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(論考/「捏造と欺瞞で国際社会を欺き、主権国家への先制攻撃を公言する米国を糾弾する」)
(2017
416日)


捏造と欺瞞で国際社会を欺き、主権国家への先制攻撃を公言する米国を糾弾する

トランプの先制攻撃を全面支持し、軍事列島に暮らす日本国民の命を米国に差し出した安倍政権

                                                  柴野貞夫時事問題研究会

▲トランプが、東アジアの覇権の為、投入した危険なカード、48日、ユーターンして朝鮮半島に向かい始めた米・核航空母艦カール・ビンソン号<写真出処―米軍>

トランプの軍事行動を支持する安倍政権は、日本に住む12700万を米国の盾にするつもり

今、朝鮮半島は、核による先制攻撃をもてあそぶトランプ政権によって、尋常ならざる戦争の危機に覆われている。
トランプは、47日、如何なる根拠も、証拠も明らかにすることが出来ないにも拘らず、シリア政府軍が化学兵器を使用し、民間人を殺傷したとの口実で、シリア政府の空軍基地と軍事基地を、59発の巡航ミサイル・トマホークで攻撃した。
米国は、2003年、「大量破壊兵器」の存在を捏造し、主権国家イラクに対し侵略戦争を仕掛けた時も、<トマホーク巡航ミサイル>を打ちこんだ。同様に、2011年、リビアのカダフィーが、反体制派の民衆を大量殺戮していると言う虚偽の情報をでっち上げ、欧州帝国主義者の軍事組織―NATOと共に、主権国家を蹂躙した時も、最初の3日間で、少なくとも161発の<トマホーク巡航ミサイル>を発射し、米国の意に沿わぬ、ならず者国家として崩壊させた。カダフィーが民衆を虐殺したのではなく、米国とNATOが、空爆によって2000名のリビア民衆を殺害したのだ。
米国によって消費された、1機につき210万ドル(邦貨換算―25200万円)掛かっている<トマホーク巡航ミサイル>は、リビアに対する2011年の激しい攻撃をした最初の3日間で、少なくとも161発発射された。現在の価格で、33800万ドル(400億円)だ。リビア民衆の頭上に打ち込まれ、殺戮を繰り返す毎に、五つの巨大武器メーカー、即ちロッキード、マーチン、ノースラップ、グルマン、ジェネラルダイナミックス、レイセオンは、常時株価が急上昇した。
20パーセントが貧困層である米国で、民衆の住む家と食料の確保よりも、軍需産業に貢献する支配者の悪行が胸糞悪いトランプは、トマホークによる「シリア空爆」を、「朝鮮に対する警告」だとして、「ならず者国家−朝鮮」に対し、「先制攻撃も辞さない」と触れ歩いている。
米国の核で威嚇されている被害者―朝鮮を指して、半島とアジアに核の脅威を振りまいている張本人と主張する米国や日本の、そんな欺瞞は、もういい加減にした方が良い。
自衛的な核の保有と、国際法に則って商用人工衛星打ち上げに必要な、大陸弾道ミサイル技術の開発を行なってきた朝鮮に対し、朝鮮にだけは認めないとして、「国連安保理・制裁決議」を乱発する列強の行為は、国連憲章にも、国際法にも違反する荒唐無稽な二重基準だ。列強による主権侵害だ。
朝鮮への「国連安保理制裁」は、国際法を否定し、一部列強の利害を優先する不法行為だ。国際法と国連決議を幾たびも無視して来た米国と、その従属国家―イスラエルは、その無法ぶりを挙げればキリがないほどだ。トランプの言う“国際規範に違反するならず者国家”とは、他でもなく、自国―米国の事に他ならない。


朝鮮に対する「先制攻撃」を公言する米国は、アジアの民衆の命を危険に晒している

朝鮮戦争休戦から今年で60有余年が経過した。それにも拘わらず、朝鮮半島は戦争状態のままだ。「停戦協定を平和協定に置き換えよう」と言う、度重なる朝鮮民主主義人民共和国の呼びかけに、朝鮮戦争の一方の当事者である米国は、一貫して拒否して来た。朝鮮を、アジアの社会主義国家の一角を突き崩す最も近い目標と勘違いしているからだ。朝鮮半島の核戦争の危機に対する、すべての責任が米国にあるのは火を見るより明らかだ。
朝鮮半島における「停戦状態」は、そのまま、いつでも、宣戦布告なく「戦時」に転換する。現在の状況は、事実上の戦争局面に入っていると言っても過言でない。現―南朝鮮の暫定政府・ファン・ギョアン「政権」は、自分たちの頭越しに戦争を仕掛けようとしている米国に対し、主権国家としての自覚もないどころか、分もわきまえないで、米国の下位同盟者として、米国の侵略戦争の使い走りをして、5000万の民衆の命を、米国の暴走の為に野ざらしにしている。
トランプの‘先制攻撃’に対する朝鮮の反撃が、2500万人が集中する首都ソウル一帯に向かへば、南朝鮮は壊滅する”と言う試算がある。
45日、盧武鉉政権時に大統領府外交安保首席秘書官を務めた韓国国防研究院のソ・ジュソク責任研究委員は、慶應義塾大学で行われた朝鮮半島の安全保障政策に関するシンポジウムで、米国による朝鮮への先制攻撃がもたらすリスクについて、次のように指摘している。
“北朝鮮の核ミサイル攻撃が差し迫って先制的に攻撃をするpreemptive attackであれ、(最近米国で議論されているような)北朝鮮の核能力がさらに高度化される前に、予防的に核攻撃施設を攻撃するpreventive attackであれ、北朝鮮は自らの安全保障体制への攻撃であるので、非常に強硬な反応を見せる。米韓の攻撃能力がいかに優れているとしても、北朝鮮の核能力をすべて破壊することはできない。北は当然、核を動員した反撃をする。同時に、長射程砲など北朝鮮が持っているさまざまな攻撃手段を活用した対韓国、対米国攻撃に入る。(2010年に南北で砲撃事件があった)延坪島やソウルなどを含めた広範囲な場所に対する反撃につながると思われる。94年のクリントン政権時には、米国が北朝鮮の核施設を対象にサージカルアタック(局部攻撃)をしたら、10万人以上の米国人と100万人以上の韓国人が死亡するとの計算があった。おそらく今は北朝鮮の攻撃能力が上がっているので、被害はもっと大きくなる。韓国のいかなる指導者も先制攻撃があってもいいと考えている人は一人もいない”と。
米国による先制攻撃のリスクは、余りにも大きいと懸念した。複数の日本の軍事専門家は、米国は朝鮮への軍事攻撃がいかに困難かを知っているはずだとして次の様に指摘している。
“一番の理由として、ソウルは、南北の軍事境界線から40キロしか離れてない一方、平壌は150キロほど離れている。このため、北朝鮮は戦略上有利にソウルを「人質」にとっていると言う事が出来る。

2016年版防衛白書によると、北朝鮮の地上軍は、約102万人を擁し、兵力の約3分の2を非武装地帯(DMZ)付近に展開し、戦車3500両以上を含む機甲戦力と火砲を有し、口径240ミリと300ミリの多連装ロケット砲(MRL)や170ミリ自走砲といった600門を超える長射程火砲をDMZ沿いに集中配備する。これらを撃てば、韓国総人口の約半分の2500万人を占める首都ソウル一帯に着弾できる戦略的な強さを有している。”と。
安倍晋三と日本の極右達は、現代戦争の悲惨さと恐ろしさを何もわきまえずに、戦争への道に突き進んでいる。

安倍政権は日本の民衆の命を弄ぶな! 米韓軍事演習を直ちに中止せよ!

日本の安倍政権は、「戦争を推進する学校」作りのモデルとしての「森友学園」の為に、自分の妻と共謀し、国有土地を私的に悪用した犯罪行為を隠蔽し、新「治安維持法」である「共謀法」を審議入りさせるために、「朝鮮半島危機」を利用し、トランプの「侵略戦争予告」に、全面支持を打ち出している。
あまつさえ、何の根拠もなく、「朝鮮の化学兵器保有」を喧伝し、トランプと共に朝鮮に対する先制攻撃をけしかけている。
朝鮮半島の「戦争状態」への進行が、米軍の軍事要塞となっている日本列島の全域を、悲惨な核戦争の戦場にしてしまうであろうことを、少しでも憂慮するなら、トランプの狂気の沙汰の足を引っ張らなければならない。安倍は、トランプの暴発に相乗りすることで、13000万の日本人の命を弄んでいる。
「日本本土と沖縄、グアム島を始めとする太平洋全区の基地はもちろん、米本土まで、我々の戦略ロケット軍の照準鏡の中に入っているということを、肝に銘じなければならない。」とする「朝鮮人民軍総参謀部報道官声明」は、安倍と日本の支配階級が自ら生み出した所産にたいする警告である。日本政府と安倍のやるべきことは、この「戦争局面」に油を注ぐことではない。

「停戦協定を平和協定締結に」と主張してきた朝鮮国連決議を無視する米国

この「戦争局面」が、197510月 第30回国連総会で採択された、「南朝鮮からすべての外国 軍隊を撤去し、朝米間で平和協定を締結する」よう求める決議を、現在も拒否している米国に、全面的な責任があるのは明らかだ。

世界の近現代史において、半世紀以上にわたって列強の軍事的脅威に晒されてきた民族は皆無だ。しかも、米国による軍事的脅しの実態は、民族皆殺しの核兵器による脅しだ。

停戦協定を蹂躙し、核兵器を朝鮮半島に持ち込み、朝鮮半島の核危機を作りだしたのも米国だ。現在の米韓合同軍事演習で、“首脳部を狙った《首切り作戦》と《先制打撃》”などと言う、白昼強盗の破廉恥な狂人的言動を、唯、傍観する国際社会も、全く狂っているとしか言いようがない。

160以上の国々と外交関係を持ち、国連の加盟国でもある朝鮮民主主義人民共和国を、軍事力に物を言わせて欺瞞と捏造で転覆しようと企む米国をこそ、糾弾することが各国に求められている。

朝鮮民主主義人民共和国は、核保有大国・米国から核攻撃の恐喝に晒されてきた

2012813日 韓国保守系紙・中央日報は、「米軍が(朝鮮戦争時期)1951年に、核物質で韓半島を永久分離しようと計画していた」と報じた。「プルトニウムと核廃棄物など、大量の放射能物質を、韓半島を横切る地域に散布して<非人間地帯>を作り、南北を分断する」というのだ。米帝の非人倫的本質を示して余りある。
米国は、共和国の誕生から朝鮮戦争を通じて今日に至るまで、とりわけ、アイゼンハワー、ニクソン、ブッシュは、核兵器を通常兵器の様に扱いながら、共和国に脅しを加えてきた。
米国は、世界帝国主義の盟主としてその巨大な軍事力を振りかざし、南朝鮮の軍事独裁政権をささえながら、朝鮮半島における反帝国主義闘争と、民族解放闘争を抑圧してきた。共和国と朝鮮の民衆は、60有余年の間、米国による「核先制攻撃の瀬戸際」を、常時的に経験させられて来た。
米国の「核先制攻撃」の政策化と、南朝鮮と日本列島の空と海を覆う核積載機と艦船、その陸に巡らされた米軍の核基地。また、核兵器の「使用」を排除しない核保有大国から、60有余年ものあいだ、核攻撃の恐喝に晒されてきた国が朝鮮民主主義人民共和国である。誰が本当の侵略者で、誰が本当の挑発者なのか。

(前)京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏は、次の様に指摘している

京都大学原子炉実験所(当時)の小出裕章氏は、「朝鮮の核問題」と題する講演(2003年6月14日)で、米国による朝鮮への核兵器による威嚇を非難し、朝鮮の核武装を擁護して次のように指摘した。以下の引用は、小出裕章さんの論考「朝鮮の核問題」から
「自らの気に入らなければ、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す米国と戦争状態にある朝鮮が、核を放棄するなどと表明できないのは当然である」
「朝鮮と米国の間では依然として停戦協定があるだけで、戦争状態が続いている。私は、原爆は悪いと思う。どこの国も持つべきでないと思う。朝鮮だってやらないに、こしたことはない。でも、厖大に核兵器を持っている国が、<悪の枢軸>というレッテルを貼り、制裁するなどという主張は決して認めてはならない。その一方の当事者である米国は核兵器、生物兵器、化学兵器、大陸間弾道ミサイル、中距離ミサイル、巡航ミサイル、ありとあらゆる兵器を保有し、自らの気に入らなければ、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す国である。そうした国を相手に戦争状態にある国が朝鮮であり、武力を放棄できないことなど当然であるし、核を放棄するなどと表明できないことも当然である」
また氏は指摘する。「<悪の枢軸>とは誰なのか。大量破壊兵器とは核兵器・生物兵器・化学兵器であり、そのすべてにおいて米国が圧倒的多数を保有している。そして、国際的にそれらの兵器の禁止条約を締結しようとする動きがある時に、それらすべてを闇に葬り去ってきたのも他ならぬ米国である。
その上、非核保有国への核攻撃をしないという消極的安全保障すら拒否し、さらなる核軍拡を進めながら、米国の正義が世界の正義であるとして世界中に支配の手を広げた。一方、ソ連が崩壊して冷戦構造が終焉するや、今度は<ならず者国家>から米国を防衛するとの理由で、ミサイル防衛(MD)をはじめとする軍拡を進めている。要するに、米国は自分だけが世界の覇者であり続けたいと言っているのである」

氏は、「ロケットとミサイル」の章でも次のように指摘する。(以下、引用)
朝鮮は1993 5 月「ノドン」と呼ばれる射程1300km のロケットを発射した。その後、1998 8月には「テポドン1 号=白頭山1 号」(射程1500km)を打ち上げ、日本海、日本列島を飛び越えて太平洋にまで飛んだ。朝鮮自身は「白頭山」は運搬用ロケットで人工衛星「光明星1 号」を軌道に乗せたと発表した。もちろん純粋技術的に言えば、それは弾道ミサイルにもなりうる。
しかし、ロケットを使って人工衛星を打ち上げることが悪いことなのか? 日本はすでにH2ロケットをはじめ多くのロケット開発をしてきたし、いくつもの人口衛星を打ち上げている。いうまでもなく米国は無数の軍事用人工衛星を打ち上げ、無数の大陸間弾道ミサイルも持っている。しかし、米国はほんのわずかのロケットを打ち上げた朝鮮を「ならず者国家」と呼び、それを理由にさらなる軍拡を進める。そして、日本はその腰巾着となって、朝鮮の脅威をあおる。
兵器で金儲けをしている国はどこか。また、朝鮮がイエメンにミサイルを売ったら、公海上で他国の船を「臨検」し、けしからん国だと言う。では、軍事産業で金儲けしているのはどこの国なのか。それを図に示す。最高の売り上げを誇る米国企業の売上高は180 億ドル、2兆円を超える。一つの国家をも越えるような軍需企業があり、20 傑のうち11 までは米国である。圧倒的な軍需企業を抱え、軍事で金儲けをしている国、すなわち「悪の枢軸」とは米国そのものである。

朝鮮の歴史と日本の責任
日本のマスコミなどは、米国発表をそのまま流すだけであるが、そもそも朝鮮に関する歴史の流れを理解していない。朝鮮は1910 年の日韓併合以来、日本の植民地支配の犠牲となり、創氏改名、朝鮮語の禁止、天皇の崇拝などを強制された。1945 年の日本の敗戦は、多くの朝鮮人にとっては大日本帝国からの解放と受け止められた。
しかし、日本と米国との戦争は、悪逆非道の日本と正義の米国との戦争であったわけでは決してない。それは世界の覇権を狙う両帝国同士の戦争であり、圧倒的な力の差の下に米国が日本を完膚なきまでに打ち破った戦争であった。しかし、米国は当時の共産主義との確執を前に、日本や朝鮮を東洋における共産主義の防波堤にしようとした。そのため、日本では天皇はその戦争責任を問われないまま温存されたし、朝鮮でも日本統治下の役人がそのまま政権に居座ることが許された。
そのため、本来であれば日本の植民地から解放され、晴れて独立を果たすはずであった朝鮮は、血を血で洗う内戦へと導かれて、南北に分断されたのであった。1948 年に大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が相次いで独立を宣言し、1950 6 月にはついに朝鮮戦争に突入。38 度線で膠着した戦争は、1953 年に停戦協定に至った。その後、すでに半世紀の時間が流れたが、朝鮮と米国の間では依然として停戦協定があるだけで、戦争状態が続いているのである。
その一方の当事者である米国は核兵器、生物兵器、化学兵器、大陸間弾道ミサイル、中距離ミサイル、巡航ミサイル、ありとあらゆる兵器を保有し、自らの気に入らなければ、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す国である。
そうした国を相手に戦争状態にある国が朝鮮であり、武力を放棄できないことなど当然であるし、核を放棄するなどと表明できないことも当然である。
ちなみに、日本はベトナム特需とともに、朝鮮特需をもって、戦後の経済を立て直したのである。そして今なお、米国につくのが国益だと、戦争を放棄したはずの憲法も無視して、弱いものいじめに荷担する。
9・11とアフガニスタン
911 の攻撃を受け、米国は「テロ」を根絶するとしてアフガニスタンへの攻撃を始めた。いったいアフガニスタンが何をしたというのであろうか。
米国から9 11 日の攻撃の首謀者とされたオサマ・ビンラディン氏はアフガニスタンにとっては長年の客人であり、引き渡せと言うなら証拠を示せと、ごく当然の要求をしたに過ぎない。証拠を示すことなく、容疑者の引き渡しを求めるなどどんな国際法、国内法に則っても違法であろう。
そして、交渉の用意があるとまで言っていたアフガニスタンに、「問答無用、言うことを聞かなければ攻撃する」と言って、米国は攻撃を始めた。いったい悪いのはどちらなのか。
アフガニスタンは貧しい国である。多様な民族を抱え、ソ連、中国、インド、パキスタンそしてアラブの国々に囲まれ、他国の思惑に翻弄され続けてきた。1980 年以降は、ソ連の支配を嫌って内戦も起こり、中央アジアでの天然ガスと石油の利権をねらった米国はソ連と闘うタリバーンに肩入れした。
アフガニスタンは、世界全体の阿片の4 分の3 を生産し、米国のCIAがそれを武器と引き替えて、戦闘を拡大させた。国土は荒廃し、食料すら乏しく、2100 万ほどの人口のうち、多い時は600 万人もが難民であった。利用できるような統計的データすらないが、軍事費などは米国の1000 分の1にも満たない。その国を、米国だけではなく、米国に「同盟国」として認めて貰いたいという国々が、よってたかって攻撃し、一方的な殺戮を繰り返してきた。
米国にとって、中央アジアのエネルギー資源はかねてから触手の対象であった。その米国は世界貿易センタービルを破壊されて、10 兆円に達する被害を受けた。しかし、中央アジア地域とアフガニスタンを支配下に置くことで、ついに中央アジアのエネルギー資源を手に入れる道筋を築いた。その上、この地域に対するロシアの影響力を抑えたことで、蒙った被害をはるかに超える利益をすでに得たことになる。
イラクへの一方的武力行使と米国の意図
米国はイラクが大量破壊兵器を持っていると主張してイラクの政権を転覆させた。国連を使って軍事施設も大統領官邸も隈なく調べさせ、それでも「大量破壊兵器」は見つからない。見つかれば戦争。見つからなければ隠しているから悪い、だから戦争だと。どっちにいっても戦争というむちゃくちゃな横暴さである。その本当の理由もまたエネルギー資源である。
イラクはサウジアラビアに次ぐ世界第2の石油の埋蔵量を誇る国で、イラクを自分たちの言うことを聞く政権にしたいということが今回の戦争、いや一方的な殺戮の唯一の目的である。そのことは、米国のルーガー上院議員がハッキリ言葉にして言っている。
「もし、フランスやロシアがフセイン政権崩壊後の石油の分け前を欲しいなら軍事行動に参加すべきだ。」

「悪の枢軸」とは誰なのか。大量破壊兵器とは核兵器・生物兵器・化学兵器であり、そのすべてにおいて米国が圧倒的多数を保有している。そして、国際的にそれらの兵器の禁止条約を締結しようとする動きがある時に、それらすべてを闇に葬り去ってきたのも他ならぬ米国である。
その上、非核保有国への核攻撃をしないという消極的安全保障すら拒否し、さらなる核軍拡を進めながら、米国の正義が世界の正義であるとして世界中に支配の手を広げた。一方、ソ連が崩壊して冷戦構造が終焉するや、今度は「ならず者国家」から米国を防衛するとの理由で、ミサイル防衛(MD)をはじめとする軍拡を進めている。
要するに、米国は自分だけが世界の覇者であり続けたいと言っているのである。そのことは、大統領自身がドクトリン・教書でハッキリと明言している。
「米国はかってないほどの力と世界への影響力を持っており、この力は自由を希求する国々の力の均衡を推進するために使われなければならない。脅威が米国の国境に達する前に探知し、破壊することで、米国民とわれわれの国内外での利益を防衛する。米国は国際社会の支持を得るために努力を継続するが、必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で自衛権を行使する。米国は、自分たちの意思をわが国とその同盟国に押し付けようとする敵のどんな試みも破る能力を維持する。米国と同等かそれ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵に思いとどまらせるに充分な、強力な軍事力を持つ。」
核戦争防止国際医師会議は長年、核兵器に反対し、1985 年にノーベル平和賞を受賞した。その創始者であるバーナード・ラウンはいみじくも言う。
 「核保有国が一貫して言ってきたことは“我々がしている通りではなく、我々が言う通りにせよ。我々は核兵器を持って良いが、君たちはいけない。”」
今世界で起っていること、米国がイラクに対して行ったこと、朝鮮に対して言っていることはまさにこのことである。」(ここまで引用)

今日の朝鮮半島に於ける核問題は、当時核兵器を持たない国家(朝鮮)に対し、(南朝鮮に)核兵器を持ち込み、核攻撃を政策化した米国に全面的な責任がある事は明らかだ。
小出裕章氏のこの講演記録は、2003年、ブッシュがアフガニスタン―イラク侵略戦争を実行に移し、同時に朝米合意を破り捨て、朝鮮民主主義人民共和国への核戦争を画策していた時期に行われた。「朝鮮の核問題」は、「核とミサイル問題」に対する、核超大国の横暴と、それに誤導された「世論」への覚醒と警鐘の文(ふみ)として、今も、反帝・反原発・反差別・反権力の戦列の、戦う民衆を鼓舞する論文である。「米国は、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す国だ。そんな国を相手に、核を放棄するなどと表明できないことも当然である。また、ロケットを使って人工衛星を打ち上げる事の、何処が悪いのか」氏の論理はいつも明快である。

<参考サイト>

☆405 朝鮮半島「停戦体制から地域の平和体制へ(2) (韓国・プレシアン 2013年8月30日付)

☆404 朝鮮半島「停戦体制から地域の平和体制へ」(1) (韓国・プレシアン 2013年8月29日付)

☆403 オバマはシリアに対し戦争を始めるのか(韓国・オンラインジャーナル 2013年8月27日付)

☆402 シリア軍化学兵器使用はフセインの大量殺傷兵器と類似 (韓国・チャムセサン 2013年8月22日付)