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(世界の新聞/ 激期を知らせる3つの兆候 「ミンプラス」 2021524日付)
http://www.minplusnews.com/news/articleView.html?idxno=11729


           激変期、韓半島の選択は<2>

北、反米全面抗争の準備に拍車

(1) 激変期を知らせる三つの兆候
(2) 北、反米全面抗争準備に拍車(
今回)
(3) 敵対関係に転じた北と南



▲米本土をカバーし、米帝の侵略的攻撃を無力化した朝鮮の大陸間弾道ミサイル

「世界史の行方を決する決断」を迫る北のメッセージ
昨年710日、キム・ヨジョン第一副部長は、“米国独立記念日記念行事のDVDを、必ず受け取ろうとする事に、委員長同志の承諾を受けた”と言う曖昧な内容が含まれた談話を発表した。

世間で、解釈を巡って諸説飛びかった。この談話に盛られた対米メッセージは、この談話がポンペイオ当時米国務長官が、9日、“北・米高位指導者たちが、再び集まる事を極めて期待する”として、事実上、北・米首脳会談を提案してから6時間で出て来たと言う点で、北・米首脳会談に対する答えだ。条件さえ合えば、キム・ジョンウン委員長,或いは自分が、米国独立記念日行事に参席する事もあると言うメッセージを送ったのだ。
ポンペイオの北・米首脳会談の提案は、大統領選挙を控えて、トランプに政治的危機を突破するカードが必要だったからだ。これを良く知っていたキム・ヨジョン第一副部長が、同じ談話で、“委員長が、トランプ大統領の事業に、必ず良い成果がある事を祈願すると言う挨拶を伝えてくれと仰った”と言った。トランプ再選の為には、米国の独立記念日に参席する事も厭わないと言ったのだ。
これと一緒に、キム第一副部長は、“米国は大統領選挙前夜に、未だ受け取っていないクリスマスプレゼントを受ける事が出来るのか心配なはずだから、米国の進退にかかっている”と言う話もする。‘まだ受け取っていないクリスマスプレゼントとは、北が米国の態度転換を要求し、通報した2019年末の時限(タイムリミット)を、半月控えた2019123日、リ・テソン外務省米国担当次官が、“近づくクリスマスプレゼントに何を選ぶかは、全的に米国の決意にかかっている。”と述べた事を想起させたものだ。
トランプに、大統領選挙を控え、独立記念日の行事に参席と言うプレゼントを受け取るのか、そうではなくICBM発射の様なプレゼントを受けるのかを、選択する様に圧迫したものである。トランプは、世界史の行方を決定する決断を出来なかった。北は、トランプの再選の歩みに妨害を置くプレゼントも、送らなかった。トランプ再選後の交渉余地を残したものである。


1. 北・米―非核化交渉は、完全に終わった

北・米対話の前提条件−対北敵対政策の撤回と、互いに同等な条件での交渉

トランプの落選とバイデン政権の登場で、北・米交渉の余地は完全に消えた。これはバイデン政権が、トランプ政権より対決政策を取り出すものと言う分析に基調しただけではない。長くは70年を越え、短くて90年代以降の対決と交渉を繰り返して来た北・米対決が、以前とは完全に異なる局面に進入する事を言う。90年代半ばから、2000年代後半に至る北・米非核化交渉は、自衛的核武装の為の時間が必要だった北、中東地域に力を集中しなければならなかった米国の事情、南側に平和志向的な政権の登場などが?み合った結果だ。
ハノイ会談で始められた北・米交渉に、北が米国の態度変化を期待したのか、それとも核保有国を既成事実化して、核武装強化の為の名分を蓄積する為の戦術だったのかは、正確には分からない。しかしこの過程で北は、核保有国、家としての位相(地位)を世界的に誇示した事は明らかである。そして、核能力を高度化していく事が出来る名分も蓄積した。核武装完成段階で、今後あるかも知れない米国の軍事的攻撃を霧散させたことも見逃せない。
その解釈がどうであったか、北は、核抑止力を高度化する措置に本格投入するだろう。核とミサイル試験の中断は、‘対話が進行される間’と言う端緒(てがかり)がついていた。既に、核とミサイル試験の中断は、何時でも再開することが出来る。核兵器は小型化軽量化、大量生産は無論、超大型核弾頭、戦術核兵器開発などが本格化するだろうし、運搬手段はICBMの大気圏再突入技術、多弾頭などの迎撃回避能力、核推進潜水艦の建造とSLBM能力の高度化と共に、軍事衛星発射も本格化するだろう。
重要な事は、今後、北の核とミサイル試験などが、今まで、軍事技術的準備と共に米国を交渉に引き出す為の攻勢的側面があったとすれば、今後は、核能力を高度化する方向に直進すると言う事だ。北は、過去の様な交渉は、決して無い事を明らかにした。時間稼ぎや世論形成の為の対話遊びには、応じないと言う事だ。
北が、最近、チェ・ソンヒ副部長の談話を通して、対話の前提条件として提示したのは、二つだ。対北敵対政策の撤回と、互いに同等な条件での交渉だ。一言で言えば、核保有国と核保有国間の、同等な関係正常化交渉が無ければ、どんな交渉も応じないと言うことだ。

2. 力の均衡から、力による制圧段階へ

‘反帝全民抗争’路線は、北の一貫した戦略路線
キム・ジョンウン総秘書は、8次党大会の総括報告を通して、対外政策を“最大の敵である米国を制圧し、屈服させる事に焦点を合わせるもの”である事を明らかにした。
2017年、火星12型発射の時期、キム・ジョンウン総書記が、‘力の均衡’を言った点を想起すれば、北の目標が力の均衡段階を越え、米国を力で制圧屈服させる段階に進んでいる事を知る事が出来る。
90年代以降、核武力完成に至る局面が、‘社会主義守護(防衛)期’だったとすれば、核武力完成以後、力の均衡期を越えて、力の優位を通した制圧を準備する局面に進んでいる。北は、8次党大会を通してこれを、‘社会主義革命の新しい高潮期、壮大な激変期を開く為の攻勢期’と、規定した。
北が、米国を力で制圧する路線を急に手にしたのではない。帝国主義は、決して自分の足で引き下がらず、ひとえに、全民族の力で追い出さなければならないと言う、‘反帝全民抗争’路線は、北の一貫した戦略路線だった。
しかし、8次党大会を通して確認された北の対米政策は、一般的な戦略的立場の表現だけではない。実質的な軍事力の優位を土台とした力で制圧する、反米全民抗争の準備に拍車をかける新たな段階に進むことを明らかにしたものと考えられる。
無論、キム・ジョンウン総書記は、この戦いを長期戦として見ている。交渉を通しては、どんな善意も期待することは出来ない事が確認された条件で、時間がかかっても自力で米国を制圧する道に行くと言う決心である。そして、“時間は我々の味方だ”と言うキム・ジョンウン総書記の言葉から、最終的な勝利に対する確信も感じられる。

                                                      (訳 柴野貞夫)

【関連サイト】

☆ 激動期、韓半島の選択は<1> (韓国・ミンプラス 2021年5月20日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_762.html