最後の週末にあった、未来統合党の、所謂‘n番部屋暴露’ハプニング(訳者注―成年者を含む一般的な女性を対象に性搾取映像を脅迫して撮り、当該映像をテレグラムの秘密チャットルームで販売している残忍な行為が摘発されたが、それを<未来統合党>が、民主改革勢力に対する政治的企みに利用しようとした事件が破綻した事を指す。)も、民主改革陣営で事前警告を通して、<未来統合党>の工作を完全遮断しながら、防ぐことが出来た。
国民は今、ニュース、放送に出てくる事や、検察が発表する事から、真実を見分ける眼を持つ事となった。国民の主権意識が成長して、良識が大きく成ったことも、運動場が逆に傾いた事と連結される。これまでは、親米・反北論理が、社会全般に沸き上がったので、ひたすら、親米・反北の視角だけであらゆる事柄を見なければならなかった。だから、当然の事に、真実を見分ける事が困難だった。しかし、親米・反北論理が力を失い、真実を見る眼も覚めた。
既存の手段と方法が通じないので、保守積弊勢力は無理強いを始めた。だからもっと容易く真実が暴露された。代表的なものがチョ・グク(゙国)事態だ。(訳者注―ムン・ジェイン政権の<検察改革>を担って、法務部長官に任命されたチョ・グクを巡る、検察との対立抗争事態を指す。)
最初に、保守積弊勢力は、チョ・グク(゙国)長官を社会主義者として攻撃した。ファン・ギョアン(黄教安―かって、パク・クネ大統領が逮捕された後、暫定首相を務め、現在は、未来統合党代表、訳注―今回の総選挙で落選した)は、‘ミスター国家保安法’と言う自分の別名(ニックネーム)に相応しく、“国家転覆を夢見る組織に携わる人間が、法務部長官の席に座ると言うのは、まったく、話にもならない”と攻撃した。
過去、こうであれば、この程度の攻撃をすれば国民が動揺し、簡単に落馬させる事が出来たであろう。しかし、チョ・グク(゙国)長官が、自ら“私は社会主義者だ”と話したにも拘わらず、‘セッカ論’(軍事政権の下で、政権批判勢力を<赤呼ばわり>して国民を動員した)に、国民は惑わされなかった。
政治地形が変わっていたのだ。慌てた保守積弊勢力が、あたふた取り出したのが‘表彰状事件’(訳者注―「入試不正にかかわる私文書偽造」に関与したと主張する、チョ・グク(゙国)長官に対する検察の攻撃を指す。)だ。ここから無理数が始まったが、国民は本質を見抜いた。

(3)コロナ19の影響

韓国社会を 席捲したコロナ19事態が、総選挙に大きく影響を与えた事は事実だ。そうであっても、民主改革勢力に有利に作用したのか、保守積弊勢力に有利に作用したのかについては、多様な立場が存在する。
一旦、コロナ19事態の徳を得たのは未来統合党だ。前述した様に、今回の未来統合党の公薦波動は、2016年よりもはるかに深刻だった。10倍はもっと深刻だった。しかし、コロナ19事態に埋もれて大きく浮上しなかった。未来統合党の立場では、自分の恥部を表さず、比較的静かに越えることが出来たのだ。
ムン・ジェイン大統領と与党にとって、コロナ19は、明確な悪材料だった。一度伝染病が広がり、これで経済が委縮すると、政府与党に打撃が行くのは当然である。米国や日本でコロナ19が拡散され、政府が打撃を受ける事と同じだ。未来統合党は、コロナ19事態を口実に、全方位的な攻勢を繰り広げ、ムン・ジェイ大統領と民主党を苦しめた。
それにも拘らず、コロナ19事態が民主改革勢力に、有利に作用したと感じる理由は、政府が対処を良くし、成果をだし、国民に好い評価を受けたからである。即ち、元来、与党に不利な悪材料が押し寄せるが、対処(取り組み)を良くして賢く克服したと見るのが正しい。
ムン・ジェイン政府が、コロナ19事態を良く対処出来た要因が重要である。未来統合党は,政治的に有利・不利を計算し、総選挙に利用する工夫をするなど、コロナ19事態を政争の道具として使用した。しかし、ムン・ジェイン政府は、政治的有利・不利を問わず国民の生命と安全を守と言う観点から、コロナ19事態に対処した。
恐らく、選挙の為に、確定者数を縮小しようと言う誘惑もあったであろう。今、日本の安倍政権がそのようにしている。しかし、非難を受けても防疫に全ての力を集中する姿を見せた事に、国民は真正性を感じる事が出来た。ムン・ジェイン政府の相当な発展した肯定的な様相を見ることが出来る。(そのDに続く)
                                                         (訳 柴野貞夫)