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(世界の新聞/朝鮮中央通信・論評 2018年1220日付)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=ugisa1&no=1164235


  朝米協議の障害は、朝鮮半島の非核化に対する、米国の誤った認識にある


古い道で、障壁にぶち当たるより、新しい道を探すのが良いだろう


[要約]
年が暮れるこの時期まで、シンガポール・朝米共同声明の歩みが、出発点に留まっているのは不快な現実である。
朝米協議の障害は、米国が、《朝鮮半島の非核化》と言う大きな概念を、《北の非核化》と言う部分的な概念と同一視している事にある。
米国は、国際関係の法的基礎となる合意文書の核心的語句さえ我田引水的に“誤読”し、朝米関係に対する世上の正しい判断を妨害している。
我々が《朝鮮半島》と言う時、我が共和国の領域とともに、米国の核侵略武力が展開されている南朝鮮地域を包括し、《朝鮮半島の非核化》と言う時、半島を狙う周辺からの、あらゆる核の脅威の要因を除去する事を意味する。
我々はシンガポールで、《朝鮮半島の非核化の為の共同の努力》と言う約束を守り、主導的で善意的な非核化措置を取って来たが、米国は、約束の履行をしないどころか、もっと多くの措置を実行せよと、鉄面皮に主張している。
そもそも、非核地帯であった朝鮮半島に、大量の核兵器を持ちこみ、我々を絶えず核で威嚇して来たのは米国だ。我々の核抑止力を取り除く前に、《朝鮮に対する、米国による核の脅威を完全に除去する事》が、《朝鮮半島の非核化》の核心である。
&今日まで、米国の核威嚇と制裁の中で苦境を乗り越えて来た我々は、百年であれ千年であれ、制裁が加えられてもびくともしない。
今、朝鮮半島の非核化に対する真正性が問われているのは、我々ではなく米国に他ならない。

[本文]

シンガポール・朝米共同声明の歩みが出発点に留まっているのは、どこに原因があるのか
成功と失敗、進退と沈滞、期待と不満が交錯した2018年の年輪が最後の回転を刻んでいる。 この年、惑星の最大の関心事、人類を最も興奮させた特大事変は、断然、朝米関係の劇的逆転であった。 去る612日、地球上で最も敵対的だった朝米両国の首脳が、シンガポールで手を握った《世紀的な握手》と、朝米共同声明の発表は、《強力な平和のメッセージ 》、《人類に抱かせた祝福》として、世人の熱狂を呼び起こした。
それから6ヶ月が経った今、朝米関係の現状はどうだろうか。シンガポールで、勢い良く歩み出た最初の一歩に続き、何度かの高位級会談が開かれたにも関わらず、一年が暮れるこの時刻まで、出発点に留まっているのは不快な現実である。朝米協議の障害は、いったい何なのか。 果たして、何が間違っており、原因はどこにあるのか。
一年を終わりにする場で、朝米関係が膠着した原因を明白に究明し、教訓を探すなら、新しい年に入っても、新しい動力を準備するのに手助けとなるかも知れない。朝米関係に対する、米国の理解できない言行と、協議の過程での納得し難い扱いについて、具体的に分析考察する過程で、我々は,絡んだ結び目の違いを探すこととなった。
それは即ち、朝鮮半島の非核化に対する、米国の誤った認識である。 言い換えれば、《朝鮮半島の非核化》という大きな概念を《北の非核化》と言う部分的な概念と、同一視した事に問題があるのだ。

米国は《朝鮮半島の非核化》を《北の非核化》だと言い、世人の正しい判断を妨害している
朝米首脳が確約し、全世界が支持賛同した6 12朝米共同声明には、明確に、《朝鮮半島の非核化》と明示されており、《北の非核化》という語句は、目を洗って見ても、探す事は出来ない。 それにも拘らず、シンガポールでの、世紀的事変に直接参加した米国務長官からが、《将にそこで、北朝鮮が、完全且つ検証可能で不可逆的な非核化を確約した。》と、乾酒酊(わざと酔ったふり)をして、しらばっくれるのだから、呆れてものが言えない。
この様に、米国が国際関係の法律的基礎となる重要な合意文書の核心語句さえ、我田引水的に誤読し、それを、これ以上論ずる余地もない公理の様に考えている事に、悲劇の出発点があると見なすべきである。
米国は、《朝鮮半島の非核化》を《北の非核化》だとして、しきりにぼやかし、看板を取り換え、朝米関係に対する世人の視角に錯覚を引き起こし、精神を混乱させて正しい判断を妨害している。
朝米協議が遅々として進まない原因が、非核化に対する北朝鮮の真正性が無い為であるとか、非核化協議の進展の為には北朝鮮の決断が必要であるとか、北朝鮮の非核化の意志を証明する事が出来る実質的な措置が出なければならないとか言ってお騒ぎしながら、その《非核化》と言うものが、《北朝鮮の非核化》であると言う事に、疑いの余地がないかの様に振舞っている。
更には、北朝鮮の非核化検証の為の査察ティームの構成であるとか、技術的準備だとか言って、“餅をくれる人、考えだにしないのに, キムチの汁を飲む音を出す”の諺の通り、相手の立場を立てるふりをしながら、自分の企みを押し付け様と画策している。
米国は、今からでも、朝鮮半島の非核化という用語の意味を正確に認識する必要があり、特に、地理の勉強から、直ちに始めなければならない。

朝鮮半島の非核化とは、あらゆる核の脅威の要因を除去すること
朝鮮半島と言う時、我が共和国の領域とともに、米国の核兵器をはじめとする侵略武力が展開されている南朝鮮地域を包括しているのであり、朝鮮半島の非核化というとき、北と南の領域の中だけでなく、朝鮮半島を狙っている周辺からのあらゆる核の脅威の要因を、除去することを意味する事に対し、まっすぐに知っておくべきである。
従って、朝鮮半島の非核化が、朝鮮と米国が共に努力しなければ、絶対に叶えられない共同の事業であることは自明の事実である。 我々は、シンガポールで、朝鮮半島の非核化のために共同で努力しようとした約束を守るために、主動的で善意的な非核化措置を取った。
それでも米国は,取り除く事(シンガポール合意で確認された「  朝鮮半島で、恒久的で強固な平和体制を構築するために共に努力する」それぞれの約束の履行義務)は一つもせず、耐えて座る我々に向かって、もっと多くの措置を取れと要求するが、その鉄面皮に,誰だって開いた口が塞がらないではないか。そもそも、非核地帯であった朝鮮半島に、核兵器を大量に集めて置き、核戦略資産の展開と核戦争演習など、我々を核によって絶えず威嚇する事により、我々に、核戦争抑止力を保有せざるを得なくした張本人が米国である。


朝鮮半島の非核化に対する、真正性を問われているのは米国
その様に考えて見る時、朝鮮半島の非核化と言うのは、我々の核抑止力を取り除く前に、《朝鮮に対する、米国による核の脅威を完全に除去する事》だと言うのが、はっきりとした定義である。
米国の核先制打撃対象の一番目の順位に上がっている我々が、そのどんな安全担保も無く、一方的に,先に核を差し出すと言うなら、それは《非核化》ではなく、無防備状態を造成するものとして、双方の核戦略の均衡の破壊と、核戦争の危機を呼んでくる事となるのは、火を見るより明らかである。
それにも拘らず、我々は、地球を何度破壊しても、残る数千個の核兵器を持つ米国は、我々に対する核攻撃地図で、点一つ変えないでいる米国に、我々の非核化の意思を、言葉ではなく実践で、実物として先制的に示した。
我々は、これに対する相応の措置として要求したのは、米国が決心するのに困難で、実行するのに厳しいものではない。対朝鮮敵視政策の終息と、不当な制裁措置解除など、事実上、米国がその気になれば、指一本動かす事無く出来る事をしろと言う事だ。
今に至るまで、半世紀以上も、米国の制裁の中で苦境を乗り越えて来た我々は、百年であれ、千年であれ、今よりももっと、制裁が加えられるとしてもびくともしない。 我々は、制裁の類(たぐい)や、痛さではなく、それが朝鮮半島の非核化のための米国の真正性を判別する試金石となるから、問題視するのだ。
朝鮮半島の非核化に対する、真正性があるのか、無いのか。 これは、米国が我々にではなく、むしろ我々が米国に投げなければならない質問だ。 米国が朝鮮半島の非核化を本気で望むなら、今のように、奇怪に振舞えるだろうか。
対朝鮮制裁と人権圧迫に執拗にこだわるのを見ると、自尊心高い我々を極度に刺激し、協議を決裂させようとするものの様で、その所謂、核とミサイル基地の“怪しい兆候”とか言う、荒唐(出鱈目)な“証拠”などを捏造し大騒ぎするのを見ると、関係改善と非核化プロセスを破綻させる口実を見つける為に、おおいに努力している様だ。


米国は、一方的な《北の非核化》という妄想を捨てなければならない
一体、米国が実際に求めているものは何なのか。朝鮮半島の非核化は、米国の全地球的範囲での核覇権の野望と、アジア制覇戦略実現に抵触すると思っているのではないか。 朝鮮半島が、実際に非核化される場合、米国の核戦略資産の朝鮮半島と地域への展開がさえぎられ、世界最大の武器市場を失うことになるのを恐れての事だ。 もちろん、我々は、世人のこの様な疑惑が、推測に過ぎないことを望む。
今、米国では、朝米協議が膠着した現状況で、非核化の解決策を見つけることは、砂漠の真ん中で、道を探すのと同じ、不確実だと言う懸念の声が響き出ている。 道が無いのではない。強権と圧迫の中での非核化、一方的な《北の非核化》という妄想を捨てれば、道が見えてくることとなる。
他の国ならともかく、我々に、《外交とは、他の暴力手段による戦争の継続》と言う、アメリカの公式を適用し、《最大の圧迫》に執着していては、災害的な結果とぶつかり合う事となるのを、痛切に悟った時こそ、初めて道が開かれる。古い道で、障壁にぶち当たるより、新しい道を探すのが良いだろう
                                              (訳 柴野貞夫)

<参考サイト>

米国はいつになったら、愚かな欲張りと妄想から目を覚ますのか(朝鮮中央通信 2018年11月2日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_660.html
米国は二つの顔で我々に向き合う事を恥ずかしいと思わないのか (ウリミンジョクキリ 2018年10月20日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_659.html
朝米対話が進捗しないのは、誰が原因なのか (労働新聞 2018年9月18日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_655.html
朝鮮外務省スポークスマン、朝米高位級会談に言及(朝鮮中央通信 2018年7月7日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_641.html