(「朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行を、これ以上してはならない」 朝鮮中央通信 2017年5月3日付 署名論文)
http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf(5月3日付朝鮮中央通信)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=igisa2&no=1132886&pagenum=1(5月4日付労働新聞)
朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行を、これ以上してはならない
米国のアジア太平洋支配戦略の基本目標となった中国の為に、反米決戦の第一線で70有余年戦ってきたのは、我が国である事を忘れてはならない。
金哲(キム・チョル)
《人民日報》と《環球時報》は、道理と分別を失った言辞を休みなく吹聴している
最近、我々の核保有を巡って、米国とその追従勢力達が強行する、反共和国制裁と軍事的圧迫騒動が限界を超えて、朝鮮半島情勢が刻一刻先鋭になっている事に対する、内外の懸念は非常に深刻である。
しかし,米国が、騒がしく休みなく吹く、脅威恐喝と戦争轟音に,心臓が縮み上がって行く為なのか、身体のでかい隣国で、道理と分別を失った言辞が連日出てきて,現事態をさらに緊張局面に追い込んでいる。
中国の党と政府の公式的立場を代弁することで広く知られた《人民日報》と《環球時報》が、紙面を惜しまないで溢れ出す文章が、その代表的な実例だ。
最近も《人民日報》と《環球時報》は、多くの編の論評で、我々の核保有が、彼らの国家的利益に対する脅威になると騒ぎ立て、中朝関係の悪化の責任を我々に全的に転嫁し、米国の拍子に乗せられた卑劣な行為に対し、様々に弁明して乗り出した。
諸論評では、朝鮮が、中国国境から100キロもないところで、核実験をしながら《東北地域の安全を脅かしている。》とか、我々が東北アジア情勢を刺激して、この地域に対する米国の《戦略的配置を強化する口実を提供》したとか言って騒いだ後に、我々の核保有に反対しているのは、米国と中国の共同利益であり、彼らに危険をもたらす戦争を避けるためにも、我々に対する制裁を強化しなければならないと、しどろもどろだ。
我々の核問題に、米国をはじめとする敵対勢力に劣らず拒否感を示し、血で開拓され、強固発展されてきた朝中関係を、一気に崩していることに対して、我々は激怒を禁じ得ない。
更には、中朝関係の主導権が,自分たちの手に握られており、我々が中国との軍事的対立を望まないなら、《長期間の孤立と、又他の国家安保の道》の間で、中朝親善と核放棄の中のいずれか一つを選択せよと言う、極めて挑戦的な妄言も躊躇しなかった。
これは、主権国家としての我が共和国の、自主的で合法的な権利と尊厳、最高利益に対する重大な侵害であり、親善の長い歴史と伝統を持った善良な隣国に対する露骨的な脅威だ。
我々は今日に来て、内外が公認する核保有の不可避性と、平坦でなかったすべての過程について、わざわざ改めて説明する必要を感じない。
ただ、自分たちと全く関係もない我々の核問題に、米国をはじめとする敵対勢力に劣らず拒否感を示し、不当千万な役割をして、血で開拓され,年代と世紀をつなげて,強固発展されてきた朝中関係を、一気に崩していることに対して激怒を禁じ得ない。
中国の一部で、ともすれば主張する、東北3省の《核実験の被害》について言えば、何ら科学的根拠も妥当性もない出鱈目な主張だ。
国家の戦略的利益を重ねて侵害されてきたのは、我々朝鮮民主主義人民共和国だ
5回にわたった我々の核試験は、徹底した安全担保下にすすめられたのであり、核実験場近くに住んでいる我が住民たちも、核試験以後,どんな被害も受けた事がない。
米国が、核物質の捕集装備を備えた最先端情報手段を動員して、我々の核試験の過程を綿密に観察したが、クセノンをはじめとし、極めて微細な量の放射性物質も捕集しなかったことについては中国自身がもっとよく知っているはずだ。
この厳然たる事実を歪曲し、東北三省の、その所謂<被害>を騒ぐことは、我々の核高度化を喜ばない、中国の内心だけをそのまま表して見せるだけだ。中国の政治家たちと言論人たちが、何かあると取り上げる、所謂《国家的利益の侵害》と関連するなら、むしろ我々が、言いたい事がもっと多い。
相手の信義がなく、背信的な行動で国家の戦略的利益を、重ねて侵害されてきたのは、決して中国ではなく、我々朝鮮民主主義人民共和国だ。
南朝鮮傀儡たちの反共和国前哨基地に転落させた罪過
我々の社会主義制度を取り壊すのだと、極悪無道に暴れる南朝鮮傀儡達と外交関係を締結し、純粋な経済交流の限界を抜け出て、政治、軍事的関係にまで深化させながら、東北三省はもちろん、中国全域を反共和国の前哨基地に転落させた罪過を、何と言い訳することが出来るのだろうか。
今、アムロクガン(鴨緑江)、トマンガン(豆満江)流域を、はじめとした朝中国境沿線で、宗教人、企業家の仮面をかぶった、色とりどりの傀儡国家情報院の要員達と犬(手先)らが暗躍しながら、毎日の様に、我が共和国に反対する謀略と陰謀、拉致とテロ行為を公然と強行している事に対し、中国は当然、責任を持たなければならない。
更には、万人の指弾の中で権力の座から追い出されて,監獄の鬼神になって行っているパク・クネの様な人間の屑を、天安門広場の主席壇にまで上げて立たせ、これ見よがしに,あらゆる卑劣な行為を躊躇(ためら)うことなくして来た事も、我々は、はっきりと記憶している。米国のアジア太平洋支配戦略の基本目標となった中国の為に、反米決戦の第一線で70有余年戦ってきたのは、我が国である事を忘れてはならない。
中国の一部論者達が、我々の核保有が、北東アジア情勢を緊張させ、この地域に対する米国の戦略的配置を強化する役割を提供すると言う、とんでもない詭弁を並べているが、米国のアジア太平洋支配戦略は、我々が核を持つ遥か以前から、稼動されたのであり、ずっと前から、その基本目標は、他でもなく中国だった。
むしろ、70有余年もの間、反米対決戦の第一線で厳しい戦いを繰り広げ、米国の侵略的企図を挫折させ、中国大陸の平和と安全守護に寄与したのが、果たして誰かに対して、率直に認め、我々に感謝するという挨拶からしてこそ、当然である。
朝鮮と中国は、本来、先代の首領たちが、共同の偉業のための闘争の道で、赤い血で旗を染め、共に親善の情を築いてきた特別の戦友の国、兄弟の国だ。朝中親善の伝統的関係が,当時、各国の利益に合致した為だと,敢えて罵倒する無知蒙昧な中国の一部政治家と、言論人達は、歴史の本質を正しく知らなければならない。
朝鮮と中国は、地政学的に密接に関連された隣国であるだけでなく、先代の首領たちが、共同の偉業のための闘争の道で、赤い血で旗を染め、共に親善の情を築いてきた特別の戦友の国、兄弟の国だ。
抗日大戦と抗米戦争は、朝中現代史で、こぞって、消せない英雄的叙事詩で刻み込まれており、朝鮮と中国の子どもたちは、その苛烈凄絶な戦場で、国籍を超えた私心のない犠牲や献身に友愛を厚くした。波風余る20世紀渦巻く世界政治の真っ只中でも、両国は社会主義の旗印を守護して、自主権を守ることから意思と力を合わせてきた。
朝中関係の《赤い線》を越えた中国の妄動
我々は、朝鮮の利益だけの為に、中国革命をそれほどまでに献身的に助けて、莫大な被害を甘受してまで、中国の党と政府が困難に直面する毎に、誠心誠意支援したのではない。これについては、朝中間にあった過去の秘話を、敢えて再び公開しなくても、少しでも常識と理性がある人であれば、良く知っている事だ。
しかし、このすべてを故意的に伏せておいて、破廉恥にも、米国が叫ぶ《国際社会の一致した見解》というものをそのまま倣って覚えながら,反共和国敵対勢力と味方になって、我々を犯罪者として追い立て、残酷な制裁遊びにぶら下がるのは、朝中関係の根本を否定して、親善の崇高な伝統を抹殺しようとする容認できない妄動に他ならない。朝中関係の《赤い線》を、我々が越えたのではなく、中国が乱暴に踏みにじり、ためらわずに越えている。我々両国の間の《赤い線》は、そのどんな場合でも、相手方の尊厳と利益、自主権を侵害しないものだ。
尊厳と生存権までも犠牲にする、中国の傲慢な大国主義的論理
我々にとって、核は尊厳と力の絶対的象徴であり、最高利益だ。我々は、世紀と年代を続けて、我々の思想、我々の制度、我々の尊厳を奪って、踏みにじろうとする、世界最大の核列強である米国の侵略と脅威から、祖国と人民を死守するために核を保有しており、その自衛的使命は今後も変わりがない。
それにもかかわらず、我々が核を放棄しなければ、強力な経済制裁はもちろん、軍事的介入も辞さないと言うのは、彼らの利益のためなら、我が朝鮮の戦略的利益は無論、尊厳と生存権までも当然犠牲にされなければならないと言う、極めて傲慢な大国主義的論理に過ぎない。
それが誰であれ、国家の存立と発展に向けた我が国の核保有路線を、絶対に変化させることも、揺るがす事もなく、中朝親善がいくら大切なものとしても、命のような核と交換してまで、物乞いする我々ではないと言う事を、はっきり自覚しなければならない。
一部で、その誰かの助けがなければ、我々が生きることはできず、制裁の手綱を少しだけ引き締めれば、手を上げて関係修復を物乞いすることを期待することこそ、愚かな計算に他ならない。
我々の生存の源泉と土台は、我々の土地、我々の空、我々の資源であり、不撓不屈(ふとうふくつ)の精神力を持つ、偉大な人民が、休むことなく噴出させる尽きる事のない自強力だ。
中国はこれ以上無謀に、私たちの忍耐の限界を試験しようとしてはならない、現実を冷静に見て、正しい戦略的選択をしなければならない。
既に最強の核保有国になった我々にあって、選択の道はいろんな筋だと言うことを、この時刻、あえて再論する必要を感じない。ユーラシア大陸の関門に位置している朝鮮半島の地政学的重要性と戦略的価値は日増しに上昇しており、核強国の戦列に堂々と入った平壌(ピョンヤン)に向かう道は、全世界に伸びている。
中国はこれ以上無謀に、私たちの忍耐の限界を試験しようとしてはならない、現実を冷静に見て、正しい戦略的選択をしなければならない。
南朝鮮に対する米国の《サドゥ》の配置を食い止めたいと、国連安全保障理事会の不法無道な対朝鮮《制裁決議》採択に手を挙げて、東北3省の経済的被害まで甘受し、我々に対する制裁に乗り出したが、得たのは果たして何なのか。 ありとあらゆる非難を全部挙げながら、米国に譲歩して追従したが、南朝鮮には,中国を狙った刀である《サドゥ》が,真夜中に奇襲配置されて、まことに《愚かな巨人》をあざ笑っている。
米国の力に抑えられて、自分の考えも立てられず、目前の利益に目がくらみ、数十年間続いてきた兄弟の友情さえも、弊履のごとく捨てたら、結局は誰の信頼も受けない哀れな身になって、四方から怒りが押し寄せることを肝に銘じなければならない。
中国は、朝中関係の柱を切り倒してしまう、今日の無謀な妄動がもたらす重大な結果に対し、深く十分に考えるのが良いだろう。(終り)
(訳 柴野貞夫 2017年5月5日)
(訳者注)
「社会主義国家」を標榜する中国共産党は、現在、その体制崩壊を狙われ、核侵略戦争の攻撃に晒されている朝鮮民主主義人民共和国を、自国の民族的利益の生贄にしている。中国は、世界資本主義市場に両足を突っ込み、米帝国主義との政治的妥協の度合いは、「社会主義国家」としての「国際主義」とは程遠い。
極東アジアで軍事的緊張を高め、経済的・政治的覇権を追求する日・米帝国主義を牽制するうえで、朝鮮半島の平和と朝鮮国家の無条件擁護は、中国国家と中国共産党の階級的歴史的義務である。米帝国主義の朝鮮に対する野放しの侵略策動が朝鮮の核武装を必然化した。それは、南朝鮮の資本主義的政治勢力との無節操な妥協と、国連を舞台とする米帝国主義の対北敵視政策を、野放しにして来た「安保常任理事国」としての中国の責任である。朝鮮に対する、中国の「国際的義務の放棄」こそが、米帝による第2次朝鮮戦争策動を手助けしているのだ。
国内に、資本家階級の拡大と国営企業の後退、そして、その政治的勢力の台頭は、中国社会での階級的闘争の激化を生み出している。中国共産党の朝鮮国家への反階級的政策は、その国内の階級闘争の反映であるが、朝鮮国家を取引道具に使い、自国の民族的利益を優先させる現中国共産党の方針はその内部対立を誘発し、必ずや、自分たちの政治的基盤の崩壊に導くであろう。
<参考サイト>
以下の論考、<中国は、どこへ行く / 政治革命と反革命の分かれ道>1〜4は、今日の中国社会の政治的危機を理解する上で、その一助となるに違いない。
☆255 中国は、どこへ行く / 政治革命と反革命の分かれ道 <1> (韓国・労働解放実践連帯 2010年1月14日付)
☆256 中国は、どこへ行く / 政治革命と反革命の分かれ道 <2> (韓国・労働解放実践連帯 2010年1月14日付)
☆258 中国は、どこへ行く / 政治革命と反革命の分かれ道 <3> (韓国・労働解放実践連帯 2010年1月14日付)
☆259 中国は、どこへ行く / 政治革命と反革命の分かれ道 <4> (韓国・労働解放実践連帯 2010年1月14日付)
☆532 国連による対北制裁は朝鮮の‘悪魔化’から始まった韓国・プレシアン 2016年4月25日付)
☆論考/国連安保理の役割と、朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁 (2012年3月31日)
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