(世界の新聞/ 社説 韓国・ミンプラス 2019年1月21日付)
http://www.minplus.or.kr/news/articleView.html?idxno=6748
第2次朝米首脳会談は米国が相応の措置を出さなければならない時だ
【要約】
●第二次朝米首脳会談は、過去数ヶ月間の足踏み状態を克服し、朝米関が新しい段階に入るのか、否かを決定する重要な会談である。
●しかし、米国には、依然として二重的主張がある。対北交渉目標が、 現実的に調整されているという気流が感知される一方で、覇権論理と強硬論理が、依然として澎湃している。
●米帝国主義者達は、自分達が伝家の宝刀の様に考える対北制裁も、朝・中関係改善と、南北関係の画期的前進で、その寿命は終わっていると言う事を、直視しなければならない。
●朝米関係が新たな段階に入るには、終戦宣言と制裁解除が遂げなければならず、一時的に中断されている韓米連合訓練を永久停止しなければならない。
●朝米会談進捗の可否は、北ではなく、米国の態度にかかっている。
▲18日(現地時間)、ホワイトハウスで、キム・ヨンチョル朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長がトランプ米国大統領に会って、金正恩朝鮮国務委員長の親書を伝達している。 [出処=ホワイトハウス]
【本文】
先週末、キム・ヨンチョル、朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長は2泊3日間、米国ワシントンを訪問し、朝米間の2次首脳会談を2月末に開催することで合意した。 場所は、ベトナムが有力であると分かった。
キム・ヨンチョル副委員長一行は、トランプ米大統領にキム・ジョンウン国務委員長の親書を伝達し、ポムペオ国務長官と高位級会談を開き、米CIA局長とも別途に会った。チェ・ソンヒ朝鮮外務次官とスティーブ・ビーガン対朝鮮政策特別代表は、19日からスウェーデンのストックホルムで実務協議を進行中だ。
2月末、2次朝米首脳会談を開くことを確定したことは,大きな前進だ。 2次朝米首脳会談は、過去数ヶ月間の足踏み状態を克服し、朝米関係が、新たな段階に入るのか、入らないのかを決定する重要な会談である。
問題は、米国がどのような相応措置を打ち出すのかである。 最近、米国内の信号は二重的である。まず一方では、米国の対北交渉目標が、 現実的に調整されているという気流が感知される。ポムペオ米国長官は11日、フォックスニュースとのインタビューで、“米国人に対する脅威を、どの様に引き続き減らしていくのか?”について、“朝鮮との対話で、進展を遂げている”と発言した。米下院外交委員会アジア太平洋小委員長ブラッド・シャーマン民主党議員は、18日、‘米国の声’との、インタビューで、“(朝鮮が)制限された数と、そして高度の監視を受ける武器を持つ事として、ミサイル技術関連のプログラムを凍結するように出来れば、米国はより安全になる事が出来ると考える。”と明らかにした。一言で云えば、“米国の安全”が先ず優先であり、そのためには、北のICBM凍結と廃棄を当面の目標として掴み、非核化問題は、次の順位に回すという趣旨である。
他方では、対北交渉で、覇権論理と強硬論理が、依然として澎湃(ほうはい)たる気運だ。第2次朝米首脳会談の成果の可否は、“北が、核リストを何れ程出すのかに掛かっている”とか、“具体的な非核化措置が出なければならない”と言う主張が連日出ている。今回は、“《非核化》の概念について、米国と国際社会が考える方向に向かって、明らかにしなければならない”と言う主張も相変わらずだ。
セラ・ハッカビーサンダース、ホワイトハウススポークスマンは、キム・ヨンチョル副委員長とトランプ大統領の面談が終わった後、声明を通じて、“会合が生産的だった”としながらも、“最終的で、完全に検証された非核化(FFVD)を見るまでは、北に対する圧迫と制裁を継続するであろう”と、再び強調した。
米国が、対北協議で、核廃棄を先に立てるのか、ICBM廃棄を先に立てるのかと言う事が重要な事ではない。朝米関係が新たな段階に入るには、終戦宣言と制裁解除が遂げなければならず、一時的に中断されている韓米連合訓練を永久停止するとともに、金剛山観光と開城工業団地の再開を支持する立場が必ず出なければならない。
米国が6.12北米共同宣言で明確にした(朝鮮)半島の非核化を「北の非核化」と一方的に解釈し、対北圧迫と制裁を継続するという立場からの変化がない限り、足踏み状態である北米関係が変わることはない。
米国は対北交渉で、自分が出した分だけしか、受け取るものはないだろう。
現在メディアの報道に出てくるように、南北が9月に平壌共同宣言で言及した寧辺の核施設の恒久的な廃棄などの追加措置に相応し、米国が、対北人道的支援の再開、相互連絡事務所の開設、終戦宣言水準の措置をとる程度では、第2次朝米首脳会談が成功裏になるには、難しいと見なければならない。
この程度の(米国の)措置は、北の立場から見ると、寧辺の核施設の廃棄に準ずる等価交換ではないと判断する可能性が大きく、金剛山観光と開城工業団地の再開という当面の懸案を解決する立場からでも、ずいぶん距離が遠いからである。
何よりも重要なのは、米国の対北交渉態度である。 北は“信頼関係を基調として”米国が相応の措置を取れば、‘どんなことも出来る’と言う事を、1、2回明らかにしなかっただろうか。2018年7月に、北外務省スポークスマン談話でも“我々は、米国側が、朝米首脳対面と会談の精神に沿って、信頼情勢に役立つ建設的方案を持ってくると期待しながら、それに相応した何かをしてくれると言う考えもあった”が、米国が強盗的要求だけをしたと指摘した点も、そうであり、今回のキム・ジョンウン委員長の新年の辞で、核兵器に対し、“造る事も、試験する事も無く、使用する事も拡散する事もないだろう”と強調し、“幾つかの実践的措置もとって来た”と、確認した事について見ても、朝米会談進捗の可否は、北ではなく、米国の態度にかかったことを確認することができる。
特に米国は、金正恩委員長が、2019年新年の辞で“昨年、急速に進展した北南関係の現実が示すように、一度しようと決心さえすれば出来ない事はないのであり、対話相手側が、互いの固執的な主張から,おおらかに抜け出し、相互に認め合い、尊重する原則で、公正な提案を出して正しい交渉姿勢で、問題解決の意思を持って臨めば、必ず、互いに有益な終着点に届くことになるだろう。”と明らかにした点に留意しなければならない。
“同盟の価値”を、より重視しなければなら言いながら、対北交渉の基調を、先非核化(米国は、自らの核保有には手を付けず、朝鮮に対して一方的な核放棄を
主張する事)要求で追い込んで行こうとする米帝国主義者達は、自分達が伝家の宝刀の様に考える対北制裁も、北・中関係改善と、南北関係の画期的前進で、その寿命は終わっていると言う事を、直視しなければならない。
米国が、ただひたすら、既に破綻した北制裁固守にしがみ付いて、《先非核化》論理だけ前面に出しながら、何も与える事無く、<北の善意的な先行措置>を受け取るだけなら、日増しに米国の選択肢はますますなくなる事になるだろう。
米国は《先非核化》を捨て、ICBM廃棄交渉にしがみ付きながら喚き立てる分断積弊勢力もまた、軽挙妄動してはならない。汚れた既得権を守るために、過去の罪に加え、民族の現在と未来まで売り飛ばす犯罪行動を,これ以上、国民が座視しないからである。
仲裁的立場に立っているムン・ジェイン政府の役割も重要である。 イ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長が、朝米実務会議場であるスウエーデンに共にしているが、その分、中途半端な機械的仲裁ではなく、開城工業団地の再開と金剛山再開は南北の合意であり、今回の第2次、北米サミットで必ず可能な条件を形成しなければならないと強く主張し説得しなければならない。
(訳 柴野貞夫)
<関連サイト>
☆朝米協議の障害は、朝鮮半島の非核化に対する、米国の誤った認識にある(朝鮮中央通信 2018年12月20日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_668.html
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