(韓国ヨンハップ通信 国際速報 2013年5月17日付)http://www.yonhapnews.co.kr/northkorea/2013/05/16/1801000000AKR20130516211351014.HTML
キム・ヨンナム(金永南)・最高人民会議常任委員会委員長が飯島勲・特命担当大臣官房参与と面談
△写真上 (ソウル=ヨンハップニュース)朝鮮、キム・ヨンナム(金永南)最高人民会議常任委員会委員長が、飯島勲・特命担当大臣官房参与と面談したと、朝鮮中央TVが16日報道した。
●日朝対話の実務責任者、ソン・イルホ(宋日昊)が参席。拉致問題・植民地賠償問題が論議された模様。
(ソウル・トウキョウ=ヨンハップニュース)ユン・イルゴン記者、ジョ・ジュンヒョン特派員
キム・ヨンナム(金永南)最高人民会議常任委員会委員長が16日、北朝鮮を訪問中の飯島勲特命担当大臣官房参与に面談したと朝鮮中央TVが報道した。
朝鮮中央TVは、“キム・ヨンナム同志は16日、万寿台議事堂で、日本安倍内閣危機管理特別参与・飯島勲らに会って談話をした。”と伝えた。しかし議論の内容は明らかにしなかった。
この席には、日朝対話の実務責任者である、ソン・イルホ(宋日昊)日朝国交正常化交渉担当大使が同席したと、共同通信が伝えた。
△写真上(ソウル=ヨンハップニュース)ソン・イルホ担当大使が、キム・ヨンナム−飯島面談に同席。この日の面談では、ソン・イルホ朝鮮外務省国交正常化担当大使(赤○中)が同席した。写真は、ソン・イルホ大使がキム・ヨンナム委員長と飯島参与の話を静聴している様子。
●双方は、日本人拉致被害者問題、植民地賠償を含む日朝国交正常化などについて、意見を交換した事が分かった。
日本のメディアは、北韓の名目上‘序列2位’で、北韓・金正恩政権の首脳−金常務委員長が、拉致被害者問題について、一部変化した態度を見せたのかに、注目している。金常務委員長は、昨年10月に媒体のインタビューに、日本人拉致被害者問題が‘既に解決された’とし、日本が自国民の拉致被害者問題を取り上げる前に、日帝時代の朝鮮人の苦しみにある種の措置を取るよう要請している。
●朝鮮キム・ヨンナム、日本の内閣人士に面接
△写真上 (ピョンヤン朝鮮中央通信=ヨンハップニュース)北韓キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長が16日、飯島勲日本特命担当大臣官房参与に面談したと、朝鮮中央通信が報道した。
朝鮮中央通信はこの日、飯島一行が、平壌民族公園、ヌンラ・イルカ館、人民屋外スケートリンクなど、ピョンヤン市内の各所を見て廻ったと伝えた。
安倍晋三首相の諮問役である飯島参与は、14日高麗航空便でピョンヤンに到着し、15日には北韓最高位級外交担当者であるキム・ヨンイル労働党国際秘書と面談した。彼は17日までに北韓での日程を消化した後、18日に北京を経由して帰国することが分かった。飯島参与は、小泉一郎内閣当時、約5年間、首相秘書官を担当した人で、2002年と2004年にピョンヤンでおこなわれた1、2次朝日首脳会談に関与した。
(訳 柴野貞夫 2013.5.17)や
<訳者解題>
17日夜、ピョンヤンから北京空港に戻った飯島勲氏は、記者団に対し「有益且つ真摯な話合いが出来た」と語った。安倍が朝鮮政府との間で、何を目的に交渉に臨んだのか、朝鮮側が飯島氏を受け入れた真意はどこにあるのか。
朝鮮政府は、飯島氏を迎え入れた5月15日、かれの訪朝に合わせるかの様に、 「日本の罪悪の歴史は、覆い隠してしまうことは出来ない」と題して、5月15日付・労働新聞署名論文で、労働新聞の「論評」署名論文−で、日本政府に対し、つぎの様に指摘している。
「日帝強占統治時期とそのごの時期、朝鮮人民が受けた精神的、人的、物的被害は、古今東西どこにも類を見ない最大最悪のものだった。日本は当然、朝鮮人民の前に犯した国家的犯罪に対し、謝罪し賠償をすべきだ。」「性奴隷の問題に関連して、強制性を論証する十分な事実と証拠が不足しているとか、歴史学者が論ずる学術上の問題だのと言う妄言が飛びだしている。」
「日本の過去清算問題は、いかなる実務的問題でなく、其れは反人倫的罪悪を清算するための政治的・道徳の問題であり、国際法的問題だ。それは罪悪に満ちた過去の教訓を振り返り、新しい出発をしようとする意思があるのか、ないのかを分ける試金石ともなる。」と。
飯島氏は、日本へ帰朝後、朝鮮政府に対し“拉致問題の解決がない限り、前へ進むことはできないと申し上げた”と語った。しかし、“それ以上の事は言えない”とも語った。
安倍政権が、日本帝国主義のアジア侵略戦争を、「侵略の定義は明確でない」とか、「従軍慰安婦は強制されたものではない」として全面的な正当化をもくろみ、「日朝ピョンヤン宣言」の履行を踏みにじる限り、飯島勲氏の訪朝は、何の成果も生み出さないだろう。
社会主義朝鮮が、米・日を始めとする帝国主義列強の核威嚇の下で、その一翼の安倍帝国主義政権と、軍事的衝突でなく、外交的交渉を公式に行ったことは、社会主義朝鮮の防衛にとって決してマイナスではない。しかし、社会主義朝鮮が、帝国主義列強の侵略的包囲網のなかで、その同盟の一角である帝国主義日本と武力ではなく、「外交的取引」をすることは、ロシア革命におけるソビエト権力防衛のための、レオン・トロツキー外相のブレストリトフスク条約締結の歴史を見るまでもなく必要なことでもある。とは言え、社会主義朝鮮は、原則をはずした「外交取引」はしないだろう。
われわれは、社会主義朝鮮の安倍帝国主義政権に対する外交的勝利への道筋を支持するものである。今日まで朝鮮政府は、日帝の植民地支配に対する明確な責任の履行を、まず日本政府が果たす事をもとめてきた。日本の国家的犯罪行為の清算が不問にされたまま「拉致問題」を提起することは、日本の朝鮮侵略と重大な国家犯罪の正当化の目論見だ。安倍は飯島勲氏に「日朝ピョンヤン宣言」の履行に繋がる交渉を行う為にピョンヤンに向かわせたのか、国交正常化に向かう交渉の道筋を託したのかが問題である。
今、このピョンヤン宣言の履行を、10年以上にわたって無視して来た日本政府の歴史責任が問われている。
<参考>
☆ 論考「ピョンヤン宣言の履行を10年間も放置する事を正当化する如何なる理由もない」(2012年9月17日)
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