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(民衆闘争報道 柴野貞夫時事問題研究会―連続論考Aの3 2017216日)

 

サード韓国配備と「日韓秘密軍事情報保護協定」締結は、朝鮮・中国・ロシアを狙う日・米の核戦争準備である


                                        柴野貞夫時事問題研究会


[連続論考]
@ アジア版NATOとしての日韓米三角軍事同盟と東北アジア(前回)
A 日本の社会・経済の軍事化と、在日米軍の基地機能の強化(今回−その3)
B 中国の対・南朝鮮政策の軌道修正と、対・朝鮮政策の破綻
C ピョンヤン宣言と、ストックホルム合意を踏みにじってきた日本政府を糾弾する(いわゆる‘拉致問題’の真実)


    連続論考C

   日本の社会・経済の軍事化と、在日米軍の基地機能の強化(その3)

南スーダンの大規模戦闘事態を隠蔽と欺瞞で糊塗する安倍と
稲田


29日、稲田朋美は、南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)に派遣されている陸上自衛隊が、昨年7月、首都ジュバの大規模戦闘事態を記録した黒塗りの「日報」をしぶしぶ公表した。
現地の深刻な状況を記録した「日報」の存在を、「破棄処分にした」と隠ぺいし否定してきたが、隠し切れずにその存在を認めた。
214日には、衆議院予算委員会で、共産党議員が、自衛隊内部で、容易に閲覧可能なデータベース(自衛隊内で閲覧可能な、「教訓センターベース・CGLLDB」の中に、稲田が「破棄処分にした」と言う「日報」が存在する事実を追求した。
稲田は、南スーダン・ジュバ市内で、<PKO5原則>に抵触する深刻な「戦闘」が起こっている事実を、ただ闇雲に隠蔽しようと、直ぐばれる嘘を国民に吐いたのである。
「黒塗りの日報」からでも、隠し様もない「戦闘」の生々しい状況が報告されている。陸自派兵部隊宿舎周辺は、殆ど戦争状態だ。「戦車射撃を含む激しい銃撃戦」「宿舎地外近傍施設への直射火器の着弾確認」「国連施設地区一帯で、政府軍戦車1両を含む銃撃戦が、日没まで戦闘継続」「ジュバ市内で大量の国内避難民の発生」などなど、南スーダンが、深刻な戦闘が継続する内戦状態である事実が報告されている。
9日、国会で追及された稲田は、「日報」で書かれている「戦闘」の意味は、「法的な意味の戦闘行為ではない」と答弁し、(日報を記述した者に)「憲法9条の問題になる言葉は使うべきでない」と付け加えた。稲田は、南スーダンの深刻な戦争(戦闘)事態を前にして、事実を捻じ曲げて、「戦闘状態であっても、<戦闘>と言う言葉は使うな、他の表現を使え。憲法9条上の問題になる言葉は使うべきでない」と言ったのだ。
安倍政権は、戦争法に沿って、「国際平和協力法−PKO法」の改正にも手を付けた。即ち、PKO活動 における自衛隊の新任務に、@駆けつけ警備、A宿営地共同防護B安全確保活動を付け加えた。本来PKO活動は、非軍事の民生・人道支援のはずが、上記「新任務」によって、自衛隊が武力行使し、「戦闘」に参加する可能性が高まったのである。
自民党は、<国際平和協力法−PKO法>の戦争法に沿った改正に当たり、「憲法9条」との整合性について自ら、次のようにのべている。“憲法第9条第1項の「武力の行使」(憲法の禁じる)とは、基本的には、「国家の物的・人的組織体による国際的な武 力紛争の一環としての戦闘行為」を言う。”
南スーダン・ジェバにおいて、現実の事態が「戦闘」状況にあるとなれば、自衛隊は、「新任務」によって、戦闘に参加する事となり、「憲法が禁ずる武力行使」となる事を隠蔽するために、稲田は、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきでない」と言ったのだ。安倍は、それを“戦闘でなく衝突だ。発砲事件だ”と言い換えた。
安倍や稲田が、自衛隊員が現実に直面している事態を、「戦闘」でなく、「発砲事案」とか、「衝突」であると言い換えたところで、猫をネズミと言うわけにはいかないだろう。国民を、欺瞞で籠絡出来る衆愚と考えて、エキセントリックに走り回っている安倍・ネズミ集団を駆除する責任を負わされているのは、我が国民である。
既に、20167月、首都における大規模戦闘で、数百人が死亡し、多くの中国兵も死亡している。PKO参加5原則も崩壊している。にも拘らず、安倍政権が南スーダンに拘るのは、まず、<国際平和協力法−PKO法>による南スーダンで、「戦争―戦闘の実績をつくり、新法−国際平和支援法(海外派兵恒久法)による、より広範な戦争の実績を作る事にある事は、明瞭である。


2015年「再改定日米ガイドライン」と、それに連動する戦争法

今日の、在日米軍基地強化の実態を知る上で、日米軍事協力における役割分担を取り決めた、2015年・「再改定日米ガイドライン」が、それまでの二つの<ガイドライン>と、根本的に異なる点を明らかにして置く事が必要である。
「日米安全保障条約」に基づき、日米の軍事的役割分担を取り決めるものとしてある「日米ガイドライン」(日米防衛協力のための指針)は、197811月に初めて取り決められた。その後、1997年に改定され、2015年に再改定された。この再改定は、201471日の「集団的自衛権行使容認」の閣議決定を「根拠」に、2015919日の安保法制=戦争法(一つの新法、10件の関連改定法)の成立(強行採決)前に、米国と事前約束すると言う不当な取り決めであった。
2015年指針は、1997年の「改定ガイドライン」で、<基本的前提>という項目で記述されていた、“日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において行われる”と言う文言を削除した。
1997年の「改定ガイドライン」は、<基本的な前提及び考え方>のU項目の2で、「日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる。」(原文のまま)と、一応文言上、明記した。‘この考え方’で、日本有事と、朝鮮有事を念頭に、日本周辺で武力衝突が起きた場合の、自衛隊と米軍の役割分担を取り決めていた。
しかし、2015年指針は、<基本的前提及び考え方>のU項目のCで、彼等の指針に込めた狙いを明確にし、<基本的前提>を次の様に書き換えた。
「日本及び米国により行われる全ての行動及び活動は、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われる。日本の行動及び活動は、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる」(原文のまま)として、‘日本のすべての行為は’と云う文言は‘日本及び米国’に代えられ、‘日本の憲法上の制約の範囲内において’と云う文言も削除した。
「専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針」は、国民を欺瞞する目晦(めくら)ましとして使われているだけである。米軍と共に集団的自衛権を行使する行為は、決して専守防衛ではない。先制核攻撃を公言し、常時核で武装した米軍と共に戦争する事になる自衛隊が、どうして「非核三原則の堅持」が出来るのか。
犯罪者・安倍と米国にとって、「日本の憲法上の制約の範囲内」と言う文言は、集団的自衛権も「憲法の範囲内」と主張する彼らの立場からすれば、削除する必要はなかったはずだ。しかし、「憲法の制約を取り除く」と主張して来た以上、この文言は全くそぐわないと考えたのである。彼らは、国民を愚弄して、公然と憲法を蹂躙する事を国民に向かって宣言したのである。
次に、2015年指針の各項目に沿って、自衛隊が米軍との関係で、どの様に集団的自衛権を行使しながら、米国と共に戦争を行おうとしているのかは、次の1に要約できる。


軍事同盟としての日米軍事同盟の発足と、常時的な「日米合同司令部」の設置

015年指針は、日本の防衛で自衛隊と米軍があらゆる 事態に切れ目なく対応し、「日米同盟のグローバルな性質」を強調、<日米が世界規模の同盟>であることを強調している。加えて2015年指針は、新たな項目<強化された同盟内の調整>、<共同計画の策定>を記述している。
1997年指針には無い、グレイゾーンを含む平時から、「利用可能な同盟調整メカニズムを設置し、運用面の調整を強化し、共同計画の策定を強化する」として、「共同作戦計画」を策定し、米軍の軍事力行使に、全面的に自衛隊が関与する事を明らかにしている。「平時から戦時までの切れ目無き、自衛隊と米軍の調整メカニズム」即ち、常時的な「合同司令部」設置を目論んだ。
日米は、2015年・再改定ガイドラインに基づき、2015113日、自衛隊と米軍が平時から一体運用するための新機関「同盟調整メカニズム(ACM)」を設置、同時に、自衛隊と米軍の共同計画をつくる「共同計画策定メカニズム(BPM)」も立ち上げた。
ACMは、自衛隊と米軍の活動に関する政策面の調整を担う「同盟調整グループ(ACG)」、運用面の調整を行う「共同運用調整所(BOCC)」、各軍種レベルが連携する「自衛隊・米軍間の調整所(CCCs)」で構成される。
ACGは外務・防衛当局、国家安全保障局などを中心に局長級、課長級、担当級で組織され、日米合同委員会とも情報共有する。BOCCは自衛隊と米軍の幹部級、CCCsは陸海空各軍種の代表から成る。
アメリカ本土におかれていた陸軍第一軍団司令部が日本の座間に移り、座間基地には、この米陸軍新司令部とともに、陸上自衛隊中央即応集団司令部が新たに設置された。横田基地には米第五空軍司令部とともに航空自衛隊の航空総隊司令部が府中から移り、日米の共同統合運用調整所(BOCC)を初めて設置する。情報収集や訓練なども日米共同の作業としておこなわれる。

安倍はすでに2014年から、憲法に違反して<横須賀>第7艦隊司令部に「連絡官」を派遣している。憲法9条を明確に否定する、戦争法(安保法制)の本格的な運用の加速を阻止しなければならない。
<再改定―ガイドライン>の狙いを要約すれば、次の通りである
1. 自衛隊と米軍の役割で、「日本国憲法の制約の範囲内」を全面削除
2. 自衛隊と米軍は、世界規模の軍事同盟であると宣言
3. 常時的な合同司令部の設置
4. 自衛隊と米軍の軍事協力に、地理的制約をなくす
5. 「自衛隊法」の改定による常時的武器使用。(平時から、自衛隊が米軍の空母や戦闘機などを警護し、攻撃されれば応戦する「武器等防護」の実施)
6. 2015年指針の狙いを 国内関連法全てに反映させる為、<集団的自衛権>行使例を具体的に示している。海外で戦争をする(戦闘地域)米軍などに、兵站など、軍事支援を可能とする
7. “米国を狙った他国の大陸弾道弾を打ち落とす”役割を自衛隊に与える
8. あらゆる地域で、水から弾薬まで、何等の制約も無い後方支援
9. 「新法・国際平和支援法」と「重要影響事態法」(周辺事態法の改訂版)を予定した上で、米軍への軍事支援と、自衛隊の「駆けつけ警備」による武力行使を指示


集団的自衛権を容認する―戦争法(一つの新法、10件の関連改定法)

◎新法−国際平和支援法(海外派兵恒久法)
○(現)武力攻撃事態法」の一部改正案 
○(現)自衛隊法」の一部改正案
○(現)周辺事態法」の一部改正案
○(現)周辺事態法―船舶検査活動の一部改正案
○(現)国連平和活動法(国際平和協力法−PKO法)の一部改正案
○米軍行動関連措置法の一部改正案
○特定公共施設利用法の一部改正案
○海上輸送規正法の一部改正案

○捕虜取扱法
○国家安全保障会議設置法

<注>

<国際平和協力法>とは、PKO法の事である。
<戦争法>に沿って、「武力行使」に道を開いた→「駆けつけ警備」

国連PKO等において実施できる業務の拡大(いわゆる安全確保、駆け付け警護)、業務に必要な武器使用権限の見直し国連が統括しない人道復興支援やいわゆる安全確保等の活動の実施
<国際平和支援法>とは、<海外派兵恒久法>のことである
「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」のことである。安倍政権の理屈は、「国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行う」即ち、自衛隊が、常時的に、米国をはじめとする他国に軍事行動(兵站を含む)で協力することである。
<参考>
自民党の「安保法制」に対する区分けは、国会提出法案では2法案としていた。
T.国際平和支援法案(新規制定) →<海外派兵恒久法>の事
“国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊への支援活動 ”
U.平和安全法制整備法案(一部改正を束ねたもの、以下の法律を一括改正)  
@自衛隊法、A国際平和協力法(PKO協力法)、B周辺事態安全確保法(→重要影響事 態安全確保法に変更)、C船舶検査活動法、D事態対処法、E米軍行動関連措置法(→米 軍等行動関連措置法に変更)、F特定公共施設利用法、G海上輸送規制法、H捕虜取扱い 法、I国家安全保障会議設置法  ※その他、技術的な改正を行う法律が 10 本(改正法附則による処理)

自由法曹団−<安全保障一括法案を斬る>
安倍政権は、これ等戦争法の執行を、次の様に合理化している
「他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。」従って「@我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、及び孝福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、Aこれを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない時、B必要最小限度の実力を行使する」として、「事態が武力攻撃事態又は存立危機事態であると認定する場合にあっては、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するため武力の行使が必要である。」
ここで、「武力攻撃事態」や、「存立危機事態」は、国家が恣意的に判断すると言うもので明確な根拠もないものである。曖昧な表現で、米国との戦争参加における、あらゆる事態に対応し、国民を欺く手法である。国会論戦で法()を提案する安倍自身が、明確に答弁できなかった事を見ても明らかだ。

在日米軍の「行動範囲」は地球上に拡大、「事前協議」は実質存在しない

60年安保(現行安保)では、第6条において、@米軍の行動範囲を極東に限定する(極東条項)、A「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。(いわゆる事前協議事項)が規定され、在日米軍は、その行動範囲を、極東条項によって制約を受け、核を始めとする新たな装備や、部隊の移動に対し、事前協議の対象とされると(建前は)規定した。即ち、現行安保は、在日米軍を、条約上「制限が課せられた存在」であることを表向き謳った。
19979月の「改定日米ガイドライン」は、日米の軍事協力の範囲を「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)」へと拡大した。軍事協力の範囲を、‘地理的なものではなく、事態の性質’だとすれば、日米の軍事協力が、日本周辺(アジア太平洋地域)へと拡大するのみならず、世界中至る処に拡大する事になる。
自衛隊はこの在日米軍の自由な世界展開を実効化する為の国内関連法規の整備を必要とし、上記の関連法の整備が矢次早に進められた。(10件の関連改定法)これ等は当時、有事立法と呼ばれ、今回の「再改訂日米ガイドライン」の骨格を作る基となった。かくして、米国は、北は北海道から、南は沖縄まで、日本列島を米軍の軍事要塞として利用する事になっている。

日本政府には133の米軍基地に対して、如何なるマンデート(権限)もない

現在、29都道府県(自衛隊管理の日米共同基地を含む)に、133の米軍基地がある。航空基地が8か所、軍港が9カ所、演習場が16、更に米軍の使用によって、民間機、船舶の運航に支障をきたす、23の空域と47の水域が提供されている。
45000名の米兵は、世界で唯一、4軍、即ち陸、海、空、海兵隊が駐留し、中でも、<海兵遠征軍><空母打撃群>などの、地球規模の侵略戦争をなりわいとする遠征部隊の唯一の前進基地である。特に沖縄は、日本国土の0.6%に過ぎないのに、在日米軍専用基地の74%が集中している。沖縄本島の18%が米軍基地である。
しかも、安保条約の地位協定は、日本の空と海に自由に展開する、戦闘機・オスプレイや、核潜水艦・核航空母艦に象徴される様に、日本政府による如何なる制約もない。核の持ち込み、戦闘作戦行動に対する自由出撃等に関する密約によって、米軍は基地の自由使用にとどまらず、あらゆる行動の自由を保障されている。‘公務中’米兵に対する裁判権もなく、米軍のあらゆる軍事行動に対する日本の「マンデート(権限)」はない。日本列島は、今や米軍の治外法権的軍事要塞となっている。


沖縄の高江・辺野古は、米軍による日本列島・軍事要塞化の集中的表現

高江では、オスプレイにとって使い勝手の良いヘリパット基地を、住民の意思を踏みつけ、自然破壊を強行しながら、本土機動隊の野蛮な暴力によって建設中だ。
辺野古新基地建設は、断じて、普天間飛行場の代替えではない。隣接する、弾薬庫でもあるキャンプ・シュワブ基地と一体となって、200年以上の耐用年数を持つ海空一体の恒久的軍港である。在日米軍・45000のうち、25000が、全世界に出撃するための侵略兵力として戦闘訓練を繰り返している沖縄米軍基地の、核心をなす基地と位置付けられている。
新基地は、広さ・205ヘクタール(普天間−480h)高さ10m、18001200のX字型滑走路を持ち、271.8mの岸壁延長を予定している。大型機の離発着は出来ないが、オスプレイ100機が運用可能である。また、岸壁延長が2718mと言うことは、佐世保市を基地とする強襲揚陸艦隊が接岸出来る。
沖縄の第31海兵遠征隊は、2004年にイラクに出撃した際、まず、佐世保基地(長崎県佐世保市)から強襲揚陸艦隊がホワイトビーチ(沖縄うるま市、WB)に寄港し、部隊や装備を積み込んだ。新基地に強襲揚陸艦<約250m前後>が接岸出来れば隣接する弾薬庫のあるキャンプシュアブと一体となって、陸続きになっているハンセン(中部訓練場)に駐留している地上戦闘部隊や戦闘車両など、すべてが1カ所に集中し、効率良い運用が可能になる。
東村高江などを含む北部訓練場や伊江島補助飛行場などと併せ、「沖縄本島北部が、海兵隊の訓練から出撃まで、すべてが可能になる一大拠点に変貌する。しかも建設費は2兆円を下らない。負担は全て、日本国民の命と生活を維持する「社会保障費」まで削り取った末にかき集めた税金で賄われる。
 

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▲ワスプ級強襲揚陸艦5番艦「バターン」の飛行甲板に並べられたMV-22B オスプレイ。強襲揚陸艦は、オスプレイや、垂直・短距離離着陸機(S/VTOL機),35B垂直離着陸機の運用能力だけではなく、ミサイル(Mk.49 21連装ミサイル発射機、Mk.29 8連装ミサイル発射機各2基)、エアクッション型揚陸機や上陸用舟艇を運用するウエルドックも持ち、主力戦車も収納。海兵隊1900名収容。それ自体で完結した侵略上陸部隊を編成する。写真からも、その巨大さがわかる。

沖縄県民の総意に基づく平和的抗議運動を日常的暴力で弾圧する安倍政権

キャンプ・シュワブのゲート前で続けられていた、沖縄県民による非暴力抗議運動に対し、500人規模で送り込まれた警視庁、各都道府県の機動隊が、問答無用の暴力を振るっている。県民運動の指導者である「沖縄平和運動センター」議長の山城博治氏が昨年末、不当に逮捕され、現在も長期拘留中だ。国民の正当な平和的抗議行動に対し、公道を封鎖して妨害した、警察の不法な暴力行為への正当防衛が、「傷害・公務執行妨害・器物破損」「威力業務妨害罪」などに当たるとして、罪を捏造され起訴された。昨年までの海上闘争では、海上保安官が、抗議のカヌーを沈め、多数の県民を溺死寸前まで暴行した。
20148月、カヌー隊メンバーが海上保安官に抑え込まれ、頚椎捻挫で全治10日間の負傷、20151月には、大浦湾で、抗議の船に乗り込んだ海上保安官が女性に馬乗りになり暴行を加えた。陸上同様、海上でも、国家による県民抗議闘争に対する日常的暴力が横行している。沖縄県民の不屈の戦いを、全日本の国民自らの戦いとして、共に戦い、支えていく事が求められている。


国家の意向に沿って福岡高裁那覇支部の判決を追認した最高裁判所

20161220日、沖縄県の翁長知事による、「辺野古埋め立て承認取り消し」をめぐって、国が沖縄県を訴えた裁判において、最高裁判所は、9月に出された福岡高裁那覇支部の判決を追認し、前知事の「要件に適合するとの判断に瑕疵(欠陥)はない」として、国の主張を全面的に認めた。
最高裁は言う「公有水面埋め立て法、41項1号の<国土利用上適正且合理的ナルコト>と言う要件に対し、公有水面の埋め立てが第1号要件に適合するとの判断(前知事の)に、瑕疵(欠陥)があるとは、言い難い。」と。続いて、その根拠として、「本件埋め立て事業は、普天間飛行場の代替え施設を設置するために実施されるものであり、前知事は、同飛行場の使用状況や、同飛行場の返還及び代替え施設の設置に関する我が国と米国との間の交渉経過等を踏まえ、騒音被害等により周辺住民の生活に深刻な影響が生じている事や、同飛行場の危険性の除去が、喫緊の課題である事を前提に、@本件新施設等の面積や埋め立て面積が同飛行場の施設面積と比較して、相当程度縮小される事、A沿岸域を埋め立てて、滑走路延長線上を海域とする事により航空機が住宅地の上空を飛行することが回避されること、および本件新施設等が、既に米軍に提供されているキャンプ・シュワブの一部を利用して設置されるものである事等に照らし、第1号要件に適合すると判断しているところ、この様な、前知事の判断が、事実の基礎を欠くものである事や、その内容が社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くものであるという事情は認められない。」と言うのである。
そもそも、前知事の、「埋め立て決定」が、「公有水面埋め立て法」に照らして「瑕疵(欠陥)があるとは、言い難い。」とする判決の根拠が、「本件埋め立て事業は、普天間飛行場の代替え施設を設置するために実施されるものである」と言う最高裁の判断は、普天間飛行場の被害に苦しんできた沖縄県民の撤去要求を逆手にとって、「普天間の代替えだから受け入れるべきだ」とする安倍政権の県民欺瞞の主張を鸚鵡返しにしているだけである。
「面積や埋め立て面積が同飛行場の施設面積と比較して、相当程度縮小される」とか、「航空機が住宅地の上空を飛行することが回避される」とか、「キャンプ・シュワブの既存の基地の一部に作られる」から(前知事の判断が)「明らかに妥当性を欠くものであるという事情は認められない」と言う判決文は、辺野古新基地が、米海兵隊の訓練から出撃まですべてが可能になる、200年以上の耐用年数を持ち、米国がこれからも、世界とアジアに常時的に侵略戦争を繰り返すための海空一体の一大軍事拠点である事を隠蔽する、きわめて悪質な文言である。そして何よりも、この文言は、法の解釈ではなく、裁判官達の、安倍政権が強行する日米軍事同盟強化を通して推進する戦争国家を支持する、恣意的な政治的判断の表明である。彼らは、明らかに日本国憲法を蹂躙する犯罪者である。
最高裁の「政治的判断」に基づく「判決」は、司法が国家の政策を,法に照らして適法かどうかを判断するのではなく、自分たちの恣意的な政治的価値判断をしたと言う事だ。司法が司法であることを否定したのである。
事案の違法性を、法の解釈を通して審査すると言う裁判所の権限を遥かに逸脱し、普天間基地撤去と辺野古新基地建設をめぐる沖縄県民の、厳しい歴史と現実に対する余りにも貧しい知識に基づいて書き連ねた「判決」に過ぎない。国家権力の不当な主張を一方的に垂れ流す「政治的主張」に他ならない。
最高裁裁判官達の、安倍政権の軍事国家への道を掃き清める政治的プロパガンダは、全く聞くに堪えない。この「判決」は、司法が国家権力の手先となり、戦争法を合法化する司法判断を行った最初の事案となった。我々も、沖縄県人も、司法の名を騙って国家権力の番犬となった裁判所を、徹底的に糾弾して行くであろう。
(続く)


<柴野貞夫時事問題研究会の関連過去論考>(時事特集をクリック)

☆「ガイドラインの改定と11件の戦争法規は新たな戦争準備である(4)」(2015年5月31日)

☆「ガイドラインの改定と11件の戦争法規は新たな戦争準備である(3)」(2015年5月26日)

☆「ガイドラインの改定と11件の戦争法規は新たな戦争準備である(2)」(2015年5月17日

☆「ガイドラインの改定と11件の戦争法規は、新たな戦争準備である(1)」(2015年5月7日)


☆オスプレイ沖縄配備と、規制なき米軍基地の実態を暴く (2012年10月10日)

☆日米安保条約と日米地位協定の歴史と、その反民衆的本質(2012年11月1日)