(民衆闘争報道<マレーシア・国際空港事件の背景>2017年3月8日)
<マレーシア・国際空港事件の背景>
米韓合同軍事演習を前に朝鮮に対する核侵略戦争を正当化する国際世論作り
柴野貞夫時事問題研究会
朝鮮に対する核侵略先制攻撃につながる米韓合同軍事演習を糾弾する
●米国は、年末から秘密裡に、600万トン以上の弾薬と装備を陸揚げしてきた。
●先制攻撃戦略と関連した爆発物(IED)除去部隊を初めて引き入れた。
●南朝鮮駐屯米軍家族と、米国市民権を持つ滞在者を、緊急避難する対策を準備している。
3月1日から4月まで同時並行で展開される二つの米韓軍事演習「キーリゾブル、トクスリ」は、あらゆる意味で、今までと異なる徹頭徹尾侵略的な、朝鮮に対する核戦争演習であり、一触即発の核戦争をうみだすかも知れない挑発行為である。演習毎に、韓国と米軍が強調してきた「年次的、防御的」演習なるものではない。
彼らはこの軍事演習の目的に、<平壌進攻作戦>、<首切り作戦>、<4D作戦(防御-Defence、探知-Detect、撹乱-Disrupt、破壊-Destroy)>なる名称をつけ、具体的目標をかかげている。その為に、米原子力空母はもちろん、原子力潜水艦、核戦略爆撃機、ステルス戦闘機など各種戦略資産が大量的に動員され、核先制攻撃計画による実働訓練を想定している。
国連憲章とあらゆる国際法を踏みにじって、二つの国家(南朝鮮・米国)が一つにつるみ、一つの主権国家を相手に、侵略戦争を公然と主張するどころか、その国家元首を名指しして、暗殺・殺戮を公言する「国家テロ」を、核兵器を動員して展開するなどと言う蛮行は、地球上の何処にも見当たらない。韓・米に、イスラム国家を野蛮な獣と批判する権利など爪の垢ほどもない。もちろん、誰それの人権を云々する資格も当然ない。
朝鮮に対し、核武力を動員して壊滅させ吸収統一しようとする、おぞましく且つ非人倫的所業を、白昼公然と喧伝(けんでん)する国家など、韓・米を除いてこの地球上に存在しない。こんな非条理な行為を、正当化することは絶対に出来ない。朝鮮に対し、米国が、先制攻撃も厭わないなどと言うことは、朝鮮民族2500万の頭上に、核爆弾を落とすと言うことだ。主権国家を冒涜し、主権国家の下で暮らし、生活する2500万の朝鮮民族の命を、虫けらの様に扱うと言う事だ。
しかし、米国は、北部朝鮮に先制核攻撃をするなどと言う事は考えない方が良い。それだけで済むと考えていると大間違いだ。
朝鮮の自衛的核兵器は、精度の高い確率で、南朝鮮と日本列島を粉砕するからだ。我々日本人は、その時になって、日本列島が米国の軍事要塞だったと言う事に気付いても手遅れだ。900万都市ソウルもテジョンも、プサンも火の海になるだろう。その責任は、自分たちにあると言う事を南朝鮮と日本の民衆は、手遅れにならない内に自覚しなければならない。
この朝鮮半島が、日帝の支配から抜け出てからも、北部朝鮮は、米国による核の恐喝を軸とする軍事的威嚇に晒され、命と暮らしを圧迫されてきた。朝鮮によって彼らが圧迫されてきたのではない。その逆だ。朝鮮は、その脅迫と圧迫から逃れ、国民の生活と平和を守ろうと、必死で彼らに平和を呼びかけて来たのではないのか。
朝鮮が、一度として、米国がその精度を高めるための原爆実験を繰り返し、大陸間弾道弾を発射し、人工衛星を打ち上げ、無数のミサイルを発射し、膨大な武器を世界中に売りさばいたと言って、“挑発行為だ”と非難したこともない。まして、米国と南朝鮮に対して、米国が絶えず行うように、核の先制攻撃をするぞと威嚇した事は一度もない。
明確にしなければならないのは、絶えず執拗に、朝鮮半島の休戦状態を、平和協定の締結で、一歩でも恒久的な平和に近づけようと努力してきたのは他でもなく朝鮮だと言うことだ。米韓は、特にこの2,3年、軍事演習の目的を、露骨な朝鮮侵略戦争演習に置いていることを隠さない。
今回の米韓合同演習の核心的目的を示すものが三つある
@ 米国はこの演習に、昨年末から秘密裡に、600万トン以上の弾薬と装備を陸揚げしてきた。
A 米軍の先制攻撃戦略と関連した、即席爆発物(IED)除去部隊を、初めて韓国に引き入れた。(アフガン戦争の経験を生かす、実践を想定した対策だ。IED除去部隊の任務は、先制攻撃後、侵略部隊の通過を、安定させる作戦に投入されるものだ。その点を勘案すると、米国のトランプ行政部の対北先制打撃論の検討がすでに始まったのではないかという評価も出ている。
B 南朝鮮駐屯米軍家族と、米国市民権を持つ滞在者を、緊急避難する対策を準備している。
これ等が意味するところは、この演習が、何時火を噴くかも知れい、或いは、実際的な核戦争を開始するかも知れない事を、示している。
過日のマレーシア・国際空港事件の背景を、朝鮮半島におけるこの様な<米国の侵略戦争準備>を前にして「生まれた」ことを念頭において、理解する事が必要と考えられる。
リ・ジョンチョル氏釈放はマレーシア警察の「朝鮮国家犯罪」説を破綻させた
2月13日、マレーシア・クワラルンプール空港で、朝鮮の外交旅券所持者である<キム・チョル氏>が死亡した事件を巡って、マレーシア警察により事件に関与した容疑者の一人とされ、不当に拘束されていた朝鮮国籍のリ・ジョンチョル氏が、3月3日釈放され、北京の朝鮮大使館に向かった。
リ・ジョンチョル氏は、北京空港と朝鮮大使館での短時間の会見で、記者の質問に応答し、“この事件と私の逮捕拘留は、祖国の尊厳を傷つける謀略である”と怒りを込めて主張した。また、“マレーシア警察は、自宅に保管していた癌の予防薬などを「毒物」と主張し、‘(容疑を)認めれば、みんながマレーシアで幸せに暮らせる様にする’と持ちかける一方で、‘認めなければ抹殺だ’と脅迫した”
と、マレーシア警察の不法な取り調べを明らかにした。
3月7日、リ・ジョンチョル氏は、北京でNHKの単独インタビューに応じ、マレーシア警察の過酷な取り調べを、祖国の歌を唱って耐えて来たと語った。
2月23日付‐朝鮮法律家委員会代弁人談話によれば、マレーシア警察はリ・ジョンチョル氏を自宅で「逮捕」した17日、“現地の我が大使館に知らせることもなく、マレーシアで働いている、我が公民が生活する住居に不意に入ってきて、闇雲に彼を逮捕し、彼の家族達まで殴打(おうだ)すると言う不当な暴力を振るった”と、非難した。
この様に、明確な根拠も正当な手続もなく、当初から“キム・チョル氏の死亡は、朝鮮が関わる殺人である”と決めつけるマレーシア政府の、極めて政治的と思われる動きは、リ・ジョンチョル氏の釈放によって、当然の様に破綻を迎えた。
安倍は「朝鮮国家犯罪」説を口実にサド配備と侵略的軍拡を合理化しようと企んでいる
マレーシア警察は ‘キム・チョル氏’の死亡原因が明白に解明されていない段階にも拘らず、国際世論に向かって「北の国家ぐるみの犯行」説を垂れ流した。それとほぼ同時に、南朝鮮の「国情院」(旧KCIA)と南朝鮮政府が、「脱北者の証言」に、自分達の思惑と捏造を練りこんだ、まことしやかな「情報」によって、マレーシア警察の不法行為を援護した。マレーシア政府と、国情院の連携を伺わせる動きと見る分析も多い。
「毒殺・VX」説を、日を追って垂れ流す米国と南朝鮮当局、更には、チョン・ドハン新軍部時代に育てられ、肥大化した保守主要言論―朝・中・東(朝鮮日報・中央日報・東亜日報―これは‘チョチュントン’と揶揄されてきた)を筆頭に、ハンギョレまでが、根拠なき情報の拡大再生産を展開し、「欺瞞と捏造」を「事実」として置換えて、大騒ぎする状況は異様と言う他はない。
南朝鮮軍部と朴槿恵大統領代行・? ヘ安(ファン・ギョアン)は、国民の弾劾を無視して、この「事件」を、事もあろうに、サド強行配備の条件が整ったとして、「安保危機」に利用しようと必死だ。
日本の言論も、それに輪をかけている。国策放送媒体へと堕落を深めるNHKは、一時期、ニュース時間の大半を、この「事件」に割き、南朝鮮政府(「国情院」)が垂れ流す「情報」や「分析」に、更に捏造を付け加え、創作された韓国保守言論のガラクタ記事を「根拠」として、恰も根拠ある事実かの様に垂れ流してきた。
安倍犯罪政権は、南朝鮮政府(「国情院」)の発表情報を唯一の根拠に、「北朝鮮政府による犯行」と断定したばかりか、政権の官房長官の「談話」を通して、捏造された根拠無き事件を、日本に対する「核とミサイルの脅威」に結び付け、彼らの対北敵視政策と侵略的軍拡政策の合理化に向けて、国民世論を形成する事に利用しようとたくらんでいる。
朝鮮の提案“化学兵器禁止機関(OPCW)に送り検証せよ”を拒否するマレーシア
そもそも、空港で死亡した人物が「キム・ジョンナム」と証明された訳でもなく、また、「毒殺」が「VXガス」に因るとするマレーシア警察の判断に対し、世界の識者が疑問を提起しているにも関わらず、更に、南朝鮮をたびたび訪れたことのある二名の「実行犯」の素性さえ明らかになっていないにも拘らず、主権国家である朝鮮の「国家犯罪」と決めつけるのは、政治的意図が込められた犯罪行為に他ならない。
朝鮮政府は一貫して主張している。“「VX」が使用されたと言うのであれば、国際社会が共同で答える事を要求する。「VX」が使用されたと言うなら、サンプルを化学兵器禁止機関(OPCW)事務局に送り、検証をしよう”と。そして、“朝鮮は、調査団を送り、真相を解明する共同調査を提案する”とも主張したが、マレーシア側はその提案を拒否した。
南朝鮮と共に、日本の殆どの言論媒体が「事実」かのように装って伝える「情報源」は、全て共通している。@脱北者の「証言」、A韓国「国情院」(旧KCIA−南朝鮮のゲシュタポ)、そして、B韓国政府の情報筋だ。
南朝鮮の言論も、日本の言論とTVに登場する多くの自称「朝鮮問題専門家」達も、ほぼ100%が「誰それの脱北者の証言」や「韓国政府の情報に依れば」―などと言うと但し書きがついている。
南朝鮮当局者の証言“脱北者の‘証言’が衝撃的であるほど、彼らに報酬を多く支払う“
良く知られているように、2016年、英紙・ガーデイアンは、“米国・駐国連大使が、米国が‘テロ容疑者’として嫌疑をかけた罪なき捕虜達を、苛酷に拷問してきた事実には言及せず、朝鮮の政治犯への「拷問」という脱北者の虚偽証言に基づいて、北の「人権状況」を非難した時、その「根拠」」になったのは、(脱北者)シン・ドンヒョクの虚偽証言による著書『キャンプ14からの脱出』である。これが‘朝鮮人権問題’に関する国連調査委員会の調査基調となった。”と伝えた。後に、それが架空の内容であると暴露され、著者自身もその事実を認めた『キャンプ14からの脱出』は、2012年に27か国の言語で出版され翻訳された。(訳注―邦題:『北朝鮮14号管理所からの脱出』)この著書は、朝鮮に対する途方もない嘘を世界にばら撒いたが、国連と米国は、それを公に訂正し、謝罪したことはない。
更にガーデイアンは、“脱北者が提供する‘証言’が衝撃的であるほど、彼らに支払う報酬が多くなる。最も扇情的で衝撃的な虚偽陳述に対しては、時間当たり500米国ドル以上の報酬を支払っている”と南韓当局者自身が証言している事も伝えている。
今回の事件でも、韓国政府は、脱北者の関連情報に報酬を出すことを隠そうとしていない。そんな「情報」が、主権国家を貶める「根拠」となっていることを、我々日本人はしるべきである。
米国は脱北者の虚偽証言を根拠に「北の深刻な人権状況」を非難してきた
2014年12月の安保理会議で、米国の駐国連大使は、最近発表された米国上院の拷問行為報告書が、米国が罪なき捕虜達を苛酷に拷問したが、“(そのうち)何人かの捕虜達は180回以上も、水攻め拷問を受けた”と指摘した事実に目を瞑り、朝鮮の収容所で、或る政治犯の子供が茹(ゆ)でられ、動物の餌となったと云う脱北者の証言があったと言って、「北朝鮮の深刻な人権状況」を「告発」したことがある。後に、これらは全て、金欲しさの脱北者の虚偽証言である事が暴露された。
「脱北者」の「証言」ほど、まやかしと捏造で彩られたものはない。世界にばら撒かれた捏造証言は、いつもそのまま放置され、「事実」として独り歩きするのだ。
「韓国中央情報部(KCIA)」は「国情院」に繋がっている
南朝鮮「国情院」(旧KCIA、ナチスのゲシュタポと並ぶ)は、イ・スンマンからパク・チョンヒ、チョン・ドハン、ノ・テウ―軍事政権を通して、(一時期)37万人の要員で構成された世界にも類を見ない秘密警察機構―「韓国中央情報部(KCIA)」後裔だ。
とりわけ朴槿恵の父親である朴正煕時期に、「維新憲法」と「国家保安法」や数々の「大統領令」「緊急措置」等によって、捏造と奸計で捕らえられ、政権に抵抗する多くの労働者、民衆、知識人、学生を、棍棒の殴打と水拷問の末、死刑台に送り込んだ張本人だ。例を挙げればキリがないが、最も凄惨なでっち上げ事件は、第2人民党事件=民青学連事件である。1974年4月朴政権打倒を企んだとして日本人(立命館大学留学生)2名を含む253人が逮捕された。凄惨な拷問の末、1975年4月8日、主犯とされた8人は、翌日即決死刑を執行された。
更に壮絶なのは、チョン・ドハン体制下の光州における、維新体制撤廃を求める民衆蜂起に対する、血生臭い弾圧である。1980年1月から約ひと月に亘る全市を挙げた(2万名)民衆抗争に対し、チョン・ドハン(全斗換)が、特殊部隊(第7空挺旅団)6172名を投入し、民間人168人を殺し、4782人の負傷者、警察と軍隊による殺害者の隠匿などによる行方不明者406人の犠牲を出した。特筆すべきは、この残忍な鎮圧作戦に米国第20師団が参戦したことである。挙げればきりがない。
憲法裁判所は「国情院」の捏造情報を根拠にして統合進歩党を解散させた
直近では、2014年12月18日、‘北に対する支援をした嫌疑’で、憲法裁判所は、統合進歩党に対する解散命令をだしたが、これは、南韓での表現と結社の自由に対する深刻な攻撃である、朴槿恵は「国情院」に指示し、既存のあらゆる法律を駆使して、捏造情報を集めさせた結果である。
当時、外信(ニューヨークタイムス)は、次の様に伝えている。
“パク・クネ大統領の父親を含む独裁者達は、独断的に議会と政治団体を解散し、野党を弾圧する為に、政党の活動を禁止して来た”
“(統合進歩党)党員達は、北韓と、より大きな和解を願っただけだ”とし、“彼等は、政府機関(国家情報院)が、与党候補を助ける為の不法なオンラインキャンペーンに乗り出したと言う批判をすり替え、パク・クネ政府が統合進歩党に<内乱の嫌疑>をでっち上げたのだ”
朴正熙の後継者の朴槿恵(パク・クネ)を大統領に押し上げた右翼が、クワラルンプール事件をめぐって、如何なる明白な根拠もなく、朝鮮に向かって人権を云々するのは自分の顔に唾を吐くようなものである。
今日においても、「国情院」は、民衆弾圧と北敵視政策のためには、なり振り構わぬ偽計と謀略を発信する巣窟である。
日本と南朝鮮の言論が、事あるごとに情報源として引用する「国情院情報」は、欺瞞と捏造の発信源であり、「事件」の真実を、それに求めるぐらい犯罪的な事はない。
マレーシア警察を批判する日本の化学兵器専門家
この様な内外の言論の腐敗の中で、スポーツ専門紙<日刊スポーツ>(朝日新聞系)は、2017年2月17日付で、「識者は、“金正男氏殺害、VXガスは解剖で特定不能”と主張している」と題する記事を載せている。
「神奈川大名誉教授(科学史、生物化学兵器・軍縮)である常石敬一氏は、“VXガスはサリンよりはるかに毒性が強く、ガスマスクをしていたとしても皮膚に付着しただけで死亡する。伝えられているように1人がスプレーを吹きかけ、もう1人が吐き出さないようハンカチで顔を10秒近く押さえたとしたら、2人の女も意識障害を起こすだろうし、空港にいた周囲の人も瞳孔が縮小するなどの症状が出る。すごい被害が出ていたはずだ。考えられるとすれば、針で刺す方法だが、司法解剖しても血液から有機リン酸化合物が検出されるだけで、VXガスとは特定できない。VXガスが使われたとは考えられない。」
同じく、<日刊スポーツ>2/26(日) 12:41配信記事は、“いいかげん情報が多すぎる金正男氏の「毒殺」事件。マレーシアのメディアは、「フェイクニュース」(虚偽の情報でつくられたニュース)が多い”と題した、記者の座談式論評を載せた。
<「フェイクニュース」(虚偽の情報でつくられたニュース)で溢れていたマレーシアの事件>
最近表舞台から消えていた北朝鮮の金正男氏が、マレーシアの空港で「毒殺」される衝撃的なニュースが、世界を駆けめぐった。北朝鮮の「国家ぐるみ犯行説」が真実なら、肉親でも手にかける金正恩・朝鮮労働党委員長の残酷さを示す事態だ。就任1カ月が過ぎたトランプ米大統領は、側近だった大統領補佐官の引責辞任で、足元は定まらない。1強の安倍晋三首相にも「不測」の事態が発生。世界でざわつきが止まらない。
(記者の座談形式の論評)
デスクA 正男氏「暗殺」の一報は、バレンタインデーの夜、突然飛び込んできた。にわかには信じられなかったし、とにかく情報が錯綜(さくそう)した。
現地紙も含め、手当たり次第に情報を調べましたが、今となってはこんなにいいかげんな情報が多い「事件」も、珍しいと思いました。情報が二転三転する場合が多い。
記者B 今や犯行の鍵を握るのが実行犯の2人の女。一時、「日本政府関係者」の情報として死亡説も流れました。真偽は不明ですが、日本政府のインテリジェンスが問われかねない。
記者C マレーシアのメディアは、なじみが薄い。現地報道の情報に頼らざるを得ない面は多いが、「フェイクニュース」(虚偽の情報でつくられたニュース)も、溢れていたように思う。
記者D 警察は毒物はVXガスと発表したが、最初は「毒針説」まで流れた。自然由来の物質という情報もあったし…。
デスクB かつて「トリカブト事件」も、毒物の内容が分かったのは発生から1年後だっただけに、発表は意外に早かったと思う。
記者A 死因特定や犯人の身柄確保は難航している。空港という公衆の面前での犯行。北朝鮮側は犯行を全面否定していますが、マレーシアは真相解明できないと、国家のメンツが問われる。
記者E 14年3月に南シナ海上で墜落したマレーシア航空機の捜索が1月に打ち切られたばかり。飛行機や空港に関わる部分で、トラブルが相次いでいる。」と。これが正直な分析と言うものであろう。
マレーシア発の<フェイクニュース>は明確な政治的意図を持って拡散されている
マレーシア発の<フェイクニュース>(虚偽の情報でつくられたニュース)にどっぷり浸かった南朝鮮と日本の言論媒体は、熱に浮かされた様に、朝鮮の政権転覆を狙う対北敵視勢力の妾となって、日・韓・米の核略戦争準備に、各国国民を動員する露払いとしての仕事をしている。
彼らは、この「スポーツ専門紙」の爪の垢でも飲んだらどうであろう。マレーシア発の<フェイクニュース>は、明確な政治的意図を持って拡散されている。
南朝鮮の国家と国情院(旧KCIA、ナチスのゲシュタポと並ぶ)と声を揃え、手を携えて、チョン・ドハン新軍部時代に肥大化した保守主要言論―朝・中・東(朝鮮日報・中央日報・東亜日報)が、「クワラルンプール事件」を、「安保問題」に結び付けている事実を見れば明らかである。
朝鮮日報の報道は韓米両国軍による先制攻撃を示唆
朝鮮日報は、2月26日電子版で、
クワラルンプール事件が、「北のVXガスによる殺人」と決めつけ、“北朝鮮が、金正男(キム・ジョンナム)氏の暗殺に、代表的な化学兵器のVXガスを使用したことが分かり、韓国軍も北朝鮮の化学兵器攻撃に対する対応策を見直すべきとの声が高まっている。”と前置きし、「韓米両国軍は、化学兵器弾頭の装着が考えられる北朝鮮のミサイル基地や、19か所に上る化学兵器の生産・貯蔵・研究施設への先制打撃と、とりわけ北朝鮮の化学兵器使用を事前に阻止するため、北朝鮮が化学兵器攻撃を仕掛けた場合、米国の核兵器による報復が可能になるよう、<核の傘>が発動される対象に、北朝鮮の化学兵器も含めた。」と、将に朝鮮半島で、韓・米による北侵略核戦争が準備されている事態を国民に無批判に伝えながら、ひそかに国民を動員しようとする意図を露わにしている。
日・韓・米は、捏造と欺瞞の上に作りあげた「北の挑発的脅威」を、サード配備とMD体制構築、そして核先制攻撃による北侵略戦争開始の国民的合意の手段に、結び付けようとしているのである。韓国軍部と緊密に連絡を取っていると伝えられる安倍政権は、これを機に、明らかに日・韓・米軍事同盟の発動を夢見ている。
日本列島は、今や米軍の治外法権的軍事要塞となっている
今現在、米韓合同軍事演習―「キーリゾブル」「トクソリ」は、日本列島を兵站基地として展開され、もし半島で火がつけば、日本全土は火の海になるだろう。
現在、29都道府県(自衛隊管理の日米共同基地を含む)に、133の米軍基地がある。航空基地が8か所、軍港が9カ所、演習場が16、更に米軍の使用によって、民間機、船舶の運航に支障をきたす、23の空域と47の水域が提供されている。
45000名の米兵は、世界で唯一、4軍、即ち陸、海、空、海兵隊が駐留し、中でも、<海兵遠征軍><空母打撃群>などの、地球規模の侵略戦争をなりわいとする遠征部隊の唯一の前進基地である。特に沖縄は、在日米軍専用基地の74%が集中している。沖縄本島の18%が米軍基地である。
しかも、安保条約の地位協定は、日本の空と海に自由に展開する、戦闘機・オスプレイや、核潜水艦・核航空母艦に象徴される様に、日本政府による如何なる制約もない。核の持ち込み、戦闘作戦行動に対する自由出撃等に関する密約によって、米軍は基地の自由使用にとどまらず、あらゆる行動の自由を保障されている。米軍のあらゆる軍事行動に対する日本の「マンデート(権限)」はない。日本列島は、今や米軍の治外法権的軍事要塞となっている。
日米は、2015年・再改定ガイドラインに基づき、2015年11月3日、自衛隊と米軍が平時から一体運用するための新機関「同盟調整メカニズム(ACM)」を設置、同時に、自衛隊と米軍の共同計画をつくる「共同計画策定メカニズム(BPM)」も立ち上げた。
アメリカ本土におかれていた陸軍第一軍団司令部が日本の座間に移り、座間基地には、この米陸軍新司令部とともに、陸上自衛隊中央即応集団司令部が新たに設置された。横田基地には米第五空軍司令部とともに航空自衛隊の航空総隊司令部が府中から移り、日米の共同統合運用調整所(BOCC)を初めて設置する。情報収集や訓練なども日米共同の作業としておこなわれる。朝鮮半島に核戦争の火が付けば、日本全土が、焦土に化すことは必然である。
<参考サイト>
☆482 朝鮮を狙った米国の核兵器は、どれ程のものなのか(労働新聞 2015年2月6日〜12日付)
☆主張/米韓合同軍事演習<キー・リゾブル>は第2次朝鮮戦争の導火線(2013年3月11日)
☆論考/米国と追随国家の核攻撃から社会主義朝鮮を防衛せよ(2)(2013年3月2日)
☆論考/米国と追隋国家の核攻撃戦争から社会主義朝鮮を防衛せよ(1)(2013年2月23日)
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