(論考/「日・米・韓は、朝鮮に対する挑発行為を直ちに止めろ」 2017年9月7日)
日・米・韓は、朝鮮に対する挑発行為を直ちに止めろ
柴野貞夫時事問題研究会
●米国は「南朝鮮からすべての外国軍隊を撤去し、朝米間で平和協定を締結する」とした、第30回国連総会決議を実行せよ。
●大陸間弾道ロケット装着用水素弾試験の完全成功は、米国の侵略的核攻撃から朝鮮を防衛する為の正当な自衛的措置だ。
●日本列島を跨ぎ、北太平洋に着弾させた中長距離弾道ミサイル「火星―12」型は、米国の軍事要塞・日本の全てを標的とし、米国の侵略的軍事拠点・グアム水域に正確な一撃を加える力を見せつけ、日米支配者に対する強力な抑止力だ。
戦後、米国が意に沿わぬ国家を崩壊させたが、そのすべてが、非核保有国だった。朝鮮戦争の停戦(1953年)後、停戦協定を破って、1969年<フォーカスレテイノ>作戦として始められた米国・南朝鮮合同核戦争演習は、その後、<フリーダムポルト>、<チームスプリット>、<連合戦時増員演習>、<キーリゾブル>、<トクソリ>と、<ウルジフリーダム・ガ―デイアン>などと名前を取替え、今日まで進められてきた。これは当時、「核」を持たない朝鮮に対する露骨な核脅威恐喝だった。
米国は、今世紀に入って、意に沿わぬ50数か国を、軍事力を行使して体制崩壊に持ち込んだが、そのいずれの国も、非核保有国だった。
米国は8月米韓合同軍事演習で、38度線・太白山に模擬核爆弾を投下した
今年も、3月〜4月、8月〜9月に米国が南朝鮮で行っている大規模米韓合同演習―ウルジ(乙支)フリーダムガーデアンは、その規模において、一つの戦争を行うことができる50万以上の大兵力と、戦略核爆撃機、戦略核潜水艦をはじめとした、戦略兵器が投入された極めて挑発的な大規模核戦争演習である。
この間、初めて、ステルス戦闘機F―35Bと戦略爆撃機B−1Bランサー編隊が同時に、休戦ライン付近で実弾訓練を展開し、太白山に模擬核爆弾を投下した。
「米韓合同軍事演習」は、核戦争に突入させる犯罪的挑発行為だ
これ等の演習の悪質性は、国際法と国連憲章に背き、共和国指導部に対する斬首、平壌占領を目標とする精密打撃作戦、特攻隊浸透作戦、上陸作戦、先制核打撃作戦などを基本とする事を公言して憚らない、徹頭徹尾攻撃的、侵略的な核戦争演習だと言うことだ。
これ等は、単なる「北への圧力」などではなく、具体的・現実的な朝鮮に対する核侵略戦争の臨戦態勢そのものである。「停戦状態」とは、「戦時状態」が継続している状況を言うが、「米韓合同軍事演習」は、朝鮮半島と東北アジア(日本を含む)を、直ちに全面戦争に突入させる危険極まる挑発行為だ。「米韓合同軍事演習」は、朝鮮はもちろん、中国・ロシアが以前から、米国に対し、その中止を求めて来た「対北朝鮮敵対政策」の象徴である。
朝鮮政府は、大陸間弾道ミサイルの2度に亘る発射試験成功後、「米韓合同軍事演習」に対する米国政府の動きを“見守る”と静観し、公言していた「グアム海域」へのミサイル発射試験を1か月、自制していた。
しかし、米国が「米韓合同軍事演習」を、微細な縮小を加えただけで、全面的に実施し、朝鮮と取引する中・露の企業と個人に対する圧迫と、世界各国に対する経済的取引断絶要求など、敵対的行動が強化され、朝鮮政府の、力による反撃が遂行された。
「火星―12」型発射試験は、“侵略の前哨基地であるグアムを牽制するための前奏曲”
8月29日、日本列島を跨いで発射された中長距離弾道ミサイル「火星―12」型は、米国の軍事要塞となった日本列島の隅々を、その標的にすることを明らかにしただけでなく、“侵略の前哨基地であるグアムを牽制するための意味深長な前奏曲”(9月4日付 朝鮮中央通信論評)となったのである。米国の軍事的挑発と、政治的妄動が続く限り、おそらく、グアム近海への「攻撃」は行われるであろう。トランプは、命中率30%にも満たない迎撃ミサイルで対抗するのだろうか。しかし、もし、朝鮮の降り注ぐ複数のミサイルの打ち落としに失敗したら、世界に張り巡らした米国の軍事覇権の中軸である「ミサイル防衛体制」(MD)の信頼度は一挙に瓦解するだろう。
金喰うカバの馬鹿さ加減を笑う事になるのかどうか、しっかり見届けなければならない。朝鮮の「グアム包囲作戦」は、米国にとって多くの心配事を生み出している。米国は決断を迫られているのである。
安倍は、日本国民と朝鮮民族を核戦争の惨禍に晒すことを厭わない犯罪者
「更なる圧力と制裁」を主張する安倍は、日本国民と朝鮮民族を、核戦争の惨禍に晒す犯罪者だ。9月3日、核実験のあとに行われた日米電話会談で、トランプ大統領が「自分は100%晋三とともにある」とした一方で、「もし、アメリカが攻撃されたら、日本は、われわれを助けなければいけない」と相互の同盟関係を求め、これに対し安倍首相が、「100%アメリカとともにある」と応じたと、読売TVが報じている。
安倍は、朝鮮に対し日常的に挑発を繰り返す米軍に、全面的に協力し、その盾になりますと主張した。日本と日本国民を、広島型原爆の10倍以上の威力を持つ水素弾を装着した大陸間弾道ロケットの標的にするつもりなのだ。
弾道ミサイル「火星12」が14日に発射されたことを巡り、朝鮮中央通信は20日、日本政府の対応を批判し、「日本も我々の攻撃圏内にある」と警告した。日本に対して「今からでも災いを招く愚かな行為をやめ、自粛する方が良い」と指摘し、「日本は米国に追従して反朝鮮制裁策動に狂奔したことで、自らが我々の攻撃圏内に更に深く入る結果をもたらした」「実戦配備された核兵器を含む我々の全ての軍事的攻撃手段は、米本土と共に日本に駐屯する米軍基地にも照準を合わせ、発射の瞬間だけを待っている」と警告している。
米国と朝鮮の軍事衝突は、日本国土を死の灰で灰燼と化すことを意味する
米国との「講和協議」を一貫して求めている朝鮮に対し、その崩壊だけを妄想して、核威嚇を繰り返す米国を「助ける」と言うことは、日本を核戦争の修羅場にすることを意味する。米国と朝鮮の軍事衝突とは、日本国土を死の灰で灰燼と化すことを意味する。米朝対決で残された道は、一つしかない。
日本列島を、米国の朝鮮侵略の為の―軍事要塞にしている元凶―「日米軍事同盟(日米安保条約)」を直ちに破棄し、「朝鮮半島における休戦状態を、平和協定に置き換える」朝鮮人民の努力に力を貸し、米国の東アジアと朝鮮に対する侵略策動を糾弾する以外に、日本人が生き延びる道はないと言う事を、全国民に呼びかけなければならない。
核戦争を回避する方策を取る道を追求しなければならない
8月29日、朝鮮から発射された中長距離弾道ミサイルの試験発射は、日本列島の上を飛んだと言うよりは、遥か成層圏を突き抜けて飛ぶ飛行物体であって、‘日本列島の上’ではない。安倍は国民を誑かし、「アラート通知」なる芝居じみた戦争ごっこを一部地域の住民に要求した。「身を隠す場所を探して退避せよ」と言う指示が出たと言うが、もし、核弾頭が装着されたミサイルが列島に着弾すれば、広島の10倍以上の威力を持つと言うこの核爆発から、身を守る事は不可能だ。核戦争は、身を守るすべを持たないからこそ、戦争を回避する方策を取る道を追求しなければならない。
安倍は、戦争を回避する方策を取る道の代わりに、「北の脅威」を最大限煽りながら、この「アラート通知」を通して、国民の軍拡に対する同意を醸成し、国民の意識と生活に対する国家統制を強化、戦争を受容させる大衆的雰囲気を造成することを狙ったのは明らかだ。また、米国の70年に亘る、核による「恐喝」に苦しんできた朝鮮に対する、言われなき敵対心をあおりたてる事に利用している。
安倍は、米国と共に、朝鮮に対する核戦争が出来ると本気で考えているとすれば、これほど愚かな事はない、安倍が、400万人の日本人を殺し、アジアの民衆、2500万人の殺戮に手を貸した張本人である此奴の爺さんのことを、深く尊敬している事実を、忘れてはならない。
安倍政権は、米国といっしょになって「核による恫喝」に加担する事を表明した
8月17日、日米両政府は、ワシントンで、外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し、○日米軍事協力の指針(ガイドライン)の実施の加速、○安保法制の下での「更なる協力の形態を追求する」と明記し、朝鮮半島と東アジアにおける侵略戦争への露骨的協力体制を明確にし、日本国憲法を土足で踏みにじった。
とりわけ、その共同声明で、「アジア太平洋地域の平和と安定において、米国の核抑止が果たす不可欠な役割を再確認」すると謳った。即ち、朝鮮に対する侵略戦争における日米一体的な協力の中で、「核による恫喝」に日本が積極加担する事を宣言したのである。戦争法審議過程で政府が抗弁して来た事が、悉く欺瞞であったことが露呈している。
米国が先制攻撃対象に名指しした事で、朝鮮は最大の核脅威を受ける事になった
1945年8月に、2度に亙って日本の二つの大都市、広島、長崎に、実際に核兵器を使用し、30万人の人間を殺戮したのは、他でもない、米国である。この、悪魔の兵器を使用する事に、何のためらいもない米国が、朝鮮を核先制攻撃対象に含ませたことで、朝鮮は最大の核脅威を受ける事になった。
米国は、朝鮮戦争時である1951年、核武器の実際使用能力を確立するための‘ハドソン港作戦’なるものを実施し、朝鮮上空でB−29爆撃機を利用して模擬核爆弾を投下する訓練を実施してきた。
また、2011年には、米国国防長官レオン・バーネットは、(彼の回顧録によれば)韓国の国防長官キム・クアンジンに、朝鮮半島の有事時、核兵器を使用する準備が出来ている事を伝えたと告白している。韓国政府は、そのことを国民に隠蔽してきた。ムン・ジエインは、この事実を明らかにする責任がある。
朝鮮に対する米国の核兵器配備の歴史は、およそ70年を数える。この期間米国は、南朝鮮に各種の核爆弾と核砲弾、核弾頭、核地雷、核運搬手段を大々的に引き入れる事で、南朝鮮を世界最大の核兵器展示場、核貯蔵庫にした。
軍事専門家達は、米国が南朝鮮に配備した、申し分ない量の核兵器では、地球を数百回壊しても有り余ると主張している。米国は南朝鮮に配備した膨大な量の核兵器で、朝鮮に対する先制攻撃を加えようとしている。過去、朝鮮戦争で敗れた原因を、原爆を使用しない事に求めている米国は、第2の朝鮮戦争は必ず核戦争になるだろうという事を隠していない。
朝鮮民主主義人民共和国は、70年ものあいだ核保有大国から恐喝されてきた
米国は、共和国の誕生から朝鮮戦争を通じて今日に至るまで、とりわけ、アイゼンハワー、ニクソン、ブッシュは、核兵器を通常兵器の様に扱いながら、共和国に脅しを加えてきた。
米国は、世界帝国主義の盟主としてその巨大な軍事力を振りかざし、南朝鮮の軍事独裁政権をささえながら、朝鮮半島における反帝国主義闘争と、民族解放闘争を抑圧してきた。共和国と朝鮮の民衆は、ブッシュ政権による「核先制攻撃の瀬戸際」まで経験させられたのだ。
米国の「核先制攻撃」の政策化と、南朝鮮と日本列島の空と海を覆う核積載機と艦船、その陸に巡らされた米軍の核基地。また、核兵器の「使用」を排除しない核保有大国から、70有余年ものあいだ、恐喝されてきた国が朝鮮民主主義人民共和国である。
白を黒と言いくるめようとしても、加害者を被害者だと偽装しようとしても、そんな欺瞞は通用しない。朝鮮について語る言論媒体が、一様に枕詞の様に、“北朝鮮による挑発”なる言葉を発するが、その言葉を使う人間の愚鈍にして無知蒙昧、人間精神の腐敗堕落臭に、目と鼻と耳を覆いたくなるのが、正常な感覚ではないのか。
一体全体、敵対国同士の間で、停戦が発効してから70年もの間、「講和条約」が締結されなかったと言う事例は、近現代史の中で見つける事は難しい。それを放置して来た「国際世論」とは、如何なるものか。
第30回国連総会決議を一貫して拒否して来た米国
1975年10月 第30回国連総会は、遅まきながら「南朝鮮からすべての外国 軍隊を撤去し、朝米間で平和協定を締結する」よう求める決議を採択した。しかし、米国は、朝鮮の崩壊を狙う政策に固執し、一貫してそれを拒否してきた。
米国にとって「6者協議」は、あくまでも朝鮮を体制崩壊させるための「時間稼ぎ」であって、多くの「合意事項」も「体制崩壊」を前提とした空約束であった。ことは、最近韓国の学者たちの研究でも定説となっている。
米国は「短期的には六者協議、長期的には体制崩壊」と、その内部では半ば公然と主張して来たのだ。
世界の近現代史において、半世紀以上にわたって列強の軍事的脅威に晒されてきた民族は皆無だ。しかも、米国による軍事的脅しの実態は、民族皆殺しの核兵器による脅しだ。
朝鮮半島の平和に向けて継続的な努力をしてきた朝鮮政府
<2015年1月14日>アン・ミョンフン朝鮮国連次席大使は、「米韓合同軍事演習」に関して次の様に提案した。
米・韓合同演習の中止を決定するなら、核実験も中止する
朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮に対する侵略的核戦争演習―“米・韓合同軍事演習の中止を決定するなら、核実験も中止する”と提案した。
朝鮮民主主義人民共和国のアン・ミョンフン国連次席大使は、「(米韓が合同軍事演習を中止すれば)朝鮮は核実験を一時的に中止する。(この提案をのむなら)今年中に朝鮮半島で、多くのことが可能になる」と語った。
これに対し、アメリカで朝鮮問題 を担当するソン・キム特別代表は「40年間続く米韓の軍事演習について、朝鮮民主主義人民共和国が不満を言う権利はない」などと、外交交渉の相手に対する不遜極まる発言をした。問答無用的に朝鮮の提案を罵倒した。
▲写真上 2015年1月14日国連で記者会見するアン・ミョンフン朝鮮国連次席大使(右)(写真:AP)
▲ 9月23日、 朝鮮民主主義人民共和国の李ヨンホ外相が国連第71総会で演説を行っている
<2016年9月23日>国連第71回総会において、朝鮮民主主義人民共和国 李ヨンホ外務大臣は、次の様に指摘した。
人民経済全般を活性化し、国の経済を持続的に発展させる土台を作るための国家経済発展5カ年計画に着手した我が共和国において、何よりも必要なのは平和的環境である
人民経済全般を活性化し、国の経済を持続的に発展させる土台を作るための国家経済発展5カ年計画に着手した我が共和国において、何よりも必要なのは平和的環境である。
朝鮮民主主義人民共和国は、米国が時代錯誤的な対朝鮮敵対視政策を撤回し、停戦協定を平和協定に変え、南朝鮮から侵略軍隊と戦争装備を撤収させることを提案して来た。しかし、これに対する回答もなく、共和国を狙った大規模合同軍事演習は中断されることなく続いており、その性格はさらに挑発的で、侵略的なものになっている。
朝鮮半島情勢がしばしば統制不能な状態に陥るのは、米国が対朝鮮敵対視政策を放棄せず、朝鮮半島とその周辺で侵略戦争演習を繰り返し行っていることに根源があります。今年も3月〜4月、8月〜9月に米国が南朝鮮で行った大規模合同演習は、その規模において、一つの戦争を行うことができる50万以上の大兵力と、戦略核爆撃機、戦略核潜水艦をはじめとした、戦略兵器が投入された極めて挑発的な大規模軍事行動でした。
これらの演習の性格において、我が共和国指導部に対する斬首、平壌占領を目標とする精密打撃作戦、特攻隊浸透作戦、上陸作戦、先制核打撃作戦などを基本とする、徹頭徹尾、攻撃的、侵略的な核戦争演習です。
今、世界の他の場所には、このように規模が膨大な合同軍事演習はありません。このように挑発的で、攻撃的な戦争演習はありません。このように戦争対象が目と鼻の先に接近して、展開される危険千万な侵略演習、露骨な軍事的威嚇はありません。
今、国際舞台では、米国を首魁とする帝国主義勢力の横暴な支配と干渉策動により、世界的に公認された国際関係の基本原則が公然と無視されており、帝国主義列強の利害関係により、正義も不正義と問題視されています。国際平和と安全を守護するためにもそうであるし、持続開発を達成するためにも、真正なる国際的正義が必ずや実現されなければなりません。
国連憲章第1条は、平和の破壊をもたらす国際紛争や状態を平和的方法で、そして正義と国際法の原則に合うように、調停したり解決することを規定しています。しかし今、国連安保理は、朝鮮半島問題を扱うことにおいて、正義と国際法を離れて、米国の強権と専行を国連の風呂敷で包むという役割を演じています。
共和国政府は、国連憲章第34条、第35条に基づき、朝鮮半島における米国の大規模軍事合同演習により、国際平和と安全が危険な直面する事態を国連安保理に何回も提訴しました。今年だけでも3月と8月、2回提訴しましたが、国連安保理は毎回、朝鮮民主主義人民共和国の提訴を無視しました。
朝鮮民主主義人民共和国は、1950年代から始まり、世紀を超えて続いてきた、米国の常態的な核威嚇から国家の安全を守るために、できること全てをやった末に、やむを得ず核武装の道を選びました。我々が核武装強化を決定したのは、米国の常態的な核威嚇から、自国を防衛するための正当な自衛的措置です。
それにもかかわらず、国連安保理は、つい最近でっち上げた反共和国決議2270号でも、朝鮮民主主義人民共和国の現存の核及び弾道ミサイル活動が、国際平和と安全に対する明確な危険となると断言しました。核及び弾道ロケット活動が、国際平和と安全の危険になるという法律的根拠は、国連憲章にも、いかなる国際法条項にも明示されていません。
本当の国際的正義を実現し、国際平和と安全を守り、国連が設定した持続開発目標を達成するためには、正義の看板の下で不正義がうごめく古い国際秩序を捨て、公正で正義のある新たな国際秩序を打ち立てなければなりません。主権国家に対する米国の乱暴な主権干渉により、戦乱と暴力状態に直面したシリアとイラク、リビアのような国と地域、パレスチナ問題などで、国際的正義が一日も早く実現されなければなりません。
人権問題を政治化し、反帝、自主的な国を故意的に悪魔化し、カラー革命の道具として利用している米国と追従勢力による二重基準行為が断固として排撃されなければなりません。
米国は絶対に我が人民から彼ら自身が選択した社会主義、人民のための滅私服務の制度を取り上げることはできません。
議長、共和国政府は、米国により強要されている核戦争の危険を強力な核抑止力により根源的に終息させ、朝鮮半島とアジア、世界の平和と安全を守り、世界の非核化を実現するための闘争を力強く展開します。
→停戦協定と朝鮮半島」(朝鮮中央通信 2011年7月27日付)
→「朝鮮停戦協定の固定化から無条件の平和協定締結に変える/朝鮮民主主義人民共和国から米国への提案」 (労働新聞 2015年10月18日付)
(資料)
朝鮮の大陸間弾道ミサイルに関する10のポイント
孫崎享−元外務省国際情報局長
朝鮮は3日、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に完全に成功した」との声明を発表した。朝鮮による今回の核実験や相次ぐミサイル発射に対し、日本国内はヒステリックな反応をみせているが、国家の安全保障問題は冷静に考えていく必要がある。本稿では、国内では多く語られない10のポイントを列挙する。
日本にとっての新たな脅威ではない
(1)現在北朝鮮が発射しているミサイルは、米国を射程に入れようとするもので、日本向けではない。米国向けミサイルの性能アップで危機が増したはずの米国国内で、どれだけ騒いでいるか。日本と比較すれば、騒ぎはないに等しい。日本向けでないミサイルの性能が向上し、実験されたことで、なぜ日本は騒ぐのか。日本上空を飛んだといっても、高度100kmを優に超えている。日本を射程に収めているノドンは何年も前から、200〜300基が配備されている。従って、日本にとっての新たな脅威ではない。
日本を射程に収めているノドンは、「先制攻撃」で落とせない
(2)日本向けノドンは先制攻撃で排除できない。日本を射程に収めているノドンは、移動式であったり、山の中に配備されたりで、先制攻撃でこれらを排除できない。数発排除に成功したところで、すべてを同時に排除することはできない。これを排除する軍事行動は、膨大な先制攻撃を受ける。
地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」は、北のミサイルを撃ち落とせない
(3)ミサイル防衛はありえない。ミサイルを迎撃するには、発射の捕獲、その後の飛行の捕獲を行い、軌道計算をするのが必須である。まず、200〜300基あるノドンの監視体制をつくることはできない。ミサイル確認は多くの場合、光学監視システムを利用している。夜中に発射されれば機能しない。発射後、途中でミサイルを察知することもできない。かつ、相手国が政治・経済・社会の重要拠点を攻撃する時には、どこに落下させる予定であるかがわからないから、ミサイルの軌道計算ができない。軌道計算ができなければ落とせない。
地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の速度はマッハ5(秒速1800m)、ミサイル落下時は同2000〜3000m。遅いPAC3でより速いミサイルをどうして打ち落とせるのか。PAC3の射程は15km。上に向かって撃つのであるから、守っている地域はせいぜい半径2〜3km。ありえないが、かりに命中した時、北朝鮮のミサイルとPAC3の残骸はどうなるのか。バラバラになって落ちてくれば、被害はミサイル単体の落下より大きい。
アラート・システムは機能しない
(4)アラート・システムは機能しない。ノドンの発射を把握できないのであるから、日本向けの警報システムは実質ない。前述のとおり、監視は多くの場合、光学監視システムを利用している。夜中に発射されれば機能しない。
(5)北朝鮮のミサイル開発、核兵器開発を阻止することは、国連決議、経済制裁などではできない。今まで数多くの制裁措置が取られてきたが、開発はどんどん進んでいる。
今日、日本ができる制裁措置で、北朝鮮が「困った。これを受けるなら開発を止めよう」と思うものは何もない。米国も同じだ。
先制攻撃があれば、被害があまりに大きい報復攻撃がある
(6)過去、米国は核兵器・ミサイル開発を止めるために、なぜ先制攻撃を行わなかったのか。先制攻撃があれば、北朝鮮は当然、報復攻撃を韓国に行う。その被害があまりに大きい。だからできなかった。その状況は今日も変わらない。この点は、バノン主席戦略官が離任直前に発言している。
体制を崩壊させることを目的とした米韓軍事演習が続く限り、開発は続く
(7)北朝鮮の核兵器・ミサイル開発を阻止するためには、なぜ北朝鮮が開発をするかを考える必要がある。北朝鮮は、米国等が北朝鮮の体制、指導者を軍事行動で破壊しようとするのを抑止するために開発をしているとみるのが自然である。
だとすれば、開発を阻止できる道は、西側諸国が北朝鮮の体制、指導者を軍事行動で破壊しないことを確約することである。しかし、米国はその約束をしないだけではなく、逆に体制を崩壊させる、指導者を抹殺することを目的のひとつとして、米韓軍事演習をしている。これが続く限り、開発は続く。
国連憲章は、米国の行為を国連憲章第2条に違反している
(8)「体制崩壊の軍事行動をしない」ということは、何も新しいことを要求することではない。国連憲章第2条は、次のように定めている。
「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」
米国と日本は、「有事」を造成し、「有事」を政治支配の道具にしている
(9)米国にとり緊張を高めることが、国内的、国際的に有利である。たとえば日本は膨大な軍事予算を持つが、武器の多くは米国からの購入となる。集団的自衛権で自衛隊を海外展開させることは、日本国内の米軍基地利用にもプラスである。また、韓国は経済的に中国に接近する可能性が高いが、これをやめさせることもできる。さらに米国国内事情としては、トランプ政権は支持率低下の中にあり、有事の際には大統領の下に結集すべきだとの論が成立する。ちなみに日本の安倍政権にとっては、内閣不支持率が高まるなか、安倍批判を減少できる。
(10)北朝鮮の金正恩・労働党委員長としては、自国に軍事行動されないのであれば、安心してミサイル実験を繰り返し、「米国からの圧力があるにもかかわらず断行する、我が政権は強い」と国威高揚上プラスとなる。
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